元Uber(ウーバー)のマネージャーであるFlo Crivello(フロ・クリベロ)氏が創業したバーチャルオフィスプラットフォームのTeamflow(チームフロー)がシリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達した。わずか3カ月前にシード資金390万ドル(約4億2000万円)を調達したばかりだ。今回のラウンドをリードしたのはBattery Ventures。シードラウンドはMenlo Venturesがリードした。
Teamflowの資金調達は、ライバルのGather(ギャザー)がSequioa Capitalのリードで2600万ドル(約28億3000万円)のシリーズAを発表した数日後のことだった。別のライバル会社であるBranch(ブランチ)も、HomebrewとGumroadのSahil Lavingia(サヒール・ラヴィニア)氏らの投資家からシードラウンドで150万ドル(約1億6000万円)を調達し、現在シリーズAを実施している。
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いずれのスタートアップも、人々が仕事中より何かを切り替える場面でゲームライクなインターフェースを主流にしたいと思っている。ただし現実は、3社とも(他の数十社も)成功しそうにない。勝者となるべき差別化は戦略にある、とTeamflowのクリベロ氏は私に話した。
「かつて、最大の差別化要因はUX(ユーザー体験)と美的感覚だったと思います」と彼はいう。「多くの会社が採用している非常にゲーム性の強いアプローチは私たちも大ファンですが、仕事の会議をポケモンゲームの中でやりたくない、と私たちは思うのです」。
Teamflowのオフィスを案内してもらったとき、この会社はゲーミフィケーションよりも生産性に力を入れていると感じた。統合できる機能にはSlack風のチャットやファイル・画像の共有などがある。現在プラットフォーム内アプリストアを開発中で、完成すればユーザーは自分たちのチームに最適な統合モジュールをダウンロードできる、とクリベロ氏はいう。アプリストアにはゲームもある。
この方針はTeamflowがイベント主催者よりも企業経営者の支持を得るのに役立った。ファウンダーは、より安定した収入源だという。現在同社はプラットフォーム上のスタートアップ内で数千のチームをホストして「数十万ドル(数千万円)の売上」を集めている。ライバルのGatherは、売上の大部分を1回限りのイベントから得ていると最近TechCrunchに話す。現在Gatherの月間売上は40万ドル(約4300万円)だとファウンダーのPhilip Wang(フィリップ・ワン)氏はいう。
ちなみにGatherのルック・アンド・フィールはTeamflowとは大きく異なり、Sims(シムズ)に近い。
BranchのDayton Mills(デイトン・ミルズ)氏は「ゲーミフィケーションを大きく強化」することで競争力を保っていると語った。同社はレベル、ゲーム内通貨、経験値などを導入して従業員が自分のオフィス空間をカスタマイズするよう推奨している。
「生産性は落ちていませんが、カルチャーや楽しさや人とのつながりは悪化しています」とミルズ氏は本誌に語った。「だから、仕事と遊びを考えたとき、私たちは遊びの部分の修復に目を向けます。仕事ではありません。仕事は副次効果としてついてきます」。Branchはまだ収益を上げていない
Teamflowにとって次の野望は、顧客ベースを流行に敏感なスタートアップの実験チーム以上へと拡大することだ。クリベロ氏は、Zoomが売上の約40%を大企業から得ていることを挙げ、Teamflowは「大企業対応の準備にいっそう注力している」と語った。
同社はルールを守りプライバシー標準に従うことで、医療やバイオテック企業にも進出しようとしている。これは同社が「きちんと管理された分野」と呼ぶ、他のゲーミフィケーションアプローチを望まない可能性のある領域だ。
クリベロ氏は、自社のビジョンに関して明快だ。バーチャルオフィスの引っ越しを物理的オフィス以上に難しくしたい、と彼は考える。もしTeamflowがいつかオペレーティングシステムのようになってアプリケーションを加え、質の高い基準を設定することができれば、もっと幅広い層の顧客を取り込めるかもしれない。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Teamflow、リモートワーク、バーチャルオフィス、資金調達
画像クレジット:Bryce Durbin
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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook )