グルメコミュニティのSARAHが資金調達、セブン-イレブンやDDホールディングスとのタッグも

グルメコミュニティのSARAHが資金調達、セブン-イレブンやDDホールディングスとのタッグも

消費者の食行動に関わる技術革新を指す造語「EatTech」を掲げるスタートアップ「SARAH」は10月21日、第三者割当増資による資金調達の実施を発表した。引受先はセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)、DDホールディングスベンチャーキャピタル(DDHVC)。

調達した資金は、おいしい一皿が集まるグルメコミュニティサービス「SARAH」(Android版iOS版)、企業向け外食ビッグデータ分析サービス「Food Data Bank」、飲食店向け電子メニューサービス「SmartMenu」の営業・マーケティング・サービス開発の強化に用いる。

データサイエンティスト、フロントエンジニア、営業、マーケティングのポジションを中心に採用強化も行う。

また、SEJによるスタートアップ企業への出資は今回が初のケースという。今回の出資に合わせてSEJは、Food Data Bankの導入も決定。今後、セブン-イレブン店舗で販売する商品開発への活用に加えて、外食ビッグデータの収集から活用をSARAHと合同で進めていく。

DDHVCは、DDホールディングスが全国展開する170ブランド約460店舗の飲食店運営の知見を提供し、飲食店向け電子メニューサービス「SmartMenu」を筆頭に、共同でサービスを発展させていく予定。

2014年12月設立のSARAHが提唱する「EatTech」とは、食材面のテクノロジーが目立つFood Techとは異なり、消費者の食行動(Eat・食べる)にまつわる技術革新を指す造語。

具体的には消費者個人単位での「食」に関する行動・好みなどのデータを取得し、これを基に食体験を向上させる取り組みを行うサービス・企業を含むという。

2015年リリースのSARAHは、レストランの一皿に対する投稿を中心とした、グルメコミュニティアプリ。レストラン単位ではなく、麻婆豆腐やポテトサラダなどのメニュー単位での投稿や検索も可能。「渋谷の本当においしいポテトサラダ」や、「福岡のもつ煮込み」といった、メニューごとの切り口から食事を探せる。

Food Data Bankは、SARAHユーザーの投稿(約70万のメニュー単位の外食データ)を基盤とする、外食トレンド分析サービス。「全国の飲食店で何が食べられているか」や「おいしいと思われるメニューの傾向」など分析を通し、今まで気づかなかった素材の組み合わせや、世の中のトレンドの傾向を把握できるという。

グルメコミュニティのSARAHが資金調達、セブン-イレブンやDDホールディングスとのタッグも

「より善いごはんとの出会いをつくる」という想いを実現するため、データ分析サービスを通し食に関する企業の商品企画・マーケティングを支援するとしている。

SmartMenuは、食事客がテーブルに設置したQRコードを読み取ると、スマホに最適化したデザインでメニュー表を表示するサービス。現在β版を提供しており、正式版ではオーダー・決済機能に加え、SARAHのデータを活用することで、客単価の増加、リピーター集客の増加、接客品質の向上に役立つマーケティングツールとしての提供を予定。

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カテゴリー: ネットサービス
タグ: 資金調達SARAH日本

暗号通貨が貯まるグルメアプリ「シンクロライフ」運営がオリコと資本業務提携

グルメSNSにトークンエコノミーの概念を取り入れた「シンクロライフ」は、ユーザーがレビューや加盟店の利用で暗号通貨「シンクロコイン(SYC)」をゲットできるアプリだ。

シンクロライフを運営するGINKAN(ギンカン)は7月17日、オリエントコーポレーションとの資本業務提携を発表した。オリコからの出資金額は非公開。出資は現在GINKANが実施中の資金調達ラウンドの一部に当たるという。

シンクロライフはSNS形式での口コミ投稿アプリとしてスタート。2018年8月にはレビュアー・口コミの信頼スコアに応じて、暗号通貨を付与するベータ版を公開している。また今年7月1日には、ユーザーが加盟店を利用すると食事代金の1〜5%をシンクロコインで還元するサービスも開始した。

サービスに加盟するレストランにとっては、飲食店専用アプリを初期費用・月額費用なしで利用でき、シンクロライフ経由の飲食代金の5%を支払えばアプリに広告を掲載できる。

一度来店したユーザーには、自動的に再来店を促すCRM施策を実施することが可能。7月中に50店舗が登録を予定しており、2019年中には1000店舗の加盟を目指すという。

GINKAN代表取締役CEOの神⾕知愛氏は、飲食店からの還元リワード導入については「東急不動産との実証実験を経ての本格リリース」とコメント。「ボーダーレスな暗号通貨を使ったトークンエコノミーの実社会実用化のスタート。まずは日本の飲食業界、その後アジアへも展開を図る」としている。

グルメアプリとしては、AIがレストランをレコメンドする機能を備え、検索要らずで使える点も特徴とするシンクロライフ。現在155カ国・4言語(日本語、英語、韓国語、中国語)で展開され、口コミは19万件、掲載店舗数は10万店舗を超えた。

今回の資本業務提携により、GINKANでは80万店以上の加盟店と1000万人以上のクレジットカード会員を抱えるオリコとともに、新しいプロモーションサービス提供や顧客向けサービス、Fintech事業などで協業を目指す。

神谷氏は「飲食店の課題へ強くフォーカスし、飲食業界の広告モデルを破壊する」という暗号通貨によるリワード還元についても「オリコと組んで挑む」と述べている。

グルメSNS「シンクロライフ」にレストラン検索不要の「AI厳選」機能が追加

グルメSNS「シンクロライフ(SynchroLife)」は、SNSとAI活用により、ユーザーのレストラン探しをサポートするアプリだ。ほかのグルメアプリとの大きな違いは、トークンエコノミーの概念を取り入れていること。良質なグルメレビューの投稿者にはトークン(暗号通貨)による報酬を付与する。また来店ポイントのような形で、飲食代金からの還元リワードをトークンで受け取れる仕組みもアプリ内に持っている。

シンクロライフを運営するGINKAN(ギンカン)は4月4日、同アプリへの「AI厳選」機能追加を発表した。従来のレストラン検索機能は廃止され、現在地点などのエリア情報に基づき、AIがオススメする店を写真中心のインターフェースから選ぶスタイルに変更された。

またSNSのタイムラインには、ユーザーの日頃の生活圏などから優良なレビュー投稿をパーソナライズして表示する「For You」フィードが登場した。

2018年8月にベータ版が公開されたシンクロライフ。今回の一連のレコメンデーション要素の強化により、「これまで以上に直感的に良質なレストランをすばやく発見できる」ようなユーザー体験の実現を図ったという。

確かに従来のグルメレビューサービスでレストラン探しをするときには、エリアやカテゴリーだけではまだ多くの店から候補が絞り込みきれず、レビューの文面など、さまざまな要素を自力でチェックして選んでいくので、決定までに時間がかかることもしばしばだ。

シンクロライフのAI厳選機能では、SNS上の人気指標やリピート指標などを分析しているため、あらかじめ一定以上の人気があり、投稿者のリピート率が高い店をレコメンドしてくれる。エリアやジャンルは指定することができるので、現在地だけでなく、これから訪れる旅行先などの土地勘のない場所でも、ほかのユーザーが薦めるレストランを知ることができる。

また新たな指標として「リピート希望」の表示も加わった。実際に来店して投稿したユーザーの評価指標をもとに「10人中8人がリピート希望!」といった表示がリスト上の各店に示される。

iOS版/Android版が提供されているシンクロライフは現在、155カ国・4言語(日本語、英語、韓国語、中国語)で利用可能。累積19万件以上のレビューが投稿されている。

GINKAN代表取締役CEOの神谷知愛氏は「もともとレストラン選びに時間をかけずに済み、検索しなくても表示されるシステムを目指して、レコメンドエンジンやロジックを改善してきた。今回のAI厳選機能で、ようやく作りたかったものができたというところ」と話している。

とはいえ、中には自分が選んだ細かい条件で検索をかけたいユーザーもいるのではないだろうか。神谷氏は「世の中には詳細な検索でレストランを探せるサービスは既にいくつもあるし、僕自身も利用している。だが、予算やシーンなどの細かい条件検索と“場所と食べたいものが大体決まっている人”向けの提案を両立するのは、インターフェースが複雑になって難しい」と述べ、「“大体決まっている人”へのサービスは、ありそうでなかったので、そこへフォーカスした」と答えている。

「シンクロライフは、テレビ番組や雑誌と同様にレストラン情報を眺めたいというシチュエーションには、SNSフィードでパーソナライズした表示を、場所と食べたいものが大体決まっている人には、AI厳選機能でレストラン提案を行う。“提案されたものからレストランを選ぶ”というのは、あまり体験したことがないユーザー体験になるのではないか」(神谷氏)

GINKANでは、今後もユーザーのアクションや閲覧データをもとに、さらにシンクロライフ収録レストランの評価の質を高めていく予定だ。

シンクロライフは、トークンエコノミーの概念を導入することで、レストランのマーケティング課題の解決に取り組むプロダクトでもある。今年3月にはこうした取り組みが評価され、MUFG Digitalアクセラレータのプログラム第4期に採択された。

神谷氏は「ユーザー体験に関しては、SNSとAIでハズレなしのお店選びを、ということで、消費者のニーズや課題に合わせたアップデートをして、最終形に近づいてきた。またレストランのマーケティング課題については、東急不動産の協力で飲食店来店客へのトークン還元の実証実験も行い、準備が進んでいる」と話す。

さらに「飲食店の広告宣伝費率の課題を、ブロックチェーンを活用した暗号通貨で解決した暁には、ユーザーである消費者は今までの『飲食店での食事で消費する』スタイルから『デジタルアセットをもらう』スタイルに変わっていく」と神谷氏は述べ、「一般消費者がアセットを持つ、ということでフィンテックの入口にもなるサービス」としてシンクロライフを構想していると語る。

今後、さまざまな金融機関やペイメント事業との接続により、ほかの暗号通貨への変換や資産運用、国内外での決済なども、シンクロライフで可能にしたいという神谷氏。「まずは飲食店の参加により、O2Oビジネスとしての土台を確立し、そこから加盟店の決済手数料の軽減やユーザーの支払いをシンクロライフで完結させるなど、課題を解決していきたい」と話している。

お店ではなく料理1品ごとにレビューできる「SARAH」が2.5億円調達、データ販売事業開始

お店ではなくメニュー単位で料理のレビューを閲覧できる「SARAH(サラ)」を運営するSARAHは2月4日、三井物産、ハウス食品グループ、ハウス食品グループイノベーションファンド、Hedden Gems、東松山起業サポートから2億5000万円を調達したと発表した。

会食、デート、友人との食事会などのために、レストランやカフェをインターネットで探す機会は多い。食べログやぐるなびなど、レビューや評価をもとにレストランを探して予約できるサービオスはすでに僕たちの生活の中に浸透している。

そんななか、他とはちょっと違った方法でグルメレビューサービスを提供するのがSARAHだ。同サービスの一番の特徴は、お店単位ではなく、そこで提供される料理1品ごとにレビューを閲覧できることだ。例えば、すごく美味しいラザニアが食べたくなり、評価の高いイタリアンレストランを検索したとしても、時にレストラン自体の評価は高くてもラザニアはあまり美味しくなかったということもある。その点、SARAHでは自分が食べたい料理単位でレビューを確認できるので、自分が食べたい料理が決まっているのならば、”ハズレ”は少なくなる。

SARAHは2015年のリリース以降、これまでに約42万件のレビューがサービスに投稿され、MAU(月間アクティブユーザー数)は50万人を超えるという。

そのSARAHは今回新たに2億5000万円を調達し、グルメレビューアプリの運営に加えて新たな事業を開始する。企業向けに料理データを提供する「Food Data Bank」だ。これは、SARAHに蓄積されたレビューの点数データや、ユーザーが投稿した文章を言語解析したデータを企業に販売するというもの。

他のグルメサイトとは違い、SARAHには料理ごとのレビューデータが蓄積されている。だから、今特に注目されていて評価の高い「唐揚げ」がどんな特徴を持っているのか、などを分析することが可能だ。例えば、最近になってレビュー数が急上昇した唐揚げに、ユーザーが「大きくてジューシー」、「スパイスが効いていておいしい」などと投稿していれば、今は大きくて、スパイシーな唐揚げがウケるなどと分析することができる。これは常に新メニューを作り続けなければならないコンビニや外食チェーンなどにとっては貴重なデータだ。

SARAHはこのFood Data Bankをまずは分析済みのデータを個別販売するという形でスタートさせるが、将来的にはデータ抽出ツールを開発し、それに対してサブスクリプションモデルを展開するなどを検討しているという。

シェフ版のWeWorkで“飲食店経営のサービス化”へ――favyがマイナビから10億円を調達

“飲食店が簡単に潰れない世界”の実現に向けて、食領域で複数のサービスを展開するfavy。同社は9月25日、マイナビを引受先とした第三者割当増資により約10億円を調達したことを明らかにした。

favyと言えば6月に約5億円を調達したばかり。そこからわずか数ヶ月で新たに10億円もの資金を調達したことになる。

マイナビとは事業面で連携を深めて飲食店向けのサービスを一気に拡大していく狙いもあるが、どうやら調達した資金を基に新サービスを含むサービス群の拡充と、いわば“シェフ版のWeWork”とも言えるシェフ向けのコワーキングスペースの開発に力を入れていくようだ。

マイナビとのタッグで営業網を一気に拡大

以前から紹介しているように、favyの事業は幅が広い。

月間閲覧者数が6700万人を突破したグルメメディア「favy」を始め、簡単にホームページが作れる「favyページ」やサービスEC「ReDINE」といったWebサービスに加え、自ら飲食店も経営している。

現在もさらなるラインナップの拡充を進めていて、つい先日にはキッチンも客席もシェアするレストラン「シェフのためのコワーキングスペース」を今秋銀座にオープンすると発表したばかり。また本日より前回取り上げた飲食店向けのMAツール「顧客管理ツール」と、favyの導入店舗へ食材や調理器具、サービスを紹介できるプラットフォーム「favy store」の提供も始めた。

冒頭でも触れた通り、favyにとって今回の資金調達のポイントのひとつはマイナビとタッグを組んだことだろう。今年に入ってぐるなび×楽天食べログ(カカクコム)×KDDIRetty×ヤフーといったように、グルメサービスを提供する各社と他業界の大手企業が連携を深めている。

favyのパートナーはマイナビということになったが、特に営業面でプラスの影響が大きいようだ。同社代表取締役社長の髙梨巧氏によると、すでに「マイナビバイト」を運営するマイナビのアルバイト情報事業本部とfavyのサービスの販売協力トライアルを都内で始めているそう。

これまでfavyでは東京と大阪の2拠点で営業を進めていて、顧客となる飲食店もその2地域が中心だった。そこに営業体制1000名以上、60を超える拠点をもつ同事業部のリソースが加えることで全国の飲食店へfavyのプロダクトを一気に広げる計画だ。

高梨氏いわく「B2BのSMB(中小企業)向けのプロダクトは泥臭い営業活動が重要」であり、「現在約50人体制の社内営業チームを大幅に強化し営業の面を作ることで、プロダクトの拡充だけでなく飲食店とのマッチングを進めていく」という。

また採用面に強みを持つマイナビと飲食店向けの採用ブランディングサービスを共同開発し、飲食店の人手不足に関する課題の解決も目指す。

ソフト領域のサービス拡充とハード領域への進出

並行して、調達した10億円を使ってfavyはこれからどんなことに取り組むのか。鍵となるのは「ソフト」と「ハード」という2つの軸だ。

favyではこれまでSaaSのような形で、飲食店の“集客”の課題を解決するプロダクトを軸に展開してきた。本日より提供開始となったMAツールもまさにこの領域のサービスだ。

今回マイナビとタッグを組むことで採用面でのプロダクトも今後強化できるだろうし、多くの飲食店をサポートしたり直営店で貯めたナレッジを活用したりすることで、メニュー開発や企画の面でも飲食店を支援できるだろう。

これまでサービスの拡充を図ってきた中でソフト領域がある程度整ってきたからこそ、「ハード領域にも積極的に取り組んでいくフェーズ」(高梨氏)に変わってきたのだという。

それに向けた動きのひとつが本日スタートしたfavy storeだ。ここには飲食店の「仕入れ」をサポートするプロダクトで、食材はもちろん、調理器具、家具、ユニフォーム、清掃、予約サービス、店舗BGM、アプリなど飲食店経営に役立つツールが掲載される。

メーカーなど出店する企業にとっては、favyを導入する全国3万店舗以上の飲食店に掲載料無料で自社の商品を紹介できるのがメリット。高梨氏によればこのサービス単体で収益化を図る意図はないそうで、サービスの利便性が増した結果「飲食店がfavyを選ぶ理由になればいい」と話す。

まずは100以上のストアがサービス上に並ぶことを目指していて、調達した資金の一部はこのfavy storeやMAツールのシステム開発、エンジニアの採用強化に用いる。

WeWorkがオフィスをサービス化したように、飲食店経営もサービス化

そしてもうひとつ、favyが資金を投じて取り組んでいるのが、シェフが料理だけに集中できる新しい形態のコワーキングスペース兼シェア型レストランだ。

「WeWorkがオフィスをサービス化したのと同じようなことを、飲食店でもできるのではないかと考えている。シェフが自分で飲食店を構え、運営するにはかなりの初期コストがかかる。料理を作る以外の部分をフルセットでサポートすることで、飲食店経営をサービス化したい」(高梨氏)

高梨氏の話す通り、favyのコワーキングスペースではシェフが起業する際の課題となる「出店コスト」「スタッフの採用」「集客ノウハウ」が必要ない。

見た目は1つの飲食店に見える約120坪(120席ほどを予定)の店舗のキッチンには5人のシェフが滞在でき、それぞれに調理機材と収納スペースが用意。客席はもちろん、ホールスタッフも5人でシェアをする(スタッフはfavyが採用)。集客面でもfavyのグルメメディアと、同社が培ってきたナレッジを用いたサポートを受けられるのが特徴だ。

キッチンに立つシェフは定期的に入れ替わり、某アイドルグループの総選挙のように来店者が飲食店を評価し、ランキング化される仕組みを考えているそうだ。

「スタートアップ的な表現をすると、シェフがもっと簡単にPMF(プロダクトマーケットフィット)を図れるようにしたい。一度自分で飲食店を始めると、ピポットをするのも難しい。最初に初期コストを抑えて色々と試し、コアなファンができた段階で自分の店舗を持てばリスクも少ない」(高梨氏)

高梨氏によると以前から飲食店経営のサービス化の構想やシェフ向けのコワーキングスペースのアイデアがあったそう。これまでの期間は、そこに必要なモジュールをひとつずつ仕込んでいた段階だったと言えるのかもしれない。

favyでは今秋を目処に第一弾となるスペースを銀座にオープンする計画。「1拠点を作るのにけっこうなコストがかかる」(高梨氏)そうで、急激に多拠点展開をするという訳ではなさそうだけど、今後全国に同様のスペースを広げていきたいという。

良質なレビューにはトークン報酬、グルメSNS「シンクロライフ」が新バージョンのβ版公開

AIを活用したパーソナライズエンジンによって、ユーザーのレストラン探しをサポートするグルメSNS「シンクロライフ」。このグルメサービスがトークンエコノミーの仕組みを持ち込んで、新たにバージョンアップしたようだ。

シンクロライフを運営するGINKANは8月2日、同サービスの新バージョンのβ版を公開した。

新しくなったシンクロライフでは良質なレストランレビューを投稿したユーザーに対し、報酬として独自のトークン(SynchroCoin)が付与される仕組みなどが追加。トークンエコノミーを活用することで、自律性を持ちながら成長し続けるレストランレビュープラットフォームの構築を目指すという。

なおGINKANでは2017年9月に香港法人SynchroLife LimitedにてICOを実施。今回のβ版は同プロジェクトのロードマップにおいて、最初のマイルストーンとしていたものだ。

シンクロライフは「AIとユーザーが作るレストラン格付けガイド」をコンセプトとしたグルメSNS。各ユーザーごとの食の好みなどを学習し、レストラン検索やフィードをパーソナライズすることで、自分に合ったお店を探しやすい環境を作っている。

同サービスには現在17万件以上のレビュー、42万枚の写真が掲載。全登録ユーザーのうち19.68%のユーザーがレビューを投稿しているという。日本語からスタートしたのち、2017年7月には英語・韓国語・中国語にも対応。世界中で利用できるグローバル版の展開を開始した。今は82ヶ国でユーザー登録、48ヶ国でレビュー投稿がされているそうだ。

そして冒頭でも触れた通り、今回の新バージョンでは従来の仕組みにトークンという概念やウォレットという機能が加わることになる。

シンクロライフでは現在のレビュー貢献度のスコアをより合理的なアルゴリズムへとアップデートするとともに、良質なレビュー投稿者がSynchroCoinをインセンティブとして受け取れる仕組みを導入。レビュー、翻訳、レストラン情報の作成や更新などへ報酬が提供されるようになる。

この報酬制度はレビュアーの信頼スコアが反映される構造のため、しっかりと機能すれば不正やレストランから依頼を受けて投稿することを抑制し、健全なグルメSNSを育てることにも繋がりそうだ。

また今回全てのユーザーが利用可能な暗号通貨ウォレット機能も追加。報酬として受け取ったSynchroCoinが管理できるほか、ETHを始め様々な暗号通貨を追加予定とのことだ。

なお今後加盟店で飲食をした場合に、食事代金から還元リワードとしてSynchroCoinを受け取れる仕組みを展開する計画。トークンを受け取る際にもこのウォレット機能を利用することになるという。

当然ながら細かい機能や特徴に違いはあると言えど、レストランのレビューを投稿したり美味しいお店を検索できるプラットフォーム自体は「食べログ」や「Retty」などを含め複数存在する。

ただ今回のシンクロライフの取り組みはとてもユニークかつ興味深いものではないだろうか。アプリを見ている限り、2018年冬以降にはSynchroCoinをレストランの食事券と交換したり、食事代金の決済で利用したりできるような仕組みも予定しているようだ。

これは勝手な想像だけど「レビューを投稿して獲得した報酬を使って新しいレストランで食事を楽しみ、そのレビューを書いてまた報酬を手にする」といった新たな経済圏のようなものが誕生する可能性もありそうだ。

実名グルメサービス運営のRettyがWiLなどから11億円の資金調達、月間ユーザー数は2000万人突破

Facebookアカウント連動による実名グルメサービス「Retty」を運営するRetty。同社は7月28日、WiL、ABCドリームベンチャーズ、既存投資家(EIGHT ROADS VENTURES JAPAN)を引受先とした約11億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。またRettyではあわせて、MAU(月間ユーザー数)が5月に2000万人を突破したことも発表した(2016年7月時点で2200万人)。

Rettyでは今回の資金調達を元に、開発者の確保やオフィス環境整備を行うほか、サービス改善や規模拡大を進める。

ちょうど1年前に開催した戦略説明会で月間ユーザー数1000万人と発表していたRetty。Retty代表取締役の武田和也氏によると、その後も1カ月に約100万人ペースでユーザーを増やしてきているという。口コミの投稿数は80万店・270万件で、「口コミが一定の数になって、(ユーザー増加の)カーブが大きくなってきた」(武田氏)という。また都内が中心だった口コミも、大阪や名古屋、福岡、札幌など地方都市でも増加しているという。ユーザーの属性は20代〜50代だが、中心となるのは30代。各種競合サービスと比較しても若い世代が利用しているという。

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このユーザー数増加の原動力は何か? 武田氏は流入経路の割合を非公開とした上で、「SEOの割合は大きい」と語る。またスマートフォン(ウェブ、アプリ含む)とPCで比較すると、スマートフォンからのアクセスが7割になっているという。同社では年内にも月間ユーザー数3000万人を目指す。

Rettyではナショナルクライアント向けのブランディング広告と店舗向けの集客支援サービスでマネタイズを進めている。売上は両事業で「ちょうど半々くらい」(武田氏)な状況だが、近い時期にも単月黒字化する見込みだという。「集客支援事業もユーザー数が1000万〜1500万人を超えた頃から認知も広がって伸びてきた。競合サービスに追加して導入を決めてもらっているイメージ」(武田氏)