【コラム】「大量退職時代」はテックワーカーがキャリア代理人を利用するきっかけになるか?

大量退職時代(The Great Resignation、ザ・グレート・リジグネーション)は、テックワーカーに彼らの力を再認識させた。給料は上がり、人材需要は高まり、もしあなたがStripe(ストライプ)のエンジニアなら、アイデアのタネもないうちからプレ・シード会社を支援してくれる投資家が少なくとも3人いる。

しかし、求人熱の高まりは、進路決定をやさしくするわけでは決してない。もしあなたがShopify(ショッピファイ)のクリエイティブ・ディレクターか、Thrasio(スラシオ)のプロダクト責任者なら、オファーが殺到するだろう。

Free Agency(フリー・エージェンシー)は、2019年にSherveen Mashayekhi(シャービーン・マシャエキ)氏とAlex Rothberg(アレックス・ロスバーグ)氏が共同設立したスタートアップで、スタートアップ人材に対する熱望をビジネスの糧にしようとしている。テックワーカーも、ハリウッドスターやスポーツ選手が代理人から受けているのと同じようなサービスの恩恵に預かれるはずだ、とこのスタートアップは考えた。Free Agencyは、プロダクト、エンジニアリング、マーケティング、デザインなどの分野にわたり、中級から上級幹部レベルの候補者に代理人サービスを提供する。これまでに同社は、4700回の面接で候補者を支援し、交渉の結果獲得した提示給与総額は2億ドル(約229億4000万円)に上るとFree Agencyは推定している。

例えばFree Agencyが手がけたあるクライアントは、プロダクト担当シニアディレクターとして90万ドル(約1億円)の報酬を得て前職の総報酬から53%急増した。その過程で同社は、Snapchat(スナップチャット)、Coinbase(コインベース)、Lyft(リフト)などの企業と計21回の面接を設定し、クライアントは求職活動中1通の応募書類もメールも送る必要がなかった。

「当社のネットワークと仕事検索エンジンを使って、クライアントが寝ている間に面接を設定しました」とマシャエキ氏はメールに書いた。

このエージェントモデルは、ハリウッドでは比較的よく見かけるものだが、テック業界はサードパーティーを通じたキャリアマネージメントという発想をまだ受け入れていない。転職マーケットプレイスを設立し、Toptal(トプタル)やStella.ai(ステラ・エーアイ)などの求人会社で働いた経験を持つマシャエキ氏は、人材活用におけるテクノロジー利用は、伝統的に雇用者を喜ばすためのもので、従業員のためではないと話す。

「もしあなたが人材テック分野のエンタープライズ向けスタートアップのファウンダーなら、雇用者のところへ行って『私のツールを買ってください』と『マーケットプレイスにお金を払ってください』というほうが簡単です。なぜなら相手は問題の緊急性を理解しているから」と彼はいう。「雇用者は、そのお金が雇用と従業員維持の問題を解決することを理解していますが、候補者は歴史的にそういうお金の使い方をしてきませんでした」。

「スパム」を送ったり候補者の「パターンマッチ」をするために雇用者から料金を取るのではなく、Free Agencyは候補者の目的のみに焦点を当てている。同社は、候補者に初年度報酬の5~10%程度を請求して利益を得る。

一方雇用者は、Free Agencyが1週間に最大5人の候補者を紹介するサブスクリプションサービスを無料で利用できる。キャリアを管理するためにリクルーターに金を払えと従業員にいうのは大きな頼み事だ。しかも、候補者は今の職に満足していれば、そのサービスを少なくとも数年間、おそらくもっと長い間必要としない、

マシャエキ氏は、Free Agencyは入社時だけでなく、社内異動、能力向上など昇進サイクルを通じて候補者を手助けすることで価値を示すことができると強調する。現在同社は積極的にプロダクトを拡充しており、エンジニアリング・チームはキャリア・オペレーティング・システムの開発を進めている。そこではユーザーが求人情報や勤務評価、報酬評価などを行える。

もう1つの疑問は、Free Agencyは同社のサービスを最も必要としている人たちに提供するのか、という点だ。歴史的に過小評価され、概してネットワークとのつながりがなく重要な情報を得られない人たちだ。それとも、すでに十分つながりのある人たちをもっとよいところに着地させる手伝いをするだけなのか。

「率直に言って、Free Agentsに登録されている人たちの多様性の内訳は可もなし不可もなしです」とマシャエキ氏がメールで語った。同社は営業、顧客獲得、および市場開拓プログラムを展開してこれを変えようとしている。現在同社のプラットフォーム上にいる代理人は60%が女性で、20%が過小評価グループ出身だ。

こうした疑問符をつけられながらも、Free Agencyは2021年12月、1000万ドル(約11億5000万円)のシリーズAラウンドをアーリー・ステージ投資会社、Maveron(マベロン)のリードで完了した。さらに、Free Agencyのクライアント20社も出資しており、他にKevin Durant(ケビン・デュラント)氏のThirty Five Ventures、Resoloute、Bloomberg Beta、Kygo(カイゴ)氏のPalm Tree Crewなども参加した。同社は以前に、535万ドル(約6億1000万円)のシードラウンドも完了している。

それでもFree Agencyの最終テストは、管理された職探しを積極的に外部委託しようとい候補者を十分な数集められるかどうかだ。大量退職時代は、転職希望者がFree Agencyのようなサービスを試してみる推進力になっているかもしれないが、一度、波が去った後、求職者がどこまで確信を持てるかは不透明だ。

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画像クレジット:Gary Waters / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

メンターシップを通じて女性が技術職として活躍できることを目指すTupu.io

Xata.ioの共同創業者でCEOのMonica Sarbu(モニカ・サルブ)氏は、ハイテク企業で15年以上の勤務経験がある。彼女が働いていた組織の中では、自分の道を切り開いてくれるメンターはいなかったが、女性や歴史的に過小評価されてきた人たちが自分の道を見つけるのに苦労している様子を目の当たりにしていた。彼女は、どうすればより多くの人がテック企業の中で成功するのを助けることができるかを考え始め、熟考の末、2020年に非営利のメンタリング会社「Tupu.io」(トゥプ・アイオー)をサイドプロジェクトとして創業した。

彼女は最初は本を書くことを考えたが、万能なアドバイスは存在せず、個人の状況に合わせたアドバイスを行わなければならないという結論に至った。彼女はいう「私は、人びとそれぞれのニーズに合ったカスタムソリューションを与えることができるメンターシッププログラムを作りたいと思いました。なぜなら大抵の場合人は問題が発生したときにメンターシップを受けに来るからです」。

このような問題は、たいてい2つのカテゴリーのどちらかに分類されるという。それは、社内の誰かとの間に具体的な問題がある場合か、キャリアに行き詰まりを感じて鬱になったりインポスター症候群に陥ったりしている場合だ。彼女はTupuのようなプログラムが助けになると感じている。

キャリアサイト「Zippia.com」(ジッピア・ドットコム)によると、エンジニア職枠に女性が採用されるのはわずか25%だという。つまり、平均して3:1の割合で女性は劣勢に立たされていることを意味しており、しばしばそれ以上の悪い状況にもなっている。それが意図的であるかどうかにかかわらず、敵対的な職場環境につながることもある。

彼女は「私たちには、技術系コンテンツ企業がより良くなり、より健全な環境を作るために助言できることがたくさんあります。もしそれを放置してしまうと、最終的には、人に技術系企業の一員であり続けたくないと感じるさせるようになってしまいます。それが会社の文化なのです」と語る。

彼女は自身のキャリアを通じて、最初は主に女性を対象としたカンファレンスで、その後はより一般的なイベントで講演を行い、男性がほとんどを占める組織の中で女性であることがどのようなものかを明確にしようとしてきた。彼女はその講演を通じて、ほとんどが男性の聴衆の場合でも、意識を高め共感を得ることができた。

サルブ氏は私に「私はまず、少しの間だけ(男性が多いハイテク企業で働く)女性の立場になって考えてみて欲しいとお願いしました。そして、それがどのようなものなのかのイメージを描き出しました」と語った。

彼女は、技術チームの中で数少ない女性であることがどのようなものかを理解していなかった男性から、多くの肯定的なフィードバックを受けとった。その時、もっと何かをしたいと思った彼女は、頭の中でTupuのアイデアを形にし始めたのだ。

彼女によれば、このようなプログラムの費用は、メンティー自身の負担になることが多く、そのため参加できる人は、彼女の経験上、最もニーズの少ない「有望」な社員に限られてしまいがちだという。彼女のアイデアは、最初は自分で資金を出し、一方企業から寄付を募ってプログラムを支援し、より多くのメンターを、必要としている人たちとマッチングさせ無料でメンタリングを行うというものだった。

彼女は「私たちの将来のモデルは、あらゆる規模のハイテク企業に入って行き、その従業員にメンターシップを提供することで、組織内の多様性をサポートすることです」という。「企業は、(現在起きがちな)最も「有望」な(会社の中で厚遇されている)社員を選んでメンターシッププログラムに登録することに傾くのではなく、メンティもメンターも全員がTupu.ioに登録するように勧めることができます」。

現在、このプログラムには、128人のメンターに対して57人のメンティーがいる。メンターは、ハイテク企業での勤務経験のある男女だ。彼女によると、このプラットフォームは、これまでほとんど宣伝や広告をせずに、これらのユーザーを集めることができたという。

本業がJamstack(ジャムスタック)環境用のサーバーレスデータベースを構築するスタートアップXata.io(ザタ・アイオー)の経営者であるサルブ氏は、参加企業からの寄付によってTupu.uoのサイトを自立させつつ、登録やメンターとメンティーのマッチングのプロセスをより自動化したいと考えていいる。同社はより自動化されたバージョンを作成中で、近日中に完成する予定だ。

画像クレジット:kieferpix/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

テック系の職を目指す女性にトレーニングやメンターを提供するEdTechスタートアップEntity Academyが約113億円を調達

近年、女性がテクノロジーの世界に大きく進出してきたが、雇用者数、報酬、そしてプロダクト開発において、真に公平な状況に到達するまでにはまだ長い道のりがある。Entity Academyは、女性にデータデサイエンス、ソフトウェア開発などの領域のトレーニングやメンタリングを提供し、最終的にはジョブコーチングを目指すEdTechスタートアップだ。同社は、事業の堅調な成長を背景に、その比率を高めようという野心を抱き、1億ドル(約113億円)を調達した。

この資金は、Entity Academyの授業料(通常1万5000ドル[約169万円])を受講者が調達することへの支援に充てられる。同資金の出資者で自身もスタートアップであるLeif(レイフ)は、EdTechプラットフォームに金融サービスを提供し、学生たちが所得分配契約(ISA、学生が就職するまで学費ローンを返済する必要がない制度)を利用できる機会を創出している。

Entityの創業者でCEOのJennifer Schwab(ジェニファー・シュワブ)氏は、2016年以降、外部からの資金調達を事実上行わずに事業を構築してきた。しかし今回の資金調達で、VCの主導による同社初の、より伝統的な株式投資ラウンドの先駆けを得たと同氏は語る。

Entityはeラーニングコンテンツ自体を制作するのではなく、Springboard(スプリングボード)やLambda School(ラムダ・スクール)、Columbia University(コロンビア大学)などのプロバイダーから提供されるデータサイエンス、ソフトウェア開発、フィンテックエンジニアリング、テクノロジーセールスのオンラインコースを、24~33週の「ブートキャンプ」スタイルのコースに集約している。(大学からのコースは機関が作成したものがそのまま提示される傾向にあるが、他のコースはEntity自身が受講者に合わせてカスタマイズしている)。

Entityのテクノロジーへの関わりは、同社のカリキュラムがテクノロジーにフォーカスしていることに留まらない。EdTechスタートアップから想像されるように、Entityもまた、戦略とビジネスを構築するために収集されるデータに大きく基礎を置く。

このデータは、過去や現在の受講生からのフィードバックや受講生の成果だけではなく、他のチャネルにも基づいている。同社の「コンテンツ部門」のEntity Mag(エンティティ・マグ)は、かなり興味深いことにソーシャルメディア上で急速に拡散し、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)で110万人を超えるフォロワーを獲得しており、エンゲージメント(将来の学生も含まれるだろう)に向けた別の切り口の主要チャネルとなっている。

Entityはこれらすべてを使って、提供するコースやカリキュラムの内容、またその学習を補完する最良の方法についてキュレートする。Entityのコースには現在、テック業界で働く人々による対象を絞ったメンタリングや、求職に向けたキャリアコーチングも含まれている。

Entityのスイートスポットは枝分かれしている、とシュワブ氏はインタビューで語っている。

その分岐要素は、新規の女性(典型的には19~23歳)と、新しいキャリアに再挑戦するかキャリアを再考する女性(典型的には30~39歳)である。どちらのカテゴリーの女性も、テック系の仕事や、より技術的なプロモーションを考えたいが、そのための専門知識が不足していることを認識し、Entityを訪れている。その多くは大学で人文科学やその他の非技術系科目を学んでおり、概して、技術的な役割への扉を開くための文字通りの再訓練を提供するような職場環境でのサポートを得られていない。

加えて、これらの女性の多様性の組み合わせも存在し、そのコホートに異なる種類の課題を提起しているが、課題に取り組む手助けをするEntityにとってはそれが大きな推進力にもなっている。19~23歳のグループの約55%は有色人種の女性であり、30~39歳では62%を占める。Entityは「ラップアラウンド(包み込み)」戦略と同社が表現するように、このような女性たちすべてに対して、テック系の仕事に就く上でのそれぞれの課題に対処するツールを提供することを目指している。

「受講生の多くは、過去にSTEMプログラムを追求したことがないと思います」とシュワブ氏は述べ「そのため、私たちは一からスキルセットを構築しています」と続けた。

受講生の約80%が授業料を支払うために何らかの融資を受けており、Entityがそのための手段を強化している背景がうかがえる。

2016年以降、ほぼすべてが女性である400人余りの受講生が同社のコースを修了している。しかし、当初はかなり短期間のプログラム(6週間)として開始され、すべて対面式で費用は5000ドル(約56万円)であった。現在では8カ月間のコースが多数存在し、すべてがバーチャルとなっており、費用も人数も増大している。シュワブ氏によると、さらに300人が同社のコースを受講中で、来年は1500人になる見込みだという。

Entityの成長は、EdTechの拡大、そして「Future of Work(未来の働き方)」のトレンドと密接に結びついている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、eラーニング業界に思いもよらない、大きな苦労をともなう期待を生じさせた。教育者はリモートでのかつてない需要に突如として直面し、それを支援するためのツールを各企業が構築してきた。この需要は、従来の学習環境のバーチャル化の必要性のみならず、パンデミックのために多くの人々が自ら進んで、あるいはやむを得ず、自分たちの生活で何をすべきかを再考するようになったことにもよるものだ。オンライン教育は、他にほとんど何もできないときに何かをするための重要な手段の1つになっている。

Entity自身のストーリーは、これらのストーリーラインの両方に適合する。

同社は、シュワブ氏が自身のキャリアの初期にErnst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)でアドバイザーを務めていたときの経験をもとに、ロサンゼルスで設立された。

「私の当初の目標は、女性のキャリアに対する考え方をグローバルに変革することでした。Ernst & Youngに入社した当時は女性のメンターがいなかったことから、女性をより良くメンターする方法について考えるようになったことが原動力となりました」とシュワブ氏は回想する。同氏は「(馴染みのある場所とは違う)島にいるような感じ」はそれ自体は良くないことだとしながらも、それは(同氏のキャリア上経験のなかった)教育と職業斡旋に向けての漸次的な進化であり、メンタリングと並行して行われたのは「女性がテック系の仕事に就かない理由を(別の理由として)特定した」からだと言い添えた。

2016年に同社がそのコンセプトを最初に具現化したのは、ロサンゼルスの1920年築の建物に設置された実店舗型の学習センターとしてであった。それは説得力を持つセールスだった。学習期間が短く、対面式であるため、完了率は96%で、終了時にはコホートの90%以上に仕事がもたらされた。「個人としての直接的なアカウンタビリティははるかに大きなものがあります」とシュワブ氏は語っている。

パンデミックは、当然ながらEntityをそのモデルから引き離したが、同時に規模拡大のレバーにもなった。2020年にラスベガスの新本社からバーチャルプログラムとして再スタートした際には、受講者数が増加し、コース期間が延長された他、より長期の契約を反映して授業料も増大した。

その一方で、完了率が低下するというマイナス面も生じており、同社が改善に取り組むべき優先事項の1つであるとシュワブ氏は述べている。

同社のプログラムのメンターは、バーチャル化によって拡大した事業の別の側面だ。当初、メンターは全員無給のボランティアで、より多くの女性が業界で優位に立てるように手助けしたいと思っていたか、より便宜的に学生との接触を雇用のための資金源として利用していた。この点についても、オンラインのエンゲージメントとともに進化している。

「今ではメンターに報酬を支払い、プロのモデレーターを雇って、メンター主導のディスカッションを一定のペースで進めています」とシュワブ氏。講演者は奨学金や保育料を寄付することが多いという。受講生グループ向けの講義にフォーカスしているメンターや、通例的には受講生が学ぶ技術的科目に関連している個別対応に従事するメンターなど、現在Entityのネットワークには約250人のメンターが在籍している。シュワブ氏によると、この数字は来年には500人に倍増することが見込まれている。

同社が学びを提供する領域への求職の側面については、おそらくこれまでのところあまり発展していないのだろう。Entityのウェブサイトの下部には、Entity Academyは伝統的な教育に取って代わるものではなく、補完的なものであるという注意書きとともに「仕事の斡旋を保証するものではない」と小さな文字で書かれている。

しかしながら、オポチュニティのポテンシャルもそこには感じられる。その意味では、The Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)のように、雇用市場における女性の大きな格差だけではなく、それに対処するための仕組みがあまり整っていないという事実に焦点を当て、明確に女性層をターゲットにするオポチュニティに目を向けている企業もある。ありがたいことに、状況は変わりつつあるようだ。

画像クレジット:AleksandarNakic / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

友人・知人のつながりから転職先や副業先を探せるキャリアSNS「YOUTRUST」が4.5億円のシリーズB調達

友人・知人のつながりから転職先や副業先を探せるキャリアSNS「YOUTRUST」が4.5億円のシリーズB調達友人・知人のつながりから転職先を探せるキャリアSNS「YOUTRUST」を展開するYOUTRUSTは8月30日、シリーズBラウンドによる総額4億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、デライト・ベンチャーズをリードインベスターに、STRIVE、W ventures、ANRIとなっている。

2018年4月にサービスを開始したYOUTRUSTは、友人・知人を通じて転職先や副業先につなげられる、「信頼でつながる」キャリアSNS。プロフィールには友人からの紹介コメントが掲載され、「履歴書では伝わらない信頼が可視化」され、普段の仕事ぶりもアピールできるという。「転職サービス」ではなく、あえて「キャリアSNS」と自称しているのは、今すぐ転職を考えていなくても、投稿タイムラインやメッセージのやりとりで日常的に楽しめるプラットフォームだからだ。

転職や副業の意識が高い人と企業とのマッチングのほか、「転職に前向きな潜在層」がSNSとして利用するケースが浸透するなどして、アクティブユーザー数が増加し、「独自のユーザープールを活かした採用プラットフォーム」として月次経常収益は1年で10倍を超えたとのこと。

日本の1人あたりのGDPが世界30位となり、時間あたりの労働生産性はアメリカの6割にまで落ち込んだ原因のひとつには、「人材流動性の低さ」があるとYOUTRUSTは話している(IMF「World Economic Outlook Database」2021年4月版 1人あたりの購買力平価GDP(USドル)ランキング、公益財団法人 日本生産性本部2020年版「労働生産性の国際比較」)。勤続10年以上の従業員の割合が10%減ると潜在成長率が1.4ポイント高くなるとの日米欧35カ国を対象とした日本経済新聞の報告(2018年4月10日「『転職で賃金増』広がる」)があり、今後は人材の流動性が高まることが期待されている。そこでYOUTRUSTは、「日本型キャリアをゲームチェンジ」する存在を目指し、キャリアSNSの充実をはかるために今回の資金調達を実施したという。

具体的には、「キャリアSNS」のサービス改善、認知度拡大、新規ユーザーとクライアントの獲得、既存ユーザーのエンゲージメント向上のためのマーケティング強化に資金を投入する。

YOUTRUST代表取締役の岩崎由夏氏は、こう話している。「流動性が高く、個々人が自分のキャリアを自分でつくる時代がすぐそこまで来ています。 でもそれは怖い世界ではありません。YOUTRUSTが、履歴書では表現できなかったみなさんの信頼を可視化し、素敵なキャリアをサポートしてまいります」。

個人のキャリア形成を支援する計68の有料サービスをまとめた「有料キャリア支援サービス カオスマップ 2021年版」が公開

  1. 個人のキャリア形成を支援する計68の有料サービスをまとめた「有料キャリア支援サービス カオスマップ 2021年版」が公開

様々な職種・企業のキャリア経験談を直接聞ける「社会人同士のOB訪問」を実現する「キャリーナ」(旧CREEDO)を運営するブルーブレイズは8月4日、「有料キャリア支援サービス カオスマップ 2021年版」を公開した。個人のキャリア形成を支援する計68の有料サービスについて、9つのカテゴリーに分類している。なお、有料キャリア支援サービスとは、個人のキャリア形成にとって有益なサービスで、かつ受益者本人が一部またはすべての対価を負担するものを指す。

同社は、2021年版のハイライトとして以下3点を挙げている。

まず「有識者・経験者相談」カテゴリーに複数の新サービスが登場した点を挙げている。特に、サービスの受益者と提供者である個人間を直接マッチングするC2Cプラットフォーム型のサービス増加が顕著という。受益者側のニーズ拡大に加えて、副業解禁トレンドが提供者側の増加を後押ししたことも背景にあると考えられ、個人のキャリア経験・知見を販売する動きは引き続き活発化する可能性があるとしている。

また2020年より「短期集中型転職支援」「コーチング」「キャリアカウンセリング・コンサルティング」が注目されており、これらカテゴリーへの参入が散見されるという。有料職業紹介事業者(転職エージェント)・人材業界出身者の新規事業として始めやすく、今後もサービス増加が予想されるそうだ。

「キャリア支援付きスクール」カテゴリーにおいて、受講料の支払い手段にISA(Income Share Agreement:所得分配契約)と称される出世払い制を採用するスクールが複数登場している。欧米では、学生ローンの代替として注目を集めており、日本の教育機関においてもISAの採用例が増える可能性があるという。

各カテゴリーの概要

  • 有識者・経験者相談:人事経験者などの有識者や転職経験者から、キャリア選択や職探しに関する助言・情報を得られるサービス群
  • 就活塾:就職活動に挑む学生を対象に、エントリーシートの添削、面接・グループディスカッション練習などを通じて内定獲得を支援
  • スカウト媒体:企業や転職エージェントから転職・副業のオファーを受け取ることができるサービス群
  • 短期集中型転職支援:専任のトレーナーから、2〜3カ月程度の期間で自己分析や企業研究、選考対策などのサポートを受けられる。有料職業紹介事業者(いわゆる「転職エージェント」)とは異なり、企業からではなく求職者から報酬を受け取るビジネスモデルを採用
  • 会社口コミ:従業員・元従業員による企業の口コミ情報を提供するサービス群。同マップでは、求職者課金の仕組みを有している会社口コミサービスをリストアップ
  • メンタリング:プログラミングやウェブデザインといった特定の職業スキルの習得を目的に、スキル習得者から学習方法の助言・疑問解消など実践的な指南を受けられるサービス群
  • コーチング、キャリアカウンセリング・コンサルティング:コーチ、カウンセラーまたはコンサルタントが、キャリアに関する問題解決や目標達成を目的とした援助を行うサービス群。コーチングとカウンセリング、コンサルティングの違いについては様々な解釈がありえるため、原則各サービスの表現に従い分類
  • キャリア支援付きスクール:転職や独立を主な目的としてプログラミングやウェブデザイン、資格といった職業スキルを学べるサービス群。転職斡旋などのキャリア支援が付帯する代表的なスクールをピックアップしている。受講料は月額制または単位制で支払うことがほとんどだったが、ISA(出世払い制)を採用するスクールが登場しており、支払い手段の多様化が認められる

2019年8月設立のブルーブレイズは、様々な職種・企業の社員からキャリアナレッジを直接聞けるオンライン社員訪問サービスとして、キャリーナを展開。2020年3月のサービス開始以来、2021年8月時点で約4500名のユーザーが登録しており、聞けるキャリアナレッジは約2000件になるという。

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日本初の女性に特化したメンタリティ教育・キャリアスクールを手がけるLiLiが総額1億円のプレシリーズA調達

日本初の女性に特化したメンタリティ教育・キャリアスクールを手がけるLiLiが総額1億円のプレシリーズA調達

「凛々しく、生きていく」をテーマに、凛々しい女性の育成を行うLiLi(リリ)は7月27日、プレシリーズAラウンドにおいて、総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターのBonds Investment Group、また複数の投資家。

LiLiは、女性に特化したメンタリティ教育を行う場として、「働く女子のキャリアスクールLiLi」「女子学生の就活コミュニティーLiLiキャンパス」「女性メンター育成プログラム」という3つの事業を展開している。

世界経済フォーラムが3月31日に発表した「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は調査対象156カ国中の120位と低迷し、主要7カ国では最下位となっている。また新型コロナウイルスの影響で多くの女性が解雇されたものの、LiLiは、リモートワークの充実で女性が働きやすい世界が到来し、労働市場ではアフターコロナに向けて女性が大きく動き始めると確信した。それを待ち構えるべく、サービス拡充に向けたマーケティングや採用強化のため資金調達を実施した。

LiLiはそのサービスを、一般社団法人日本ウーマンズバリュートレーニング協会から唯一認定された「女子のためのキャリアスクール」であり、「女子に特化した自己分析(キャリアの棚卸し)」、「動画コンテンツで実践スキル学び放題」、「オンラインコミュニティー」にとことんこだわり、「頑張りたい女子のために作られた学びの場」と説明している。

なかでももっとも重視するのが、女性のためのメンタリティ教育を支える「メンター」だ。特にライフイベントの多い女性の場合、キャリア選択時に相談にのってくれる「一歩先を歩む女性」のメンターシップが不可欠になるという。2020年開始した女子学生向けサービスでは、メンターとして働きたい女性から6カ月で330人を超える申し込みがあった。今は社会人にも対応できるようアップデートを行ったが、「予想のペースを上回る申し込み」があるとのこと。現在、メンターの離脱率は0%ということで、女性にとって必要不可欠な場所となっていると考えているが、LiLiが自分の居場所として女性たちに選ばれるよう「圧倒的な価値向上を目指します」と話している。

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オンラインキャリアカウンセリング「ミートキャリア」を運営するfruorが4500万円のシード調達

オンラインキャリアカウンセリング「ミートキャリア」を運営するfruorが4500万円のシード調達

オンラインでプロのキャリアカウンセラーに気軽に相談できる「ミートキャリア」(meetcareer)を運営するfruor(フルオル)は6月2日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資として4500万円の資金調達を実施した。引受先はW ventures、ベンチャーユナイテッドほか、複数の個人投資家。

近年、少子高齢化の影響もあり、労働人口の減少という課題を日本社会は抱えているため、どのようなライフステージにある人でも活躍することや生産性をアップさせることが求められている。その反面、ライフステージが変わると、キャリア形成を維持できない、活躍の場が限られるようになるといった課題も生じている。

fruorでは、ライフステージの遷移によって当人が感じる「モヤモヤ」を、気軽に相談する場としてミートキャリアをスタート。仕事上の意欲の低下や離職を、プロのキャリアカウンセラーという第三者視点のアドバイスにより食い止めることに成功してきた。

特に、働く意欲がありつつ、就業時間の点で制約のあるワーキングマザーは、もっと働きたいのに働けないというワークライフバランスが変わったことに対応しきれず自分で自分の評価を下げてしまいがちだが、ミートキャリアでは定年まで走り続けることや転職がキャリア形成のすべてではないこと、ジョブ型雇用への切り替え、副業、フリーランスへの移行といった幅広い選択肢を提示。サービス開始から1年半で相談件数は1000件を超え、利用者による評価は10点満点中9.3点、1年以内のリピート率は30%以上と高い。

ミートキャリアには、1回75分のオンラインキャリア相談と、メールで行うテキストプログラムがあり、オンラインキャリア相談では現状の課題整理と、課題解決のための選択肢や情報の受取、アクションプランの設定が行える。テキストプログラムは、キャリアサポーターとの1対1でメールのやり取りを行う中で、自己分析、転職準備、副業チャレンジ、復職準備といった、これからの目標設定や行動への準備をじっくりと行える。

調達した資金は、主にサービス開発、ユーザー拡大に向けたマーケティング活用に用いられる。

シードラウンドにあるfruorでは、「終身雇用制の崩壊、ジョブ型雇用への移行、副業の促進などを受けて人材の流動性が高まる中、企業と個人の関係変化は急加速している。個人のキャリア自律が求められることからパーソナライズされたキャリア支援も必要となる。ミートキャリアにより、社会課題を解決し、だめもが自分に合った働き方ができる社会の実現に向けて邁進したい」と、今後の展開を明らかにしている。

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