ウォンテッドリーがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

Wantedlyがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

ビジネスSNS「Wantedly」運営のウォンテッドリーは8月18日、同SNSを利用するユーザーごとのプロフィールページを一新すると発表した。プロフィールを転職目的のオンライン版職務経歴書のような存在から1歩進め、キャリアを歩みつつ継続的に仕事の実績を更新・公開するためのビジネスポートフォリオとして利用できるようにする。一般公開に先立ちβ版を招待制で公開しており、プロフィールURLは先着順で取得可能としている。

今回β版を公開した新プロフィールでは、ユーザー体験、ユーザーインターフェースを一新。仕事の成果や携わったプロジェクトをSNS同様に気軽に投稿すると自動的に個人の仕事史として集約され、美しいレイアウトで公開する。すべてのビジネスパーソンが最新の仕事の実績や評判などの「資産」を集約、自己紹介などに活用することで自身の価値を高める場を産み出すとしている。

Wantedlyがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

また、プロフィールページは、ユーザーの好みに応じた任意のURLを取得可能。URLは先着順で設定されるユーザーIDにより決定されるため、好みのURLを取得するには、他ユーザーに先んじて設定する必要がある。

Wantedlyがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

新プロフィールβ版は招待制を採用しており、すでにβ版ユーザーからの招待、またはβ版のプロフィール画面から利用開始をリクエストすることで利用開始できる。なお、1ユーザーが招待できる人数は10名を上限としている。

ウォンテッドリーは、「シゴトでココロオドルひとをふやす」ために、働くすべての人が共感を通じて「であい」「つながり」「つながりを深める」ためのビジネスSNS「Wantedly」を提供。2012年2月のサービス公式リリースから現在まで、登録会社数3万5000社、個人ユーザー数250万人を突破し、国境を越えて「はたらくすべての人のインフラ」を作るとしている。

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ウォンテッドリーが社内報サービス「Internal Story」のベータ版を公開、コメント機能や社内ポータル機能を追加

人材採用や社内の情報共有などに活用できるビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは7月14日、社内報サービス「Internal Story」のベータ版をWantedlyの有料プラン利用企業に向けて無償公開した。

Internal Storyは、作成した記事やお知らせなどを自社メンバー限定で公開できるのが特徴。会社のビジョンやミッション、それに伴うバリューなどを社員に浸透させるために活用できるとしている。一般的なイントラネットでの社内の情報共有ページと異なるのは、従業員のアカウントを個別に作成することで双方向のコミュニケーションが生まれやすい環境を構築できる点だ。

またベータ版では、一部の企業に先行提供していたアルファ版の機能に加えて、記事に対してコメントを付けられるコメント機能や投稿を一覧できる社内ポータル機能が加わっている。

ウォンテッドリーでは現在、Internal Storyのほか、従業員特典サービス「Perk」、コンディション・マネジメントサービス「Pulse」などのサービスも展開している。Internal Storyについてはアルファ版のリリースから2カ月程度で機能強化したベータ版を投入するなど、主力事業の転職・採用事業に加えて従業員とのエンゲージメントを強化する事業に力を入れている。

ウォンテッドリーがSlack活用のチーム管理ツール「Pulse」のα版提供、お互い面倒な従業員サーベイが容易に

転職系のビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは6月2日、チームマネジメントツール「Pulse」のアルファ版の無償提供を開始したことを明らかにした。これは同社のエンゲージメント領域の新事業の第3弾で、Wantedlyの有料プランを利用している企業は追加料金なしで利用できる。ただし、利用には申し込みが必要。

Pulseは、Slack上のミニアプリ「Wantedly Slack App」上で提供される。テレワーク環境下で従業員への自社の価値観(バリュー)の周知や体調管理をSlack上で手軽に行えるのが特徴だ。なお同アプリにはPulseのほかにも、会社訪問アプリ「Wantedly Visit」のユーザーからの応募やメッセージ通知を受け取ることができる。もちろん、すべてのWantedly利用企業かこのミニアプリを利用できる。

Pulseで利用できる主な機能は以下の2つ。

コンディション管理機能「調子どう?」
週に一度、従業員に対して5段階で体調を回答する質問を送付。管理者はメンバーの体調の変化や傾向を管理画面で確認でき、調子のいい従業員、困っている従業員を可視化できるなど、チームの変化に気付くきっかけを得られる。

称賛機能「さすが!

自社の価値観を体現した人に対し、会社ごとに設定したハッシュタグをつけて本人宛てに称賛メッセージを送ると、送ったメッセージがバリュー名がついたチャネルに自動集約。称賛を送った数、送られた数などが管理画面上に集約され、バリューの浸透具合を可視化できる。

 

なおミニアプリでは、Slackの管理者権限とは別にPulseの管理者権限を付与しているため、Slackの管理者であってもPulseの管理者権限がないと他の従業員のデータは参照できないようになっている。

同社はPulseを開発した背景として「会社の大小に関わらず、バリューが浸透する会社・組織を増やしたい」とのこと。「Pulseは、仕事で日常的に使うチャットを通して、従業員の向かう方向性を束ね、自律して同じ価値に向かう強いチームを生み出します。スタートアップであれば、Pulseがバリューを考えるきっかけになり、育てていくことをサポートします。大企業であれば、バリューを浸透させるフックとなる仕掛けを提供できればと考えています」と語る。

同社はまた、エンゲージメント事業を進めるうえでWantedly利用企業の経営者や人事・採用担当者などにアンケートを実施し、177社から得られた回答を公開した。従業員エンゲージメントについて課題を感じると回答した企業は92%と非常に多く、中でもバリュー・ミッション浸透に課題を感じているこことがわかったそうだ。


また、組織課題の解決のために67%の企業がコミュニケーション機会の増加に取り組んでいるという。さらに、回答企業全体では92%がチャットツール利用しており、利用割合が多かったのはSlackで67%という結果になったという。

ウォンテッドリーは、Wantedlyのほかにも会社訪問アプリ「Wantedly Visit」、つながり管理アプリ 「Wantedly People」といったサービスを開発・提供。2020年3月以降はエンゲージメント領域の新事業を次々とリリースしており、従業員の挑戦を支援するための従業員特典サービス 「Wantedly Perk」、社内報サービス「Internal Story」が利用可能になっている。

Wantedly Perk
Wantedly導入企業向けに、従業員がさまざまなサービスを割引価格で利用できる。

Internal Story
会社のストーリーやメンバーに関する記事を外部へ発信できる「Feed」機能を拡張。自社メンバーのみを対象にした記事を作成・公開できる。

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Wantedlyに「社内報」機能が登場、記事を通じてメンバー間で思いや考えを共有可能に

Wantedlyに「社内報」機能が登場、記事を通じてメンバー間で思いや考えを共有可能に

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは4月21日、同サービスの有料プラン利用企業向けの新機能として、自社メンバーに限定して記事を公開できる「社内報」機能のα版をローンチした。

この機能は先月β版を公開した従業員特典サービス「Wantedly Perk」に続くエンゲージメント事業の第二弾という位置付け。Wantedlyの有料プラン利用企業は専用の登録フォームから利用申込み後、無料で利用可能だ。

以前からWantedlyではブログのような形で会社のストーリーやメンバーに関する記事を外部へ発信できる「Feed」機能を提供してきた。今回の社内報機能はこのFeedを拡張し、自社メンバーのみを対象にした記事を作成・公開できるようにしたものだ。

基本的な記事の作成方法はFeed機能と変わらない。Wantedlyの管理画面のメニューからフィードを選択し、社内報を選んでエディタから記事を作成する。公開された記事の見栄えなどもFeedと同様だ。

ウォンテッドリーによると社内報機能の構想自体は以前からあったものの、新型コロナウイルスの影響などを踏まえて予定を大幅に前倒しし、急ピッチで開発を進めてきたとのこと。背景にはリモートワークへの移行により、対面で考えを共有できる機会が減ったことがあるという。

同社では毎週金曜日に全社会議を開催し、経営陣や各部門のメンバーが事業のアップデートや会社の現状、今考えていることなどをメンバーにシェアする機会を設けてきた。現在もオンラインで実施はしているものの、通常時と比べるとメンバーの反応が見えづらかったり、伝えづらかったりする部分も感じていたそう。今回の新機能はそんな状況を改善するためのものでもある。

テキストを通じてメンバー間で思いや考えを気軽に共有できる仕組みを作ることで、リモート環境であってもチーム内のコミュニケーションを促進し、ビジョンやカルチャーの浸透をサポートするのが狙いだ。

今後の追加機能などはα版の反応も見ながら決めていく予定だが、今のところ「いいね!」以外のリアクションやコメントができる機能のほか、社内でのシェアが楽になるSlack連携などを検討しているそう。エンゲージメント事業第一弾のWantedly Perkもβ版リリースから1ヶ月でサービス掲載パートナーが50社を突破するなど出だしは好調とのことで、これらのサービスを通じて従業員の定着やさらなる活躍に向けた支援を強化していきたいという。

ウォンテッドリー、従業員が様々なサービスを割引価格で使える「Wantedly Perk」のベータ版を公開

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは3月17日、Wantedly導入企業向けの新サービスとして、従業員が様々なサービスを割引価格で利用できる「Wantedly Perk」のベータ版をローンチした。

ウォンテッドリーでは同サービスを皮切りに、企業内での従業員の定着や活躍をサポートすることを目的とした「エンゲージメント事業」を開始する。

Wantedly有料プラン活用中の企業は無料で利用可能

Wantedly PerkはWantedlyの有料プラン活用中の企業を対象にしたエンゲージメント領域の新事業だ。導入企業に所属する従業員およびその家族(LGBTや事実婚などのパートナーも含む)は、家事代行やオンライン英会話などのサービスをディスカウント価格で利用できる。

本日時点では下記の7サービスが対象。サービスを掲載するパートナーに関しては今後も拡充する計画だという。

Wantedlyを有料で使っている企業であればWantedly Perkのベータ版は人数制限なく無料で使えるため、追加コストなしで従業員を応援する仕組みを導入できる(2021年8月頃の提供開始を予定している正式版では従業員のアカウント数が一定人数を超える際に有料化も検討しているとのこと)。

またWantedly Perk上に自社サービスを掲載するパートナーにとっては、ユーザーとの新たな接点になりうる。ユーザーへのディスカウントは必要なものの無料でサービスを掲載でき、紹介文を通じて自分たちの思いなどをアピールすることも可能。220万人のWantedlyユーザーのうち約8割を占める20〜30代の働くミレニアル世代を中心に、若い層に対して自分たちのプロダクトを訴求したい企業には有力なチャネルになるかもしれない。

従業員に対する福利厚生サービスとしてはベネフィット・ステーションやリロクラブなどが存在するが、ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏によると福利厚生サービスというよりは「従業員の自己実現支援サービス」としてWantedly Perkを位置付けているそうだ。

掲載するサービスの数を重視するのではなく「挑戦を可能にする学習や装備」をテーマに該当するものを厳選。その上でテックカンパニーとしてユーザビリティの高さにもこだわったという。

「ゴールとしては『挑戦を可能にすることで成長実感を得られる』社会人をふやすのが狙いです。故に、挑戦を可能にするための学習、生産性向上、ウェルネスといった領域のサービスを厳選してキュレーションしており、今後もそこを中心に強化していきたいと考えています」(仲氏)

従業員の定着や活躍を支援する「エンゲージメント事業」本格化へ

ここ数年のHR市場の変化としては「エントリーから採用」という範囲に限定して捉えられていた採用領域が、リファラル採用の浸透やSNS・社員口コミサイトの普及、人手不足の影響などもあって「入社後の従業員の定着や活躍」まで拡張している。

それに伴い国内でも社員のエンゲージメントやモチベーションを可視化したり、従業員の満足度を向上させたりするためのプロダクトが増えてきた。

ウォンテッドリーとしてはこれまで「Wantedly Visit」を通じて企業の認知度獲得からエントリー、そして採用に至るまでのフェーズをカバーしてきたが、市場の変化なども踏まえてエンゲージメント領域に進出することは以前から検討していたそう。今回のプロダクトもCEOの仲氏とCTOの川崎禎紀氏が中心で企画し、そこにCDOの青山直樹氏らも加わる形で開発を進めてきたというように、同社にとってもエンゲージメント事業が重要なプロジェクトであることがわかる。

「これまで『シゴトでココロオドルひとをふやす』というビジョンに沿って3.4万社を超える企業の皆さんの支援をしてきましたが、採用はゴールではなく、ジョインしたメンバーが長期に渡って活躍し、『シゴトでココロオドル』のがゴールです。その領域でサービスを出したいと常々考えてきましたが、エンゲージメント領域の認知が広がって来た今が良いタイミングだと考えました」(仲氏)

ウォンテッドリーは「シゴトでココロオドル」状態を「没頭することにより成果を出し、成果によって継続的に成長を実感できる状態」として捉え、“没頭”のためには自立、共感、挑戦の3要素が必要だとしている。既存サービスであるWantedly Visitは共感を軸に人と企業の出会いを創出するものであり、今回のWantedly Perkは従業員の挑戦を後押しすることを目的としたものだ。

今後同社では既存事業に加えてWantedly Perkを含むエンゲージメント事業を推進していくことで、「はたらくすべての人のインフラ」を目指すという。

本日上場のウォンテッドリーに買い注文殺到、気配値上限の2300円のまま値段つかず

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは今日、東証マザーズに上場した。上場初日は買い注文が集中し値段がつかず、気配値段の上限である2300円の買い気配値のまま大引けを迎えた。

ウォンテッドリーといえば、同社のIPO内容を分析したブログ記事に対して米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA:Digital Millennium Copyright Act)申請を利用したことで、「悪評隠しのためにDMCA申請を悪用した」との批判が集中したことが記憶に新しい。

IPOが決まった直後の騒動とあって上場後の株価への影響を懸念する声もあったが、今日の株式市場を見る限り、その悪影響は少なかったようだ。もっとも、市場に売りだされる株数が少なく、投機家のあいだで人気化したことも買い注文が殺到した原因の1つとして考えられるだろう。

ネットだからこそ健全な議論を——ウォンテッドリー批判記事騒動について双方に聞いた

8月10日に東証マザーズ市場への上場承認が下りたばかりのウォンテッドリー。同社のIPOの内容についてはネット上では賛否両論あるようだが、そんなウォンテッドリーのIPOを分析したブログエントリーがGoogleの検索結果から消え、そのブログエントリーのURLをシェアしたツイートまでもが消えるという事態が起こった。一体どういうことか。

ブログがGoogleの検索結果から消えた

きっかけになったのは「Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察」というブログエントリー。バリュエーションやストックオプションの設計など、同社のIPOの内容を分析した上で、「ゴールを成し遂げられたのは素晴らしい」と評価しつつ、「これではココロオドラない(編集部注:ウォンテッドリーは「シゴトでココロオドルひとをふやす」をミッションにしている)」「やりがい搾取感が否めない」といった文言で批判して注目を集めていた。

だがそのブログエントリーが8月25日になってGoogleの検索結果から削除され、さらにそのブログエントリーのURLをシェアしていたTwitterの投稿の多くが非表示となった。ウォンテッドリーは当該のブログエントリー内に同社代表取締役社長の仲暁子氏の写真が掲載されていたため、米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA:Digital Millennium Copyright Act)に基づいて著作権侵害のコンテンツとして当該ブログをGoogle、Twitterに申請していたからだ。

これに対してネット上では「言論を封じるために、DMCAに基づいた削除を行ったのではないか」という声が上がった。以前、「同様の手段を用いて自社の悪評を消したのではないか」と激しく批判された別の会社もあった。上場が決まり社会の公器たるべき企業として果たして正しい対応だったのか、と問う声が大きい。

ウォンテッドリーはTechCrunchの取材に対して、「一部ブログ記事で利用されていた画像に関しまして、引用に当たるかどうかは様々な解釈がある上で、有識者に意見をいただきながら、社内で協議した結果、弊社に関する画像を無断で引用されているとの判断に至りました。昨日(8月24日)、弊社からGoogle、Twitterに削除申請を行い、現在に至っている次第です。多くの皆さまに、ご迷惑とご不安をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます」とコメント。TwitterでのURLのシェアについても、「リンクが問題ではなく、OGイメージ(OGPで表示される画像)が著作権侵害だった」としている。

一方で、著作権保護の観点以外に削除の意図はなかったのかという質問に対して、「他に意図はありません」と答えた。加えてウォンテッドリーでは8月25日午後、自社サイト上に「当社が行った著作権侵害による削除申請につきまして」と題した声明も発表している。

執筆者への事前連絡はなし

当該ブログを書いたINST代表取締役の石野幸助氏にも話を聞いた。石野氏は「まさか自分のブログがGoogleから削除されると思わなかった」と話した上で、今回の同社の対応について「(言論を封じるなどとは)特には何も思いませんでした。デリケートな時期なので対応に追われていたのかな、と」コメント。石野氏は以前にもウォンテッドリーに関するブログエントリーを書いており、その際にはウォンテッドリーからタイトル変更などの依頼があったそうだが、今回同社からの連絡はなかったという。

ただし問題となっている画像については「Twitterから『著作権侵害だよ』と言われていたので削除しました。Google検索で1位に出てきたものを使い、著作権のことは意識はしておりませんでした。著作権侵害と言われれば、その罰は受けないといけない」(石野氏)とのことだった。エントリーが攻撃的ではないかという意見もあるが、「全く恨みもありませんし、ただ単にIPOに対しての感想を書いたまで、という認識です」と説明した。

求められるのは健全な議論

当事者間の対話を含めて、この騒動の解決方法は他にあったと思う。騒動に関する対応を除いて言えば、ソーシャル時代の新しい人材サービスが黒字で上場することの意味は大きいとも思う。

この騒動についてはすでに各所で報じられ、ソーシャルメディアやブログでもさまざまな意見が挙がっているが、最後にマイナースタジオ代表取締役CEOの石田健氏がニュース解説サイト「The HEADLINE」に書いた内容を紹介したい。石田氏はイグジット経験のある起業家であり、過去にはメディア研究の個人ブログなども執筆していた。起業家とメディア、両側から騒動を分析した内容だと思ったからだ。

石田氏は、仲氏自身がWantedlyのプロフィールページで画像の無断利用をしているのではないかと指摘(編集注:現在は差し替えられている)。一方で、既存の画像を使って新たなコンテンツを生み出すこと自体はインターネットが生み出したミームの1つであるため、「さまざまな問題を個別具体的に考えていく必要がある」と語る。そういえば、今回問題になった画像は、TechCrunchもウォンテッドリーから提供を受けて使用している画像だった。

石田氏のエントリーは次のように締めくくられている。「今回ウォンテッドリー社がおこなったように、著作権やDMCAという仕組みを恣意的に解釈して、自社に都合の良い様に利用することは決して望ましいものではありません。未だ未整備で、議論の余地があるインターネットの著作権だからこそ健全な議論が求められますし、仕組みの悪用は決して認められるものではないでしょう」

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「Wantedly」がシンガポールで正式にサービス提供を開始、iOS対応の「Wantedly Visit」英語版もリリース

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ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは3月2日、シンガポールでの正式なサービス提供を開始。同時にWantedlyのスマートフォンアプリ「Wantedly Visit」について、iOS対応の英語版もリリースした。ウォンテッドリーは、2月にも名刺管理アプリ「Wantedly People」の海外版をリリースしたばかり。海外展開をさらに進めていく構えだ。

Wantedlyは、ビジネスパーソンの人脈づくりや、企業の社風紹介、企業訪問などにより人材とのマッチングを行うビジネスSNSとして、2012年2月に公式リリース。約5年で、日本国内で利用企業者数2万社、月間利用ユーザー数150万人が利用するサービスとなっている。ウォンテッドリーでは日本での実績を受け、アジアでの展開を2014年から計画。現地調査、サービスのα版提供を経て、2016年11月には子会社をシンガポールに設立していた。

また、2016年11月のブランド刷新にともないWantedly Visitに改名されたWantedlyのアプリは、Android版ではすでに英語への対応が行われており、国ごとに人材募集を検索する機能もあったが、今回のシンガポールでのサービス提供開始に合わせて、iOSでも英語版を提供、国別検索にも対応した。

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ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏は、同社初の海外進出の地にシンガポールを選んだ理由について、「地理的にも、人種的にも、文化的にも日本と近く、日本発のサービスが受け入れてもらいやすいことと、日本と同じく社会がある程度成熟していて、給与や福利厚生などの条件だけではなくて、仕事を通じた成長の実感や企業ミッションへの共感で企業を選ぶ人が多いことから、Wantedlyのサービスともフィットすると考えた」と説明する。

シンガポールでは、貿易産業省により、民間のR&D活動を促進する5カ年計画「2020年研究革新起業計画(Research, Innovation and Enterprise 2020:RIE2020)」を策定中で、スタートアップに加え大企業でも、先進的な技術に優れた若い人材を求める動きが活発になると考えられている。こうした動きも、シンガポール国内で人と企業をつなぐサービスの成長を後押しする、と仲氏は見ている。

「Wantedlyは、紙の履歴書をオンラインに置き換えただけの競合サービスと違い、ミッションやバリューで人と企業をつなげ、カジュアルに会社に遊びに行けるこれまでにないサービスで、日本以外でも受け入れられると思っている。また私自身、日本人でもあるが、アジア人としてのひとつのアイデンティティーを共有していると考えている。そのアジアで、日本と同じようにスタートアップ企業や、やりがいを求める若い人を支援するサービスを広げていきたい」(仲氏)

シンガポールでのサービス正式提供に先駆けて行われた、アルファ版を使ったマーケティングリサーチでは、約100社がアクティブに利用したという。今後ウォンテッドリーでは、これまで先行投資として運営されてきたシンガポールでの活動を本格化し、収益を上げて成長していくことを目標とする。また、仲氏によれば、アジア圏の他の地域への展開も計画していて、香港については3月後半ごろから、マーケティングリサーチを具体的に進める予定だ。

仲氏は最後に、スタートアップの海外進出について、こう語った。「日本のインターネット系スタートアップで、ワンプロダクトで海外に進出し、稼げている企業は、LINEなど一握りしかない。海外で受け入れられるサービスが作れるかどうかが、日本のスタートアップの課題だ。今回私たちは、小さい一歩だが英語圏でもあるシンガポールへオフィスを構えて、サービスの正式提供まで来ることができた。これから日本からも海外進出するスタートアップがどんどん現れてほしいし、その中でリーダーシップを取れる存在となりたい」(仲氏)

ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏

ウォンテッドリー代表取締役の仲暁子氏

ウォンテッドリーがブランドを刷新——高速・10枚同時スキャンの名刺管理アプリ「Wantedly People」も公開

ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏

ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏

ビジネスSNS「Wantedly」を手がけるウォンテッドリー。主力事業のWantedlyに加え、「人と人とのつながり」をテーマに、ビジネスメッセンジャーの「Sync」などを展開してきた同社が、また新たなサービスをリリースした。

同社は11月11日、名刺管理アプリ「Wantedly People」の提供を開始した。サービスの利用は無料。また同社は、この発表に併せて各サービスのリブランディングも実施。これまでWantedlyの名称で提供してきたビジネスSNSは「Wantedly Visit」に、メッセンジャーのSyncは「Wantedly Chat」に、それぞれ名称を変更した。

10枚まで同時取り込み可能、使うほど賢くなっていく名刺管理アプリ

Wantedly Peopleは人工知能搭載のOCRを利用した名刺管理アプリ。複数枚の名刺の情報を同時に読み取り、OCRを用いて即データ化してくれる。同時に読み取れる名刺の枚数は最大で10 枚。アプリを使ってつながった(名刺を交換した)相手とは電話を掛けたり、メールを送ることができる。

ビジネスSNSのWantedly Visitに登録しているユーザーの名刺であれば、即座に情報が反映。つながった相手がメッセンジャーのWantedly Chatを使っている場合、メッセンジャーでコンタクトを取ることができるという。


「既存の名刺管理アプリは労働集約型な印象が強く、アナログな感じがありました。そんな名刺管理アプリにテクノロジーの力を加えたら、どうなんるんだろうと。誰もが使いやすい名刺管理アプリを作ろうと思い、社内のエースを集めて、開発を進めていきました」(ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子氏) 。

社内でのプロジェクト名は「ヤシマ作戦」。もともとはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する、日本中の電力を集めて使徒(敵)を攻撃する作戦の名称だ。同社では日本中の電力ではなく、社内のエンジニアリソースをこのプロダクトに集中していたのだという。

名刺管理アプリを使うにあたって、最も気になるのは画像認識の精度。名刺の情報をきちんと読み取ってもらえなければ意味がない。Wantedly Peopleを開発する際、仲氏は画像認識にすごくこだわったそうだ。バズワードになりがちな「人工知能」だが、Wantedly Peopleでも人工知能を用いて画像の認識精度を高めている。

「画像の認識精度には特に力を入れました。オープンソースも使用していますが、基本的にはスクラッチ開発で内製しています。”使うほど賢くなっていく”と銘打っているように、撮った画像はクラウドに保存されるので、アプリを使うことで情報は蓄積されていきます。その結果、画像が多少ブレても認識してくれますし、名前もサジェストされるようになります」(仲氏)

複数枚の名刺を同時に認識する「Wantedly People」

複数枚の名刺を同時に認識する「Wantedly People」

「つながり」という資産を持ち続けることが武器になる

名刺管理アプリこれまで数多くのサービスが登場しているが、個人利用に関して言えば現在はSansanの「Eight(エイト)」の名前を聞くことも多くなってきた。なぜ、ウォンテッドリーはこのタイミングで名刺管理アプリをリリースする決断をしたのだろうか? その裏には「働き方の変化」があると仲氏は語る。

「働き方が多様化している今、資産のポータビリティが進んでいくと思っています。スキル、人脈、評判といった自分の資産を持ち歩き続けないと不利になっていく時代がやってくる。アメリカやイギリスはつながりをLinkedInなどでそのまま資産にすることができますが、日本は名刺交換をしたまま(デジタルで)管理しないまま……」

「個人的に既存の名刺管理アプリは使いづらいと思いましたし、何よりWantedlyには月間100万人ものユーザーがいて、国内最大のキャリアプロフィールが溜まっている。これを武器にレバレッジをかけていけば、既存の名刺管理アプリにも勝てる。Wantedly Peopleによって、つながりを資産に変えていくことが、これからの時代を生き抜くインフラになると思ったので、働き方が大きく変わってきているタイミングで開発しました」(仲氏)

今から約3年前、ウォンテッドリーがメールを解析し、自動で連絡帳を作成してくれる「CARD」という名刺管理アプリをリリースしたことを覚えているだろうか? 結果的にサービスが閉じることになったが、「”つながり”を獲りにいきたい」というウォンテッドリーの意思は今も昔も変わらない。

2月末までに100万ダウンロードを目指す

競合が多いレッドオーシャンの市場だが、ウォンテッドリーには勝算もある。将来的には“つながりを資産にする”ためのツールとして活用してもらたいた狙いがあるが、まずは「撮って、溜める」というエクスペリエンスを最大化していくことで、ユーザーが抱えている「面倒くさい」「使いづらい」といった悩みをテクノロジーの力で解決していきたいと考えている。また、ユーザーにとっては全ての機能が無料で使えるのも魅力的だという。

「スタートアップが名刺管理アプリだけでやっていくのは厳しいと思います。でもウォンテッドリーは他にもビジネスがあり、売上が立っているからこそ、新規事業にも投資できる。”人と人や人と企業をつなげ、そこで価値が生まれるコミュニケーションを創造する”ためのエコシステムを作ることがミッションなので、お金はとりません」(仲氏)

登録企業数が2万社を超えるなど、主力事業のWantedly Visitが好調だからこそ、課金目的ではなく、ユーザーの利便性のみを追求した名刺管理アプリが開発できたのだろう。

今後、ウォンテッドリーは2月末までにWantedly Peopleの100万ダウンロードを目指す。またCSVのインポート機能なども実装し、競合サービスからの乗り換えも促していく。