現在AdobeのアプリはApp Storeに30種類以上ある。しかし、ひとつ欠けているものがある。Bloombergによると、同社はiPad用にフルバージョンのPhotoShopを開発しているらしい。うなずける理由はたくさんある。
第一に、今やiPadは複雑な画像編集プログラムを動かせるだけのパワーを持っている。つい2日前、SerifはiPad用のAffinity Designerを発売した。Adobe Illustratorの競合品だ。さらにベンチマークを見れば、iPad Proが多くの中堅クラスのノートPCより強力であることがわかる。
第二に、複数のデバイスにまたがるファイルやプロジェクトの同期が簡単になり、多くの人々が複数端末を使うようになった。職場のパソコンと個人のノートPCで同じMicrosoft Wordファイルを使うようになってからもう何年にもなる。おそらく、DropboxやOneDriveを使って同じページを開いている人もいるだろう。これは巨大なメディアライブラリーについても同じことが言える。
数年前まで、人は環境に応じてデバイスを使い分けていた。仕事用のノートPC、ソファで使うiPad、ゲーム用の大きなデスクトップパソコン等々。しかしそれは過去の姿であり、今は文字通りあらゆるデバイスで仕事をしている。
そしてPhotoshopに関して言えば、、Apple PencilとタッチスクリーンのおかげでiPadはとりわけ便利なデバイスだ。写真を見るために大きな画面が必要なときもあるだろうし、Apple Pencilを使って写真を操作したいこともあるだろう。
iPadでPhotoshopを使えるようになれば、複数デバイス間をシームレスに行き来しながら同じファイルを編集できる。イラストレーターたちはこの利便性を生かしてWacomのタブレットを捨てられるかもしれない。
AppleがMac Proワークフローチームを同じ理由で結成したことを覚えているだろうか。Final Cut Pro XやLogic Pro XがiMacやiPadで動くようになれば、プロジェクトとのかかわり方が変わるかもしれない。Appleはタッチスクリーン付きのMacを作ることはないかもしれないが、人の指やApple Pencilを使ってクリエイティブなプロジェクトに参加する方法が用意されることは間違いない。
そして、PhotoshopをiPadに載せることはビジネスモデルの観点からも意味がある。定期購読モデルに移行したAdobeにとって、ユーザーを固定することは何よりも重要だ。ユーザーの使うどのプラットフォームでもお気に入りのアプリが動いていれば、Adobeアプリに費やす時間は増え、Creative Cloudに毎月支払い続けることになる。
このプロジェクトは高度なエンジニアリングの成果だ。しかし、Adobeが1つのアプリを複数プラットフォームで開発するのは初めてではない。
Bloombergによると、iPad版Photoshopの詳細は10月のAdobe Macカンファレンスで聞くことができるかもしれない。AdobeのCreative Cloudプロダクト最高責任者、Scott Belskyは、これらの新バージョンをできるだけ早く公開すべく努力していると語った。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )