食事の写真からカロリーや栄養素を自動算出、健康管理アプリ「カロミル」が約6000万円を調達

AIを活用した健康管理アプリ「カロミル」を運営するライフログテクノロジー。同社は5月14日、電通サイエンスジャム(DSJ)、CSAJファンドFFGベンチャービジネスパートナーズを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

ライフログテクノロジーでは2018年1月にもDG Daiwa Venturesが運営するDG Labファンドから資金調達を実施。これらを合わせた総額の調達額は約6000万円になるという。

調達した資金により組織体制を強化し、AIの精度向上や食事データの取得、アスリートや疾病向けなどの新規事業開発に取り組む方針。また出資先であるDSJとは双方が保有するデータや知見を活用した共同研究を進めるべく、業務提携も始める。

スマホで食事を撮影すれば、カロリーや栄養素が自動で測定

カロミルは日々の食事や運動のログを、ダイエットや健康管理に活用できるヘルスケアアプリ。カロリーはもちろん、たんぱく質や脂質、糖質など細かい栄養素を残せるのが特徴だ。

栄養素の算出方法は登録されているメニューから選ぶ、自分で計算する、栄養士に分析依頼する(月10 回まで無料で依頼可能)、食事の写真から判定するなどいくつかある。その中でもカロミルが強化しているのが、食事の写真から自動的にカロリーや栄養素を算出する機能だ。

この機能は以前TechCrunchでも紹介したとおり、2017年9月からアプリ内に搭載しているもの。自社開発の食事画像解析AIにより、スマホで撮影した写真を「そもそも食事の画像かどうか」「(食事の場合)具体的なメニューは何か」を2段階で解析。該当するメニューのカロリーや栄養素を算出する。現在は約1000品目の食事メニューを識別でき、識別率は82%ほど。コンビニで販売されている商品やファミレスなど飲食店のメニューも含まれる。

ライフログテクノロジー代表取締役の棚橋繁行氏によると、この機能を搭載したことでユーザーの年齢層や幅が広がったそう。「もともとは特に20〜30代の女性によく使ってもらえていたが、20〜50代の男女であまり差がなくなってきた。いぜんより年齢層が上の人にも使ってもらえるようになったほか、疾病患者の方の利用も広がってきている」(棚橋氏)

現在もこの機能のコアとなる画像解析AIの精度向上に注力しているとのこと。今回の資金調達も、体制を強化しさらに研究開発を進めていくことが目的だ。

食事関連データを軸に事業拡大へ

今回ライフログテクノロジーでは資金調達と合わせて、調達先であるDSJとの業務提携を発表している。今後カロミルを通じて蓄積した食事(栄養素)データと、DSJが解析知見を持つ感性や脳波といった生体信号データの関連性を研究することで、食事がメンタルヘルスや労働生産性に与える影響を探っていく予定。これによってヘルスケア領域で、新たな未病対策や疾病予兆への改善助言なども可能になると考えているそうだ。

また将来的には食事関連データとさまざまなパーソナルログを連携し、マーケティング活用やスポーツ領域での事業展開も見据えているという。

「(自社にとって)食事データが1番コアになる部分で、それを活用した新たな事業展開を進めていく。ただ食事データをメインとしつつも、画像解析技術を軸にその他のライフログデータももっと管理しやすい仕組みを目指している。たとえば血圧や血糖、運動の記録なども写真を撮っておきさえすればデータ化できるようになると、ユーザーの利便性もサービスの可能性も広がる。今後は今まで以上にライフログを貯めていく時代になると思うので、まずはデータを残す煩わしさや手間を(画像解析AIなどの)技術を通じてなくしていきたい」(棚橋氏)

 

AIが作り置きレシピを提案 ― ダイエット支援アプリ「CALNA」に新プログラム

1人暮らし世代のTechCrunch読者の中には、「外食や飲み会が増えたのでお腹まわりが気になってきたが、自炊をして健康的な生活を送るための時間や気力がない」という悩みをもつ人も多いのではないだろうか(僕もその1人だ)。そんな悩みを解決してくれるのが人工知能(AI)アシスタントの「CALNA(カルナ)」だ。

日本のmeuron(ミューロン)が提供するCALNAは、ユーザーが入力した身長や体重などのデータとアンケート診断の結果をもとに、AIがユーザーに最適なダイエットメニューを提案してくれるというアプリ(2016年10月のリリースはTechCrunch Japanでも紹介している)。

当初からCALNAはユーザーの目的に合わせていくつかのダイエットプログラムを用意する計画だった。リリース時から提供している「外食中心ダイエットプログラム」では、大手コンビニや飲食チェーン店(「ガスト」などのホームレストランや「ほっともっと」などの弁当チェーン)など、計13店舗のメニューをデータベース化しており、約700万点あるメニューから適切な組み合わせを提案してくれる。

そのmeuronは3月13日、これまで提供していたプログラムに加えて、CALNAに「あっという間の作り置きプログラム」を追加すると発表した。

平日は自炊する時間はなくても、「休日ならばできるかも」という人も多いだろう。平日に食べるご飯を休日にまとめて作り置きしておけば、より健康的な生活も送りやすい。

この新プログラムでは、レンジで簡単につくれるレシピなど、1品あたり5〜10分で調理できる作り置きレシピを毎月配信する。月額480円でレシピ本1冊分のボリュームのあるコンテンツが配信されるようだ。レシピの幅も広く、カレーやシチューなどの定番作り置きメニューだけでなく、ハーブチキンや魚を使ったメニューなどもあるそうだ。

なお、既存の「外食中心ダイエットプログラム」は今後も無料で提供を続けるとのこと。

新プログラム開発の背景について、meuron代表取締役の金澤俊昌氏は「CALNAを利用するユーザーから『簡単にできる自炊のプログラムを作ってほしい』という要望があったのがきっかけでした。また社内からの意見でも、『すべての食事を外食で済ませるダイエットユーザーはいないよね』という声もあり、ユーザーが簡単に調理可能で、かつ作り置きができる料理に特化したプログラムを開発することに決めました」と語る。

料理レシピを見るだけならクックパッドでも事足りる。しかし、あくまでも「作り置き」にフォーカスしたこの新プログラムでは、ユーザーの好みを学習したAIが何品分ものレシピをまとめて提案し、それをすべて考慮したうえで作業工程を最適化。買い物リストや調理手順まで教えてくれる。西澤氏は、「料理を何品も作るときには、例えば5品分の野菜をまとめて切って、つぎに野菜を切ってという作業になる。CALNAでは、そういった『まとめて作る』という作業工程をシステム側で再設計することで、『料理を作る』という体験をアシストすることが目的です」と語る。

リリースから約5ヶ月が経過するいま、CALNAは累計で8万ダウンロードを達成。「リリース当初に比べると、ユーザーの継続率は2倍程度まで伸びている」という(西澤氏)。2014年10月に創業のmeuronは、これまでに累計で1億8000万円の資金調達を完了している。

ミューロンの新アプリ「CALNA」は、コンビニ・外食ダイエットを人工知能でサポートする

ダイエットと言えば専任のトレーナーがついて、毎日の運動量から食事までを管理するというものから、コンビニでおでんを食べるなんてものまでさまざま。だが肝心なのはそれを継続すること。毎日しっかり献立を立てて健康的な食事をとるというのはそんなに簡単なわけではない。meuron(ミューロン)が10月4日にリリースした「CALNA(カルナ)」は、そんなダイエットの課題を人工知能で解決してくれるという。

ユーザーは自身の身長や体重を入力したのち、ダイエットプログラムを選択(現状は体重の2%原料を目指す無料プログラムのみ提供)。さらにアンケートによる診断を行うと、人工知能がユーザーに最適なメニューを毎食提案してくれる。提案されたメニューを食べられない場合は、どれ位のカロリーを摂取するのであればいいかといった情報も表示される。

現在、大手コンビニ(ローソン、ナチュラルローソン、ファミリーマート、セブンイレブン、サークルKサンクス)の商品、飲食チェーン店(大戸屋、ロイヤルホスト、スープストック、エクセルシオール)のメニューをデータベース化。その中から最適なものを組み合わせて700万通りの献立を提供する。

また、提案されるメニューを食べていくことでどれだけダイエット効果があるかという体重予測のデータも提供。さらに人工知能とのチャットを通じて、ダイエットプランの相談や改善などもできるとしている。なおこの体重予測データは、ミューロンがすでに提供中のオンライントレーナーサービスで実際に得たモノをベースにしており、精度も高いという。

ミューロンは2014年10月の設立。代表取締役の金澤俊昌氏は、ヘッドハンターを経てBEENOSに入社。同社でおもに人材面から起業家の支援をしてきたが、その中でCALNAの原型となるプロダクトを開発。BEENOSをスピンアウトしてミューロンを立ち上げるに至った。ミューロンはこれまでにANRI、ベンチャーユナイテッド、BEANOS、BEENEXTおよびエンジェル投資家2人から、合計約1億1800万円の資金を調達している。

「ヘッドハンターをやっていた頃から、『誰がやっても成果を出す』という仕組み作りに興味があった。ハイパフォーマーがやっていることをいかにオペレーションに落とすか。そんなことを考えている中で、ダイエット支援のサービスが盛り上がってきた。だがこれらのサービスはトレーナーに体の管理をしてもらえるのはいいが、月額5万円、10万円とかかる。これをアルゴリズム化して提供できないか考えた」(金澤氏)

「またダイエット始めると、サラダチキンやキャベツといったものだけ食べてしまいがち。ダイエット中でももっと色んなを食べられるのに、それを工夫していくこと自体に負担がかかる。商品データを持ち、システム側でロジックを組んであげれば、自分だけでは発想しないような組み合わせのメニューもできる」(金澤氏)

ミューロンでは今後は有料プログラムをはじめとしたサブスクリプション型の課金サービスや、サプリやレシピの提供などでのマネタイズを検討している。

ミューロンのメンバーら。後列中央が代表取締役の金澤俊昌氏

meuronのメンバーら。後列中央が代表取締役の金澤俊昌氏