対戦型脳トレアプリのBrainWarsが1000万ダウンロード達成――Supercell、Kingを目指す

トランスリミットの対戦型脳トレアプリ「BrainWars」が、全世界1000万ダウンロードを達成した。同社の設立は2014年1月14日。ちょうど創業1周年での達成となった。

日本はたった4.3%――高い海外ユーザー比率

BrainWarsはトランスリミットが2014年5月にリリースしたスマートフォンアプリだ。穴あきの計算式に、正しい式になるよう計算記号を入れる「四則演算」、指示された方向に画面をフリックしていく「フリックマスター」など、直感的な操作で楽しめる約20種類の脳トレゲームで世界各国のユーザーと対戦できる。対戦はリアルタイムだが、相手のユーザーが応じられない場合、そのユーザーの過去の実績をもとに非同期での対戦が行われる。

僕はリリースの1カ月ほど前にアプリのデモを見せてもらったのだが、その頃からトランスリミット代表取締役社長の高場大樹氏は「ノンバーバル、言語に依存しないサービス設計をしている」と語っていた。実際のところ、ユーザーが最も多いのは米国(25.4%)で、日本は4.3%と少ない。

2014年5月にiOS版をリリースしたBrainWarsだが、ノンプロモーションながらサービス開始から2カ月で2万ダウンロードを達成。そこから国内のIT系のメディアやブログなどで取り上げられ、さらに7月にApp Storeの「注目アプリ」として日米で紹介されるようになってから急激にダウンロード数を増やしたそうだ。9月にAndroid版をリリースするとダウンロードは更に増加。10月に300万、11月に700万を達成し、今回の1000万ダウンロードに至った。

高場氏は海外でのダウンロードについて、「特に米国ではApp Storeでの紹介がきっかけだが、それと同時に(対戦結果をシェアした)Twitter経由でのダウンロードが多い。ユーザーインターフェースもフラットデザインを意識したし、ノンバーバルでシンプルなゲーム性を追求している。そのあたりが海外でも受けたのではないか」と分析する。ダウンロード数だけでなくアクティブユーザーも気になるところだが、具体的な数字は非公開だという。ただし「一般のソーシャルゲームのアクティブ率は7日間で20%程度だと考えている。それよりかは大きい数字だ」(高場氏)とのこと。

ユーザーの「真剣さ」ゆえに読み違えたマネタイズ

BrainWarsは1プレイごとにハートを1つ消費していき、そのハートは時間経過によって回復するというソーシャルゲームなどでよくある仕組みを導入している。時間経過を待たずにプレイする場合は課金、もしくは成績上位で得られるコインを使ってハートを購入する必要がある。またコインは、対戦時に自分の得意なゲームを選択する際や過去の成績を閲覧する際にも使用できる。このコインの課金と広告によって、「すごく小さい額ではあるが黒字で運営している」(高場氏)というBrainWars。だが課金に関しては誤算もあったのだそうだ。

BrainWarsは「ガチャでレアキャラを引き当てればゲームを有利に進められる」というものではなく、地道にミニゲームに慣れていかなければいい結果を出せない。そんなこともあってか、前述の「得意なゲームを選択する」という機能を使わずにランダムに選ばれるゲームで正々堂々と戦いたいというユーザーが多いのだそうだ。高場氏もこれについては「鍛錬を積んで勝負をするという競技的な側面があり、ユーザーは(課金して自分に有利なゲームを選ぶことなく)真剣に勝負する。ここが課金のポイントだと思っていただけに誤算だった」と振り返る。また、具体的な数字は教えてもらえなかったが、課金率の低さも今後の課題なのだそうだ。そういった背景もあって、2月にも予定するメジャーアップデートでは、1人向けの新たなゲームモードを用意。ここでコイン消費を促すという。

LINEとの協業、2015年中にゲームを提供

トランスリミットは創業期にMOVIDA JAPANやSkyland Venturesなどから資金を調達。その後2014年10月にLINE傘下のベンチャー投資ファンドであるLINE Game Global Gatewayのほか、ユナイテッド、East Ventures、Skyland Ventures、Genuine Startupsから総額3億円の資金調達を実施している。同社はこの調達と合わせてLINEとの業務提携を発表。LINEのユーザー基盤を活用した新たなゲームコンテンツを開発するとしていた。

このLINE向けゲームの進捗については、「今はBrainWarsに注力しているところ。だが年内にはLINE向けの新規タイトルを1本リリースする予定だ」(高場氏)とした。またそのテーマについては、「『LINEに乗せて成果の出るもの』を考えているが、BrainWarsがベースになるか、まったくの新規タイトルになるか未定」(高場氏)なのだそうだ。

高場氏はこのほか、現状10人(インターン含む)の組織を年内に30人程度まで拡大する予定だとした。年内にはBrainWars、LINE向けタイトルに加えて、自社の新作タイトルも提供するという。「BrainWarsは1年で1000万ダウンロードを達成したので、2015年内に3000万を目指したい。また同時に年内に3ラインまで拡大して、1つ1つのアプリで売上を作って自走しつつ勝負をする。目標は世界で名前が通るデベロッパー。SupercellやKingと肩を並べたい」(高場氏)

トランスリミットのスタッフら。前列中央が代表取締役の高場大樹氏

 


投稿者:

TechCrunch Japan

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