米政府がドローンメーカーDJIなど中国企業8社を投資ブラックリストに追加

米国政府は、イスラム教徒の少数民族ウイグル族の監視に関与した疑いがあるとして、ドローンメーカーDJIを含む中国企業8社を、米国からの投資を禁じるブラックリストに追加する方針だとFinancial Timesが報じた。これらの企業は、米国時間12月16日に財務局の「中国軍産複合体企業」リストに追加されると報じられており、米国市民はいかなる投資も禁止されることになる。

DJIはすでに米商務省のエンティティリスト(禁輸リスト)に登録されており、米国の企業はライセンスがない限り、同社に部品を販売することができない。当時、米国政府は同社が「不正な遺伝子収集や分析、ハイテクを駆使した監視によって、中国国内での広範な人権侵害を可能にした」企業に含まれていると述べていた。しかし、DJIのドローンはHuawei(ファーウェイ)などの製品とは異なり、米国での販売は禁止されていない。

今回の動きは、新疆ウイグル自治区でウイグル族やその他の少数民族を弾圧している中国を制裁しようとするJoe Biden(ジョー・バイデン)米国大統領の取り組みの一環である。その他、新疆ウイグル自治区で事業を行うクラウドコンピューティング企業や顔認識企業などがリストに加えられる予定だ。

米国時間12月14日、米国の上下両院は、企業が強制労働を使用していないことを証明しない限り、新疆からの輸入を禁止する法案を可決した。休日休会前の上院での投票が予定されている。

Xiaomi(シャオミ、小米科技)は2021年1月に同じ投資禁止対象リストに追加された。しかし、Xiaomiはこの決定に対して、同社のオーナーたちはいずれも中国軍と関係がなく、米国からの投資がなければ「即時かつ回復不能な損害」につながるとして、争った。2021年5月、米国政府は禁止令の解除に同意した。

2020年、DJIは消費者向けドローン市場の77%という大規模なシェアを獲得した。この2カ月間で、同社は大型センサードローン「Mavic 3」と、ジンバルとLiDARフォーカスシステムを内蔵したフルフレームのシネマカメラ「Ronin 4D」という2つの主要製品を発表した。1年前、DJIは「エンティティリストに載ることを正当化するようなことは何もしていない」「米国の顧客は引き続きDJI製品を普通に購入、使用できる」と述べていた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Matthew Burns / TechCrunch

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

米小売大手が中国企業の防犯カメラを店舗から撤去、人権侵害を指摘され

米国の大手小売企業であるHome Depot(ホーム・デポ)とBest Buy(ベスト・バイ)は、中国の防犯ビデオ技術メーカーであるLorex(ロレックス)とEzviz(イージービズ)の製品を、人権侵害との関連性を理由に店舗から撤去した。

Home Depotは「当社は最高水準の倫理的な調達を行うことを約束しており、この件が明るみに出たとき、直ちにLorex製品の販売を中止しました」と、TechCrunchに送られてきた声明の中で述べている。同社はまた、Ezviz社製品の販売も中止したことを広報担当者が認めた。Best Buyは、LorexおよびEzvizとの「関係を打ち切る」と発表した。

Lowe’s(ロウズ)はコメントを控えていたものの、TechCrunchや防犯ビデオ関連情報サイトのIPVMからの問い合わせを受け、Lorex社製品を店舗の棚から撤去した。

LorexはDahua Technology(浙江大華技術、ダーファ・テクノロジー)の子会社であり、EzvizはHikvision(ハイクビジョン)のセキュリティ機器ブランドだ。中国に本社を置くDahuaとHikvisionは、ウイグル族のイスラム教徒が多く住む新疆ウイグル自治区で、中国が継続的に行っている少数民族の弾圧に関係した企業として、2019年に米国政府の経済ブラックリストに追加された

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米国政府によると、中国はウイグル人を監視するための監視機器の供給を、HikvisionやDahuaなどの技術系企業に大きく依存しているという。Biden(バイデン)政権は、新疆での人権侵害を「ジェノサイド(大量虐殺)」と呼び、中国のビデオ監視機器メーカーが、「ウイグル人やカザフ人などのイスラム系少数民族に対する中国の弾圧運動、独断的な集団拘束、ハイテクを駆使した監視の実行において、人権侵害や虐待に関与している」と非難した。

国連の監視団によると、中国当局は近年、100万人以上のウイグル人を収容所に拘束しているという。中国はこの疑惑を長い間否定してきた。

しかし、この制裁措置はDahuaやHikvisionの子会社であるLorexやEzvizには及ばず、また、連邦政府以外には適用されないため、現在も一般的に消費者はこれらの技術製品を自由に購入することができる。

先週までLorexは、Home Depot、Best Buy、Lowe’s、Walmart(ウォルマート)、Costo(コストコ)を5つの国内正規販売店として自社ウェブサイトに掲載していた

コメントを求められたLorexの広報担当者は次のように答えた。「2018年の買収以来、Lorexは当社の親会社について、小売店パートナーと完全に透明性を保ってきました。また、FCC(米国連邦通信委員会)の規則制定案に関する質問への対応も含め、当社は様々な規制やコンプライアンスの問題に関して、これらの企業の代表者と定期的に連絡も取っています」。

Lorexは、同社製品が撤去された後のフォローアップメールには応じていない。Lorexは自社のウェブサイトから大手小売企業5社のロゴを削除したものの、依然としてWalmart社を除く4社を同社の販売店として掲載している。

WalmartとCostcoは、LorexとEzvizの製品を引き続き在庫しているが、コメントの要請には応じていない。

世界ウイグル会議の会長であるDolkun Isa(ドルクン・エイサ)氏は、米国政府による強制労働防止や中国企業への制裁などの「意味のある行動」を歓迎しつつも、「弾圧をさらに進めることを直接支援している米国企業がまだ存在することは受け入れられない」と述べている。

Hikvisionは、TechCrunchとIPVMのコメント要求に応じていない。

編集部注:この記事は、防犯ビデオ関連情報サイト「IPVM」との協力で取材したものとなる。

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画像クレジット:Lorex / YouTube
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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国当局が米国在住のウイグル人をハッキングしているとFBIが警告、一般にも捜査協力求める

FBIは、中国政府が直接訪問とデジタル戦略両方の手法を使って、米国在住のウイグル人イスラム教徒を脅迫し、口を封じ、嫌がらせ行為を行っていると警告を発している。

中国政府は、中国の新疆ウイグル自治区に住むウイグル人やその他の主にイスラム教徒の民族に対する扱いについて、長年にわたり人権侵害を指摘されてきた。国連の人権委員会によると、これまで100万人以上のウイグル人が収容所に拘留されており、その他多くのウイグル人が国家に支援されたサイバー攻撃によって標的にされ、ハッキングされているという。中国はこの主張を繰り返し否定している。

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ここ数カ月、中国政府は、米国をはじめとする西側民主主義諸国に拠点を置く海外の政府批判者を封じ込めるための活動をますます積極的に行っている。これらの取り組みが、FBIの目に留まった。

FBIは非機密の公報の中で、中国政府関係者が「transnational repression(トランスナショナルリプレッション、国境を越えた抑圧)」を行っていると警告している。これは、外国政府が国境を越えて、物理的、デジタル的な手段でディアスポラや亡命コミュニティのメンバーを脅したり、口止めすることを指す言葉だ。米国在住のウイグル人をはじめ、チベット人、法輪功修練者、台湾・香港の活動家など、中国人難民や反体制派の人々に中国政府への服従を強要しようとしているという。

「従わなかった場合の脅しとしては、米国在住者の家族や友人の中国国内での拘束、中国国内の資産の差し押さえ、継続的なデジタルおよび対面での嫌がらせ、中国政府による強制送還の試み、コンピュータのハッキングやデジタル攻撃、オンラインID乗っ取りなどが日常的に行われています」とFBIは警告している。

この公報は、ビデオサーベイランスニュースサイト「IPVM」が報じた。

FBIは、米国在住の個人がハラスメントに直面している4つの事例を取り上げた。2021年6月の1件では、中国政府は、米国政府が出資するニュースサービス「Radio Free Asia」で中国とウイグル人への抑圧について報道を続けたことへの報復として、米国在住のウイグル人ジャーナリスト6人の家族数十人を拘禁した。公報によると、2019年から2021年3月にかけて、中国当局はWeChat(ウィーチャット)を使って米国在住のウイグル人に電話したりメールを送り、ウイグル人の虐待について公に議論することを禁じたという。この人物の家族複数人はその後、新疆ウイグル自治区の収容所に拘束された。

「中国政府は、米国政府が2020年、新疆における中国の人権と民主主義の侵害に対抗するため、中国政府関係者を制裁し、公的・外交的なメッセージを増やしたにもかかわらず、このような活動を続けています」とFBIは述べている。「このような国境を越えた抑圧活動は、米国の法律や個人の権利を侵害するものです」とも。

FBIは、米国の法執行機関職員および一般市民に対し、中国政府による嫌がらせの疑いがある事件を報告するよう求めている。

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画像クレジット:Greg Baker / AFP / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックが中国ハッカーによる偽アカウントでの海外ウイグル人標的の不正行為を摘発

Facebook(フェイスブック)は米国時間3月24日水曜日、中国を拠点とするハッカー集団がFacebookを利用してウイグル人コミュニティを標的とした不正行為を行っていたことを明らかにし、その対策を発表した。

セキュリティ研究者の間で「Earth Empusa」「Evil Eye」「Poison Carp」などと呼ばれているこのグループは米国、トルコ、シリア、オーストラリア、カナダなどの海外在住者を含む約500人のウイグル人をFacebook上で標的にしていた。このハッカーたちはFacebook上の偽アカウントを使って、活動家やジャーナリストなどの共感を得られる人物を装い、ターゲットをFacebook外の危険なウェブサイトに誘導した。

Facebookのセキュリティチームとサイバー犯罪対策チームは2020年にこの活動を確認し、ハッカー集団への影響を最大化するために脅威を公開することを選択した。

Facebookは、同プラットフォームでのソーシャルエンジニアリングの取り組みは 「パズルの一部」 だとしているが、ハッキンググループの活動のほとんどはオンライン上で行われている。彼らは標的のデバイスにアクセスしようとする試みに焦点を当てており、その中には水飲み場型攻撃、祈り用アプリを提供する偽Androidアプリストア、ウイグル語のキーボードアプリのダウンロードが含まれる。

ダウンロードされたこれらの偽アプリはActionSpyとPluginPhantomという2種類のトロイの木馬型マルウェアを使用して、デバイスに感染した。iOSデバイスでは、Insomniaとして知られるマルウェアを利用した。

Facebookによれば、今回のハッカーがターゲットとしたユーザーの数は比較的少ないものだったが、少数のターゲットをうまく選択することで大きな影響を与えることができると強調している。Facebookのセキュリティポリシー責任者であるNathaniel Gleicher(ナサニエル・グレイチャー)氏は「監視やさまざまな二次的影響を想定することができます」と述べている。

ウイグル人はイスラム教徒が多数を占める少数民族で、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働収容所に入れられるなど、中国政府による残虐な弾圧に直面し続けている。

Facebookは、自社で判断する技術的指標がない場合はより広範なセキュリティコミュニティに判断を委ねると述べ、今回の調査結果を中国政府にリンクすることを避けた。研究者たちは、隣接するハッキングキャンペーンは中国政府がすでに国内で支配下に置いているコミュニティの監視を拡大しようとする取り組みだと考えている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook中国ウイグルハッキング

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter