今日(米国時間8/8)、Googleは、クラウド・プラットフォーム・ブログでOrbiteraを買収したことを発表した。Orbiteraはエンタープライズ向けクラウド・ソフトウェアのオンライン・ストアを開発したスタートアップだ。この買収によってGoogleはAmazon AWS、 Salesforce、Microsoftheなどに対抗してクラウド上でエンタープライズ向けサービスを提供する能力が強化される。
買収の詳細は明らかにされていないが、この取引に近い筋がわれわれに明かしたところによると、金額は1億ドル以上だという。
Orbiteraの既存顧客を含むビジネスとテクノロジーだけでなく人材の獲得も買収の目的とみられる。CEOのMarcin Kurcは元AWSという経歴であり、Googleの発表によればOrbiteraではすでに6万以上のエンタープライズ・けソフトに利用されているという。この中にはAdobe、Oracle、Metalogixなどサードパーティーのクラウド・サービスを購入して自社のエンタープライズ向けソフトに組み込み再販売するベンダーが含まれている。
Googleは「Orbiteraの買収はGoogle Cloud Platformを利用しているソフトウェア・ベンダーに対するサポートを大きく改善するだけでなく、現在普及しつつあるマルチ・プラットフォームのクラウド環境においてカスタマーに複数のクラウドを利用することを助ける」とTechCrunchに対してコメントを送ってきた。
プレスリリースでKurcは「当面Googleはビジネスのすべての面で現状を維持する」と述べている。
Orbiteraによれば、現在事業の柱としているのはクラウド上でエンド・ツー・エンドのサービス環境を構築するためのクラウドソフトのパッケージとプロビジョニング、課金処理とコスト最適化、 マーケットプレイスとカタログ管理、トライアルと顧客獲得のリード管理という4つののプロダクトだという。
Googleのグローバル・テクノロジー・パートナーの責任者Nan Bodenは「将来を考えるとGoogleがOrbiteraのマルチ・プラットフォーム環境におけるプラットフォーム中立性を維持することが重要だ」と書いている。
Googleが検索エンジンという当初の単純な枠を大きく超えて巨大化するにつれ、他社との関係も「ある側面でライバルであると同時に別の側面ではパートナーである」ような複雑なものになっている。
Googleにとってこうした複雑な利害関係にたつ多数の企業を顧客としてオンライン・プラットフォームを提供するOrbiteraの買収に踏み切ったことを興味深い展開だ。同時にGoogleが買収後のOrbiteraの運営にあたってきわめて慎重な態度を取っていることもこうした面から考える必要があるだろう。
Googleとしてはクラウド上でエンタープライズ向けサービスを売買するプラットフォームを提供するとしても、そうしたプロダクトの最終的所有者はGoogl本体とは独立した組織であるということを顧客に再確認する必要があると考えているようだ。
もっともこれがGoogleの長期的方針なのかどうかは別問題だ。広告など他の分野ではGoogleは当初買収企業の中立性の維持を強調したが、後に方針を変更した例がある。しかしクラウド・サービスは今後の市場規模が巨大になることが予測されるので、中立性を維持することがGoogleにとって有利になりそうな分野だ。【略】
OrbiteraはFiras BushnaqとBrian Singerによって共同で創業された。2人の共同ファウンダーはこれ以前に複数のテクノロジー・スタートアップを創立、運営する際に直面した「ソフトウェアの販売、流通、運用をするうえで直面した数多くの困難」を解決したいと考えたのがOrbiteraの事業のアイディアを得たきっかけだったとしている。
同社はロサンゼルス郊外のウェスト・ハリウッドに本社を置き、Hiten Shah、Arjun Sethi、Double M Partners、Resolute.vcからこれまでに200万ドルのエンゼル資金を調達している。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)