OpenStackの専門企業Mirantisと、Linuxコンテナを軸とする分散化/クラスタ化OSを提供するCoreOSが今日(米国時間8/6)、両者のパートナーシップにより、前者のOpenStackディストリビューションとCoreOSのコンテナプラットホームTectonicを統合する、と発表した。これにより事実上、OpenStackとGoogleのコンテナ管理/スケジューリングツールKubernetesが統合されることになり、またそのサポートと管理を伴うプラットホームを、企業ユーザは利用できることになる。
企業の自前のクラウドプラットホームとなるOpenStackとコンテナとの相性は、はっきり言ってまだ未実証だが、OpenStack Foundationは、両者は天国で結婚した仲だと主張している。そのような見方に立てば、企業が従来からのVMと、Kubernetesなどとともにコンテナの両方を使っていくときに、OpenStackクラウドを統合エンジンと位置づけることができる。
OpenStack Foundationの事務局長Jonathan Bryceは、今日の発表声明の中でこう言っている: “OpenStackは今、VMやコンテナ、ベアメタルなどさまざまな技術分野において、オープンソースのクラウドプラットホームとして急速に普及が進んでいる。コントリビューターのCoreOSやMirantis、Googleなどがコミュニティを支援することによって、OpenStackを主軸とするまとまりの良い、オープンソースのクラウドソリューションが企業に提供され始めている”。
CoreOSのTectonicはオンプレミスとパブリッククラウドのどちらでも利用できるが、7月の後半にプレビューでローンチした。それは、KubernetesとCoreOSとDockerを組み合わせたコンテナインフラストラクチャを、商用レベルのサポートを伴うプラットホームとして提供するプロダクトだ。
CoreOSのCEO Alex Polviはこう語る: “つまりTectonicとMirantisのOpenStackを使うと、商用のコンテナ&クラウドプラットホームに最初からKubernetesのコンテナ管理構造があるわけだから、いわば企業は、Googleクラスのインフラストラクチャをその日から簡単に自分のものにできるのだ。Mirantisにはオープンソースのソフトウェアに対する深い理解があり、OpenStackを軸とする同社のオープンソースエコシステムへの貢献度の大きさは、右に並ぶものがない。だから企業がOpenStack上でKubernetesのベネフィットを体験できるためには、Mirantisとのパートナーシップがいちばん自然なのだ”。
企業がOpenStackの本格的な採用を開始するまで、数年を要しているが、しかしRed Hatで同社のIaaS(+OpenStackの商用提供)を担当しているTim Yeatonによると、今ではパイロットから本番稼働に移行する企業が徐々に増えているそうだ。
この、企業によるOpenStackの本格採用の動きと、そしてコンテナへの関心は、たまたま時期的に一致しているので、両者の合体に企業が関心を示すのも、また当然だ。OpenStackが提供するものは、クラウドと呼ばれるネット上の収容構造(いわば大きな風呂敷)だから、そこに何を入れ、何と何を統合しても、問題ない。だからOpenStackのディストリビューションであるMirantisにとって、コンテナ導入のために、自分で車輪を再発明することをせず、CoreOSのTectonicのようなコンテナプラットホームを統合するのが、つねにベストのプロダクトを求める顧客のためでもあるのだ。