TuneInのオンラインラジオサービスは非常にうまくいっている様子だ。月間利用者数は4000万を超えている。このTuneInが、軌道に乗っているオンラインラジオサービス以外に、音声ベースのソーシャルネットワーキングサービスを提供しようとしている。iTunes App Storeに登録されたTuneIn OpenMicで実現するものだ。利用者の「ストーリー、冗談話、レビューなど」をブロードキャストしたり、面白い話を友人とシェアしたりして利用する。
ソーシャルメッセージングサービスを頻繁に使っている人は、きっと興味をもつサービスなのではなかろうか。
App Storeでのレビューを見てみると、OpenMicは「他にはない全く新しいソーシャルネットワークを経験できる」、「非常に面白い」サービスなのだそうだ。
但し、この音声を使ったソーシャルネットワークというのが、全く新しいアイデアであるというわけではない。他にもSpreaker、Dubbler、Bubbly、Talkbitsなどといったサービスがある。また、Voxer、Whatsapp、さらにはFacebook Messangerなどのメッセージング用アプリケーションも、録音した音声をやりとりできるという意味では、この範疇に加えることができよう。
TuneInのOpenMicは「音声版Twitter」という新しい方向性を目指す意味と、熱心なPodcast利用者のための集客ツールとしての意味との双方を持つ(双方の中間)ものなのだろう。
現在のところは、このアプリケーションを利用できるのは大学の学生のみに限定されている。利用登録に.eduのメールアドレスが必要となっているのだ。
利用登録が完了すればプロフィールを書き込み、そして友だちを探してフォローして、いろいろな投稿を聞いてみてお気に入り登録をしておいたり、あるいはOpenMic上の友人たちと共有したりすることができるようになる。もちろん他の人の投稿にコメントしたり、あるいはもらったコメントにリプライするようなこともできる。音声を登録するには、アプリケーション画面の大きな赤い「Record」(録音)ボタンを押す。関連する写真があるようならば、添付することもできる。
iTunesに登録されているスクリーンショットを見れば、OpenMicがどういう使い方をされたがっているのかということがよくわかる。たとえばアメフトの試合の様子、パーティーでの一コマ、音楽、そしてもちろん、学生らしく宿題についてのことなども登録して欲しいと考えているようだ。TuneInによれば、このアプリケーションはまずスタンフォードで試験運用を行ったそうだ。それでスクリーンショットもスタンフォード関連のものが多い。
TuneInは今年初めに2500万ドルの新規資金調達を行っている。リードしたのはIVPで、前回出資しているSequoia Capital、Google Ventures、そしてGeneral Catalystも参加している。資金調達を行った2013年4月頃の発表によれば、番組聴取時間は10億時間を突破して、オンラインミュージックサイトとして、Pandoraに次ぐ二番手につけているとのことだった。扱っている局数はAM、FM、そしてインターネットラジオをあわせて7万局にものぼり、提供プラットフォームも200以上にもなるとのことだった。サービス提供国も230以上の国と地域にのぼるとしていた。以来局数はさらに増え、今では10万局に達しているようだ。
こうした数値から判断するに、TuneInはこれまでのビジネスから完全に乗り換えようとしているわけではないはずだ。サービスを「拡張」しようとする意図なのだろう。今のところOpenMicは試験的なプロダクトに過ぎないわけだが、人気を集めることになれば、新たな広告リーチチャネルを獲得することにもなる。すなわちモバイルを積極的に活用する、若い層に向けた広告を取りやすくなることだろう。ちなみにアプリケーションは無料でiTunesからダウンロードできる。但し、先にも述べた通り現在のところは利用登録に制限が設けられている。今後の展開を注目していきたい。
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(翻訳:Maeda, H)