【抄訳】
Amazonが、機械学習を利用して患者の記録から重要なデータを取り出し、病院などのヘルスケアプロバイダーや研究者たちの費用節約や治療方針の決定、臨床試験(治験)の管理などを助ける新しいサービスを立ち上げた。AmazonがAmazon Comprehend Medicalとよぶこのサービスの発表は、火曜日(米国時間11/27)に、The Wall Street Journalがそれを報じた直後に行われた。
このクラウドソフトウェアはテキスト分析と機械学習を組み合わせて、処方や注記、面談の音声、検査の結果、などから成る患者の記録を読む。これらの記録がデジタイズされてComprehend Medicalにアップロードされると、診断や処置、薬の処方、そして症状などに関する情報が拾い上げられてまとめられる。
〔参考記事: Amazon Comprehendとは…「Amazon Comprehendでは機械学習の技術とは無縁なデベロッパーでも専門用語で自然言語処理モデルを訓練できる」〕
Amazonの最近のヘルスケアへの進出としては、オンラインの処方箋サービスPillPackを10億ドル近くで買収したことや、Amazonの社員のヘルスケアを改善するための、Berkshire HathawayとJP Morgan Chaseとのジョイントベンチャーが挙げられる。これらにより同社は、最近ますますヘルスケアにフォーカスしているそのほかの大手テクノロジー企業の仲間入りをしている。
たとえば今年初めにAppleは、iPhoneのユーザーが自分の病院の医療記録を見られるための機能をiPhone上に導入した。またGoogleは最近、大手医療法人Geisingerの前CEODavid Feinbergを雇用して、検索やGoogle Brain, Google Fit, Nestなど多岐にわたるGoogleの各事業部門が抱えるヘルスケア企画の、一元化と全体的な指揮を彼に委ねた。
今日の発表声明の中でAmazonはこう言っている: “これまでは、この情報を見つけるために長時間の手作業を要し、しかもそのために、高度な技能を持つ医療エキスパートによるデータ入力や、情報を自動的に取り出すためにデベロッパーのチームがカスタムのコードとルールを書く必要があった”。そして同社の主張によるとComprehend Medicalは、患者の記録の中に“医療の状態、解剖学的専門用語、医療検査の詳細、治療内容、処置”、などを正確に見つける。一方、患者は、このサービスを利用して自分の治療のさまざまな側面を管理し、通院のスケジュールや薬の処方、保険の適用の判断などを明確に把握できる。
【後略】
●データは暗号化され、どこにも保存・利用されないのでプライバシーの問題はない。
●すでにいくつかの大手製薬企業や医学研究所がComprehend Medicalを試験的に導入し、とくに治験の適正な実施に必要な膨大な量のデータ作業の省力化や迅速化などに貢献している。“これまで数時間を要したデータ作業が数秒で終わる”そうである。