米国時間8月2日、Twitter(ツイッター)はニュース配信機構のThe Assosicated Press(AP通信)およびReuters(ロイター)と提携し、同プラットフォーム上のニュースや情報の信頼性を強調する取り組みに力を入れることを発表した。新たな契約を通じてTwitterのCuration(キュレーション)チームは、提携企業の専門知識を活用してTwitterで流通するニュースやトレンドにこれまで以上に多くの背景情報を付加したり、注目の集まるイベントにおける公共広告の利用、誤情報へのラベル付けなどに役立てることができる。
現在Curationチームは、トップトレンドに載ったコンテンツやExplore(「もっと探す」)タブにあるその他のニュースに追加情報を付加する作業を進めている。また同チームは、検索結果がどうランキングされるかを調べ、Twitterで特定のキーワードやハッシュタグが検索されたときに検索結果のトップに高品質のコンテンツが現れるよう対策する。
また同チームは、ホーム画面のExploreタブに表示される公衆衛生の緊急事態(たとえばパンデミック)や選挙などの大きなイベントに関連したプロンプトにも取り組んでいる。そのプロンプトは、問題はあるがTwitter上での表示は許されるコンテンツに、信頼できる情報源から得た情報をともなう誤情報ラベルを付加するために使用される。たとえば操作されたメディアや選挙の公正性あるいは新型コロナウイルス(COVID-19)などに関するTwitterのルールに違反するツイートがそこに含まれる。
しかし同チームは、ツイートがTwitterのガイドラインに違反しているかどうか、あるいは削除、停止などの罰則を決定するTrust and Safety(信頼と安全)チームとは別に活動している。Twitterは、APとロイターは両社ともこの種の強制行動には関わっていないことを確認した。
画像クレジット:Twitter
AP、ReutersというFacebook(フェイスブック)ともファクトチェックで提携しているニュース会社と直接業務を行うことで、ツイートやその他のコンテンツに追加情報を付加するスピードとスケールを高められる、とTwitterはいう。具体的には、ニュースが速報され、報道が進むにつれて事実が議論の的になっているそのときに、Twitterの社内チームが信頼のおける情報源と迅速に接触できることで、Twitter上の会話によりよいコンテキスト情報を付加できるようになる。
これは、誤解を招くツイートを修正するための事実を待つことなく、誤情報がバイラルに流布されるのを防ぐのにも役立つ。
クラウドソーシングを用いたTwitterの新しいファクト・チェッキング・システムであるBirdwatch(バードウォッチ)も、Birdwatch参加者が共有した情報の質を決定するためにAP通信とReutersからのフィードバックを利用する予定だ。
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この取り組みは、Curationチームと報道機関による共同作業が、記事や会話に情報を付加するだけでなく、どの記事に情報を付加する必要があるかの見極めにも役立つだろう、とTwitterはTechCrunchに語った。追加情報はTwitter内のさまざまな場所に付加される。「ツイート」「検索」「もっと探す」および「モーメント」と呼ばれるまとめも対象だ。
Twitterは誤情報の扱いにしばしば苦慮してきた。リアルタイムという性質に加えて、著名人が自らの利益のために真実を操作するという利用方法もある。これまでにも、誤情報の拡散を緩和あるいは阻止するためにさまざまな機能を実験してきた。ワンクリックによるリツイートの禁止からファクトチェックの追加、 アカウントの禁止 などだ。Birdwatchはツイートにメモを付加する最新の取り組みだが、このシステムは誤情報の扱いを分散化しようとい試みであり、信頼できるパートナーに頼るものではない。
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「APにはTwitterやその他のプラットフォームと緊密に仕事をしてきた長い歴史があります。事実報道を広めることが目的です」とAPのグローバル事業開発担当副社長、Tom Januszewski(トム・ジャヌスゼウスキ)氏が提携を伝える声明で語った。「この業務は当社のミッションの中核をなすものです。オンライン会話にコンテキストを付加するためにAPのスケールとスピードが活用されることは特に楽しみです。事実を容易にアクセスできることによる恩恵を受けることができます」。
「信頼と正確と公正は、日々数十億の人たちが賢明な決断を下すのに必要な情報を提供しているReutersの核心です」とReutersのUGCニュース収集の責任者、Hazel Baker(ヘイゼル・ベイカー)氏が付け加えた。「これらの価値は、誤情報の拡散を阻止する当社の取り組みを後押しするものでもあります。Twitterと提携することによって、公共の会話に信頼できる情報を提供するために、世界や地域における当社の専門知識を活かせることを楽しみにしています」とベイカー氏は言った。
共同作業では当初Twitterの英語コンテンツのみに焦点を合わせるが、今後他の言語や地域にも対応するつもりだと同社は言っている。Twitterは今回の初期フェーズで、多言語に対応できる協力者を評価するつもりだとTechCrunchに話した。
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画像クレジット:Josh Edelson / Getty Images
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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook )