無料のオンラインプログラミングスクールCodecademyが3000万ドルを新たに資金調達

Codecademy  the free online coding school  raises another  30M led by Naspers   TechCrunch

Codecademyは1600万人の登録ユーザーを持つオンラインのコーディングスクールだ。これまでサービスを利用するのに生徒に一銭も課金しないという経緯を辿ってきた。今、Codecademyがいつ、どのようにサービスをマネタイズするかと疑念が湧く中、3000万ドルの新たな資金調達をCodecademyが発表した。これは同社が次にどうするかを示す出来事かもしれない。

南アフリカに拠点を置く(営利目的の)巨大メディア企業、NaspersがシリーズCラウンドを率いる。CodecademyはシリーズCラウンドで調達した資金を、引き続きCodecademyのサービスを世界に普及させ、モバイルなどなプラットフォームでも使えるよう開発に充てると語っている。

ラウンドに参加する投資家には以前のラウンドにも参加したUnion Square Ventures、Flybridge Capital Partners、Index Ventures、Sir Richard Bransonを含む。Codecademyは評価額を開示していないが、私たちは探り出そうとしている。Codecademyが調達した資金は合計で4250万ドルだ。

Codecademyの共同創業者でCEOのZach Sims氏はインタビューにおいてCodecademyは有料の「プロフェッショナル」サービス(月額約20ドル)からすでにいくらかの収益を生んでいると語った。プロフェッショナルサービスではコーディングの独習コンテンツにプラスしてメンターへの相談、成績の評価が可能だ。

しかし、Sims氏は今年度初頭のインタビューでTechCrunchに対し、Codecademyには1600万人の登録ユーザーベースをマネタイズできる他の手段があると示唆した。

「プロシューマー(製品の開発にも携わる消費者)層、追加コンテンツ、メンターへの相談、さらにはユーザーがゼロから仕事を得るまでの支援とそれに対する課金」が今年度初頭にフィリピン・ダバオで開かれたWorld Economic Forumでのインタビューの中でSims氏が言及したすべての手段だ。

コーディングトレーニングプログラムにとって問題となってきた仕事斡旋の領域にCodecademyの長期的なビジョンがある。他の高額な競合サービスは多くのことを約束するが、学習が終わった後、最終的に仕事まで提供できるところはほとんどない。

オンラインのトレーニングプログラムを通してCodecademyはユーザーに関するすべてのデータを収集する。そして、そのデータの活用で、長期的にはCodecademyは他のスクールよりも卒業生を有望な仕事とつなげることが可能だとSims氏は考えている。そしてSims氏はそれでマネタイズができればと期待している。

実際に、Codecademyはカリキュラムの卒業生をアドバイザーとして雇い、Codecademyの主張通りのことをすでに実践している。現在、アドバイザーはプロフェッショナルサービスの料金を払っている人のためのメンターとして従事している。

「私たちは自社のことを経済的な機会への入り口として捉えています」とSims氏は語った。採用候補者の能力に関して十分に理解していない担当者が門番を務める業界において、Codecademyのようなサービスは、必要とする企業が選りすぐりの人材を見つけるための助けとなるとSims氏は言う。

26歳の共同創業者Sims氏はCodecademyの成長につれて、そのオンライントレーニング・プラットフォームを別のデジタル分野に拡げていくことを望んでいる。

コーディングの時代の波に乗る

ニューヨークに本社を置き、2011年のY Combinatorに参加したCodeacademyが本腰を入れて着手している市場は巨大だ。

クラスで教えている内容、仕事の現場で理解している内容、そしてどの職に人材を充てるべきか(あるいはどのようなビジネスを構築するか)においてそれぞれテクノロジーギャップが存在する。現在、テクノロジーはいたるところに存在している。それが意味するのは私たちはすべての産業、すべての段階の仕事がテクノロジースキルを必要としているいうことだ。

これに加え、今では30億人以上の人がオンライン上にいる。対象となる大きな市場が存在するのだ(Codecademyには現在1600万人の登録ユーザーしかいないことを思い出してほしい)。

現在、CodecademyはHTML/CSS、Javascript/jQuery、Python、Ruby、PHP、APIなどのプログラミング言語やコンポーネントに重点を置いている。Codecademyの前提は単にレッスンを習うだけではなく、書いたコード、成果物へのフィードバックをプラットフォーム上で他のユーザーから受けることができる教室のような環境を再現していることだ。

人々がコードを習うのを支援しているオンライン・プラットフォームはCodecademyだけではない。同じ分野で展開するサービスは他にもLinkedInが所有するLynda.com、Thinkfuk、Code.org、Coursera、Udacity、Pluralsight、Khan Academy、Treehouseなどがある。

さらに教育が専業の企業からAmazonのような企業まで、オンライン学習ツールを開発している企業は数多く存在する。これらの企業もCodecademyが解決することを目指すスキルギャップの解消を目的にしたコンテンツを開発準備中だ。

競争の渦中にいるCodecademyのユニークな売りの1つは無料で使用できることだ。ある人たちは、Codecademyの教育では十分には学べず、よりプログラミング学習に真剣な生徒は最終的には別のオンラインプラットフォームを見つけなければならないと指摘している。しかし、Codecademyは何か試してみたいという好奇心のために入門の敷居を低くしているのだ(深い専門性やレベルの高いスキルを学ぶ教育コンテンツにおいては、マネタイズが確実にできるだろうとSims氏も述べている)。

端的に言えば、多くの競合が出てきたということは、コンピューター・プログラミングの機能を学ぶことへの関心の高まりにCodecademyが乗ってきたことを示している。

「2011年にCodecademyを設立して以来、21世紀の教育の鍵となる科目としてコード学習への関心が爆発的に高まっている様を見てきました」とCodecademyのZach Sims氏は声明において語った。「数百万の月間ユーザー、米国外に50%以上のユーザーがいるので、Naspersとパートナーを結ぶことは最高の機会です。幅広い学習コースを多くの言語で、新たな地域に提供していくことでビジネスを拡大させ、誰もが経済的な機会にアクセスできる教育を創造していきます」。

ラウンドの一環として、Naspers VenturesのCEOのLarry Illg氏がCodecademyの取締役に就任した。

「従来の大学は、テクノロジーを学ぶ生徒や雇用者の要求の変化に対応するには不十分な備えしかありません。Codecademyは市場において重要で埋める価値のあるギャップを解消させることができるでしょう」とLarry Illg氏は語った。「Codecademyの製品の質とチームの実行力で海外展開を進め、今後の拡大に向け、確固たる地位を築くことができています」。

Naspersは米国の教育界に長いこと関わってきた。NaspersのCodecademyへの投資は米国のEdTech(教育テクノロジー)において3回目の投資となる。Naspersの投資先にはBrainlyやUdemyが含まれる。

今年度初頭のSims氏へのインタビューはこちら

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。