アテネ拠点で消費者を直接結ぶ中古車購入プラットフォーム構築のSpotawheelが12.4億円調達

ポーランドとギリシャで中古車を購入するための「エンド・ツー・エンド」のデジタルプラットフォームを提供しているSpotawheel(スポタホイール)は、新型コロナウイルス危機が発生した売上減から回復し、1000万ユーロ(約12億4090万円)のデットファイナンス(融資)と第三者割当増資による資金調達を実施した。

今回の投資もVentureFriendsがリードし、既存投資家であるVelocity Partners、米国を拠点とするFJ Labs、無名の戦略的投資家が参加した。今回の資金はアテネに本社を置くSpotawheelが以前に調達した800万ユーロ(約10億円)に追加される。

Spotawheelによると、調達した資金はヨーロッパの複数の拠点での事業拡大に使われるという。また、中古車調達インフラの整備にも投資する。人員も、ヨーロッパ全域の商業、技術、オペレーション関連のポジションで追加される予定だ。

2016年創業のSpotawheelは、中古車の売買プロセスをオンラインに移行させるB2Cプラットフォームを運営しており、これにより多くの摩擦を取り除きながら、より大きな透明性をもたらすと主張している。これは、中古車を購入する際の利便性と保護を電子商取引レベルで提供することを目的としている。

昨年にSpotawheelの共同設立者兼CEOであるCharis Arvanitis(カリス・アーバンティス)氏は「顧客は、ヨーロッパ最大の5年間の限定保証を享受しながら、試乗したり、7日間の返品ポリシーの下で全国に納車してもらうことができます」と語っていた。

これを可能にするために、Spotawheelは車ごとに状態と予想される故障の「予測分析」を採用している。「従来のディーラーが必要としていた時間とコストの何分の1かで調達を決定し、市場平均の3倍の速さで在庫の回転を可能にする」と同社は説明する。。

アーバンティス氏によると、Spotawheelは今月の時点で「3桁」の成長に戻っており、6月以降の小康状態から回復しているという。「現在の販売台数はすでに年間数千台に達しており、EUの2カ国でのシェアは0.1%をわずかに超えています」と同氏。

今後の同社の計画では、中古車の調達先を2020年第4四半期にドイツを含む欧州25都市に拡大する予定だ。さらに欧州初の自動車修理センターの設立も進めているが、まだ契約書に署名していないため、アーバンティス氏は今のところその場所を明らかにしていない。

画像クレジット:Spotawheel

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ポルシェがモデルや年代で中古車検索できるプラットフォームを米国で立ち上げ

Porsche Cars North America(ポルシェ・カーズ・ノースアメリカ、PCNA)は、顧客がディーラーのネットワークを通じて中古車を探すことができるPorsche Finderという新しいオンラインプラットフォームを立ち上げた。オンラインマーケットプレイス設置に向けた同社の最新の動きとなる。

ポルシェの子会社Porsche Digital(ポルシェ・デジタル)とPCNAが開発した新たなプラットフォームでは、顧客がモデルや年代で車を検索でき、価格や装備、パッケージ、インテリアやエクステリアのカラーでフィルターをかけることもできる。

現在は、新しいPorsche Finderツールを使って中古車もしくは認定中古車を検索できるだけにとどまっている。もしユーザーが探していた、911 GT2 RSやPanamera Turbo Sport Turismo、Macanクロスオーバー、電気自動車Taycanを見つけたら、その車両を扱っているPorscheのディーラーに連絡するよう案内される。

PCNAは、米国中を検索できる機能を構築する以上の目的を持っている。Porsche Finderは、顧客が車両の検索、購入、ローン申し込みの全プロセスを一気通貫で済ませられるオンラインショップを構築するという大きな戦略の一部だ、とPCNAのCEOであるKlaus Zellmer(クラウス・ゼルマー)氏は最近のインタビューで述べていた。

「ポルシェに関するすべてのことができる、シームレスなeコマースエコシステムを用意したい。長期的なビジョンだ」と同氏は述べ「ゆくゆくは顧客が車両を売り買いしたりローンや保険、最終ウェブ署名も完了させられるようにしたい」とも付け加えた。

同社はすでに前進している。昨年10月、パイロットプログラムを通じて新車と中古車のオンライン販売を米国で開始。立ち上げ時、米国内ディーラー192店のうち26店が参加した。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック以来、他のディーラーも次々にこの取り組みに参加している。ゼルマー氏によると、6月までに全米のポルシェディーラーの3分の1がこのデジタルパイロットプログラムに参加する見込みだ。

直接のオンライン販売はするものの、ディーラーネットワークを持たないTesla(テスラ)車のオーナーにとっては、車両を購入するためのデジタルマーケットプレイスを構築することの将来性は明らかだったかもしれない。そして奇異にすら思えたかもしれない。しかしポルシェの顧客にとってはショールームを訪れ、911やCayenneの運転席に座るのは、長く続いてきた購入体験の一部だった。

「新型コロナウイルスが世界を襲い、あらゆる産業を混乱させ、消費者の買い物方法を変える前からポルシェ・デジタルはこの検索プラットフォームに取り組んでいた。「そしてパンデミックによってポルシェのeコマースに向けた動きが確かなものになった」とゼルマー氏は話した。

「デジタル化の動きが我々の事業にとっていかに重要かを明確にしている」と同氏。「直感的な体験を売りにしているブランドであることに誇りに思っているが、と同時に我々はiPadを使って米国で入手できるものの中から車を探したいという顧客の願望を尊重しなければならない」とも述べた。

画像クレジット: Porsche AG/ Photo: Christoph Bauer

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(翻訳:Mizoguchi

車の個人間売買サービス「Ancar」が出品をラクにするカメラアプリを公開

中古車を個人間で売買できるC2Cマーケットプレイス「Ancar」を展開するAncarは10月9日、車の外観や内装の写真をスマホで簡単に撮影できるカメラアプリを公開した。このアプリを通じて出品時の負担を減らし、個人間の売買を促進する。

今回リリースされたカメラアプリの特徴は「アプリ内で表示されるガイドに沿って車体の写真を撮るだけ」でベストアングルな写真が仕上がることだ。「右前」「エンジンルーム」「シフトレバー」「トランク」など、各項目ごとに最適な角度を“車の形”で画面に表示。ユーザーはこれに照らし合わせながら車を撮影するだけでいい。

Ancar代表取締役の城一紘氏によると、オンライン上で車の売買を行うAncarにおいて写真は大きな意味を持つそう。買い手にとっては貴重な情報源になるため「購買時の参考になるような写真がきちんと取れていること」は売れるかどうかに直結する要素だ。

これまでもAncarでは出品者向けのガイドラインを用意してはいたものの、実際にそれを見ながら撮影するのはそれなりの時間と手間がかかる作業だった。

具体的には外観・内装・書類など車の状態を伝えるには最低でも20〜30枚、多い場合は約50枚程度の写真が必要。これらの写真をアングルを変えながら何枚も撮影し、掲載時にはナンバープレートを隠したり、見やすいように順番を並べ替えたりといった加工作業も行う。

城氏もユーザーの動向を追う中で「どうとったらいいのかわからない、取るのがめんどくさいというのがある程度の障壁になっているとは感じていた」とのこと。今回リリースしたアプリでは写真撮影のガイドだけでなく、アプリ上で簡単にナンバープレートを隠す機能も搭載。そのままデータを送ればAncarの出品車両へ反映される仕組みだ。

以前紹介した通り、今年の2月からAncarでは運営側で車の売却を担う「おまかせ出品」サービスをスタートしている。

これはC2Cの仕組みでは少し売買に時間を要するため、それよりも早く売ってしまいたいというユーザーの声を基に始めた仕組みだ。Ancarが売却を希望するユーザーから車を預かり、車両検査後に査定した最低買取保証金額を支払う。預かった車は運営がAncar上に出品して売却を試み、期間内に当初合意していた金額よりも高い価格で売れれば、ユーザーは収益の一部を追加で獲得できる。

ユーザーの視点では既存の買取ショップに売るのと近しいが、高く売れた場合に追加で売却代金を貰えるのが最大のメリットだ。

これまでは自社工場で担当者を採用し、おまかせ出品を通じて車を売っていたけれど、中長期的にはこの仕組みを同社が提携する各地の工場にも広げていくイメージなのだそう。その際には当然Ancarでの売買に慣れていないスタッフもいるため、出品作業をサポートする意味でもカメラアプリが重要な位置付けになると城氏は考えているようだ。

今後はA​ndroid版のリリースに加えて、動画で車の周りをぐるっと撮影すれば必要な情報が取得できるような「動画機能」の追加も予定しているという。

中古車のC2Cマーケット「Ancar」に“いつ売れるかわからない”を解決する新サービス

中古車を個人間で売買できるマーケットプレイス「Ancar」を展開するAncarは2月22日より、車を売りたいユーザーが従来よりもスピーディーに現金を受け取れる新しい切り口のサービスを始める。

サービス名は「おまかせ出品」。その名の通り、純粋なC2Cの中古車売買ではなくAncarの運営に車の売却を“おまかせ”するような仕組みだ。

これまでのAncarはメルカリのようなフリマアプリと同様に「車を売りたいユーザーと買いたいユーザーをマッチングする役割」だったので、車の写真や情報の登録、売却の交渉は基本的にユーザー自身で行う必要があった。

一方で本日からスタートするおまかせ出品では、Ancarの運営が売買をサポートする。同社が売却を希望するユーザーから車を預かり、車両検査を実施。査定した最低買取保証金額を最短3日で支払う。

預かった車は運営側がAncar上に出品して従来の形式で売却を試みるのだけど、その際に30日間という期間が設定されているのがポイントだ。期間内に当初合意した買取保証金額よりも高い価格で売れれば、ユーザーは収益の一部を追加で獲得することが可能。反対に売買が成立しなかった場合でも、運営が買取保証金額で車を買い取る(手数料を払って返却を希望することもできる)。

「買取保証金額は一般的な買取相場と同等かそれ以上の金額を提示する。車を売りたいユーザーは中古車買取店で売却する金額にプラスアルファが見込めるようになり、単純な買取の仕組みを利用するよりもメリットが大きい」(Ancar代表取締役の城一紘氏)

売買が成立した際にシステム利用料と手数料6万円がAncarの収益となるビジネスモデル。同社では1月に自社整備工場を川崎市にオープンしていて、期間中はそこで車を管理する。

おまかせ出品の仕組み

さて、Ancarが今回おまかせ出品を始めるに至った背景にはどんな考えがあったのだろうか。城氏によると「いつ売れるかわからない」というフリマサービスに共通する課題が原因で、「けっこうな数のユーザーの離脱に繋がっていた」状況を打開したかったようだ。

「Ancarは腰を据えてじっくり車を売りたいユーザーには刺さっていたが、その一方で『駐車場を解約するから』『次の車がくると駐車スペースが足りないから』『新しい車を買うための頭金が必要だから』などの理由から、早く現金化したいというユーザーも一定数いる。一度出品してもこれ以上は時間をかけられないと売却を断念するケースも多く、それが機会損失になっていた」(城氏)

そんなユーザーに新たな選択肢としておまかせ出品を提供することで、上述したような課題の大部分は解消されそうだ。まずAncar側で車を預かるためユーザーの駐車場が空き、管理コストや駐車スペース不足の問題はなくなる。デポジットのような形で最低保証金額が振り込まれることで、スピーディーに現金化したいニーズにも応えられる。

加えて出品に必要な作業や、購入希望者との交渉も経験豊富なプロに任せられるので成約率が上がる可能性もあるだろう。もちろん成約すればユーザーはさらなる収益を手にすることもできる。

城氏は以前から、従来の中古車買取の仕組みでは買取業者や業者オークションなど複数の業者が介在して中間コストが多重に発生するため、買取価格も店頭販売価格に比べてかなり安くなるという話をしていた。これまでは素早く車を現金化しようと思えば、ある程度安い価格で売却せざるを得なかったところを、「(売りたいユーザーにとって)アップセルできる可能性のある」おまかせ出品で変えていくのが狙いだ。

成約率が上がればAncarの収益も増える。そもそもAncarのビジネスモデル自体も売買が成約した際にのみ手数料を受け取る仕組みなので、成約に至る前に離脱されてしまうのは同社にとって大きな痛手だった。

「これまで途中で売却を断念してしまっていた人たち全員が使うとは思わないが、そういったユーザーを繫ぎ止めるひとつの手段として自社にとっては重要な位置付けになる。実際に自分たちが車を預かり、C2Cで売れる前に最低保証金額を振り込むことで、コミュニケーションの仕方も変わる」(城氏)

おまかせ出品に近しい仕組み自体は「委託販売」という形で一般的な買取市場でも存在したが、Ancarの場合はオンラインのC2Cマーケットと組み合わせることで、「預かった車を全国のユーザーに対してオンライン上で販売できる」(城氏)のが特徴だ。

Ancarは2015年の創業。2018年10月にベクトル、AGキャピタル、クロスベンチャーズなどから4億円を調達していて、累計の調達額は7億円に及ぶ。

CarvanaがシリーズCで1億6000万ドルを調達、オンライン中古車販売と車自販機の拡大を目指す

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中古車業界はとても面白い業界だ。市場規模は大きく、アメリカの年間中古車販売台数は4500万台を記録している。しかし、同市場最大のプレイヤーであるCarMaxのマーケットシェアはたった2%しかない。にも関わらず同社の評価額は120億ドルにのぼる。

つまり、中古車ビジネスはディスラプションを必要としているだけでなく、とてつもなく儲かるのだ。

中古車ディーラーのCarvanaは、ECのアプローチを中古車業界に応用することでマーケットシェアを獲得できると考えている。そのため、先日の記事でも紹介した同社は、販売プロセス全体のオンライン化を行った。そして本日(米国時間8月10日)、Carvanaは、同社のビジネスモデルをアメリカ中でさらに展開させるため、シリーズCで1億6000万ドルを調達したと発表した。

中古車の購入を検討しているユーザーは、まずCarvanaのウェブサイトを訪れ、自分の要望にピッタリの車を選ぶことになる。Carvanaは、ほぼ全ての車種と価格帯をカバーしており、昨夜の時点で5000台程の中古車が販売されていた。価格交渉には応じていないものの、Carvanaの価格はKelly Blue Book(Kelly社の発行する中古車相場についてまとめられた本)に掲載されている販売価格から数1000ドル低く設定されており、ユーザーは実際にふたつの価格を比べることもできる。

ローンなどのファイナンス面や書類のやりとりも全てオンライン上で完結でき、さらにユーザーは、購入した車の準備が出来次第、Carvanaに納車をお願いするか、自ら「車自販機」でピックアップすることができる。

車自販機とは一体どんなものなのだろうか?車自販機とは、その名の通り、顧客がピックアップを行う数日前にCarvanaが補充した車を自動的に販売する、大きなガラス張りの建物のことを指している。昨年、Carvanaは最初の自販機をナッシュビルに設置し、今回調達した資金を利用して今後国内の自販機の数を増やしていく予定だ。

車自販機のことを、ただのマーケティング上の仕掛けであると思う人ももちろんいるだろう。しかし、Carvanaは素晴らしい広告塔としての機能以外にも、自販機には実用的な目的があると説明する。現状として、Carvanaは販売した車を購入者のもとに配送しているが、それには当然購入者が受け取りに来るよりもコストがかかる。そのため、各都市に車自販機を設置することで、従業員が車を配達するのにかかるコストを抑えることができるのだ。

今回の1億6000万ドルにのぼる資金調達以前にも、Carvanaは1億4000ドルをエクイティで、4億ドルを借入で調達していた。個別の投資家については明らかにされていないが、同社によれば今回のラウンドには、新規・既存どちらの期間投資家も参加していた。

これまでのラウンドのように、Carvanaは成長と拡大に調達資金を充てる予定だ。しかし、今回の資金は、今年中に計画されている20以上にのぼる市場への参入と在庫の確保に利用される予定で、大量の中古車のために多額の資金が投入されることになる。

さらに、同社は新たな都市で車を保管(そして願わくば販売)するための物理的な拠点を必要としている。Carvanaはもっと少ない資本でゆっくりと成長することもできたが、投資家共々、確固たるビジネスモデルを作り上げたと信じている彼らは、さらなる成長を続け、中古車業界の鉄が熱いうちに打とうとしていると設立者兼CEOのErnie Garciaは説明した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter