Yahooが、モバイル向け自動消滅型メッセージングサービスのBlinkを買収したようだ。Snapchatが有名で、その他にも最近登場したFranklyや、Confide、あるいはWickrなど、競合となるサービスがひしめいている分野だ。買収の詳細については明らかにされていない。
Blinkは現在7人で運営されており、ファウンダーを含む全員がYahooに加わることとなっているらしい。
Blinkの開発を行ったのはMeh Labsで、元GoogleのKevin StephensおよびMichelle Norganにより設立された。元々は位置情報サービスのKismetを提供していた。SXSW 2012の頃にはHighlightなどとともに話題になっており、Banjoなども同種のサービスを提供しようとしているところだった。しかしKismetは充分な利用者を獲得するにいたらず、結局は別の人気ジャンルで再スタートを切ることとなったのだ。そのジャンルがモバイル向けのプライベートメッセージングの分野だ。
Blinkがリリースされたのは約1年前のことで、iPhone向けアプリケーションとしてリリースされた。現在のアプリケーションではメッセージ、写真、ビデオ、音声などを、個人ないし特定のグループ間で共有することができるようになっている。また有効時間をタイマーで設定できるようになっていて、すなわち送ったメッセージや写真などを、見始めてから何秒間表示するかを設定することができる。
今年になってAndroid版がリリースされたが、その時点でのダウンロード数は10万ほどで、利用者のうちの半数以上がアメリカ在住であった。アメリカ以外では中東での利用者が増加する傾向にあり、大きな成長が期待されていた。
Stephensもアラビア語をサポートするなどして、中東市場に注力していきたい旨を表明していた。またビジネス用途でも利用できるような「プロ版」の提供なども考えていたようだ。
しかしそうした予定についてはご破算ということになる。Blinkのサービスは数週間のうちにも消え去ることになるらしいのだ。すなわち、このBlinkの買収もサービスそれ自体を活用するというよりも、人材の方を目的としたものだということだ。そしてStephensのことだけを考えても、Yahooにとっては良い買収(人材獲得)であると言えるだろう。Boxeeでデバイスプロダクトパートナーシップ部門のディレクターを務め、あるいはGoogleおよびYouTubeでのPMの経験もあり、さらにAppleでもエンジニアとして働いていた。
Kismetを運営していた時代に、Meh Labsはシード資金としてTriple Point、NEA、AngelPad、およびShiva Rajaraman、Steph Hannon、Roham Gharegozlou、Ben Narasinなどのエンジェルから併せて100万ドルを調達していた。今回の買収により、投資家たちにはそれなりの見返りがある模様だ。但し、投資面に限っていえば「大成功」というわけでもないらしい。
尚、YahooのM&Aでは、買収の詳細についてあまり明らかにしてくれないのが最近の状況となっている。人材獲得のための企業買収を行うことについて非難されることも多く、また投資家たちもそうした買収戦略が有効に機能しているのかどうかを疑問に感じ始めているようなのだ。私たちの取材に対して、Blink側も詳細なデータを明かしてはくれなかった。
Blinkのサイトで公開された文章を掲載しておこう。
2014年5月13日付で、BlinkはYahooの傘下に入ることとなりました。私たちはメッセージングを、実際に会話するような自由さで利用できるようにと考えてBlinkの開発を行いました。こうした概念をYahooに持ち込み、その中でできる新しいことを考えていきたいと思っています。
どのようなプロダクトを提供できるかについて、まだ具体的なお話ができる段階ではありません。しかしこれからもぜひ、私たちBlinkチームの活躍に期待していただきたいと考えています。
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(翻訳:Maeda, H)