Andy Rubinは 去る3月、Android事業部の責任者の地位を去り、その地位は当時Chrome担当副社長だったSundar Pichaiが兼任することになった。その後Rubinが何をしているか謎だったが、New York Timesがスクープしたところによると、Googleの中でも非常に実験的な部門で、ロボットとその現実世界への応用に革命を起こす計画に取り組んでいるという。
この情報が今明らかにされたのは偶然ではあるまい。Amazonが「自動操縦ヘリで商品を配達」でサンクスギビングデイ明けのニュースのトップを独り占めしたことにGoogleも対抗することにしたのだろう。New York Timesのインタビューに対してRubinは「ロボット工学分野でのGoogleの目的は、生産と流通市場」と述べた。
この分野でGoogleの努力にはUPSも研究しているイノベーション、つまり中央配送センターから地方拠点への運送を自動化することで物流システムの大幅な効率化を図ることが含まれているだろう。
Rubinが事業を指揮するようになってからGoogleはアメリカと日本で密かに多数のロボティックス企業を買収している。これにはIndustrialPerception(コンピュータによる視覚的認識)、 Schaft、 Meka、Redwood Robotics(いずれもヒューマノイド系ロボット)、Bot& Dolly(カメラ移動ロボット、映画Gravityの撮影で使用)、 Autofuss(広告とデザイン)、Holomni(ロボットの車輪のデザインハウス)などが含まれる。この中にはヒューマノイドロボット関連企業が多いのに気づく。つまりGoogleは人間にはまったく似ていない既存の産業用ロボットを改良するのではなく、まったく新しいスキームでロボット開発を行っているのだろう。
ある場所から別の場所への物の移動をロボットを使って自動化できれば生産性の向上に大きく寄与できる。アジアのOEM企業からアメリカの家庭への物流システムにはロボットが応用できる場面が多数あるだろう。
RubinがAndroidの責任者の地位を去ったとき、Androidの関係者にメモを送り、「私は本質的に起業家だ。これからはGoogle内で新しいプロジェクトに取り組む」と書いている。今回RubinはNew York Timesのインタビューで「ロボティックスには10年前から関心を抱いていた。しかし最近になってやっと自分が考えているような大規模なスケールの利用がビジネスとして意味のある段階になってきた」と語った。
Googleの自動走行車同様、ロボットもおそらくは遠大なプロジェクトだろうから、すぐに目に見える結果が出ることはあるまい。しかし多数の企業を買収していることでも分かるとおり、すでに投資の規模は大きく、Googleのにとってきわめて真剣な事業だということは間違いない。一方、Amazonの配達ドローンでも証明されたように、ロボット事業は世間の注目を大いに集めるという効果もある。Googleが明日にも家事手伝いロボットを売り出すことはないだろうが、Rubinの秘密のロボット工場から何が出てくるか、特等席で見物したいものだ。
〔日本版〕Rubinが買収したとされる各社のうち、Schaftはニューヨーク・タイムズの記事によれば、東京大学情報理工学系研究科・情報システム工学研究室(JSK)からスピンアウトした株式会社Schaftのことと思われるが12/5朝現在、同社のサイトにはGoogleとの関連を示す情報はない。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)