Facebook、グラフ検索の公開範囲を拡大、待ち行列登録の勧誘も

発表から5週間、Facebookは今日(米国時間2/21)「グラフ検索の現状」をメンロパーク本社で記者発表した。公開範囲は当初の10万ユーザーから「数十万」へと広がり、友達を早期利用の待ち行列に登録するよう誘うニュースフィード記事も表示されている。

今日の午前、私はFacebookが大量の行列待ちユーザーをグラフ検索に受け入れたことに気付いた。それがわかったのは、新しいユーザーが利用可能になるとFacebookが自動的にニュースフィード記事を公開するようになったからだ。例えば「Eric Eldonがたった今グラフ検索を使えるようになりました」という具合だ。これをクリックすればその人も早期利用リストに登録できる。Facebookはこれについて、待ち行列の登録者を増やすためのバイラル作戦だと私に言った。グラフ検索がクールな新機能なので自分にも使わせてくれと頼みたくなるに違いない、というストーリーだ。

Facebook Graph Search Viral Story

ユーザー数と公開状況の報告に加え、今日の「グラフ検索ホワイトボード解説」では、Facebookの主任エンジニア数人が登場し、人々がどのようにこの新しい内部検索エンジンを使用し、舞台裏はどう動いているかについて深く堀り下げた。

グラフ検索担当ディレクターのTom Stockyは、初期段階の使用パターンを見ると、人々はグラフ検索をFacebookと同じ目的で使っていると指摘した。つまり、友達と写真を見ることだ。「ただし第3位は〈場所〉」とStokcyは言った。地域店舗が勇気づけられる兆候だ。「興味」に関する検索クエリは少なかった。

Facebookを驚かせたのは、ユーザーが友達を探すやり方だった。多くの人たちが“photos of my ‘friends’”ではなく、”chums”、”besties”、”buddies”、”homies”、”peeps”など[いずれも「親友」を表わす俗語]を使って検索していた。これらの単語は当初グラフ検索を困らせたが、専門の自然言語チームがこうした類義語を認識するシステムを構築した。

Graph Search TV Done

次に、Facebookはグラフ検索のスケールアップに取り組んでいる。裏方システム(Unicornと呼ばれる)を強化してさらに多くのユーザー向けに公開すること、および外国語に対応して英語以外にも拡大することの両方だ。しかし、後者のためには各言語の文法や類義語を認識するために言語学者を雇う必要があるかもしれない。あるいは、サイト全体の翻訳と同じようにクラウドソーシングを使う方法を見つけるかもしれない。

同社は、「OR」検索を可能にするための文法問題にも取り組んでいる。現在は、”friends who Live in New York who Like Game Of Thrones and Downton Abbey”[ニューヨークに住んでいるGame Of Thronesとダウントン・アビーの好きな友達]を探すことはできるが、”Friends who live in New York who Like U2 or The Rolling Stones”[ニューヨークに住んでいるU2かローリングストーンズが好きな友達]を検索して一緒にロックコンサートに行く人を簡単に見つけることはできない。

しかし、グラフ検索が真の潜在力を見せるのは、検索結果をFacebookにしかできないやり方で並べ替えることだ。例えば、「TechCrunchで働いている人」を探すと、わが社の本当の従業員が全員表示されるが、ジョークや技術屋のふりのするために勤め先をTechCrunchにしている人々は出てこない。グラフ検索は賢明にも、TechCrunchで「働いている」人々は互いに友達であることを考慮している。本当の社員同志は友達になっていることが多いので、誰が本物で結果のトップに表示すべきなのかをシステムは知っているのだ。さらにFacebookは、プロフィールに検証済みの @techcrunch.comアドレスが入っていることも正統性を示す証の一つとして利用している。

Books Liked By Foudners

文書内の単語の重みを評価するTF-IDF法という古くからある方式が、Facebookで新たな使われ方として、グラフ検索結果の並べ替えに役立っている。グラフ検索で「ファウンダーに〈いいね!〉された本」を検索すると、たとえ最も多くの人が「いいね!」していたとしても、ダビンチ・コードや聖書が上位に来ることはない。代わりに、TI-IDF法のおかげで、一般集団と比較してファウンダーに特異な本が表示される。The Tipping Point[『急に売れ始めるにはワケがある 』]や Design For Hackersが上位に来るところにグラフ検索の賢さがうかがえる。

FacebookのMike Curtissは私に、TF-IDFについて「友達が〈いいね!〉したテレビ番組」を例にとって説明してくれた。「TF-IDFには微妙なバランスがある。これを使わなければ単なる人気番組の宣伝になってしまう。しかし、特定個人の好みに合わせてバイアスをかけることができれば、客観的に最も人気があるものとは別の結果を得られる。これが使えるのは有難い。良い指標になる。「いいね!」が最も多いものを見せたり、ある人にとって独特のものを見せることは可能だが、最も興味のある結果を提供するためには多くの場合バランスが重要だ」と彼は言った。

Facebookは、同社の持つソーシャルデータを活用して、事実上ユーザー一人ひとりのカスタム検索エンジンを作ろうとしている。さらに検索結果をTF-IDFで並べ替えることによって、Googleと異なるだけでなく、重なる部分ではよりよい結果を出す可能性も秘めている。

グラフ検索のしくみについて、確実な一次資料にあたりたければ、Tom Stockyと前Google社員で現在Facebookのグラフ検索担当ディレクター、Lars Rasmussenを私がインタビューしたビデオをご覧あれ。



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(翻訳:Nob Takahashi)

Google、Chrome OSノート、Chromebook Pixelを発表―Core i5、12.85インチ・タッチスクリーン、1TBのGoogle Driveつきで価格1299ドル、4月にLTE版も

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数週間前から噂になっていたGoogleのChromebookの新機種Chromebook Pixelが先ほど発表された

これまでのChromebookとは異なり、Pixelはクラウドのヘビーユーザーをターゲットにしたプレミアム・デバイスで、ハードウェアのスペックは強力だ。モニタは12.85インチ、2560×1700(435万ピクセル)、画面比率3:2、CPUはIntelCore i5、それに1TBのGoogle Driveストレージが3年間無料で利用できる。

またGoogleはVerizonと提携して近くLTE内蔵版を発表する。こちらは月100MBの接続とGoGoの機内WiFiサービスが12回分無料提供される。

Pixelの目玉はなんといっても239ppiの高密度スクリーンだ。 これはMacbook ProのRetinaディスプレイの220ppiをわずかだが上回る。Googleは「ノートパソコンで世界最高のピクセル密度を実現した」と誇らしげに語っている。

chromebook_pixel_specs

ベーシック版のWi-Fiモデルの価格はアメリカで1299ドル、イギリスで1049ポンドだ。PixelはすでにGoogle Play で購入可能になっている。また明日の朝にはアメリカでは一部のBest Buy、英国ではCurrys PC Worldの店頭にも並ぶ予定だ。LTE版は1449ドルでアメリカでは4月発売予定。Wi-Fi版はフラッシュドライブが32GBだが、LTE版は64GBに強化される。

GoogleはOEM先を明らかにしなかったが、台湾で組み立てられたと述べている。

今日、サンフランシスコで行われたプレスイベントでGoogleの副社長、Sundar Pichaiは「ハードウェアはすばらしいと思う。われわれはクラウドの住人であるようなパワーユーザー向けのデバイスを作りたかった。今やラウドにすべてを依存しているユーザーが存在する。そういう人たちにとってPixelは完璧なノートパソコンだ」と述べた。

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Pixelを最初に開いたユーザーがまず驚くのは画素密度の高さと同時に、横3、縦2という異例な画面比率だろう。Pichaiによれば、Googleはユーザーがこのデバイスをどのように利用するかを検討し、ウェブのコンテンツは依然として水平方向に表示されることが多いところから通常の16:10ではなく、3:2に決定したのだという。

タッチスクリーンには0.55mm厚のゴリラガラスが直接融着してある。Googleはこのスクリーンはスムーズに反応し画質も極めて高いとしている。私が実際に触ってみたところ誇張ではないとわかった。AppleのRetinaディスプレイに十分匹敵する。

Googleは「Pixelはハイエンド機だ」と強調した(その点は価格を見ただけでもわかる)。スクリーンの開閉は高級車のドアのようだし、アルミのボディーの角はスムーズに丸められて抱えたときの感触をよくしている。Googleはあらゆる面で機能の高度化を進めている。たとえば第3のマイクが装備されていて、周囲の雑音と同時にユーザー自身がキーボードを打つときに立てる音をキャンセルするようになっている(Pixelにはハングアウトその他のビデオチャット用に720pのウェブカムが装備されている)。

chromebook_pixel

しかしPichaiは「このデバイスはパワーユーザー向けだが、Chromebookのコンセプトは変わらない」と強調した。

またChromeブラウザ自体もタッチ操作のために最適化されている。たとえばメニューも指でクリックしやすいように大きくされている。Pichaiは「近いうちにあらゆるノートパソコンにタッチスクリーンが搭載されることになると思う」と述べた。

Macbook Airとの差を尋ねられて、Pichaiは「Pixelのスクリーンの方が解像度が高いうえにタッチスクリーンを備えている。Appleには、特に12インチ・クラスにはこうした機能を備えた製品はない」と述べた。

Pixelの価格に市場がどう反応するかは不明だが、Chromebookとして最高の出来栄えであることは間違いない。 ハードウェアはスペックも細部の仕上げも非常に高度だ。しかし1299ドルという価格では、Appleのノート、あるいはウルトラブックを選ぶユーザーも多いだろう。

以下にハードウェアのスペックを掲げておく。

Pixel_back_angle_whiteINPUTS
Gorilla® Glass multi-touch screen
Backlit Chrome keyboard
Fully clickable, etched-glass touchpad
HD Webcam

SCREEN
12.85″ display with a 3:2 aspect ratio
2560 x 1700, at 239 PPI
400 nit screen
178° extra-wide viewing angle
DIMENSIONS
297.7 x 224.6 x 16.2 mm
3.35lb / 1.52kg
PORTS
2 x USB 2.0
mini-display port
2-in-1 card reader supporting: SD, MMC

INNARDS
Intel® Core™ i5 processor (Dual Core 1.8GHz)
Intel® HD Graphics 4000 (Integrated)

4 GB DDR3 RAM

32 GB solid state drive (64 GB for LTE model)
AUDIO
Headphone/microphone jack
Built-in microphone array
Integrated DSP for noise cancellation
Powerful speakers tuned for clarity
INDUSTRIAL DESIGN
Active cooling with no visible vents
Machined from anodized aluminum
ENERGY STAR® certified
BATTERY
Up to 5 hours of active use (59 Wh battery)
NETWORK
Dual-band WiFi 802.11 a/b/g/n 2×2
Bluetooth® 3.0
GOODIES
One terabyte of Google Drive cloud storage, free for 3 years
12 free sessions of GoGo® Inflight Internet
100 MB/month for 2 years of mobile broadband from Verizon Wireless (LTE model). Carrier terms and conditions apply.

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

C#とVisual Studioを使ってiOS/Androidアプリを書けるIDE的サービスXamarinがバージョンアップ

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Xamarinは、C#でiOS、Android、OS X、Windowsなど向けにクロスプラットホームなアプリケーションを書ける、というサービスだが、このほどそのバージョン2.0をローンチした。重要機能のほとんどすべてがアップデートされたが、デベロッパにとって最大の関心はたぶん、プラグインにより、MicrosoftのVisual Studioを使ってiOSアプリをC#で書けるようになったことだろう。

また、これまではMonoという社名がブランドだったが、これからはすべてXamarinブランドになる。

Xamarin 2.0ではVisual Studioを使ってiOSアプリを書けるほか、無料のStarter Edition(初心者エディション)も提供される。

この新バージョンでは、Xamarin Studioという名のIDE(integrated development environment, 統合開発環境)が提供される。XamarinのCEO Nat Friedmanが今日の発表声明文の中で、このIDEは“iOSやAndroidのSDKをしっかり統合しているので、アプリを構築し、シミュレータと実機の上で試験とデバッグができる”、と述べている。Xamarin Studioには、デベロッパたちがIDEに一般的に望む機能、たとえばコード補完、現代的なデバッガ、IDEの中からアプリをパッケージして配布できる機能、などがある(iOSアプリをTestFlightで配布することも可能)。Android向けにはXamarin独自のUIビルダが提供され、iOSではAppleのXcode Interface Builderをデベロッパは使う。

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このほかに、Component Storeというものがあり、ここでデベロッパは、ユーザインタフェイスのコントロール類とか、各種のサードパーティクラウドサービスへの接続、チャートやグラフ、といったコンポーネントを互いに共有ないし売買できる。その一部は無料だが、有料のサービスに結びついているものも多い。ただし、購入や支払はXamarin上でできる。

新たに提供される無料の(やや制約のある)Starter Editionは、Xamarinのサービスを主に個人デベロッパ向けに提供する。制約は、完成したアプリのサイズ(コンパイル後のコードが最大32Kまで)と、ノンサポートであることだ。Xamarinの有料バージョンは、1プラットホームにつき年額299ドルから、企業向けには999ドルから、となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Firefoxの先行テスト版がWebRTC, H.264, MP3をデフォルトでサポート

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Firefoxブラウザのテスト専用の先進的バージョンFirefox Nightlyで、WebRTCがデフォルトでサポートされた。WebRTCは、プラグインなしでブラウザ自身がリアルタイムのUDP通信を行う規格で、とくにオーディオやビデオによる対話やコンテンツ配布に適している。これまではFirefox Nightlyのオプションとしてサポートされていたが、これがデフォルトになったことにより、数か月後には安定版(正規リリース版)の工程に組み入れられることが期待される。

MozillaのPaul RougetとRober Nymanが今日の発表声明の中で、“これは大きな前進である。これにより特殊な設定や構成を必要とせずにWebRTCを直接、Webブラウザの中で動かせるようになる”、と書いている。

おそらく今年いっぱい、WebRTCがにぎやかな話題になるだろう。主なブラウザがこぞって、その実装を開始しているからだ。Chromeはすでにバージョン23から安定版でWebRTCをサポートしており、最近Mozilla とGoogleは、二つのブラウザのユーザ同士がWebRTCを使って対話できる、というデモを公開した。

なお今回のFirefox Nightlyでは、H.264とMP3形式がサポートされる。ただしデコードはオペレーティングシステムが行い、今はWindowsの7以上のみでサポートされる。MacとLinuxのサポートは、目下開発中だ。

Mozillaが今週初めに発表したように、このNightlyリリースはWindows 8のMetroインタフェイスをサポートしている。

WebGLのデモも…

ちょっと関係のない話題だが、Mozillaは今日(米国時間2/20)、WebGLの すばらしいデモ発表したACTISKUのAnthony Liotが書いたこのデモは、Webブラウザもついにここまで来たか!と思わせる最先端のグラフィクスであり、しかもデベロッパはプラグインに依存せずにクロスプラットホームな体験をユーザに容易に提供できる。ただし現状では、Internet ExplorerがまだWebGLをサポートしていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

YouTube、GengoおよびTranslated.netと提携して、ビデオ字幕の有料翻訳依頼を便利に

先ほどYouTubeは、プロが翻訳した字幕を効率よくユーザーに提供するために、人気翻訳サービスのGengoおよびTranslated.netと提携したことを発表した。パブリッシャーはYouTubeのインターフェースを通じて、翻訳に必要な時間と料金の見積りを得られる。ただし発注、支払い手続きは翻訳サービスのウェブサイトで行う必要がある。Googleは今後提携サービスを追加していく予定だ。

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昨年9月、YouTubeはいくつかの機能を追加し、パブリッシャーがGoogle Translator Toolkitを使ってビデオを300種類以上の言語に翻訳できる一連のツールを提供した。今日(米国時間2/20)のニュースは、パブリッシャーが以前より多少有料翻訳を使いやすくなった、という意味にすぎない。今後も自分の翻訳をアップロードする(あるいはクラウドソースする)ことは可能だ。

もちろんGoogleは、自動的にいくつかの言語でビデオに字幕を付けており、今後も他の言語への翻訳に自社の機械翻訳アルゴリズムを積極的に使っていくだろう。しかし同社は、現時点では最高の翻訳ツールでも完璧にはほど遠いため、専門家による翻訳へのニーズがあることをはっきり認識している。

Googleは、GengoおよびTranslated.netに作業を依頼するパブリッシャーは、自分のビデオに標準キャプショントラックを用意しておく必要があると注意している。

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(翻訳:Nob Takahashi)

Twitter、Ads APIを公開―Adobe、Salesforceなどの有力サードパーティー5社が広告代理店に

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先ほど、Twitterは公式ブログの記事で広告APIを公開したことを発表した。ブランドはTwitterに直接申し込むのではなく、APIパートナー企業を通じてTwitter上での広告キャンペーンを実施することができる。

TechCrunchのIngrid Lunden記者が「Twitterは今年の第1四半期に広告APIを公開するもよう」という記事を書いたが、実際そのとおりになった。またIngridは「現在のTwitterの広告掲出インタフェースは一度に1本のプロモートツイートしか処理できない。これは大企業にとっては手間がかかり過ぎる。APIはこのプロセスを自動化して効率的にすると同時により洗練された広告ターゲットの選定も可能にするだろう」と述べた。

広告APIを利用する最初のパートナーはAdobe、Hootsuite、Salesforce、SHIFT、TBG Digitalの5社だ。Twitterによれば、この5社と1月からテストを続けてきたという。パートナーの数は今後かなり急速に増えるだろうと予想される。事実、ブログ記事にはパートナーに応募する方法が掲載されている。

Twitterによれば今回のプログラムは次のとおり。

Twitterで広告をしたい皆さんは、近くわれわれのAds APIパートナーを通じて新しい方式の広告キャンペーンを実施できるようになります。Twitter広告を既存の多チャンネル広告戦略の一環に組み込むことが可能になります。同時に重要なことは、AdsAPIの利用によってユーザーがもっとも興味をもつようなプロモートツイートが表示されます。このAPIはマーケティング担当者にとって適切な相手に適切なメッセージを届かせるための新たな強力な武器となるでしょう。しかも簡単に大規模化できます。

この記事は広告APIがTwitterのユーザー体験に配慮していることを示唆している。また記事の別の箇所で、「Twitterへの関心が高まるにつれ、われわれはより多くの広告ではなく、より良い広告の掲出に努力してきました」と述べている(もちろん一部のTwitterユーザーは広告関連の告知に対してはなんであれ常に疑いの目を向けるのだが)。今回の告知では広告APIがユーザー体験にどんな変化を与えるのか具体的には明らかにされていない。しかしAPIのそもそもの目的が広告掲出プロセスの効率化である以上、広告が増えることは間違いあるまい。「より良い広告」が実現するよう祈りたい。

われわれは昨年12月にTwitterの売上が3億5000万ドルを記録という記事を書いた。その中で「Twitterは数年以内に売上10億ドルの達成を期待している」と報じた(目標とする時期については諸説ある)。Ads APIはこの目標を達成する上での重要な一歩になりそうだ。

アップデート: 私はTBGのCEO、Simon MansellにAPIのテスト結果について取材することができた。MansellによればTBGは5社の広告クライアントについてすでにAPIを利用したか、今後利用を開始するという。その成果については「まだ初期の結果なのであまり断定的なことは言えない」としながらも、「あるクライアントの場合、所定の反応を得るための広告コストが61%も減少した。別のクライアントはTBGが提供するAPIを通じてスーパーボウル広告に4万ドルを投じた」と述べた。

Mansellはまた「Twitterの広告プラットフォームは将来大きく拡張されるものと期待している。今回リリースされたのはその第一歩で、広告掲出のプロセスの自動化によるTwitter広告の効率化だ。たとえばキーワードの成果をモニタして成績をすぐに判断できるようになる。今後、TBGではリアルタイムでダイナミックに広告キャンペーンが展開でき、即座にコストパフォマンスを判断できるようなツールを開発していく予定だ」と語った。

一方、AdobeもAPI利用の初期の結果を発表し、「あるクライアントのフォロワーを63%増やすことに成功した。またフォロワーあたりの広告コストを60%、約2ドル低減させた」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

初心者が挫折脱落しない楽しいピアノ学習サービスを目指すPlayground Sessions

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Khan AcademyやCourseraなどは、本格的な高等教育を民主化しようとしているが、趣味の世界にも従来の対面型の教育をソフトウェアによってディスラプトすべき(あるいはより強化すべき)分野は数知れず多い。

音楽、とりわけ初心者レベルの音楽も、その一つだ。クリエイティブが売りもののニューヨークの広告代理店BBHからスピンアウトしたPlayground Sessionsが今日(米国時間2/19)、新しいピアノの教え方をローンチした。ユーザはMIDIのキーボードを使い、ビデオで示されるお手本を見て(聴いて)演奏し、するとソフトウェアが即座に講評をフィードバックする。Webサービスではなくデスクトップアプリケーションなので、まずそれをPlayground SessionsのWebサイトからダウンロードする。タブレット用のアプリケーションも、もうすぐ出る。

私は20年以上ピアノを弾いているし、コンクールに出たこともあるが、でも私にピアノを教えたのは、とっても厳しいロシア人ピアノ教師だった(今ではそのことを、とてもありがたく思っている)。

ショパンの「革命」エチュードを自分一人で弾けるようになるのは難しいだろうが、Playground Sessionsの対象は本当の初心者レベルで、個人教師に1時間40〜60ドル以上も払うレベルではなく、バッハのパルティータではなくポップスを弾きたい人だ。

というと、だいたい想像つくと思う。まず、いくつかの初心者向けチュートリアルがあって、コード進行とか、音符や調号の意味など、音楽の基礎的な概念を学ぶ。チュートリアルをデザインしたのは、ニューヨーク大学の音楽教師Alex Nessだ。

それから対話的な楽譜とビデオによるレッスンで、ケイティ・ペリーの“ファイアーワーク”とか、デヴィッド・ゲッタの“ウィズアウト・ユー”などの弾き方を学ぶ。曲はiTunesみたいなストアで5ドル99セントぐらいで売っている。

協同ファウンダのChris Vanceの説では、“すぐに脱落する人が多いのは、楽しくないからだ。画一的に押しつけられる課題曲。それの、自分のへたくそなピアノ演奏を聴いても、モチベーションは上がらない。Playground Sessionsがやろうとしているのは、従来の教え方の欠点…自分の好きな曲を選べない、自分の持ち曲だという感覚を持てない…を克服することだ”。

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Playground Sessionsでは、ユーザが自分が弾きたい曲を選び、MIDIキーボードでそれを弾き、どれだけ正しく弾けたかというフィードバックをもらう。また、前回に比べてどれだけ上手になったか、も指摘してくれるし、現状で問題のある箇所も教えてくれる。

Playground Sessionsのレッスンは1年制と3か月制があり、それぞれ料金は月額9ドル99セントと14ドル99セントだ。

Playground Sessionsは、アドバイザーとしてクインシー・ジョーンズやDavid Sidesと契約している。前者はマイケル・ジャクソンやフランク・シナトラを手がけたこともある大物プロデューサー、後者は今YouTubeで人気の、ポップスをピアノで即興アレンジ〜演奏する名人だ*。〔*: YouTube上の彼のビデオにはPlayground Sessionsの広告が入る。〕

BBHのパイロット部門であるZAGやVance自身、それに匿名のエンジェルたちが同社に投資している。ZAGは、少なくとも100万ドルは出したらしい。エンジェルたちによるシードラウンドは、9月だった。

Playground Sessionsのようなピアノレッスンサービスはほかにもあるが、でも全体としてはとても若い市場だ。JoyTunesなんかはタブレットを使い、MIDIキーボードは不要だ。ただしタブレットタイプは、どっちかというと、子ども向けのようだ。ギターのお勉強サービスも、TechCrunch Disruptで決勝に残ったIncident、iPhoneをギター本体に接続するgTar、ギター教習アプリWildChords(会社はOvelin)など、いろいろとある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

料理材料及びレシピの宅配サービスを提供するBlue Apron、300万ドルの資金を追加調達

blue apron新しい料理を試してみたいと思っても、買い物や作り方を調べたりするのが面倒で諦めてしまうこともある。そういう面倒をなくして、料理を楽しむ手助けをするためのBlue Apron(ブルー・エプロン)というサービスが、シリーズAにて300万ドルの資金を調達したとアナウンスした。

サービスの内容はというと、1週間に最高3品目分の料理素材と作り方を、1品あたり9ドル99セントで送ってくるというものだ。昨年秋に紹介したときには、アメリカ北東部限定のサービスだった。現在はアメリカ国内の50%をカバー(西海岸地域はまだ対応していない)しており、毎週6000件をデリバリーしているのだそうだ。また、新たにベジタリアンオプションというのもできた。

共同ファウンダー兼CEOのMatt Salzbergによると、対応地域およびメニューバリエーションも増やしていく予定なのだそうだ(それほど遠くないタイミングで全米対応としたいとのこと)。ただ、こうしたサービスというのは規模を拡げるのがなかなか大変そうだ。食事サービスの面とロジスティクスサービスの両面を実現していく必要があるわけだ。Salzbergも、「もちろんいろいろなスキルが必要になってきます。サプライヤーとの協力関係も非常に大事です。利用者の方々に毎週新しいレシピを提供します。それを全米規模で行うというのは、かなりチャレンジングな仕事ではあります」と述べている。

しかし困難に立ち向かう価値は、間違いなくあるサービスだと思う。多忙な人びと(外食が好きでなかったり、忙しい中でもコンビニ弁当のようなものばかりを食べたくはない人)にとって、確かに役立つサービスだ。

出資したのはFirst Round Capital、Bessemer Venture Partners、Dave Tischなど。以前行ったシードラウンドでは90万ドルの資金を調達している。

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(翻訳:Maeda, H)

Firefox 19がHTML5だけによるPDFビューワを搭載, Androidバージョンはテーマをサポート

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長く待たされたが、やっとFirefoxブラウザの本体がPDFビューワを内蔵した。それまではベータだけだったが、今日(米国時間2/19)のFirefox 19安定版のローンチ(Windows, Mac, Linux)により、そのHTML5によるPDFビューワが一般的に可利用となる。このPDFビューワはPDF.jsと呼ばれる研究プロジェクトから生まれ、HTML5の標準APIを使ってブラウザが迅速に標準のPDFファイルを描出する。Foxit ReaderSumatra PDFなどのプラグインはもう要らない。

GoogleのChromeにはかなり前からPDFビューワがあり、それに比べるとMozillaはかなり時間がかかった。いずれにしてもそれは、Firefoxの機能として大歓迎であり、またその出来栄えも良い。ただしプラットホームによってはフォントのレンダリングがややおかしい場合もある。

Firefox 19に加わったそのほかの機能は、その多くがデベロッパ向けで、たとえばCSSの@page成分のサポートや、内蔵デバッガ(ブラウザやアドオンのデベロッパ向け)のアップデートなどだ。リリースノートの全文は、ここで読める。

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Android用Firefox 19

Android上のFirefoxに関してMozillaは、CPUの性能要件を600MHzへ下げた。Firefoxのチームによると、これにより、LG Optimus One、T-Mobile myTouch 3G slide、HTC Wildfire SとZTE R750などおよそ1500万あまりのデバイスで動くようになった。.

さらにまた、モバイルバージョンがテーマをサポートすることになったので、モバイルブラウザのカスタマイズがある程度できる。中国語は、繁体と簡体の両方をサポートするようになった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft、Outlook.comの正式運用を開始。アナウンス後12時間で150万件のアカウントが誕生

6087.SUMMARY_Outlook_300x166_for outlook.com.jpg-550x0Microsoftが、これまでベータ版で提供してきたOutlook.com正式公開を行った。膨大な数にのぼるHotmail利用者も、Outlook.comに順次移行させる。Microsoftによる移行作業は夏までに完了する見込みだとのこと(システム側による移行ではなく、自分で移行することも可能)。全体の移行が完了した時点でHotmailのインタフェースを終了させることになる。Microsoftのプロダクトマネジメント部門シニアディレクターであるDharmesh Mehtaによると、Outlook.comが公開されて最初の12時間で、150万件のアカウントが作成されたとのこと。

「正式版を公開した最初の12時間で、150万のアカウントが作成されました。Hotmail利用者の方々に正式オープンした旨の通知を行う前に、多くの人びとがOutlook.comを使い始めてくれたのです。Outlook.comをご覧になって、気に入って頂いたのだと思います。多くの方にOutlook.comの利用を開始してもらい、大変嬉しく思っています」とのことだ。

上の発言でもわかるように、言及されている150万というのは新規利用者と、あるいはGmailなどの他サービスからの乗り換え組、そしてHotmailからのアップグレード組を含む数字だ。正式公開のニュースが流れて直ちに多数の利用者がアカウントを開設するという動きを見せたそうだ。すなわち、Hotmailの利用者が本当に新しいインタフェースを好んで移行するのかどうかは、まだ今後の動きをみなければなんとも言えないことになる。ただ、多くの人が新しいメールサービスの登場に注目していることは間違いないと言えそうだ。

HotmailからOutlook.comへの移行についてはこちらの記事(英文)もご参照頂きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)

アカウントハイジャックは2011年ピーク時の0.3%に減少とGoogleは主張

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Googleが今朝(米国時間2/19)ポストしたやや自己満足的なアップデートによると、ハッカーたちがGoogleのユーザのアカウントに危害を加えることは、今や相当難しくなりつつあるそうだ。Googleは曰く、“このようなアカウントハイジャックは2011年にピークに達したが、今ではその発生件数を往時の0.3%にまで削減できている”。

Googleによると、スパムフィルタの性能向上とともにスパマーたちは2010年ごろ、そのバリヤーをくぐり抜ける唯一の方法はユーザが信用する本物のアカウントを使うことだ、と悟った。そしてそのためには、既存のアカウントをハックして、そこからスパムを送るのだ。しかし今ではGoogleが、ブラックマーケットで入手できるデータを使って、そのような犯行を絶えずチェックしている。その中にはたとえば、“一人の犯行者が、盗んだパスワードを使って毎日々々、数週間にもわたって、およそ100万のアカウントに侵入を試みる”、といった犯行もある。

“We’ve seen a single attacker using stolen passwords to attempt to break into a million different Google accounts every single day, for weeks at a time.”

[“一人の犯行者が、盗んだパスワードを使って毎日々々、数週間にもわたって、およそ100万のGoogleアカウントに侵入を試みるところを、われわれは見た。”]

Googleはこの問題の重大性に気づき、セキュリティ努力を強化して、今では誰かがシステムにログインするたびに“複雑なリスク分析”を実行している。一回のログインに際して調べる変数は120種以上、そしてその結果によっては、ユーザに電話番号などほかの情報を求めることがある。それらすべてに合格してやっと、ログインが認められる。

Googleはユーザに、2要素認証システムなどの付加的セキュリティ機能を利用することと、強力なパスワードを選ぶことをすすめている。しかしそれをしない人が圧倒的に多いから、今でも、アカウントハイジャックにやられやすいアカウントは少なからず存在するだろう。ビッグサイトGoogleにおいて、”0.3%”の実数は、相当大きいはずだ。

[2011のピーク時の0.3%に減少(2012/6月)]
Blogpost graph-1

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

2010 Disrupt勝者QwikiがiPhoneアプリをリリース, 最初の週で12万ダウンロード

qwiki iphone

2010年のTechCrunch Disruptで優勝したQwikiが、ほぼ1週間前にローンチしたiPhoneアプリは、最初の6日間で12万5000回ダウンロードされ、27000のQwikiが作られた。

サービスのQwikiと情報コンテンツのフォーマットとしてのQwiki、後者は、単純化して言うと、写真やビデオや音楽など多様な部品的マルチメディアコンテンツを、一本のビデオにまとめたものだ。同社はマルチメディア検索エンジンとしてスタートし、Disrupt優勝時にはユーザが指定したトピックを軸に、ビデオ主体のマルチメディアプレゼンテーションを作るサービスだった。しかしその後、情報を消費するサービスから、パーソナルなストーリー作り*へとサービスのタイプを変えた。〔*: “自分の記憶の中にある雑多なものすべてを一本のムービーにまとめる”…マルチメディアビデオ統合を、同社はこう表現している。〕

先週CEOのDoug Imbruceがメールで語ったところによると、12月に非公開ベータでローンチした新バージョンのQwikiは、“このテクノロジプラットホームの構築に費やしたこれまでの年月の究極の成果”だ。また昨年春には、ニュースをパブリッシュするプラットホームをQwikiのエクステンションとしてリリースした。“今のQwikiは、ぼくの義妹にとってABC…幼児がおぼえたばかりの文字…が強力であるように強力だ”。

すでに企業が、Qwikiの試用を開始している。Qwikiの広報がぼくに言ったところによると、中でも有名な企業は、WeAreBigBeat(レコード会社Big Beat)、Lucky Magazine、Smith Hotelsなどで、それぞれのフォロワー数は1000から1500だ(Qwiki自身は3210)。

QwikiのiPhoneアプリはまだスタートしたばかりだが、このダウンロード数から見ると、その将来はかなりのものだろう。Appleもこのアプリを影ながら支援していて、ローンチ直後にはApp Storeでよく目立つように紹介された。Qwikiのダウンロードはここで。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

TwitterはTwitter Cardテクノロジーを利用した新しいマーケティング・ツールをテスト中

twitter advertising card

Twitterはダイレクト・マーケティングで見込顧客を獲得する新しい広告ツールをテスト中だ。

Twitterのスモール・ビジネス・ガイドをPRするこのツイートが新しい広告ユニットのサンプルだ。詳細表示窓にサムネール画像だけでなく、Twitterのユーザーがログインしている場合、“Getit now”(今すぐ入手) というボタンも表示される。ユーザーがこのボタンをクリックすると、電話番号やメールアドレスを尋ねられることなく「Twitterの広告部門が連絡します」というメッセージを受け取る。そこで広告主にとって興味がありそうなアカウントのリストが購入できるということのようだ。

Twitterによると、この機能はツイートに写真、画像、ビデオなどのマルチメディア情報をエンベッドするTwitter Cardsテクノロジーを利用したものだという。この広告ツールは現在まだテスト中だ。今後内容も大きく変わる変わるかもしれないし、ついに陽の目を見ない可能性さえある。しかし広告主にとっては相当に魅力的なプロダクトだろうと思われる。新しい広告方式は、広告キャンペーンの成果の測定に関して、従来のリツイートや自社サイトのトップページへのクリックスルーなどより意味のある新しい方法を広告主に提供するものだ。

もちろんソーシャル・ターゲティング広告の常で、ユーザーの一部からは不満が出るだろうが、少なくともこのサンプルのツイートは私にはさほど目障りには感じられなかった。

私はTwitterに詳細を問い合わせ中だ。回答があればアップデートする。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

きゃりーぱみゅぱみゅ、ハングアウトのライブチャットの希望者を募集中―GoogleがA-Popスター週間を開催

Kyary Pamyu Pamyu

Googleは今日(米国時間2/18)、来る3月8日からA-ポップ・スター・ウィークを開催すると発表した。このイベントはGoogle+のハングアウト上でC-、J-、K-ポップのスター歌手(それぞれ中国、日本、韓国を表す。念のため)がファンとチャットするというもの。

登場するのは、きゃりーぱみゅぱみゅ、 2PMflumpoolワン・リーホン(王力宏)などだ。現在、 参加スターはYouTubeビデオでイベントを告知し、質問を募集している。イベントの日程はYouTubeに新設された Asian Pop Channelに掲載されている。またミュージックビデオ20本と新曲も紹介されている。

質問はGoogle+に投稿すること。イベントが近づいた時点でハッシュタグが発表される予定。それぞれのAポップスターは熱烈なファン5人を選んでHangoutでライブビデオチャットを行う。

GoogleはハングアウトをSkypeその他のビデオチャットの対抗馬とすべく、さまざまなセレブリティを動員した一連のイベントを実施中だ。 先週はオバマ大統領が一般教書演説の後、Google+で数人のブロガーによる共同インタビューに40分にわたって答えた。また1月には迷言という点ではユーモアニュースサイトのOnionによるパロディーのRedditセッションほど笑わせるものではなかったが、 バイデン副大統領が一般公開ハングアウトに登場して物議をかもした。エンタテインメント系ではスティーブン・スピルバーグ、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットヴィンス・ヴォーン、オーエン・ウィルソンも出演している。

A-ポップスター・ウィークのスケジュールは以下のとおり。

3/8 Shinee (K-Pop)

3/9 ワン・リーホン(王力宏) (C-Pop)

3/10 Super Junior (K-Pop)

3/11 きゃりーぱみゅぱみゅ (J-Pop)

3/12 flumpool (J-Pop)

3/13 2PM (K-Pop)

3/14 Mayday (C-Pop)

きゃりーぱみゅぱみゅの写真は本人の公式Google+アカウントから

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

ますます好調のAmazon。目指すのは「帝国」ではなく「世界」

amazon hidden empire編集部注本稿寄稿者のJohn Geraciはイノベーション・エージェンシーのfaberNovelのマーケティング部門を率いている。企業向けに事業創設のためのコンサルティングサービスを提供している。Twitterアカウントは@johngeraci

2年前、faberNovelから「Amazon.com: The Hidden Empire」という資料をリリースしている。ひとつのスタートアップとして始まったサービスが、17年間でいかにして世界を代表するEコマースサイトになったのかを示したものだ。資料は多くの人に見ていただき、そして多くの議論を巻き起こした。

資料のタイトルを「Hidden Empire」としたのは、当時の段階でAmazonはまだ「誰もが認める巨人」というわけではなかったからだ。もちろん大勢の人が書籍を購入するのにAmazonを利用していた。しかし2011年当時、IT業界の「巨人」といえばApple、Google、そしてFacebookを指すものだったのだ。「巨人」たちはビジョナリー・カンパニーとして君臨していた。Amazonは当時、まだ「本および小物」の店という存在に過ぎなかった。

2年のうちに状況は大きく変化した。

資料をリリースしてからも、Amazonは進化を続けて、常に話題の中心として成長を続けてきた。ライバルとしての小売店群を徹底的に蹴散らしてきた。そのような状況をうけ、faberNovelは「Amazon.com: The Hidden Empire」の改訂版をリリースした。最新の動向をまとめてあり、きっとお読みになる方のお役に立つものと思う。以下に、2013年版のハイライトを記しておこう。

  • Kindleが大成功となった。低価格デバイスを広く提供することで、Appleに対する挑戦者としての地位も獲得した。
  • 当日配送やピックアップ・ロッカーサービスの実現により、他の小売サイトなどのみではなく、地域の小売店舗とも直接的競合関係に入った。
  • Amazon SupplyによりB2B分野にも進出している。その他でも企業ユーザーの獲得に動いていて、どうやら成功しつつあるようだ。
  • Amazonは常に、新しい、そして影響度の高いビジネスモデルを開発し続けている。たとえば生徒に対する教科書レンタルサービスなども手がけて、将来の可能性を探り続けている。
  • Amazonは、あらゆるものを(anything)、どこにでも(anywhere)、そしていつでも(anytime)提供できるようになりつつある。
  • Bezosはこれからのスティーブ・ジョブズとなるのだろうか。外見的魅力で言えばジョブズが上だろう(申し訳ない)。しかしビジョナリーとしての存在感は増しつつあると思う。

ビジネスを展開するにあたって、Amazonとどのような位置関係を築くべきだろうか。あらゆる場所にAmazonありという時代になりつつある。ぜひ、私たちの資料もご覧頂き、ご意見をお聞かせ願えれば幸いだ。

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(翻訳:Maeda, H)

フィリピン発の簡易サイトビルダーInfinite.ly, 途上国市場を目指す

infinite.ly logo

モバイル、HTML5、といった新しい動向とともに、このところ、アプリやサイトの制作を簡易化し大衆化するツールがまた続々と登場している。今回ご紹介するフィリピンのInfinite.lyも、その一翼だ。

同社はWix.comなどと同じく、今からHTMLなどを勉強するのは面倒、という人たちに、ドラッグ&ドロップによる簡易なWebサイト制作方法を提供する。

ユーザはまず、提供されているテンプレートの中から気に入ったのを選び、それをカスタマイズしていく。そして完成したら、通常バージョンとモバイルバージョンを同時にパブリッシュできる。Facebookの統合も可能だが、その機能は別のタブにしなければならない。私はモバイルで試してみたが、工程全体がとても迅速で円滑だ。

ドメイン登録サービスと提携しているので、ユーザはこのツールの中から自分のドメインをサインアップできる。

Infinite.ly screenshot

ライバルのWixは昨年の10月に、サードパーティのデベロッパ向けにSDKの提供を開始した。つまりサードパーティデベロッパの力を借りて、Wixの内容を一層充実させようという腹だ。そのときWixにはすでに、2500万のユーザがいた。

Infinite.lyのファウンダLuis Buenaventuraは、Wixのような強敵は多いけど、フィリピンなど途上国はまだこれからだ、と言う。今後はフィリピンの大手銀行に口座を開き、彼らと提携して中小企業の顧客を紹介してもらう戦略を考えている。

Infinite.lyのチームは正社員が4名、フィリピンの投資家Winston Damarilloからの50万ドルのシード資金により、2010年に創業した。Damarilloはロサンゼルスのクラウドインフラ企業Morphlabsと、フィリピンのソフトウェア開発企業Existのオーナーでもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WebKitの独占状態の是非

icon-goldOperaが自前のレンダリングエンジンの開発を停止し、オープンソースのWebKitエンジンを採用することにしたというニュースは各所から大いに注目を集めた。WebKitはGoogleのAndroid向けブラウザでも、またAppleのiOS向けブラウザにも採用されている。すなわちモバイル環境においては、既に事実上の標準の地位を獲得している。そしてさらにその触手をデスクトップ環境にも伸ばしつつあるところだ。既にChromeは、Tridentを採用しているMicrosoftのInternet Explorerや、MozillaのGeckoを採用しているFirefoxと比べてかなりのリードを獲得している。こうした状況の中で、頭に浮かぶ疑問がある。各社が独自のエンジンを開発して、競い合う環境の方が良いのか、それともWebKitを標準として各社に採用してもらう方向が望ましいものなのだろうか。

WebKitはオープンソースのプロジェクトであるので、誰でも開発に参加することができる。Google、Apple、Mozilla、Microsoft、Opera、あるいはブラウザ関連のさまざまな企業が参加しているので、標準的に採用される技術を即座に実装することができる。レンダリングエンジンが統一されることで、開発者の苦労は大いに低減されることとなる。レンダリングエンジンの違いによる細々とした表示スタイルの違いに頭を悩ませないで済むようになるわけだ。

Hacker Newsのスレッドにも多くのコメントが寄せられている。WebKitの開発に集中することで、多くのイノベーションが生み出されるのであれば、WebKit独占の状態は開発者にとっても利用者にとっても良いものとなる可能性があるという論調もみてとれる。

こうした独占に向けた流れに抵抗する筆頭はMozillaだ。これまで独自のGeckoエンジンおよび、その後継となるServoに多大なリソースを割いてきた。Mozilla CTOのBrendan Eich曰く、Mozillaの存在意義をかけて独占には抗っていくつもりだとのこと。また、MozillaエンジニアのSteve Finkは、モバイルかデスクトップかを問わず、WebKit独占を許してしまえばイノベーションが阻害され、少数企業によるプラットフォーム独占を惹起してしまうと述べている。そのような状況になれば、結局は各社利益を追求する迷惑な混乱に支配されてしまうことになるとも述べている。

しかしWebKitはオープンソースであるので、もし開発が滞ったりあるいは特定のステークホルダーが開発を政治的理由によって妨害するようなことがあれば、即時に開発の道筋を分岐させることができるので、独占による悪影響などはないと考える人もいる。

From Google's Chrome Launch Comic Book

但し、ウェブの世界ではこれまでにも「独占の弊害」を経験したことがある。IE5やIE6の時代(Netscapeが舞台を去り、そしてIEは6のリリースが2001年で、IE7が登場したのは2006年だった)には、完全に「停滞」状況になっていた。そうした状況の中、2004年あたりからはFirefoxがスタートし、そしてWebKitをベースとしたGoogleのChromeも2008年に登場してきたのだった。Chromeのミッションはレンダリングエンジンの標準化を試み、そしてJavaScriptの高速化を行うということだった。独占を崩す存在が登場してきたことにより、ウェブプラットフォームは現在のような応用環境に進化したのだとも言えるだろう。

「ウェブ」が今後戦っていく相手は?

Operaは、「独占状態は良くない」と主張しつつ、その言葉とは正反対にも見える道を歩むことになった。Operaもそれなりのシェアを獲得しているにも関わらず、「多くの開発者たちがWebKitのみをターゲットに開発をしているという現状があります」と述べ「先頭に立って独自の道を追求していくことにメリットは少ないと判断しました」とのこと。

Operaの選択した方向は興味深いものだ。結局のところ、ウェブ技術は各社のレンダリングエンジンの違いで競っていくのではないと判断したわけだ。今後の競合相手はネイティブアプリケーションであると判断したわけだ。Operaは「閉鎖的な“アプリケーション”に対抗して、オープンなウェブ技術を推し進めていくつもりだ」とのこと。その戦いを効率的・効果的に進めていくためにWebKitの採用を決めたということだ。

開発者と利用者の着眼点の違い

理想を言えば、さまざまなベンダーが「標準」に則った開発を行って、レンダリングエンジンの違いによる差異などを意識しないで済むというのが良いのだろう。同じコードは同じように表示されるべきだろう。しかし、「標準」を意識しつつも実装により細かな違いがあり、同じような表示を実現するなどということはできなかった。

但し、たいていの利用者はレンダリング方式の違いによるウェブページやウェブアプリケーションの見え方にはほとんど意識を払わなかった。利用者は利用可能な機能(ブックマーク、プラグイン、タブなど)によってブラウザを選択していただけなのだ。そうした機能の多寡や使い勝手によって、利用者はブラウザを切り替えてきたのだ(もちろんあまりに速度が遅いものなどは排除されることになる)。

Mozillaは、魅力的な機能を提供していくためには、ブラウザ全体を自ら手がけていく必要があると述べている。今やWebKitに対する唯一の対抗勢力と言っても良い存在になったMozilla陣営は、自らの言葉を証明するために、利用者にとって真に魅力的な機能を提供していく必要がある。

個人的には、「標準」に基づいた競合がある方がイノベーションサイクルも早まると考えている。ウェブ技術というのは、まだひとつのエンジンに集約してしまうような枯れた技術ではないと思うのだ。レンダリングエンジンが複数存在すれば、余計な作業も増えるだろうし、迷惑に感じられることすらあるかもしれない。しかし将来的にきっと実を結ぶ、「若い時の苦労」になると思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H)

4月30日のPosterous閉鎖を前に、Tumlbrへ記事を移行するJustMigrateがサービス開始

JustMigrate logoPosterousが4月30日に閉鎖されてしまうのを受けて、Posterousへの投稿をライバル関係にあったTumblrに移行するサービスが公開された。

サービスの名前はJustMigrateで、Posterousがブログにてサービスの停止をアナウンスした、まさにその日にアナウンスされた。利用にあたってはPosterousのURLを入力し、そしてTumblrでオーソライズを行う。それで準備は完了だ。複数のTumblrブログを運営している場合は、メインのブログでアクセス許可を行うと、どのブログにインポートするのかを選択するページが表示されるようにもなっている。

Posterousの記事が100件までなら無料で移行できる。250件までの記事を移行する場合は10ドルだ。そして500記事を移行したい場合には25ドルという価格設定になっている。但しTumlbrのAPIでは、1日に250本までの記事ないし75枚までの写真しか投稿することができないようになっているので、記事/写真本数が多数ある場合には複数日に渡って移行するように、JustMigrate側で調整されるようだ。

サービスを構築したのはインドの5人組からなる3Crumbsだ。これまではモバイルショッピング用のアプリケーションなどを作っている。共同ファウンダーのSiddarth Menon曰く、ハッカソンの最中にPosterousの移行ツールを作ろうというアイデアが出てきたのだとのこと。3Crumbsは自己資金により運営されている。今回の移行ツールで多少の売り上げをあげて、本業のショッピングアプリケーションの方に資源を回したいと考えているのだそうだ。

ちなみに、サービスがアナウンスされてから1日もたたない段階で、150件のブログから移行申し込みがあったのだとのこと。Menonによると、前New York Timesのデザインディレクター兼Mixelの共同クリエーターであるKhoi VinhもPosterousにブログを持っていて、こちらは既に移行されたそうだ。

JustMigrateは、サービスについての情報が広まるにつれて、移行申し込みが増えてくるだろうと予測している。ちなみにPosterousは2011年の段階で1230万件のブログを運営しているとアナウンスしている。そのほとんどは個人運用によるものだ。

今回のサービスインのアナウンスは、これ以上ないほどにタイムリーなものだと言えるだろう。昨年3月にTwitterによる買収を発表した際、PosterousのファウンダーであるSachi Agarwalは、サービス終了の際には前もって利用者に通知するとしていた。また、その際にはTumblrやWordpressへの移行ツールも用意するとしていた。

実際のところ、Posterousは以後、移行ツールなどについてのアナウンスを行なっていない。12月になって、記事をひとつのZipファイルにまとめてダウンロードすることができるようにしたのみだ。移行ツールが用意されないことに不満の声は高まっていた。そもそもPosterousが多くの利用者を獲得したのはTumblr、Wordpress、Bloggerなどのブログから記事を移行するツールをリリースしてのことだったのに、いざ自分が閉鎖するときになるとなんの対応もしてくれないに等しいことになってしまったのだ。

但し、Posterousの最新ブログ記事には、WordpressやSquarespaceがインポート用のツールを用意しているとは書いてある。Posterousがいよいよシャットダウンする前になら、こうしたツールを使うことも考えられるだろう。

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(翻訳:Maeda, H)

Yahoo! JapanとGREEが共同でスマホ向けソーシャルゲームの新会社を設立


ヤフーとグリーが新たにスマートフォン向けソーシャルゲームを開発する新会社「ジクシーズ(仮称)」を共同出資により設立することを発表した。この2社は昨年11月に包括提携を締結し、相互にスマートフォンユーザーの成長を支援しあってきた。ヤフーのポータルサイトからGREEへの誘導をしてトラフィックを増やす変わりに、GREEはヤフーの機能を利用するなど、お互いの長所を活かし合っている。

新会社ではヤフーの集客力とグリーのソーシャルゲームのノウハウを活かしてゲームを開発することはもちろんだが、エンターテイメント領域において新しい価値を創造したいという。

実は今回発表された新会社については、包括提携を締結した際に言及していて、ゲームだけではなく映像コンテンツやキャラクタービジネスなども含めたエンターテイメント分野でも施策がありそうだ。

新会社の資本金は2億円で出資比率はグリーが51パーセント、ヤフーが49パーセントとなっており、代表取締役社長にはGREEの井坂友之氏が就任している。

また、新会社設立予定日は3月15日なので、それに合わせて新しいゲームの発表などもあるのかもしれない。

グリーといえば、最近は業績の伸びが横ばいで業績予想も上場後としては初の下方修正をしているし、通期営業減益となる見通しだ。これには有力タイトルの投入が遅れていることや、海外ゲームが想定以上に伸びていなかったことが原因のようだ。この決算発表ではグリーのコーポレート本部長の秋山仁氏は語っている。

この新しい取組みがグリーにとって良い方向へと作用するのか注目していきたい。

電子メールは死にません。本当はとても便利なものだから、電子メールは死にません

編集部注Dave Girouardは、将来に見込まれる収入の一部を担保に、大学卒業生たちに資金を提供するUpstartというスタートアップのファウンダー兼CEO。以前はGoogleのエンタープライズ部門CEOを務めていた。Twitterアカウントは@davegirouard

「みんなが使ってる電子メールは、混雑し過ぎているので誰も使わない」(ヨギ・ベラ迷言集より)

日曜日のニューヨーク・タイムズに、煽りのような記事が載っていた。電子メールは機能不全に陥っていて、既に過去の遺物のような存在になっているというような記事だ。「いろいろなコミュニケーション手段が登場して、ソーシャルネットワークなども普及して、今や電子メールは何光年も時代遅れのものになっている」などと言う人も多く、今回のニューヨーク・タイムズの記事も同様のことを主張するものだ。

keyboardchairしかしそれは本当のことなのだろうか。真の問題は電子メールにあるのではなくて、キーボードと椅子の間のところ(PEBKAC:図を参照)にあるのではなかろうか。

もちろんメールシステムに改善の余地がないなどと言っているわけではない(Gmailの動作がもう少し軽ければ良いのにと思う人は多いに違いない)。そして、確かにメール分野におけるイノベーションというのは、あまり目にしなくなってはいる。しかしSimple Mail Transfer Protocol(SMTP)は30年も前から十分に機能してきて、これからも有益なサービスとして利用され続けるのではないかと思うのだ。

「受信箱がいっぱいでやってられない」というのは、ねじくれた自慢(humblebrag)と管理不足によるものだとも感じている。メールが多すぎるなどというツイートは、プロムに誘われすぎて困ってる(「みんなが私のことを大好きなのね」とか「私がいなくちゃどうしようもないのね」)風の目立ちたがり屋意識からくるものだと感じられるのだ。すなわち、駄目なのはメールというシステムではなく、それを使う人にあるのではなかろうか。

また、電子メールというのは無駄な時間ばかりかかって、仕事の進捗を遅らせるものだという言説もある。エンジニアやデザイナー、アーティストや、あるいはライターなど、集中して作業を行わなければならない人にとっては、確かに事実なのだろう。集中しているときにメールを読むと、集中力が一気に失われてしまうことがある。しかし逆も言えるのではなかろうか。多くの人にとってメールとは仕事になくてはならないものなのではなかろうか。あるいは仕事の効率を大いに上げてくれるものでもあるように思う。

CEOがメール禁止令を出した。「80年代作戦」と名付けて挑戦してみたものの…

メールのチェックは1日に1度ないし2度までといったようなことがルールになれば、Upstartも立ちゆかなくなると思う。多くの人にとっては、実はメールとはコミュニケートして作業を完了させるための手段なのだ。以前はGoogleで働いていたが、メール禁止などという事態になれば、そちらでも仕事は完全に止まってしまったに違いない。

ときに、メールの使用を禁止するCEOがいたりもする。目的はとても生産的人間らしい電話連絡や会議を体験することだ。こうした試みは「80年代作戦」などとと呼ばれることになる。そして、確かにメールではなく、電話ないし直接顔を合わせて行った方が良い連絡事項があることを再認識するきっかけとはなる。しかし、電子メールを利用することによる効率性が失われてしまうことにもなる。メール禁止を1ヵ月も続ければ、たいていの場合は、会社自体が失われてしまうことになりかねない。

メールは、老人のように徐々に消え去っていくものだと言う人もいる。たとえばミレニアル世代の人には、メールを使うのはフォーマルな時や(ジェネレーションXが直筆の手紙を書くようなケースだ)あるいはAmazonからの通知を見るときだけだと言う人もいる。少々大げさかもしれないけれど、確かにそういう傾向はあるのだろう。伝達事項が少ないときや、即時に伝えたいことがあればテキストメッセージの方が便利だ。そうした連絡事項にメールを使わなくなることで、メールの受信箱の見通しだってよくなる。しかし、それでもメールというものが完全になくなってしまうわけではないのだ。

FacebookやTwitterだってあるじゃないかと言う人もいる。企業向けのソーシャルアプリケーションも数多く存在しており、それらはすなわち電子メールの「最後」を予言するものなのではないかというわけだ。しかし、ソーシャルアプリケーションがいくら普及した所で、それがすなわち電子メールの最後に繋がるわけではない。ソーシャルアプリケーションによるコンタクトというのは、通りすがりに声を掛けるといったスタイルにも似たものだ。うちの中に入っていくのではなく、笑顔を交換して、窓越しに手を振り、そして通り過ぎるというやり方だ。とくにニュースフィード上で行うコミュニケーションというのは、こうしたスタイルに似たものだろう。確かに、より直接的な、もっといえば電子メールにも似た(ときには電子メールの劣化版のような)ツールがソーシャルアプリケーションにも登場している。また、Facebookのおかげで電子メールアドレスをいちいちメモしておく必要はなくなった。但し、おかげでコミュニケーションの手段をひとつの営利企業に任せてしまうことになるというデメリットもある。電子メールには、やはり存在意義があり続けるのだと思う。

さらに、電子メールが「死んだ」ものであると主張する際の背景に存在するソーシャル系/位置情報系/モバイル系アプリケーションは、あらゆる通知を他ならぬ電子メールで送ってくる。これは、メールこそが信頼性のある通信手段であり、そこから、いろいろな行動が各種アプリケーションに広がっていくからだ。

電子メールが嫌いだという人にも聞いて欲しい。SMTPというプロトコルは1982年以来、さまざまな仕組みないしアプリケーションで利用されて、今日では「当たり前」とも受け取られている各種サービスを提供してきた。また、電子メールのメリットのひとつとして、SMTPが単一の企業のものではないこともあげておきたい。SMTPはSMS同様、非常にシンプルなコミュニケーション手段であり、事実上無限のイノベーションを引き起こし得るものなのだ。例えばメールのやり取りをスレッドで表示したいなどという欲求があれば対応できた。優先的インボックスのようなものも実現した。添付ファイルの添付し忘れなどということにも対応してきた。さらに、受信したいときが来るまでメールの受信を行わないというシンプルな機能を実現したMailboxは大人気となっている。きっとシンプルなメール関連サービスを公開すると、数多くのベンチャーキャピタリストからタームシートを受け取ることになるに違いない(もちろんオファーはメールでやってくるだろう)。

ニューヨーク・タイムズの記事などを見て不安に感じている人は、これから記す注意事項をまず守ってみていただきたい。きっと自分が時代遅れに電子メールを使っているわけではないことを実感してもらえると思う。

1. 自分でコントロールできる最新のメールサービスを利用すること。個人的にはGmailが好きだ。世の中の何億人もの人びとも、やはりGmailを気に入って利用しているようだ。

2. ソーシャルネットワークの通知機能はオフにしておくこと。無用な通知が大量にやってきて、いらいらしてしまうことが多くなる。ぜひとも設定を見なおしておくこと。

3. 本当に必要なのでなければ、メーリングリストの購読は行わないこと。誰も強制などしないはずだ。否、職場の上司の指示で購読しなければならないなどということはあるかもしれない。いずれにせよ可能な限り、自分のコントロール下においておくことだ。

4. 急を要しないメールについては受信箱外で管理しよう。ほぼ無限のディスク容量が利用できるようになり(ここ8年くらいの技術進歩の結果だ)、メールもすぐに処理せずにアーカイブしておけるようになった。後で、必要な時ないし暇なときに見返すという処理方法を選択できるようになっているのだ。

5. 上に書いた内容をじっくりと検討し、アドバイスにも従ってみたのに、それでも不必要なメールが大量に押し寄せてくると、不満を感じる人もいるだろう。そうした場合は仕方がない。誰もがコミュニケートしたいと感じるあなたは、大の人気者であり、その立場をどうこうしようというのは本稿の目的とは外れるものだ。

Upstart

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(翻訳:Maeda, H)