フィンテックVCのMotive Partnersが誕生、1億5000万ドルのファンドを組成中

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現在ポンドの価値は過去50年間で最低の水準に達している(さらに下がる可能性もある)が、投資家の中にはこれをチャンスだと捉えている人もいる。

フィンテック界の起業家や投資家から構成されたチームが、本日Motive Partnersと名付けられたVCをローンチし、ロンドンとニューヨークにオフィスを開設した。ファンドの規模については明らかになっていないが、同社が今月はじめにアメリカ証券取引委員会(SEC:U.S. Securities and Exchange Commission)に密かに提出したForm Dには1500万ドルという金額が記載されていた。

しかもこの数字にはアメリカ分しか含まれていないため、イギリスにも本社を置く同社は、もっと大きな金額を調達している(もしくはしようとしている)可能性が高く、私たちもある情報源からそのような情報を入手している。

既に何百という数のVCが、フィンテックを専門に、または他の分野と併せてフィンテックスタートアップへの投資を行っている。そういった意味で、Motive Partnersは他社に遅れをとっているが、いくつかの理由を背景に同社はまだ勝機があると考えている。

まずは市場の大きさだ。Goldman Sachsの推測によれば、金融業界の年間売上のうち4兆7000億ドルが、フィンテック企業によって奪われる可能性がある。そこでMotive Partnersは、フィンテックスタートアップへ投資することで、4兆7000億ドルの市場を狙うことができると考えているのだ。

「私たちは金融サービスが今まさに変化の真っ只中にいると考えています。今後カスタマーエクスペリエンスの向上、テクノロジーを活用したシームレスなサービス、新しい業界基準、そして金融サービスへの”アクセスの民主化”が今後世界中で広がっていくでしょう。このような変化によって、専門家にとって素晴らしい投資のチャンスが、今後次々に生まれていくと考えています」とマネージング・パートナーのRob Heyvaertは声明の中で語った。

ふたつめは金融機関の幹部や投資家から構成されたMotive Partnersのチームだ。Heyvaert(FISのグローバルフィナンシャルソリューション部門の前コーポーレート・エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、Capcoのファウンダー兼CEO、IBMの証券・金融市場担当ジェネラル・マネージャー、Cimad Consultantsのファウンダー兼CEO)に加え、Stephen C. Daffron(Interactive Data Corporationの前CEO、Morgan Stanleyのテクノロジー・オペレーション部門のグローバルヘッド、Renaissance TechnologiesのCOO)やMichael Hayford(FISの前CFO兼コーポーレート・エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、Metavante Technologiesの社長兼COO)がファウンディングパートナーとして同社に参加している。

さらにAlastair Lukies(Monitiseのファウンダー、英首相のフィンテックアドバイザー)やAndy Stewart(BlackRock元社員)らが同社のパートナーを務める。

「ロンドンとニューヨークにいるスタッフは、フィンテックのエコシステムの最前線に立つべく、とてつもない努力を重ねています。両都市の著名な専門家のサポートとともに、私たちは社会と金融の関わり方に大きな変化をもたらす上で、有意義な役割を担っていくことに全力を尽くします」とLukiesは声明の中で語っている。

最初の投資案件に関する情報はまだ発表されていないが、昨夜Sky NewsLMRKTSに対するMotive Partnersの投資(金額は不明)について報じた。TechCrunchでも、この噂が真実であるという確認がとれている。

LMRKTSは、自社のことを”多角的に多方面をカバーする”専門家集団と表現している。同社の業務内容についてはウェブサイトから確認できるが、要点をまとめると、LMRKTSは大手金融機関の重複した外貨為替取引をみつけだし、それを解消することで金融機関のコストを抑えるようなアルゴリズムを開発しているようだ。

前アメリカ合衆国財務長官のLarry SummersもLMRKTSに投資しており、彼は同社の取締役まで務めている。もちろん有名企業の出身者や元官僚を取締役にしたからといって企業が成功するとは限らないが、理論上はデューデリジェンスこそ、Motive Partnersの専門性が発揮される部分だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Accel Indiaが記録的な速さで4億5000万ドルのファンドを新たに組成

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約2年前に組成された3億2500万ドルの第4号ファンドに続き、Accel Indiaが5号目となるファンドを4億5000万ドルで設立した。これがインドのバブルを象徴しているのか、同国の本当のチャンスを表しているのかについては、未だ議論の余地があるものの、2011年からAccelに参加し、バンガロールを拠点に活動しているAccel IndiaパートナーのShekhar Kiraniに、メールで本件に関するインタビューを行ったので、その様子をご紹介したい。

TC: Kirani氏は2005年からインドでの投資活動を活発化し、不動産プラットフォームのCommonFloorやオンラインショッピングのFlipkart、カスタマーサポートサービスのFreshdesk、ファッション・ライフスタイルECのMyntraといったインドでも有名なスタートアップを含むポートフォリオを構築してきました。今回のファンドの設立にかかった期間は、これまでで最短といって問題ないでしょうか?普段Accelは、3〜4年周期でファンドを設立しているように記憶していますが。

SK: 今回のファンドは確かにかなりの速さで資金がまとまりましたね。これはインド市場の長期的なビジネスチャンスや、LPのサポート、私たちのポートフォリオに含まれる企業の質の現れであるとともに、インドにフォーカスして投資先を絞った私たちの投資戦略や、Accel Indiaのチームの力でもあると考えています。

TC: Accel Indiaのチームはこれまでにどのような変遷を辿ってきたんですか?

SK: Accel Indiaの母体となるErasmic Venture Fund(2008年にAccelが買収した)は、Prashanth Prakash、Subrata Mitra、Mahendran Balachandranによって設立されました。そしてAccelによる買収後、Anand Daniel、Dinesh Katiyar、Subrata Mitra(そしてShekhar Kirani自身)のリーダーシップもあり、チームは順調に成長しました。さらに、私たちはインド国内にポートフォリオサービスチームを立ち上げ、彼らがプロダクト管理やスタッフの採用、データサイエンス、テクノロジー、デジタルマーケティングなどの面で投資先企業のサポートを行っています。

TC: Accel Indiaは、ベイエリアのAccel Partnersとはどのくらい密接に関係しているんですか?Accel Partnersの投資家がAccel Indiaのファンドにも投資したり、ベイエリアのチームとお互いに関係のある投資案件について話をしたりすることはあっても、それ以外の面では独立して(Accel Londonのように)運営されているのでしょうか?

SK: 全てのAccelオフィスは、お互いのネットワークや情報、ベストプラクティスを共有し、投資先企業にも私たちのネットワークを活かしてもらいながら、協力し合って業務を進めています。Accelのゴールは、世界中の素晴らしい起業家を発掘し、ポートフォリオに含まれる企業を、どこで設立されたかに関わらず、全てのステージを通してサポートしていくことです。

TC: 大体いつもどのくらいの金額を各企業に投資しているんですか?また、特にどの段階にある企業にフォーカスしていますか?

SK: 私たちはアーリーステージの投資家なので、基本的には投資先企業にとって最初の機関投資家になりたいと考えています。初回の投資額は200万ドル以内に収まることが多いですね。

TC: インドのスタートアップシーンは最近盛り上がってきていますよね。スタートアップによる資金調達の加速化は、評価額にどのように反映されているのでしょうか?例えば2年前と比べて、各ステージにある企業の評価額に何か変化はありますか? 

SK: 2015年に過度な投資が行われていたとき、成長期にある企業の評価額はつり上がっていました。しかし、シードステージやアーリーステージにある企業への影響はそこまでなく、2015年を通して見ても、彼らの評価額は適正といえる範囲でした。

私たちは評価額よりも、健全なファンダメンタルを持つ、強固で統制のとれたビジネスを投資先企業と作り上げることに注力しています。ここ数年の間に、いくつかのカテゴリーのオンライン化がこれまでにない速度で進んでいます(EC、映画チケット、タクシー予約、生鮮食料品販売、フードデリバリー、ローカルサービス、マーケットプレイスなど)。さらに、以前はスケールするのに最大5年を要していたようなカテゴリーが、2〜3年でスケールし始めています。私たちはこのような企業を支援し続け、彼らの成長を促そうとしているんです。

TC: インドに過度の投資が集まっているという心配はありますか?最近アメリカの投資家のChamath Palihapitiyaは、なぜ彼の率いるSocial Capitalが、これまでひとつのインド企業にしか投資していないかという話をThe Times of Indiaにしていました。その中で彼は「採用や人材、サポート環境の観点から見て、インドのスタートアップエコシステムの大部分は、シリコンバレーに劣っています」と語り、さらにインドを拠点とするスタートアップは「適切な人材やガバナンス、メンターを持っておらずつまづいてしまっている」と話していました。彼は、”最後の審判の日”のようなものが向こう12〜18ヶ月の間に起きて、スタートアップの評価額が急激に下落すると考えているようです。このような彼の見解には同意しますか?

SK: まず、2015年には確かに過度の資金がインドに流れ込んでいました。しかし、だからといって、インドのスタートアップが健全な状態にないとは言えません。インドの起業家は、スケールと成長と利益の相互作用について理解しています。さらにスタートアップのエコシステムも、これまでにないほどしっかりしています。ファンダメンタルを見てみれば、インドのマクロ経済はとても良い状態にあると分かります。ビジネスに理解のある政府によって経済の形式化、デジタル化が進み、インド経済自体もよいペース(7%のGDP成長率)で成長してるほか、通貨もとても安定しています。さらに、市場はモバイルユーザーで溢れているので、以前に比べて、新たに設立されたスタートアップの成長スピードがかなり上がってきています。

私たちがどのサイクルにあったとしても、ファンダメンタルには常に気を配る必要があります。その点に関して言えば、インドでは消費者や大企業、中小企業の間でモバイル化が進んだ結果、8億7000万人以上がモバイル契約を結び、2億人以上がスマートフォンを利用しているほか、1億5000万人以上がソーシャルメディアを使い、6000万人以上がさまざまな商品をオンライン上で購入しています。つまり、インドにはテック系スタートアップが誕生・スケールする環境が整っているんです。

TC: 未だインドの人口の大半が住むとされる”ルーラル・インディア(インドの農村地域)”への投資は現在行っていますか?例えばMayfield Indiaは、ベンチャーレベルのリターンをベンチャー投資よりも小さなリスクで狙うことができると、建設業者などのローテクビジネスに最近投資していたと記憶しています。彼らの言うようなチャンスはまだ存在するのでしょうか?また、Accel Indiaはそのチャンスを追い求めているのでしょうか?もしもそうだとすれば、どのくらいの時間を都市部と農村部それぞれにかけているのか、理由も併せて教えてください。

SK: テック企業の投資家として、私たちはいつも、サービスの利用のしやすさ、使い道、価格を含むいくつかの側面に気を配っています。

ルーラル・インディアでも、最近モバイル端末の利用者が増えてきています。1億人以上の人々が住むルーラル・インディアは、上記の3つの側面を考慮しても、これからとても有力なマーケットになるでしょう。新しいファンドのテーマのひとつが、インドの新興地域での”next 100 million(1億人以上の新たなネットユーザーがルーラル・インディアから生まれるという予測)”です。現在投資している企業を見ても、インドの新興地域が今後伸びていくことが分かります。

例えば、近年のスタートアップエコシステムを活発化してきたインフラの大部分をつくったのは、Flipkartでした。初のオンライン・モバイル決済サービスや物流インフラといった、オンライン・オフラインに関わらず、アメリカでは当然のものとされている商業インフラのほとんどを彼らが構築してきたんです。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Draper Nexusが1億7500万ドルの第2号ファンドを組成:LPにパナソニックやキヤノンなど

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アーリステージVCのDraper NexusでManaging Directorを勤めるQ Motiwalaは、同社が総額1億7500万ドルの第2号ファンドを組成したことを明らかにした。第1号ファンドは2013年に組成され、その規模は5000万ドルだった。

世界中のテクノロジー・コングロマリットがLPとしてDraper Nexusに参画しており、その多くは日本企業だ。

第2号ファンドには、パナソニック、日立、京セラ、清水建設、NEC、キヤノンなどを始めとした20社がLPとして参加している。どのような分野のアーリステージ・スタートアップでも、ぜひクライアントに加えたいと思うような企業ばかりが揃っている。

Draper Nexusは、マーケティングのLiveRampや、AIベースのサイバーセキュリティのCylance、自動運転車のNauto、商業ビル向けスマート電気システムのEnlightedなどに出資していることで知られている。

比較的若いVCであるにもかかわらず、エグジットを果たした投資先企業の数はすでに8社になる。その中でも特に有名なのは、2014年に東証マザーズに上場したソフトウェア・テスティングのSHIFTだろう。同社のビジネスは好調で、Draper Nexusは今でもSHIFTの株式を保有したままだ。

より大規模かつ歴史のあるシリコンバレーのVCとDraper Nexusとの違いは、大企業とスタートアップをつなげる力だ。

Motiwalaは、「Draper Nexusが投資する際には、単に私たちが面白いと感じたかどうかという事だけではなく、ファンドに参加する大企業を取引先や流通パートナーとして紹介することで、スタートアップに優位性を与えられるかどうかという事を考えます。私たちのファンドに参加している大企業とスタートアップは、痛みを分かち合う仲なのです」と語る。

Draper Nexusは1社の投資先に複数の大企業を紹介し、起業家と大企業の役員を引きあわせている。Draper Nexusがいなければ、起業家が会うことすらも難しい相手だ。

第2号ファンドでは、モビリティ分野やサーバーセキュリティ分野、そしてビックデータをロボティクス、AI、ロジスティクス、保険などの分野に適用している企業などに投資していく予定だ。

Draper Nexusのチームの3分の1は東京におり、残りのメンバーはSan Mateoを拠点としている。同社は日本地域にフォーカスする企業に投資をすることもある。

Motiwalaによれば、同社が日本で探しているのはマーケティング・オートメーションやアドテック分野のスタートアップだという。日本のB2B向けソフトウェアは、まだまだアメリカほど活発ではない。

Draper Nexusが出資した金額の8割はアーリーステージ企業への投資に向けられており、今後もそこにフォーカスしていくことは変わらない。

彼らは他のVCと共同で出資をすることが多く、シリーズAでは最高で500万ドルまで投資する。Motiwalaによれば、有望な企業のシリーズAを逃した場合にはシリーズBに参加することも考えるという。シード投資は全体の約5%程で、そこでは通常、25万ドルを出資する。

同社の期待の新星、Senior AssociateのDeepak Jagganathanは、第2号ファンドの組成とあわせて動き出した新しいプログラムの運営に携わっている。

Dubbed GoPilotと名付けられたこのプログラムは言ってみれば、すでに企業としての形が出来上がっていたり、資金調達も済んでいるようなスタートアップ向けのアクセラレーターのようなものだ。

このプログラムでは、企業向けソフトウェア、サービス、ハードウェアを提供するアーリーステージのスタートアップが招待され、5社から10社の大企業に対してピッチを行う。クローズドで行なわれるデモデイのようなイメージだ。

このプログラムで優秀な成績を残すことができれば、2社の大企業とパートナーシップを結ぶことが許される。さらに5万ドルが創業者に有利な条件でDraper Nexusから出資される。この資金を利用することで大企業とのジョイント・プロジェクトを進めていくことが目的だ。

「このプログラムから、すでに50ものパイロットプロジェクトが誕生しています。スタートアップと大企業との共同プロジェクトを、通常よりも短い期間で実現させるためのテンプレートをつくり上げてきたのです。このような共同プロジェクトは、スタートアップにとって非常に重要な通過点なのです」とJagganathanは話す。

大企業が単独でパイロットプロジェクトを始めるためには内部資金を用意しなければならず、そのせいでプロジェクトの開始が遅れかねない。それを考えれば、他社と共同してパイロットプロジェクトを進めることには大企業にとってもメリットがあると言える。

また、Draper Nexusを通しらスタートアップと大企業との各種契約は、スタートアップに不利なものになることがないよう徹底されている。スタートアップが自らの知的財産を守ることを可能にしたり、独占契約によって彼らの成長が妨げられることを防ぐためだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

韓国NAVERがソフトバンクと共同で4300万ドル規模の新ファンドを設立

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アメリカと日本の株式市場に上場するチャットアプリ「LINE」の親会社であるNAVERは、ソフトバンクと共同で4300万ドル規模のファンドを設立すると発表した。同社の子会社が運営する2つのサービスを強化することが狙いだ。

「SB Next Media InnovationFund」と名付けられた当ファンドでは、NAVERの子会社であるSnowとWebtoonとシナジーを持つスタートアップやテクノロジーに投資することを目的としている。SnowはFacebookが買収を検討していると報じられたSnapchatに似たアプリを提供しており、Webtoonはオンラインコミックを提供する企業だ。このファンドの投資先は韓国国内の企業に限ったものではなく、世界中の企業を対象にしている。そのコネクションを提供するうえで重要なパートナーとなるのがSoftbankなのだ。

LINEは今年の夏に上場し、その際に11億ドルを調達している。その親会社である韓国の巨大Web企業NAVERが次に期待するのがSnowとWebtoonだ。Snow CEOのChang-Wook Kimと、Webtoon CEOのJun-Koo Kimがアドバイザーとして就任する当ファンドでは、主にコンテンツ製作やテック系のスタートアップに投資をしていくという。その中でも特に注力していく分野としてARとVRが挙げられている。

NAVERがこのようにファンドをビジネスの手段として利用するのは今回が初めてではない。今年9月には、LINEは海外市場でのプレゼンスの拡大を狙い、米国とフランスを拠点とするファンドに出資したと発表している。また、同社は「ライフスタイル」アプリの支援を目的として設立されたファンドを所有しており、同ファンドを通してゲーム関連企業などに出資をしている。

LINEにとって、グローバルなプレゼンスを持つことは特に重要だ。同アプリは2億1800万人ものアクティブ・ユーザーをもつものの、昨年の成長率はこれまでに比べてかなり落ち込んでいる。とは言うものの、創業から1年で総ダウンロード数が8000万回、そして月に1000万回のペースで新しいユーザーにダウンロードされているSnowの成長率と比べても、LINEの成長率が格段に高いことは確かだ(実際、今年の9月にLINEはSnowとのシナジー強化を目的に4500万ドルの出資を行っている)。

Webtoonのサービスはオンラインコミック版のNetflixとも言えるサービスだ。同サービスはWebに加えて、iOSとAndroidアプリで利用できる。同社もまた、新規ユーザーの獲得のためにLINEを利用しているものの、現在の会員数は公表していない。

同ファンドは今年の終わりまでに500億ウォン(約4300万ドル)を調達することを目指している。その内訳として、Naverがその大半の400億ウォン、ソフトバンクグループのSoftBank Venturesが45億ウォン、Korea Venture Investmentが5億ウォンを出資し、残りの50億ウォンを第三者から集めるとしている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Greylockが15番目のファンドを組成、新たに10億ドルをスタートアップに投資する

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Greylock Partnersは、新たに10億ドルをスタートアップに投資する。この息の長いベンチャーキャピタルは15番目のファンドを発表した。彼らは累計35億ドルを管理していることになる。

約50年の投資経験があり、Greylockは法人向けITとコンシューマー向けインターネットカテゴリーを牽引する企業に投資してきた。その中にはLinkedIn、Dropbox、Facebook、Airbnbが含まれる。彼らのリミテッドパートナーは、過去の成功事例と同じように、Greylockが次に大成するスタートアップを見つけることを期待している。

「割と一貫した戦略をとってきました」とGreylockのパートナーであるJosh ElmanはTechCrunchに話す。彼らのチームは常に「人々の暮らしを良くするプロダクト」を探してきたという。

Greylockはシードラウンドからレイターステージまで、どのタイミングでも投資することができるが、たいていの場合、その中間で投資を行ってきた。14個のファンドの95%以上の投資案件はシリーズAかBでの投資で、15番目のファンドでもこのアプローチを変えるつもりはないという。

探しているのは、「30人から1000人」に倍増しようと転換期にあるスタートアップとElmanはいう。Greylockは「小規模な若い会社から本当に大きく成長し、スケールが得られる」ような拡大しているチームに投資するという。Greylockは最近、注目を集めるGoFundMemusical.lyに投資した。

また、法人やコンシューマー向けビジネス以外にもGreylockは、メッセージング、仮想現実、機会学習、ロボティクスといった新興分野にも目を向ける計画だという。ElmanはAmazon Echoのようなボットや音声関連のプロダクトには特に期待しているという。

しかし、最も良いスタートアップに投資しようと同じように考える投資会社が多いと、その中で目立つのは難しくなる。Greylockの投資チームにはLinkedInの共同ファウンダーReid HoffmanやMozillaの前CEOであるJohn Lillyがいる。Greylockは彼らの業績と経験が他社との差別化になることを期待している。

他の最も優秀なベンチャー投資企業と同じように、Greylockも社内に人材パートナーグループを持っていて、このグループはスタートアップのチーム作りを助けている。 Jeff MarkowitzとDan Portilloが率いるGreylockの人材グループは、プロダクト、デザイン、開発で経験のある採用候補者やCXOクラスの役員に適した人材を探す。

「Greylockは会社と本当にパートナーシップを結ぶというアプローチを取ります。採用、プロダクト計画、戦略面を含めてです」とNextdoorの共同ファウンダーであるSarah Learyは言う。Learyは、Greylockでアソシエイトとして勤めた経験があり、Greylockは「私たちと同じ起業家として、同じような状況を経験したことがあるパートナーを多く抱える数少ない投資会社のうちの1つ」と話す。

170のIPOと120の「有益」な買収があり、Greylockの投資案件のいくつもが身を結んだ。近年のエグジットにはApptioPure StorageQuipTellApartがある。

しかし、どのベンチャーキャピタル同様、いくつかの投資がうまくいかないことも勘案し、多様性のある投資先ポートフォリオを築くことが成功の鍵だ。Greylockが投資した中で報われなかったものの中にはDigg、Cuil、ArsDigitaなどがある。

困難に直面した時、Greylockはスタートアップが助けを求めることができる存在になりたいと考えている。「どんな時も、1日の中でいつでも、連絡できる相手になりたいと考えています」とElmanはいう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

転機を迎えつつあるハードウェアスタートアップへの投資

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【編集部注】執筆者のChris Quinteroは、Boltでアソシエイトを務めている。同社はシードステージの企業を支援するファンドで、資本のほかにも、スタッフやプロトタイピング施設、専門知識などを、ハードウェアとソフトウェアどちらの開発も行っているスタートアップに対して提供している。

私たちは、まだハードウェアルネサンスの初期段階にいる。開発コストの低下や、製品を市場に届けるまでの期間の短縮、また、ハードウェアビジネスの性質が、コモディティ化した家電製品から定期収益型のソフトウェアサービスへと移行したことなどを背景に、VCはハードウェアスタートアップへの投資を加速させてきた。

昨年TechCrunchでは、ハードウェアスタートアップへの投資資金の爆発的な増加に関する記事を公開し、投資額が4年前と比べて30倍以上になっていることがわかった。その後何が起きているのだろうか?ハードウェア業界は、盛り上がりに見合った成長を遂げているのだろうか?以下が私たちの調査結果だ。

増加を続ける投資額

全体で見たときには、VCによる投資額の伸びが鈍化している一方、ハードウェア企業は引き続き資金調達に成功している。2016年の上半期には、120もの案件に17億ドルの資金が投入されており、この数字は過去10年間のどの期間と比べても1番多い。しかし、投資額が伸びている一方で、案件数は横ばいとなっている(2015年上半期:123件、2016年上半期:120件)。これらの数字から、ハードウェア業界が成熟しつつあり、投資家は初回投資に自信を持ち、どの企業がうまく事業を運営しているかを消費者が理解していく中で、同業界は踊り場に差し掛かろうとしていると考えられる。

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2016年7月1日時点のデータ。公に発表されている100万ドル以上のラウンドのみを記録。Xiaomi、 Magic Leap、Jawboneのような異常値は含まれていない。出典:Bolt、Crunchbase

つまずくGoProとFitbit

昨年のハードウェア業界の寵児であるGoProFitbitは、成長を維持するのに苦労しており、現在の両社の時価総額は、ピーク時の約4分の1にまで落ち込んだ。興味深いことに、この2社が苦労している理由は、競合の登場による製品のコモディティ化ではなく、それぞれの市場が飽和状態にあることなのだ。既にGoProやFitbitを持っていれば、最新の良いモデルを購入するインセンティブが働きづらくなる。両社が、来年新たな製品ラインで成功を掴むことができるか見るのが楽しみだ。

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GoProの時価総額推移

引き続き控えめな企業買収とIPO

昨年は、SquareMisfitWithingsWhistleJaybirdなどを含む、たくさんの企業がイグジットに成功した。2014年に比べると、数十億ドルの規模に達するサクセスストーリーの数は少ないものの、この分野でイグジットしている企業がいるというのは喜ばしいことだ。

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出典:Bolt

サンフランシスコが依然ハードウェア企業への投資を支配

ボストンとニューヨークのコミュニティが大きな成長を遂げた一方で、両都市の数字を合わせても、サンフランシスコの半分程にしかならない。ベイエリアの(100万ドル以上の資金調達を公に行った)ハードウェアスタートアップの数は、私の計算だと現時点で161社で、昨年の110社から増加している。ニューヨークは、調達総額と資金調達に成功したハードウェアスタートアップの数どちらに関しても、最近ボストンを追い抜いた。

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100万ドル以上を調達した企業の分布。出典:Bolt、Crunchbase

ハードウェアに特化したベンチャーファンドの増加

昨年、Eclipseは、初となる1億2500万ドルのファンドを組成し、すでに新たなファンドの設立に向けて動いていると言われている。パリに拠点をおくHardware Clubも、自社ファンドの募集を終えようとしている。しかし、どのVCがハードウェアの分野で1番良い成績をおさめているか、というのを判断するにはまだ早い。これまでで最大のイグジットを行った企業(Fitbit、Square、Nest)は全て、ハードウェア業界への投資が盛り上がり出した2011年以前に設立された。誤解しないでほしいのが、VCは既に多額のリターンを受け取っている(SoftTechTrueはFitbitから、KleinerShastaはNestから、KhoslaはSquareから)ものの、VCからの投資を受けたハードウェアスタートアップのほとんどが、設立からまだ2〜4年しか経っていないのだ。

過去数年間がハードウェアスタートアップへの期待の時代だったとすれば、今後数年間は、彼らの実行力の時代になるだろう。

VCによるハードウェアスタートアップへの投資件数の増加は、必ずしも彼らがこの分野に注力していることを意味しているわけではない。例えば、a16zLux Capitalと比較して、これまでに50%も多くのハードウェア関連の投資案件に参加してきた。しかし、a16zのポートフォリオの中で、私たちが”ハードウェア”と分類するものの割合は8%以下しかない一方、Lux Capitalのポートフォリオにおけるハードウェア企業の割合は25%以上だった。

考察

ハードウェア業界への投資は、過去1年半の間に盛り上がってきたが、市場が成熟するにつれて投資額の伸びは踊り場に達しようとしている。そして、2013年、2014年に市場を騒がせた製品の数々が、ようやく出荷されはじめたところだ。大半の企業に関してはまだ判断が難しいものの、突出した勝ち組(Eero)と負け組(Skully)も現れはじめた。

過去数年間がハードウェアスタートアップへの期待の時代だったとすれば、今後数年間は、彼らの実行力の時代になるだろう。新たなファンドやアクセラレーターが次々と誕生する中、アーリーステージのハードウェア企業が資金調達を行うのは、これまでにないほど簡単になっているかもしれないが、スケールのためのその後の資金調達段階はデスバレーのままだ。

ハードウェアの定義は人によってそれぞれだが、この記事内の”ハードウェア企業”とは、インターネットに接続されたデバイスのハード・ソフトウェアの開発を行っているスタートアップを指している。ロボットやウェアラブルデバイス、IoTデバイスなどを開発する企業が、このカテゴリーに含まれる一方で、ほとんどの消費財企業は含まれていない。Casper、Warby Parker、Bonobosといった消費財企業は、ハードウェア企業と言うよりも、流通面にイノベーションをもたらすECブランドと考えている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter