マイクロソフトの新しいFamily Safetyアプリで子供たちのスマホ、PC、Xboxの利用状況をまとめて管理

Microsoft(マイクロソフト)の新しいスクリーンタイム兼ペアレンタルコントロールアプリであるMicrosoft Family Safetyが、米国時間7月28日からiOSとAndroidで一般に利用可能となった(Microsoftリリース)。実はすでに今春の初めに、同様の機能のプレビュー版がリリースされていた(Microsoftリリース)。このアプリは、保護者が子供の実際の利用時間を詳しく把握して、制限を設定したり、利用可能時間のスケジュールを作成したりできるようにするもの。また、ウェブアクセスに関しても境界を設定したり家族の居場所を追跡するなど、さまざまな機能を備えている。

画像クレジット:Microsoft

このアプリは、他のペアレンタルコントロール技術と競合する。iOSやAndroidに最初から組み込まれているものも例外ではない。ちなみにAndroidのものは、Family Linkという独立したアプリとしても利用できる。競合する他社のものと同様、マイクロソフトのFamily Safetyもすでに同社の製品やサービスのエコシステムにどっぷりと浸かっている人に対して効果が大きい。マイクロソフトの製品でいえば、Windows 10のパソコンやXboxを使っている人だ。

他の多くのスクリーンタイムアプリと同様に、Family Safetyでも子供が実際に画面を見ていた時間のログを表示できる。その内訳にはWindowsパソコン、スマホ、Xboxといったデバイス単位だけでなく、ウェブサイトやアプリごとに費やした時間も含まれる。また、子供がオンラインで検索した言葉を表示することも可能だ。

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保護者と子供には、電子メールで毎週レポートが送信される。スクリーンタイムの健全な利用について話し合うことを促すためだ。このあたりは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行前から、すでに微妙な問題だった。それが今、子どもたちは自宅にいながら授業を受け、何時間もゲームをしながら夏休みを過ごそうとしている。その一方で、保護者はなるべく子供の世話をせずに仕事をしようとしている。状況はさらに複雑なものになっているのだ。

保護者も、以前であればスクリーンタイムなど、まったく気にしないでいることもできたかもしれない。子供に自由にさせておくことで平和な日々が過ごせるなら、それでよいと。ところが、家に居続けるのことが当たり前になると、どれくらいのスクリーンタイムなら健全で、どれくらいなら多すぎるのか、ということを多くの家庭で気にし始めた。

この新しいアプリでは、Xboxを含むあらゆるデバイスに適用されるスクリーンタイムの上限を保護者が設定できる。細かく設定することで、オンライン学習用の教育用アプリへのアクセスは許可しながら、例えばゲームなど、他のアプリのスクリーンタイムを制限することも可能だ。設定された時間を使い果たすと、子供は保護者に延長を要求できる。保護者はそのつど要求を受け入れるかどうかを選べる。

一方、ウェブフィルタリング機能についてはWindows、Xbox、Androidで利用可能なマイクロソフトの新しいブラウザであるMicrosoft Edgeを利用する。このブラウザを使えば、保護者は検索フィルターを設定することで、成人向けのコンテンツをブロックできる。また他にも、子供が成人向けのゲームやアプリをMicrosoftストアからダウンロードしようとした際に、保護者に通知するコンテンツ管理機能も利用できる。

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さらに保護者は、子供のリクエストに対して承認を与えるようにすることで購入を管理できるので、後になって請求金額に驚くようなこともない。

さらに、このアプリには家族の位置情報共有機能も組み込まれている。つまりLife360のような家族の位置確認アプリを別途インストールしなくても、基本的な位置追跡機能を利用できるのだ。家族の居場所を地図に表示したり、お気に入りの場所として「自宅」を設定したりもできる。

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マイクロソフトは、プレビュー期間以降にアプリの機能を増強して特定のアプリをブロックしたり、そのブロックを解除できる機能、位置情報をまとめる機能などをいくつか追加した。またスクリーンタイムの延長を許可する際のオプションも15分、30分、1時間、2時間、3時間といったように、細かく設定可能となった。アクセシビリティに関する機能も更新され、視力が弱いユーザー向けにコントラストを強くする機能の改善や、スクリーンリーダー用のコンテキストの追加など、いくつかの強化が見られる。

とはいえFamily Safetyの機能は、購入管理やウェブフィルタリングなど、部分的にiOSやAndroidに組み込まれたものに及ばない点があることにも気付くだろう。しかもiOS版では、スクリーンタイムの追跡機能は動作しない。Apple(アップル)がそのためのAPIを用意していないためだ。アップルでは、独自のスクリーンタイム機能を提供し、それと競合するようなアプリを閉め出す方針を取っている。

こうしたことは、プラットフォームを持っている会社がそれぞれ独自のOSとエコシステムにユーザーを囲い込み、自社製デバイスのみを購入して使用するよう顧客に奨励しているために起こる。残念ながらその結果、さまざまなメーカー製のデバイスを利用している家庭、例えばXboxでもゲームを楽しむiPhoneユーザーや、パソコンとしてはMacを使っているAndroidユーザーなどがいる家庭では、1つですべてのデバイスを管理できるツールが存在しないことになってしまう。

マイクロソフトはFamily Safetyをリリースした後、すぐに2つの新機能をにロールアウトすると発表している。位置情報によるアラート機能と、主に10代のドライバーを対象とした安全運転のための機能だ。これらは、有料のMicrosoft 365 Familyのサブスクリプション(今のところ日本では利用できない)の一部として提供される。

新しいFamily Safetyアプリは、iOSAndroid向けに無料でダウンロードできるようになっている。段階的なロールアウトなのですぐにはアプリにアクセスできないかもしれないが、今週中くらいには利用可能となるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトがペアレンタルコントロールにアプリごとの時間制限を追加

米国時間10月8日、Microsoft(マイクロソフト)はペアレンタルコントロールのソフトウェアに、アプリやゲームごとの利用時間の制限を設けた。この点でアップルとグーグルに差をつけられていたが、追随した形だ。マイクロソフトは、Windows 10とXbox One、そしてAndroidではMicrosoft Launcher経由でスクリーンタイムを制限できるようにしていた。しかし競合他社とは異なり、子供が特定のアプリやゲームに費やす時間を制限する機能はまだ実装していなかった。

これまでのコントロール機能で制限していたのは、画面を見ている時間の合計だけだった。保護者は、その時間の使い方は子供に任せるか、デバイスレベルで制限するか、どちらかを選ぶことができた。例えばXboxの使用は1時間だけで、PCはもっと長時間使っていいというような制限だ。

しかし、スクリーンタイムをすべて非生産的で不健康なものとして管理するのは、現在のトレンドではない。中毒性が高く子供の時間を食いつぶしてしまうアプリやゲームを制限し、その一方で教育に役立つツールにはあまり制限を設けないという方向になっている。

ティーンエイジャーやその少し下の世代では、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアアプリが問題になりやすい。さらにその下の世代ではRoblox(ロブロックス)やFortnite(フォートナイト)といったバーチャルな世界に「入りびたる」ものに熱中して時間を使ってしまう。これはかなり深刻な問題だ。モバイルゲームは、ガチャのようなギャンブル性のある方策で子供たちを引きつけようとしていると非難されている。フォートナイトは、スロットマシンのようなメカニズムと変動制の報酬が子供の脳に悪影響を及ぼし、中毒性があるとして、訴訟を起こされている。

問題となりそうなアプリ自体を制限するのでなければ、子供は設定されたスクリーンタイムのすべてを夢中になっているアプリやゲームに費やしてしまうだろう。

アップルはiOS 12ですでにアプリごとにスクリーンタイムを制限できるようにしていた。グーグルは9月にファミリーリンクソフトウェアをアップデートし、新しいAndroidデバイスにプリインストールして、同様の機能を実現している。

今回のアップデートで、マイクロソフトでも同等のことができるようになった。

アプリやゲームの制限を保護者が設定すると、Windows 10、Xbox、Microsoft Launcherが動作しているAndroidデバイスのすべてにわたってその制限が適用される。つまり子供は、デバイスを変えても決められた時間以上はゲームをすることができない。

保護者は、例えば週末は平日より長く使えるようにするといった設定もできる。

この機能を使うには、保護者はファミリーグループと子供用のマイクロソフトアカウントを作成する必要がある。

この設定を有効にすると、制限時間の15分前に警告が表示され、さらに5分後に警告される。子供は「あともうちょっとだけ」とおねだりしがちなので、保護者は自分のAndroidスマホでメールかMicrosoft Launcherの通知を見て、時間の延長を許可するかどうかを簡単に決められるようになっている。

アプリごとの時間制限は、マイクロソフトのファミリー設定でプレビュー機能として公開されている。

マイクロソフトは発表の中で次のように説明している。「我々の最終的な目標は、アプリやゲームを制限する機能を、家族ごとに異なるニーズに応じて柔軟にカスタマイズできるツールにすることだ。何が子供に最適かを知っているのは保護者だ。テクノロジーがその代わりになれるわけではない。しかし我々は、このようなツールが適正なバランスを保つために役立つことを願っている」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルがスクリーンタイム監視アプリ削除の正当性を主張

Apple(アップル)は、App Storeから一部のペアレンタルコントロールアプリを削除したことに関して新たな声明を発表し、正当性を主張した。

同社は、親が子供のスクリーンタイムをより強くコントロールすることを謳った一部のアプリを削除したとして、非難を浴びているが、Appleはそれらのアプリがプライバシーに立ち入りすぎるテクノロジーを利用しているためだと説明した。

「最近当社はいくつかのペアレンタルコントロールアプリをApp Storeから削除したが、理由は単純であり、それらのアプリユーザーのプライバシーとセキュリティーを危険に曝すからだ。なぜ、どうやってこれが起きたのかを理解することが重要だ」と同社は声明で述べた。

問題の核心は、同社がApp Storeから削除したペアレンタルコントロールアプリが使用していたモバイルデバイス管理(MDM)技術にある、と同社は言った。

このデバイス管理ツールは、端末ユーザーの位置情報、利用しているアプリ、メールアカウント、カメラの許可状況、閲覧履歴などの制御とアクセスをサードパーティーに与える。

「当社は非エンタープライズ・デベロッパーによるMDMの利用について2017年に調査を始め、2017年中頃にその結果に沿ってガイドラインを改定した」と同社は言った。

Appleは、企業が社有デバイスや内部データを監視する目的でこの技術を使うことは正当な利用方法であることを認めているが、パーソナルな消費者向けアプリがユーザーの端末にMDMをインストールすることは、明確なApp Storeポリシー違反であると言った。

Appleは該当するアプリデベロッパーに対してApp Storeガイドラインに違反している旨を知らせ、App Storeから削除されないために30日以内にアップデートを提出するように伝えた。

Appleがスクリーンタイムアプリに関してデベロッパーに警告していたことは昨年12月にTCが報じている

「何社かのデベロッパーはポリシーに沿うようアプリを改訂するアップデートを発行した」とAppleは声明で言った。「それ以外のアプリはApp Storeから削除された」

Appleが目を光らせるサードパーティ製スクリーンタイムアプリ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

幼児のモバイル端末使用は成長を妨げる、との研究結果

あまり驚きではないニュースだろうが、それでも多くの人に注意を促すものだろう。モバイル端末を頻繁に使用する2〜5才の幼児は発達スクリーニングテストの点数がよくないことが研究で明らかになった。その根拠は明白だ。子どもがスクリーンを前にしているとき、基本的なスキルが身に付くはずの話す、歩く、遊ぶということをしないからだ。

幼少時のモバイル端末使用の賛否についてはかなりの議論が展開されていて、微妙なテーマではある。これはまた、子育てにも通じる話だ。多くの人にかかわることであり、根拠のない話が広まっている。しかし今回のような研究に基づいて考えるべきだろう(もちろん、研究結果についても分析しなければならない)。

今回の研究は、カルガリー大学の心理学者が成長期にある子どものスクリーンタイムが基礎的なスキルにどう影響するか、2才、3才、5才時点にフォーカスして調べた。そしてその論文を専門誌JAMAに今日発表した。研究では、親など子どもの面倒をみる人が子どもの平均的なスクリーンタイムを報告し、運動能力やコミュニケーション能力についての一般的な質問に答えた。

結果にはかなり明白な相関関係が示された。

2才でスクリーンタイムが多かった子どもは3才時点での発達スクリーニングテストの成績は芳しくなく、3才でスクリーンタイムが多かった子どもは5才時点での発達スクリーニングテストの点数が低かった。

重要なのは、影響は双方向的のものではなく、多義のものでもなかったことだ。つまり、スクリーンタイムが多い子どもは通常においてスコアが低いが、スコアが低い子どもが必ずしもスクリーンタイムが多いとは限らない。これは、スクリーンタイムがテストの点数を下げるという仮説を支えるものとなる。

正確なメカニズムは現データでは分析できないが、筆頭著者のSheri Madiganはまったく謎ではないと考えている。

「子どもの体の発達、そして認知の発達を促すようなポジティブな刺激の多くは、面倒をみる人とのやりとりから得られる」とMadiganはカルガリー大学のニュースリリースで述べている。「子どもが端末を使っていると、こうした重要な親と子どものやりとりが起こらない」。

しかもそれだけではない。論文ではより詳細に説明されている。

幼い子どもがスクリーンをみるとき、子どもは対人関係や運動、コミュニケーションのスキルを訓練して習得する重要な機会を逸してしまう。たとえば、子どもたちがインターラクティブな、あるいは肉体的な要素を伴わずにスクリーンをみていると、子どもたちは座りがちになり、ゆえに歩いたり走ったりという運動能力が鍛えられない。これが運動能力の発達の遅れにつながる。端末の使用はまた、理想的な成長や発達に不可欠の言語的・非言語的な社交の機会を制限することで面倒をみる人とのやりとりを妨げる。

これに対する反論を見つけるのは難しい。スクリーンタイムは単に悪いというものではない。そして多くの人が、端末はどこにでもあり避けられないものだと指摘してきた。そこで問題は「使わせるべきか、使わせないべきか」ではなく「どれくらい使わせるか」になる。

スクリーンタイムの質の善悪の区別、そして有益かどうかの区別については議論があるが(研究では区別されなかった)、より洗練された方法で端末を使用できる年のいった子どもについては、そうした区別は適用できる。幼い子どもについては、基本的なスキルを発達させるようなアクティビティに多くの時間を費やした方がいい、ということを否定するのは難しい。

参考までに、研究対象となった子どものスクリーンタイムは1日あたり平均2〜3時間だった。しかし、どれくらいの時間だったら大丈夫か、あるいは有害かを示すものはなかった、というのは記すに値するだろう。「残念ながら我々が行なった統計分析ではその“境目”を引き出すことはできない」とMadiganは私に送ってきた電子メールで述べた。「我々の今後の研究で重要なポイントとなるだろう」。

だから、子どもの目にふれることがないよう端末を全て隠し、あなたが食事を終えるまでなんとかもう30分子ども番組のDoraでごまかせるかどうかを心配しなければならないようだ。この裏の意味は、スクリーンタイムが本質的に悪いものであるということではなく、発達期には不可欠な“質の高い大人と子どものやりとり”を端末に置き換えるのはリスクを伴うということだ。それゆえに、解決策というのは、必ずしもスクリーンタイムを抑制するということではなく、より多くの良い時間を子どもと過ごす、ということになる。

親にアドバイスをおくる、というのはテックブログの範囲外のことではある。しかし姪や甥を持つ叔父として、そして人間として、端末ベースのコンテンツを通常の遊びに統合する素晴らしい方法があると言って差し支えないと私は考えている。実際、多くの企業がこの可能性を追求している。

もしMinecraftで兄弟と協力している子どもであれば、ゲームをすることはコミュニケーションにマイナスの影響を与えてはいない。そうではないだろうか。もしくは、コミュニケーションや新たなチャレンジを促すようなポジティブな方法で番組を観るとしたらどうだろう。親はどれが良いのか知っているはずだ。しかしまずは注意を払うことが大事だ。そして、研究で提案されているような良い結果をもたらす端末の使用方法にすることが、端末を子どもに使用させるもう一つの理由となる。

私はこの研究について研究者にいくつか質問をしていて、返事があれば記事をアップデートする。

イメージクレジット: Aping Vision / STS

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

子どものモバイル端末の使用は悪ではない

【編集部注】著者Siri Fiskeは、メリーランド州ベセスダとワシントンD.C.にある少人数教育の学校MYSA Schoolの創設者であり校長だ。

ショッキングなNew York Timesの報道によると、我々が使うテックガジェットをデザインしたシリコンバレーのエンジニアたちは、彼らの子供にはガジェットをいつでもは使わせないのだという。こうしたエンジニアたちはスマホやiPadの長時間使用は子供の脳に悪影響を与えると信じている。Facebookの前従業員の1人は、テクノロジーは“我々の子供をダメにしている”と警告した。

こうした親はリラックスする必要がある。子どもに明け方までソーシャルメディアをブラウズさせるのは良いものではない、というのは事実だ。しかしまた、スマホやiPad、その他のガジェットが家庭と学校の両方においてパワフルな教育ツールであるということも事実だ。

全てのデバイスを悪いものとして禁止するより、親はスクリーンタイムを調整し、ためになる方法で子どもにテクノロジーを使用させるべきだろう。

シリコンバレーや世界中の高等教育を受けたコミュニティの親たちのパニックにもかかわらず、研究ではモバイル端末の使用が子どもにポジティブな影響を与えるかもしれない、としている。スイスの研究者が米国の大学を対象に実施した研究によると、親がスクリーンタイムを厳しく制限する子どもは学校での成績が悪いという。

そして迅速なフィードバックやマルチメディアの特集のおかげで、iPadは素晴らしい読書ツールとなっている。ロンドンのインスティチュート・オブ・エデュケーションの研究者によると、本だけを利用する子どもに比べ、iPadで読書をする子どもはより熱心で協力的、そして積極的に発言する。さらに本、iPadの両方で読書する社会経済的困難を抱える家庭の子どもは、学校での成績がかなり良い傾向にあるという。

スクリーンの使用そのものではなく閲覧する内容が鍵

そうした研究からわかるのは、善悪の鍵となるのはスクリーンそのものにあるのではなく、閲覧する内容にある。Cartoon Networkを2時間観るのと、National Geographicのドキュメンタリーを観るのとはかなり違う。教育的でないコンテンツの閲覧時間を制限したり、ソーシャルメディアを使用禁止にするというのは良い選択肢だ。

学校では生徒をサポートするのに授業を工夫するが、教育者はテックガジェットやアプリを使って学習プロセスをスピードアップすることができる。

初等、中等の生徒がiPadでさまざまな数学ゲームができるプラットフォームDreamBoxを考えてみてほしい。このツールは各ユーザーのためにレッスンをパーソナライズするのに1人の生徒につき1時間あたり4万8000超のデータポイントを集める。似たようなプログラムであるAlgebra Nationは、生徒がどうしたときに壁にぶつかるかを理解するためにクリックパターンを分析し、個人に合ったアドバイスを提供する。

そのような“対応性のある学習”プラットフォームはすでに高等教育においてものすごい結果を出している。コロラド工科大学では、対応性のある学習ツールの活用でコース習得率が27%、最終成績の平均が10%上がった。

教室でのテックの活用で教師はまた、問題を把握して予想する超人的な能力を獲得した。たとえば、ワシントン州スポケーンの学校では、どれくらい集中できているか、社会環境がどれくらい包括的か、どれくらいの頻度であきらめたい気持ちになるかを追跡するために生徒にオンライン調査を行う。そして教育者らは、生徒が教室内外のどういうところでサポートを必要としそうかを理解するためにダッシュボード経由でそのデータを分析する。

10年前は、学校が全ての生徒それぞれの日々の考えや気持ち、取り組んでいることなどを追跡するというのは非現実的だった。教室にテックを取り込むことでそのようなプラクティスがスタンダードになっていて、またそうなるべきだろう。

道理をわきまえていない人は、子どもが常にスクリーンにかじりつくのはいいことだと考え、人とのかかわりをアプリに置き換える。スクリーンの使用は本質的に子どもにとって有害だというのは、馬鹿げている。そろそろ教師や親は、懸念を広めるのをやめ、子どもにワールドクラスの教育を提供するのに最新テクノロジーを活用するときだ。

原文へ 編訳:Mizoguchi)

2018年、ようやく我々はスクリーンタイムを真剣にとらえ始めた

今年初め、私がCatherine Priceによる“How to Break Up With Your Phone”のカバーを見たのは、iPhoneを使ってAmazon上で新作をブラウズしていたときだった。私はそれをKindleにダウンロードした。というのも、私は純粋にスマホ使用時間を減らしたかったからだ。しかしそれはまた、スマホと決別することについて書かれた本をスマホで読むのはおかしいと考えたからだ(バカでしょ、わかってる)。しかしながら何章か読むうちに、私はPriceがお勧めしているスクリーンタイム追跡アプリMomentをダウンロードするべきだと考えた。そしてこの本を印刷された本として再購入した。

“How to Break Up With Your Phone”の初めの部分で、Priceは読者にDavid Greenfieldによって作成されたSmartphone Compulsion Testを受けるよう呼びかけている。David Greenfieldはコネチカット大学で精神医学の教授を務めていて、Center for Internet and Technology Addiction(インターネット・テクノロジー中毒のためのセンター)も立ち上げた。テストには15の質問があり、しかし私は最初の5問を答えるだけで壁にぶち当たった。公にするのはためらわれるのだが、屈辱にもかなりのハイスコアで、私はスマホ使用を短くすることに真剣に向き合うことを決めた。

Priceの本の中でも、“Putting the Dope in Dopamine” という章が私が最も共感するものだった。彼女は「電話やほとんどのアプリは、我々が十分に使用したときでも“流れを止めること”がないように故意的にデザインされているーこれが、ふとしたことから簡単に度を過ぎてしまう理由だ。あるレベルで我々は、自分たちがしていることはひどい気分にさせている、と気づく。しかし、使用を止める代わりに、我々の脳は解決策はより多くのドーパミンを模索することだと決めつける。そして我々は再びスマホをチェックする。そしてまたチェックする。その繰り返しだ。

ひどい、というのはまさしく私が感じていたことだ。私が最初にiPhoneを購入したのは2011年のことだ(その前にはiPod touchを持っていた)。それは、私が朝まず一番に見るものであり、夜最後に見るものでもあった。それは、仕事の状況を確かめるため、と言うこともできるが、実際には自動的なものだった。もし、頻繁にスマホに注意をひきつけられていなかったら過去8年間に自分が何を成し得ただろうと考えると不安な気持ちになる。また、脳のフィードバックループがどうなっていたかとも思う。砂糖が好みを変えてどんどん甘いものが欲しくなるというふうに、私は増えるばかりのスマホ使用が、本当の喜びや満足というものを感じる能力を失わせてしまうのではないかと憂慮した。

Priceの本は2月に出版された。テック企業が最終的に長すぎるスクリーンタイムについて責任がある(少なくとも、言葉だけでなく何かしら行動を伴う対策をすべき)と認識し始めたと思われる今年初めのことだ。iOS 12でスクリーンタイムが導入されたのに加えて、AndroidのデジタルウェルビーイングツールFacebookInstagram、そしてYouTubeもユーザーが何時間そのサービスやアプリを利用したか追跡できる機能を立ち上げた。

今年初め、Apple株を保有する有力な投資家もまた、Appleに対し同社のデバイスが子どもにどのような影響を及ぼしているかに関心を払うよう要求した。Appleへの書簡で、ヘッジファンドJana Partnersとカリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)は「オリジナルクリエイターの多くが公にしているように、iPhoneとiPadがデフォルトゲートウェイとしているソーシャルメディアサイトとアプリは通常、中毒になるよう、そして可能な限り時間を潰すようにデザインされている」とし、さらに「子どもの親にこうした問題に対処するよう尋ねるのは非現実的で、満足するような長期的ビジネス戦略とはいえない」と書いている。

累積する研究データ

そして11月、ペンシルベニア州立大学の研究者は重要な新レポートを発表した。このレポートは青年期層におけるソーシャルメディアの使用と鬱を関連づけている。心理学者Melissa Huntが率いたこの実験研究では、大学が貸与したiPhoneを手にした143人の学生を3週間にわたってモニターした。学生は2つのグループに分けられた:1つのグループはFacebookやSnapchat、Instagramといったソーシャルメディアの利用時間を1日あたり10分に制限するよう指示された(彼らのiPhone使用状況はiOSバッテリー使用をチェックすることで確認された)。もう一つのグループは普段と同じようにソーシャルメディアの利用を続けた。研究の初め、まずは鬱、不安、社会的サポート、他の問題を測る標準的なテストが行われ、それぞれのグループは実験期間を通してテストによる評価を受けた。

専門誌Social and Clinical Psychologyに発表された結果は驚くべきものだった。研究者らは「使用を制限されたグループは、もう一つのグループに比べ、3週間にわたって孤独感や気分の落ち込みの大幅な減少を示した」と書いている。

ソーシャルメディアの使用を完全に制限されたわけではなかったにもかかわらず、コントロールされたグループは恩恵を受けた。「どちらのグループも、最初に行なった評価テストでみられた心配や不安について著しい低減がみられ、これは自己監視の高まりの効果を意味している」と研究はまとめられている。「我々の研究でわかったことは、1日30分ソーシャルメディアの使用を減らすことで健康面で明らかな改善につながる、ということだ」。

今年発表された他の学術研究でも、スマホやモバイルアプリがユーザーの心身の健康に著しい害を及ぼすという、いくつもの証拠を示している。

プリンストン大学、ダートマス大学、テキサス大学オースティン校、そしてスタンフォード大学の研究者らは、写真やビデオ撮影を含むスマホの使用が記憶の形成能力を低減させているという研究結果を専門誌Journal of Experimental Social Psychologyに発表した。また他の研究は、スマホをベッドルームから遠ざけることや、仕事中に机からも遠ざけるよう注意喚起している。トレド大学の視覚研究者は、デジタルデバイスが発するブルーライトが網膜で分子レベルの変化を引き起こし、黄斑変性を加速させる可能性があるとしている。

だから過去12カ月、私はスクリーンタイムを減らすのに、十分すぎるほどのモチベーションを持っていた。実際、私は携帯でニュースをチェックするたびに、スマホ使用にかかる危険についてのヘッドラインを目にしていた。私は、自身の累計スクリーンタイムを追跡するため、そしてそのスクリーンタイムがアプリごとにどうなっているのかを追跡するのにMomentの使用を開始した。私はMoment内のコース2つ、“Phone Bootcamp”と“Bored and Brilliant”を使った。また、このアプリで毎日のスマホ使用時間制限を設け、その日それまでにどれくらいの時間をスマホに費やしているかを通知する“小さなリマインダー”をオンにした。そして“Force Me Off When I’m Over” (制限を超えた時は強制終了する)機能も使った。この機能は、その日の制限を超えたときにスマホをオフにするというもので、基本的にあなたを悩ますものとなる。

最初、私はなんとかスクリーンタイムを半分にすることができた。Priceの本に書かれていたような、注意力が持続するようになるなどメリットのいくつかは出来すぎた話だと考えていた。しかし私は、スマホ使用を制限し始めてわずか1週間後に自分の集中力が実際かなり改善しているのに気づいた。私は長文の記事をよく読み、テレビ番組をいくつか観て、幼子のためのセーター編みを終わらせた。さらに重要なのは、自分の時間の費やし方について1日の終わりに感じていたしつこい感覚が消えたことだ。なので私は、それ以降、クリックベイトややり直しのレッスンなどで自分の人生を浪費していない、という心地よい認識の中で幸せな時間を過ごした。

冗談だ。

数週間もすると、私のスクリーンタイムは増え始めた。最初に私はMomentの“Force Me Off”機能をオフにした。なぜなら私のアパートは電話線をひいておらず、夫からのテキストメッセージをチェックできるようにする必要があったからだ。小さなリマインダーは継続していたが、徐々に無視するのが簡単になった。特に考えもなくInstagramやRedditをスクロールしさえし、私は自分の人生のいい時間の誤った使い方をしているという、実存主義の恐怖を感じた。スクリーンタイムを制限するのはなぜ難しいのだろう。

スマホをやめる方法を知っていたらよかったのに

私はMomentのCEO、Tim Kendallに識見を求めて尋ねることに決めた。UIデザイナーでありiOSデベロッパーのKevin Holeshによって2014年に設立されたMomentはつい最近、Androidバージョンも立ち上げた。スクリーンタイムを減らすためのForestFreedomSpaceOff the GridAntiSocialApp Detoxなどを含むこの分野で、Momentは最も名の通ったものの一つだ。

Kendallは、私に悩んでいるのはあなただけではないと告げた。Momentはユーザー700万人を抱えていて、「過去4年、平均スマホ使用時間は毎年増えている」と彼は語る。全データをみることで、MomentのチームはMomentのツールやコースがユーザーのスクリーンタイムを減らすのに効果があることを把握している。しかし、多くの場合で、スクリーンタイムが増え始める。新たな機能でその問題に対処するのが、来年のMomentのゴールの一つだ。

「我々は、こうしたカテゴリーに入る人々をいかにして手助けするか模索するため、R&Dにかなりの時間を費やしている。彼らはPhone Bootcampを実践し、いい結果を得て、メリットを実感する。しかしどうやってそれを維持するかを理解できないのだ」とKendallは話す。Momentはすでに新しいコースを定期的にリリースしていて(最近のテーマは睡眠、集中する期間、家族の時間だ)、最近では購読制の提供も始めた。

「習慣と長く続いた行動を変えるのは本当に難しい」とKendallは言う。Kendallは以前Pinterestの代表を務め、Facebookでは収益化を担当するディレクターだった。しかし彼は楽観的だ。「これは扱いやすい問題だ。人々は実行できる。成果はかなり大きいと考えている。我々はこれらのコースを継続し、人々を手助けするために多くの異なる方法の開拓も行なっている」。

ヘッジファンドJana Partnersとカリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)は手紙の中で、特に重要な問題は絶えずデバイスにアクセスできるティーンエイジャーと若年成人で構成される第一世代がいかに過度なスマホ使用で影響を受けているかだ、と述べている。Kendallはティーンエイジャーの自殺率が過去20年間で劇的に増えたと指摘し、ペンシルベニア州立大学の研究にみられるように、スクリーンタイムと鬱の関連性はすでに何年にもわたって取り上げられている。

しかし希望はある。Kendallは、スマホ使用時間を減らすために毎日のエクササイズを提供するMomentのコーチ機能が特にミレニアル世代で有効のようだ、と話す。この世代は、病的にスマホから離れられない場合が多い。「20代、30代というのはコーチを取り込むのにさほど苦労はしないようで、それゆえに40代、50代よりもスマホ使用を減らしている」と話す。

Kendallは、Momentがスマホ使用について「使用するか、しないか」と位置付けているわけではないと強調する。そのかわり、彼は人々がソーシャルメディアのような脳にとってのジャンクフードとなるものを、オンライン語学コースや瞑想アプリのようなものに置き換えるべきと考えている。「慎重なスマホの使用は、手にするものの中で最も素晴らしいことの一つだと本当に考えている」と話す。

私は、自身のスマホ使用のほとんどを制限し、Kindleのようなアプリにかえようと試みたが、最もいい解決策は自分自身の気が散らないようオフラインの選択肢を探すことだった。たとえば、私は新しい編み物とかぎ針編みのテクニックを試みた。これは、スマホをもちながらこうしたことはできないからだ(ポッドキャストやオーディオブックは聞いたが)。また、これはスマホを離れた時間を触覚ではかることにもなる。というのも、スクリーンタイムをカットするこの時間は編み物で完成させる列の数に関係するからだ。特定のアプリの使用を制限するために、私はiOSのスクリーンタイムに頼った。しかしながら、“Ignore Limit(制限を無視する)”をタップするのは本当にたやすく、私はMomentの機能に頼り続けている。

いくつかのサードパーティのスクリーンタイム追跡アプリデベロッパーは最近、Appleのより精密な調査対象となっていることを認識しているが、KendallはScreen Timeの運用開始はMomentの事業やサインアップにさほど影響していない、と述べている。Androidバージョンの立ち上げではまた、新たなマーケットを切り開いている(Androidでは、タイマーをセットしている間は特定のアプリにのみアクセスできるなど、iOSでは展開できていない新機能を加えることができた)。

iOSのScreen Timeの短期的な影響は「ニュートラルだが、長期的には有用だと考えている」とKendallは話す。「長期的には注意を喚起するのに役立つ。ダイエットの例になぞらえていうと、Appleは素晴らしいカロリー計算機とスケールを作った。しかし、残念ながら彼らは栄養のガイドラインや摂生方法を提供していない。もし行動の経済学者に話をする機会があれば、数字は人々のモチベーションにはつながらないことがわかる」。

罰を与えるのも、少なくとも長期的にはうまくいかない。なので、Momentでは“同情的な声”手法をとっている、とKendallは語る。「これは我々のブランドや会社、気風の一部だ。もしユーザーが我々のプロダクトを使用した時に審査されていると感じれば、我々がユーザーの役に立つとは思えない。ユーザーは自分たちがケアされ、そしてサポートされていると感じる必要があり、そして彼らはゴールは完璧さではなくゆるやかな変化だということも知っている」。

多くのスマホユーザーがおそらく私と同じような状況にあるだろう:スクリーンタイムによってアラームが鳴り、無駄にした時間について不機嫌になり、しかしまたデバイスを手放すことはとても難しいと感じている。我々は注意をそらしたり、ソーシャルメディアの「いいね」で興奮したりすためだけにスマホを使っているわけではない。仕事を管理したり、友達と連絡を取り合ったり、予定を立てたり、本を読んだり、レシピを調べたり、面白い場所を探したりするのにスマホを使う。私はこれまで何回もYondrのバッグ購入や、夫に私のスマホを隠すようにお願いしたりすることを考えた。しかし、それらが究極的な解決策にはならないことを知っている。

安っぽく聞こえるかもしれないが、変革の勢いは内側から出てこなければならない。大量の学術論文、スクリーンタイムアプリ、分析どれもそれにとって代わることはできない。

私が自分自身に言い聞かせていることは、デベロッパーが我々ユーザーに行動を改めることを強制するような方法を見つけるか、モバイルコミュニケーションにおいて大きなパラダイムシフトが起きるかしなければ、私のスマホとの関係性は堂々巡りだろう、ということだ。時々私は自分のスマホ使用についてハッピーになり、それから堕落し、そして別のMomentのコースをとるか、新たなスクリーンタイムアプリを試して、願わくば元の軌道に戻る。しかしながら、2018年、スクリーンタイムはようやく、是が非でも急を要するものだと認識されるところとなった(そしてその間私は、親指で#knittersofinstagramとタイプするだけの代わりに、実際にいくつかの編み物を完成させた)。

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(翻訳:Mizoguchi)