数日中にFacebookはiPhoneとAndroidアプリ内でのチャット機能を打ち切り、世界中のユーザーにスタンドアローンのFacebook Messengerアプリの利用を要求することになる。Facebookはさる4月にヨーロッパのユーザーに対してMessengerアプリのダウンロードを求め始めていた。ただし、デスクトップ、モバイル・ウェブ、iPad、フィーチャーフォン、Windows Phone、Paperでは従来どおり、FacebookサイトないしメインのFacebookアプリ内からチャットができる。
これまでユーザーはスマートフォンのFacebookアプリのメッセージ・タブからチャットするか、Messengerアプリをダウンロードし、メインアプリのメッセージ・タブは単に通知用にして、Messengerアプリに切り替えて実際のチャットを行うか選ぶことができた。
しかし、数日中に、iPhoneとAndroidのユーザーは選択の自由を失う。Messengerをダウンロードするよう促す通知を何度か受け取った後で、メイン・アプリ内のチャットは機能を停止するはずだ。またFacebookはユーザーにこの変更を説明するメールを送っている。
上の写真のようなMessengerへの切り替えを告げる時計をかざしたラッコはかわいらしいが、一部のユーザーは不満を感じるだろう。
メディアの注目を集めることを嫌ってか、Facebookはこの変更について公式ブログに記事を掲載せずユーザーに直接通知するという方法を選んでいる。私の取材に対してFacebookは次のように回答してきた。
ここ数日の間、われわれはユーザーに対し「Facebookメッセージを送受するにはMessengerアプリをダウンロードすることが必要になる」と通知を続ける。この変更によって、われわれはメッセージの改良に関する努力をMessengerアプリ一つに絞ると同時に、複数のメッセージ・アプリが存在することによるユーザー体験の混乱に終止符を打つ。Messengerアプリはすでに月間で2億人のユーザーによって利用されている。
この変更の理由は論理的ではあるが、ユーザーのすべてが納得はしないだろう。2つのアプリをインストールしてして使いわけるのを嫌う人々もいるだろう。またユーザーが何をしていてもチャットヘッドがポップアップする方式では、他の作業をしながらチャットができたので、専用アプリを起動する新たな方式はかえって不便になったと感じるユーザーもいるだろう。
しかしFacebookによれば、専用のMessengerアプリを利用することによってユーザーの送受するグループメッセージ、写真、ビデオ、スタンプ、音声クリップの数はいずれも大きく上昇したという。つまり専用アプリのユーザー体験の方が快適だということになるのだろう。専用アプリはすでに2億人が利用して毎日120億通のメッセージがやりとりされているという。Facebookとしてメッセージを専用アプリに一本化することで開発努力を大いに効率化できる。、
下のビデオではMessengerのデザイナーが新方式の必要性を説明し、作動のデモを行っている。
実際Messengerアプリはメイン・アプリ内のメッセージタブより使いやすい。またここ数ヶ月で機能が大いに改良されている。最近、カメラで録画した動画や自撮り写真の共有機能やSnapchat風の写真やビデオを簡単にやりとりできるボタンを追加した。Foursquareが普及を試みているが評判のよくないチェックイン・アプリのSwarmとは違ってMessengerは安定した高機能のアプリに仕上がっている。
しばらくすればユーザーも新方式に慣れ、Messengerの使用を受け入れることになるかもしれない。 そうなればCEOのマーク・ザッカーバーグがすでに語っているように、Messengerを支払い手段にすることでマネタイズを図ることもできるだろう。
しかしやはり今回の変更は「Facebookのやり方は強引だ」という反発を招く可能性はある。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)