顧客データパイプラインを企業戦略向けに拡大するRudderStackが約64.4億円調達

企業が経営分析やマーケティングを改善するための独自データプラットフォームの開発を支援するRudderStackが米国時間2月2日、Insight PartnersがリードするシリーズBのラウンドで5600万ドル(約64億4000万円)調達したことを発表した。これまでの投資家であるKleiner PerkinsやS28 Capitalも、このラウンドに参加し、2019年に創業した同社の総調達額は8200万ドル(約94億3000万円)になった。

データウェアハウスの急激な増大と機械学習の進歩により、企業はデータを有効活用するますます複雑なアプリケーションを作ろうとしている。しかしRudderStackのCEO、Soumyadeb Mitra(スーマイヤデブ・ミトラ)氏から以前聞いた主張によると、顧客データパイプラインの既存のソリューションの多くがマーケティングのチームに売り込むために作られており、企業が今求めている先進的なアプリケーションを作るのが困難なアーキテクチャを使用している。それに対してRudderStackのアーキテクチャは最新のデータスタックの上に置かれ、データウェアハウスをアーキテクチャの核にしている。

画像クレジット:RudderStack

また同社は、市場に別の角度からアプローチしている。ミトラ氏によると「従来的な顧客データプラットフォームはマーケティングの費目になるので、マーケティングに合った形をしている。しかしAmazonのような最先端の企業を見ると、顧客データのインフラストラクチャを作っているのはマーケティングチームではなくて、ほとんどエンジニアリングのチームと、データのチーム、ときにはグロウスのチーです。グロウスチームの中にもデータチームがいて、彼らがインフラストラクチャを作っている場合もある。私たちは、そのやり方を採用しています」という。

過去数年間でRudderStackは、Mitraが「配管工事層」と呼ぶものを整備した。すなわちすべての要素および統合がデータをデータウェアハウスから出し入れする。さらに今後については、チームは今、データのトランスフォーメーションや、ユーザーデータをセグメントに分けてオーディエンスを作るなど、その上に来る機能の構築に専念している。

多くの点でそれはまた、今ではTwilio傘下であるSegmentの最初のビジョンだが、しかしMitraの主張では、彼らのフォーカスは今ではもっぱらマーケティングにある。「私たちでもセグメント化は競合で優位に立つための機能だが、しかしバイヤーがマーケターではなくデベロッパーの場合は、他社との競合でつねに高い勝率を得ている」とミトラ氏はいう。

画像クレジット:RudderStack

ミトラ氏によると、2020年から2021年にかけては、同社の売り上げがおよそ4倍半に伸び、顧客ベースは3倍増した。今の顧客の中には、AllbirdsやWealthfront、Crate & Barrelなどがいる。チームの人員は3倍増して115名になったが、2022年はさらに増やすつもりだ。

新たに得た資金は主に、プロダクトの機能の増強と、市場開拓努力に投じられる。

Insight PartnersのマネージングディレクターPraveen Akkiraju(プラビーン・アキラジュ)氏は、これから彼が取締役会に加わるRudderStackについて次のように述べている。「RudderStackがユニークなのは、顧客データのエンド・ツー・エンドのデータパイプラインが、データウェアハウス向けに最適化されていることです。クラスで最良のアーキテクチャにより、データエンジニアは、複数のチームによるデータサイロの形成を防ぎ、データパイプラインを構築する能力を加速して先進的なアナリティクスと機械学習のユースケースを開拓できます。そのためのラウンドをリードして、Souymadeb(ソウイマデブ)氏と彼のチームがすばらしい顧客データプラットフォームと企業を構築していく仕事に参加できることは、ゾクゾクするような体験です」。

画像クレジット:Mint Images/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

技術者ではないチームに専門知識不要のデータ探索機能を提供するCanvas

Canvasの創業者たち。左からプライド氏、ザパート氏、ビュイック氏(画像クレジット:Canvas)

世の人たちにスプレッドシートを捨てさせようとするスタートアップがある一方で、協調データ探索ツールを開発しているCanvas(キャンバス)は、技術者ではないチームがデータチームの手を煩わせることなしに必要な情報にアクセスできるように、スプレッドシートに似たインターフェースを全面的に採用している。

Luke Zapart(ルーク・ザパート)氏は、Flexport(フレックスポート)の元同僚であるRyan Buick(ライアン・ビュイック)氏ならびにWill Pride(ウィル・プライド)氏とともに2020年末にCanvasを立ち上げた。ザパート氏はFlexportで働いていた際にデータ検索で苦労を重ねた経験から、Canvasで「Looker(ルッカー)を取り込んだFigma(フィグマ)」を開発しているのだと語る(Lookerは著名なBIツール、Figmaも著名なウェブデザインツールの名前)。

「多くのデータチームは、処理能力を溢れる量の平凡で退屈なデータ要求に忙殺され、ビジネスチームは何日も答を待つのを諦めて、結局ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの前に座って『CSVにエクスポート』ボタンを押して、Googleスプレッドシート上でピボットしているのです」とザパート氏は説明する。「根本的に、企業内のビジネス側とデータ側の信頼関係が崩れてしまったのです。それがきっかけで、私たちはFlexportを離れ、本当にその問題を理解して解決しようと努力したのです」。

さらに、データ業界は現在「ルネッサンスを経験」しており、伝統的なビジネスインテリジェンスツールが、焦点を絞ったクラス最高のツールによって解体されている、と彼は付け加えた。しかし、ビジネスユーザーは、SQL(Structured Query Language)に精通していたり、充実したデータチームを抱えていない限り、最新のデータスタックがもたらす多くのメリットを享受することができない。

Canvasはスプレッドシートベースのワークスペースとして開発されたもので、ビジネスチームはSQLクラスを受講することなく独立した意思決定を行うことが可能となり、データチームは戦略的な作業に集中する時間を得ることができるようになる。

その仕組みは以下のようなものだ。まずユーザーは、自分の「白いキャンバス」からスタートし、データチームが提供する定義の表から探しているデータを選ぶことができる。データを見つけたら、表をキャンバスにドラッグ&ドロップして、Googleスプレッドシートと同じように操作する。例えば「ピボット」ボタンを使って、ある指標を抜き出し、グラフやチャートを作成することができる。

ビュイック氏は「チャートを対話的に操作し、キャンバスの好きな場所にドラッグすることができます」という。「ここからがFigmaのようなルック&フィールになるのですが、これはデータを扱うための新しい方法であることがわかりました。なぜなら、解決するために考えようとしている問題がどのようなものであろうとも、反復したりプロトタイプを作成したり、メンタルモデルに合わせたりすることがずっと簡単になるからです」すばらしい特徴は、ビジネスチームが行き詰まることを知っているからこそ、コラボレーションを活かせるようにしている点です。他の人をチームにタグつけしてチェックを依頼することができます」。

ビュイック氏によると、データチームへの質問の数を減らせるだけでなく、Canvasが、すでにdata build tool(DBT)でモデル化されているビジネスロジックを簡単に再利用できる手段であることを理解したスタートアップたちも、このツールを採用しているという。

Canvasの例画像クレジット:Canvas

米国時間1月28日には、Sequoiaが主導し、Abstract Ventures、SV Angel、および20数名の個人投資家グループが参加したラウンドで420万ドル(約4億8000万円)を調達し、プラットフォームを一般公開した。この投資家のリストには、データのエキスパートであるSegmentのCalvin French-Owen(カルバン・フレンチ・オーウェン)氏、FivetranのTaylor Brown(テイラーブラウン)氏、CensusのBoris Jabes(ボリス・ジャベス)氏、DataDogのOlivier Pomel(オリヴィエ・ポメル)氏、事業家であるLatticeのJack Altman(ジャック・オルトマン)氏、DoordashのTony Xu(トニー・シュー)氏、FlexportのRyan Petersen(ライアン・ピーターセン)氏、WebflowのBryant Chou(ブライアント・チョウ)氏、InstacartのMax Mullen(マックス・マレン)氏、そしてエンジェル投資家らが名を連ねている。

ビジネスチームのためのデータワークスペースを構築するのは大変な作業であることを認識した、Canvasの創設者たちは、資金調達を行う決定を下した。ザパート氏は、世界的なデータ専門家やデータ分野の企業の創業者などの、一緒に仕事をしたいと思えるような投資家を慎重に検討したと述べている。

現在、従業員は6名で、数少ない有料顧客と協力しているデザインパートナーがいる。新たな資金は、エンジニアの増員に充てられ、セルフサービスモデルを含む同社のロードマップを構築するとともに、一連の製品発売に利用され、同社はさらなる市場開拓と製品開発戦略を展開して行く予定だ。最初の10~20件の顧客を獲得した時点で、次の資金調達ラウンドを検討するとザパート氏は述べている。

SequoiaのパートナーKonstantine Buhler(コンスタンティン・ビューラー)氏によると、同社には「結束力が高く技術的に強いチーム」があり、その最新のデータスタックは、優れた企業の構築に使われ、企業顧客にサービスを提供する機会を生み出しているという。彼はCanvasの中で、そのようなスタック全体に対する協調的なフロントエンドを開発している企業を目にした。

「データをExcel(エクセル)にダウンロードしてピボットテーブルを作成するのではなく、すべてのデータを1つの場所に保存できるという利点があります」とビューラー氏は付け加えた。「ここでは、システムに接続するだけで、目の前で結果を見ることができるのです。彼のチームはFlexportでもすばらしい仕事を一緒にしてきましたが、今回は非常に重要で誰にでも関連している問題に取り組んでいます。大きなビジョンは、セルフサービスを作ることができるかどうかにかかっています。それは、データへのアクセスを民主化して、完全なアクセス権を持つ少数の人たちだけではなく、社内のすべての人たちにデータを開放することによって力を与えることのできる、非常に大きなきっかけなのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

データ分析企業Databricksが同社初の業界特化型レイクハウスを発表

クラウドインフラストラクチャのプロジェクトがどんどん複雑になっている中で、特定の業界に向けてあらかじめパッケージ化したソリューションを提供することが業界のトレンドとなっている。米国時間1月13日、潤沢な資金を持つデータ分析企業のDatabricksが、同社初の業界特化ソリューション「Lakehouse for Retail」を発表してこのトレンドに参戦した。同社は小売業者に対し、これまでの分析ツールやDatabricksのAIツールによって生成される膨大な量のデータから価値を抽出するのに役立つ、完全に統合されたプラットフォームを提供するとしている。

Databricksの共同創業者でCEOのAli Ghodsi(アリ・ゴディシ)氏は「これは我々のジャーニーにおける重要なマイルストーンで、企業がリアルタイムで事業を運営し、より正確に分析し、顧客のすべてのデータを活用して有意義なインサイトを明らかにするものです。Lakehouse for Retailは小売業における企業やパートナー間でのデータドリブンのコラボレーションと共有を推進します」と述べている。

このプラットフォームを早期に利用している企業には、Walgreens、Columbia、H&Mグループなどがある。これらのユーザー企業はDatabricksのプラットフォーム全般を利用できるが、特に重要なものとしてLakehouse for RetailのSolution Acceleratorsがある。Solution Acceleratorsは、Databricksが「データ分析と機械学習のユースケースとベストプラクティスに関するブループリント」と呼んでいるもので、うまくいけば新規ユーザーが開発にかかる時間を何カ月も節約できる。これには、リアルタイムストリーミングのデータインジェストのテンプレート、需要予測、レコメンデーションのエンジン、顧客のライフタイムバリューを測定するツールが含まれる。なおDatabricksには以前にも同様のブループリントがあったが、Databricksが統合ソリューションとして提供していたわけではなく、利用者が自分たちで構成しなくてはならなかった。

Walgreensの医薬・ヘルスケアプラットフォームテクノロジー担当バイスプレジデントであるLuigi Guadagno(ルイージ・グアダーニョ)氏は次のように述べている。「Walgreensでは毎年、膨大な数の処方箋を処理しています。DatabricksのLakehouse for Retailを利用することで、このすべてのデータを一元化し、1カ所で保管して分析や機械学習のワークロードをフル活用できます。複雑さやコストのかかる旧式のデータサイロを廃することにより、インテリジェントで一元化されたデータプラットフォームでクロスドメインのコラボレーションが可能となり、柔軟に適応し、スケールし、お客様や患者様により良いサービスを提供できるようになりました」。

ここ数年、Databricksは「レイクハウス」の概念を普及させようとしてきた。その概念とは、分析のためのデータウェアハウスと、まだ活用されていない膨大な生データを保管するデータレイクの利点を組み合わせるということだ。

画像クレジット:Boy_Anupong / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

企業がデータから得る各種予測をAIの力で洗練強化するContinual

今日のデータウェアハウス中心型のデータスタックに運用レベルのAIを導入しようとするContinualが米国時間12月16日、Amplify Partnersがリードするシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、Illuminate VenturesとEssence、Wayfinder、およびData Community Fundが参加した。この発表にともないContinualは、そのサービスを公開ベータで提供を開始した。その前の数カ月は、一定数の選ばれた顧客とともにテストを行っていた。

データウェアハウジング業界は売上ベースでは大きいが、実際にはSnowflakeやAmazon、Redshift、BigQuery、そしてDatabricksなど少数の企業が支配している。そのためこの市場は、それらのデータに対して独自のイノベーションを構築しようとするスタートアップにとって、取り組みやすい舞台だ。Continualの場合それは、企業に、予測モデルを構築するためのアクセスしやすいツールを提供することだ。

画像クレジット:Continual

ContinualのCEOで共同創業者のTristan Zajonc(トリスタン・ザイコン)氏は「Continualを利用すると今日的なデータチームがデータウェアハウスに対して、直接、しかも継続的にモデルの構築とメンテナンスと改良ができるようになります。実際、最も多いユースケースは、顧客チャーン(の動態把握 / 予測)やリードスコアリング(見込み客ランキング)、プロダクトレコメンデーション、在庫予測、予測的メンテナンス、サービス、オートメーションなどです。基本的にContinuallyは予測モデルと予測の両方をメンテナンスし、そのためにデータウェアハウスのデータを利用して、予測をそこへ書き戻す」という。

画像クレジット:Continual

ザイコン氏の以前のスタートアップであるSenseは、初期のエンタープライズプラットフォームで2016年にClouderaが買収した。また彼の共同創業者であるTyler Kohn(タイラー・コーン)氏はパーソナライゼーションサービスのRichRelevanceをつくり、2019年にManthan Systemに買収された。これらのスタートアップを創業しているとき2人の共同創業者は、エンタープライズにおけるAIプロジェクトの失敗率が高いことに気づいた。多くの場合、そんなプロジェクトは大きなチームを要し、プロジェクトの実行に大量のリソースを消費した。そしてその間、必要なAIのインフラストラクチャは果てしなく複雑になっていった。

「ビッグデータ(big data)の時代がビッグ複雑性(big complexity)の時代に変わろうとしていました。この問題を解決するために私たちはContinualを創業し、エンタープライズの運用AIを抜本的に単純化しようとしています。私たちは、クラウドデータウェアハウスの登場で、エンタープライズAIの構想を一新し、抜本的に単純化すべき機会が訪れていることを理解していました。データのインフラストラクチャには標準化が必要であり、今日的なデータスタックが勃興し広く普及し始めていました」とザイコン氏はいう。

Continualを使うとデータチームは、彼らの既存のSQLやdbt(data build tool)のスキルを再利用できる。そのために必要なのは、データウェアハウスにContinualを接続して、予測したい機能とモデルを宣言的に定義することだ。その際、ちょっと便利な機能は、予測をデータウェアハウスに保存してデベロッパーやアナリストが必要に応じてすぐにアクセスできることだ。

現在、このプラットフォームはSnowflake、Redshift、BigQuery、Databricksをサポートしており、チームの計画としては今後はdbtとこれらのデータプラットフォームとのパートナーシップを徐々に拡張していきたいという。ザイコン氏によれば、同社はデータ統合プラットフォームになる気はないとのことだ。

Amplify PartnersのDavid Beyer(デビッド・ベイヤー)氏は次のように述べている。「データから得られる予測的洞察を間断なく改善し続けることは、企業が効率的に稼働し、顧客への奉仕をより充実していくために欠かせません。しかしながらAIの運用化はごく一部の高度な企業を除いては永遠の課題であり続けています。Continualはデータチームの仕事の現場、すなわちクラウドデータウェアハウスに入り込み、これまでのやり方が要求する時間の数十分の一の時間で、彼らによる予測モデルの構築とデプロイと継続的改善ができるようにします。私たちが彼らに投資したのは、彼らのアプローチが抜本的に新しくて、AIをエンタープライズで活用するための正しいやり方と信じているからです」。

今回の投資で同社は、次の2年間でチームの人員を倍増し、またそのプラットフォームを自然言語処理のサポート、パーソナライゼーション、リアルタイムのユースケースなどで拡張する計画だ。

画像クレジット:Continual

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

店舗の場所探しやサプライチェーンの最適化など、マップ上でのデータ可視化と活用を支援するCartoが約69億円調達

空間分析プラットフォームCarto(カート)がシリーズCラウンドで6100万ドル(約69億円)を調達した。多くの企業は、何らかの位置情報が結びついたデータを大量に収集している。Cartoは、そのデータをインタラクティブな地図上に表示し、より簡単に比較、最適化、比較検討、意思決定ができるようにする。

米国時間12月14日のラウンドは、Insight Partnersがリードしている。またAccel、Salesforce Ventures、Hearst Ventures、Earlybird、Kiboといった既存投資家の他、European Investment Foundも参加した。

多くの企業がデータ戦略に取り組み、何らかの知見を得ようとしている。まず、データウェアハウスを採用し、現在と過去のすべてのデータを1カ所に集約する。企業はAmazon Redshift、Google BigQuery、Snowflakeといった製品を利用している。

その後、ウェアハウスに蓄積されたデータを活用するために、さまざまなビジネスインテリジェンス、レポーティング、データ可視化ツールが用意されている。そのうちの1つが、空間分析に特化した製品を展開するCartoだ。

Cartoは、複数のソースからデータを取り込むことができる。過去のデータをローカルファイルとしてアップロードすることもできるが、ライブデータに直接接続することも可能だ。データベース(PostgreSQL、MySQL、Microsoft SQL Server)、クラウドストレージサービス(Dropbox、Box、Googleドライブ)、データウェアハウス(Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake)との接続を提供する。

「この3年間で、データウェアハウスが台頭し、データウェアハウスをベースにしたアーキテクチャはほとんどなかったところから、支配的な実装になりました」と、CartoのCEOであるLuis Sanz(ルイス・サンズ)氏は筆者に語った。「そのため、我々はすべての主要なデータウェアハウスの上に空間的な拡張としてCartoを構築することに注力してきました。というのも、この傾向はちょうど加速しているところだからです」。

その後、顧客はSQLクエリを使ってデータを調べ、データを充実させることができる。特に、Carto独自のデータカタログを活用することができる。同社は、オープンデータソースと民間プロバイダーの両方から約1万のデータセットをコンパイルしており、約3600のデータセットがオープンデータだ。

すべての設定が完了すると、インタラクティブなダッシュボードが表示される。地図上を移動したり、レイヤーを選択・解除したり、実際の数字を見たりすることができる。まるで「シティーズ・スカイラインズ」をプレイしているような感覚になるはずだ。

顧客はCartoを使って、次の店舗を開くべき場所を探したり、屋外広告の予算を一部の地域に優先配分したり、サプライチェーンを最適化したり、適切な地域に携帯電話の基地局を配備したりしている。

地方自治体、銀行、消費財メーカー、クレジットカードネットワーク、そして交通機関、公共事業、通信事業といったインフラ企業など、さまざまな顧客を納得させることができるのはそのためだ。

「データウェアハウスの台頭により、企業はすべてのデータを1カ所で統合し、接続することができるようになりましたが、地理空間データも例外ではありません。そして今、我々のクラウドネイティブサービスによって、その上で空間分析を行うことができるようになりました。当社のSpatial Extensionは、主要なデータウェアハウスの上で動作し、その利点を最大限に活用します。そしてユーザーに高いパフォーマンス、拡張性、安全性を備えた地理空間分析のための完全なツールを提供します」とサンズ氏は声明で述べた。

基本的に、Cartoはデータウェアハウスへの移行と一般的なデジタルトランスフォーメーションの恩恵を受けている。より多くの企業がクラウドに移行すれば、そうした企業はCartoの潜在顧客となる。

画像クレジット:Timo Wielink / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

必要な場所にデータを移動させるオープンソースのデータコネクタープラットフォームAirbyteが28.3億円調達

現在、企業が直面している大きな課題の1つは、関連するデータを見つけることではなく、必要な場所にデータを移動させることだ。この課題を解決するために、オープンソースのデータ統合プラットフォームを構築しているアーリーステージのスタートアップがAirbyte(エアバイト)である。同社は、先の520万ドル(約5億7000万円)のシードラウンドを発表してからわずか2カ月後である米国時間5月25日に、2600万ドル(約28億3000万円)のシリーズAを発表した。

このラウンドを主導したのはBenchmarkで、8VC、Accel、SV Angel、Y Combinator、および複数の技術業界の著名人が投資に参加した。同社はこれまでに3100万ドル(約33億7000万円)以上を調達しているが、そのすべてが2021年に入ってからのものだ。

共同創業者でCEOのMichel Tricot(マイケル・トリコット)氏は、TechCrunchの取材に対して「当社が開発しているのはデータベース、ファイル、APIなどのどこに置かれたデータでも、データウェアハウスやデータレイクなどのお好みの場所に移動させるための、オープンソースのデータ統合プラットフォームです」と語る。このために、さまざまなデータタイプへのコネクターの開発が行われている。同社は、コネクターを開発するためのオープンソースのプラットフォームとSDKを提供し、自身でもコネクターを開発しつつ、コミュニティに対して独自のコネクタの追加を呼びかけている。

スタートアップを取り巻く状況は急速に変化している。今回の資金調達に加えて、2021年5月初めには「Connected Development Kit」(CDK、コネクター開発キット)をリリースした。共同創業者であるJohn Lafleur(ジョン・ラフルール)氏は「このフレームワークを使うことで、カスタムコネクターを2〜3日ではなく、2時間で開発することができます」という。現時点で、プラットフォームの70個のコネクターのうちの約20%がコミュニティから提供されたものだが、CDKがコミュニティに普及するにつれて、その割合は増加するだろうと2人の創業者は期待している。

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Airbyteは2020年創業されたばかりだが、同社は2021年を、急速に成長しているコミュニティを拡大するために費やす予定だ。現時点でコミュニティメンバーは1200人、アクティブユーザーは500人に達している。当面はオープンソースのプロジェクトを継続しながら、将来はホステッドバージョンを開発しそこから収益を得る予定である。

今回の投資を主導しているBenchmarkのゼネラルパートナーであるChetan Puttagunta(チェタン・プッタグンタ)氏は、BenchmarkにはこれまでRed Hat(レッドハット)をはじめ、Elastic(エラスティック)、MongoDB(モンゴDB)、Acquia(アクイア)などのオープンソースのスタートアップへ、初期の投資家として投資を行ってきた歴史があると語った。

プッタグンタ氏がAirbyteにアプローチしたのは、コミュニティで多くの開発者が短期間に活躍しているのを見たからだという。「開発者コミュニティへの関わり合いという観点から、私たちは彼らに声をかけました。Airbyteがあちこちで見られるようになり、データを統合するためのデファクトスタンダードとして急速に普及していくのを目にしたのです。設立からわずか数カ月の会社としては、驚くべき成果でした」。

急激な成長によって、社員数は短期間で2倍の14名となった。ダイバーシティとインクルージョンに関しては、創業者が自ら会社のハンドブックを書き起こしており、その中には詳細な定義や目標などが含まれているが、これは初期段階の会社ではあまり見られることはない。

トリコット氏は「私たちは、ダイバーシティ、インクルージョン、帰属意識を継続的に向上させようとしています。決してこれで終わりと考えることはありません。常に改善の余地があるのです」と語る。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Airbyte資金調達オープンソースオープンデータデータウェアハウス

画像クレジット:ipopba/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

企業のデータウェアハウス活用を支援するCensusがシリーズAで約17億円調達

Census(センサス)は、企業が顧客データを自社のデータウェアハウスからSalesforceやMarketoなどのさまざまなビジネスツールに同期するのを支援するスタートアップだ。同社は米国時間2月18日、Sequoia CapitalがリードするシリーズAラウンドで1600万ドル(約17億円)を調達したと発表した。このラウンドの他の参加者には、2020年の同社の430万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドをリードしたAndreessen Horowitzの他、著名なエンジェルも含まれる。エンジェルにはFigmaのCEOであるDylan Field(ディラン・フィールド)氏、GitHubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏、NotionのCOOであるAkshay Kothari(アクシェイ・コサリ)氏、RipplingのCEOであるParker Conrad(パーカー・コンラッド)氏などが名を連ねる。

Censusは、データウェアハウスの上に何かを構築するスタートアップの中から生まれた新しい成功例だ。同社の背後にある大きな考え方は、企業がデータウェアハウス内のデータを運用できるようにすることだ。データはこれまで分析とレポートにのみ使用されていた。だが企業は、必要なすべてのデータがデータウェアハウスですでに利用可能な状態にあり、改めて統合しなくても信頼できる唯一の情報源として使用できることに気づいたため、データを運用する企業のエコシステムが形成され始めた。

同社の主張はAmazon Redshift、Google BigQuery、Snowflakeといったデータウェアハウスを中核とする現代のデータスタックは、企業がデータを抽出・変換(Fivetran、dbtなど)・視覚化するために必要なすべてのツールを提供するということだ(Lookerを考えてほしい)。

基本的にCensusのようなツールは、データウェアハウスと、企業がこのデータから価値を引き出すのに役立つビジネスツールとの間に位置する新しいレイヤーとして機能する。これにより、ユーザーは製品データをMarketoなどのマーケティングツールやSalesforceなどのCRMサービスと簡単に同期できる。

画像クレジット:Census

「私たちが3年前に最初に問うたのは、『必要なものはすべてウェアハウスにすでにあるのに、なぜすべてのアプリが接続されている不格好にもつれたワイヤーにしがみついているのか。データチームを活用して運用を推進できるとしたらどうか』ということです。データウェアハウスが企業の他の部分にも接続されている場合、可能性は無限大です」とCensusは2月18日の発表で説明した。「私たちが立ち上げたときの狙いは、Figma、Canva、Notionなどの製品主導の企業がより良いマーケティング、販売、顧客の成功を推進できるようにすることでした。その過程で、Zendeskでのサポートチケットの自動優先順位付け、Netsuiteでの請求書の自動化、さらにはHRシステムとの統合など、顧客はCensusをますます多くの場面で使用しています」

Censusはすでに数十の異なるサービスやデータツールと統合されており、顧客にはClearbit、Figma、Fivetran、LogDNA、Loom、Notionなどを抱える。

Censusは今後新しい資金を使用して、より詳細なデータ検証や視覚的なクエリエクスペリエンスなどの新機能をリリースする予定だ。さらに、コードベースのオーケストレーションを開始して、Censusワークフローをバージョン管理可能にし、エンタープライズオーケストレーションシステムへの統合を容易にすることも計画している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Censusデータウェアハウス資金調達

画像クレジット:Roman Didkivskyi / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

企業がデータウェアハウスからより多くの価値を引き出せるよう支援するHightouchが2.2億円調達

Hightouchは、企業内のさまざまな営業やマーケティングのツール全体に対して顧客データを同期するSaaSのサービスだ。このほど同社は、ステルス状態を脱して210万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドを発表した。このラウンドをリードしたのはAfore CapitalSlack Fundで、これに多くのエンジェル投資家が参加した。

HightouchはY Combinatorの2019年夏季に参加し、今多くの企業が直面している顧客データの統合という問題の解決を目指している。

Hightouchの共同創業者であるTejas Manohar(テハス・マノハール)氏とJosh Curl(ジョシュ・カール)氏は、Segmentにいたとき、SnowflakeやGoogleのBigQuery、そしてAmazon(アマゾン)のRedshiftなど、データウェアハウスの成長を目にしてきた。顧客データのハブでもあるSegmentのデータも結局そこへ収まるのだ。企業がデータウェアハウスを採用すると、そこにはすべての顧客データが集まる中心的なリポジトリがある。しかし通常、その情報は分析のために使われるだけだ。そこでHightouchのチームは、Bessemer Venturesの投資家だったKashish Gupta(カシシュ・グプタ)氏とともに、データウェアハウスというトレンドにイノベーションを持ち込み、企業がそのすべての情報を活用できるようにしたい、と考えた。

HighTouchの共同創業者であるカシシュ・グプタ氏、ジョシュ・カール氏、テハス・マノハール氏

「データウェアハウスにはすべての顧客データがあるけど、それを分析目的だけに使っているのはあまり意味がない。たとえば企業にはさまざまな事業チームがあるのに、各チームがデータを有効利用していない。データは、マーケティングキャンペーンや製品の個人化にも活かせるはずだ。Hightouchは、そこに着目した。それは、データウェアハウスの爆発的な成長を見て、技術の進歩やアクセシビリティ、それに採用の面から着想したことだ。私たちの目標は、ウェアハウスが分析のためだけでなく、企業経営の多様なユースケースに奉仕できるようにすることだ」とマノハール氏はいう。

ビッグデータのデータウェアハウスプラットホームのすべてが、標準のクエリ言語としてSQLを使っていることが幸いした。それにウェアハウスのサービスはすでに、多様なデータの取り込みという問題を解決している。そこでHightouchは、テクノロジースタックのこの部分で苦労する必要がない。また、カール氏によると、Snowflakeやその競合企業はどこも、分析というユースケースを超えるものを提供していない。

画像クレジット:Hightouch

プロダクトとしてのHightouchは、ユーザーにSQLのクエリを作らせ、そのデータをさまざまなデスティネーションに送る。それはSalesforceのようなCRMシステムかもしれないし、あるいはMarketoのようなマーケティングのプラットホームかもしれない。クエリとデータは、事前にデスティネーションが期待する形式に変換される。

SQLクエリの名人がいる企業も少なくないが、Hightouchは一般社員がクエリを作れるために、GUIを提供している。そして中心的なユーザーはデータ担当チームであるため、彼らもクエリの結果をGUIで見て仕事をはかどらせたい。「ウェアハウスで使われているデータのモデルや集積構造がなんであっても、一般のビジネスユーザーがそれに十分アクセスできるようにしたい」とグプタ氏は説明する。

データがどのように利用されるかに関してはHightouch自身は関知しないが、現在、最も多いのはB2C企業だ。そこではマーケティングのチームがデータを利用することが多く、またB2B企業の営業も顧客データをよく利用する。

画像クレジット:Hightouch

「データウェアハウスの上にネイティブに構築されるツーリングという、新しいカテゴリーが生まれてきたと感じている。これまでは標準的なSaaSツールがまずあって、独自のデータストアがあり、ユースケースに応じて二次的なデータストアを管理していた。しかし我々が作ろうとしているのは、データウェアハウスに接続して、そのデータをさまざまな経営目的に利用するソフトウェアカテゴリーだ。それにはまだ正式の名前がないが、データエンジニアリングが向かう未来の方向性はそれだと信じている。SnowflakeやBigQueryのような今ある中央集権的なプラットホームに対して、構築されるものだ」とカール氏はいう。

またマノハール氏によると、新カテゴリーの名前は「ウェアハウスネイティブ」がいいのではないか、という。それが定着するか、見守ろう。

HightouchはY Combinatorのデモデーに参加した後に資金を調達したが、そのことはまともなプロダクトと市場適性を確立してから公表しようという話になった。現在の顧客はRetool、Proof、Stream、Abacusなどだ。そのほかの大企業も多いが、名前は公表できない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:HightouchSaaS資金調達データウェアハウス

画像クレジット:zf L / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa