従業員のウェルビーイングを管理、ポストコロナ期の燃え尽き症候群を防ぐQuan

新型コロナウイルス流行収束後のバーンアウト(燃え尽き症候群)の増加、リモートワークへの移行、そして「大量退職時代」が辞書に載るようになった今、企業は人材を確保するのに苦労している。

Culture Amp(カルチャー・アンプ)やGlint(グリント)のようなカルチャープラットフォームは、別の時代に構築されたものであり、人事部にインサイトやレポートを提供するが、それらの多くは2022年に適合しているとは言えない。また、従業員のウェルビーイングは、依然としてますます重要な課題になっている。

新たなスタートアップ企業のQuan(クアン)は、エンゲージメント調査とウェルビーイング手当の間にあるギャップに対処するために、Y Combinator(ワイコンビネーター)をはじめ、オランダのインパクトファンドや複数の匿名のエンジェル投資家たちから、プレシード資金として115万ドル(約1億3000万円)を調達した。

女性が主導するオランダのスタートアップとして初めてY Combinatorに採用された創業者のArosha Brouwer(アロシャ・ブラウワー)氏とLucy Howie(ルーシー・ハウイー)氏は、医師、心理学者、セラピストと一緒にこの問題を研究し、200以上の予測因子に裏打ちされた20以上のウェルビーイングの下位次元を特定したと述べている。

Quanは、2021年3月にベータ版製品を発表し、現在は12の組織と提携を結び、1000人以上の有料ユーザーを獲得しており、プラットフォームのエンゲージメント率は88%に達しているという。

ブラウワー氏は筆者に次のように語った。「あまりにも長い間、人材・行動様式プラットフォームのプレイヤーたちは、ウェルビーイングを効果的に管理する方法を提供せずに『従業員エンゲージメント』や『従業員エクスペリエンス』を測定し、それをビジネス指標に直接結び付けてきました。そのため、バーンアウトや有害な企業文化といった問題が誤った方向に進んでしまう傾向にあるのです。Quanは、社会的な問題を効果的に解決するためには、それを経済的な問題(またはインセンティブ)にもしなければならないと考えています。冷厳な事実ですが、企業に従業員を大事にさせるためには、それが企業の利益にどのように影響するかを直接測定する必要があるのです」。

Quan社は現在、企業のリーダー向けに無料のアクセストライアルを提供している。

画像クレジット:Quan founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

人材管理を自動化する中国のHRテックスタートアップMokaが約113億円を調達

人材管理をソフトウェアで容易にしたいと考えている、中国で6年目のスタートアップのMoka(モカ)は、米国時間11月2日、1億ドル(約113億円)のシリーズCラウンドを獲得したと発表した。

本スタートアップは、採用から既存の社員の維持まで、人材管理の全プロセスを自動化することを目指している。例えば、採用候補者からの面接後のフィードバックを自動的に収集し、その情報をデータベースに保存することができる。また、社員が履歴書に変更を加えると、新しい機会を検討していることを示唆する注意を雇用主側に知らせることができる。

今回の投資は、Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Blue Lake Capital(ブルー・レイク・キャピタル)、Hillhouse Capital(ヒルハウス・キャピタル)のアーリーステージ部門であるGL Ventures(GLベンチャーズ)、GSR Ventures(GSRベンチャーズ)、GGV Capital(GGVキャピタル)が参加した。

今回のラウンドは、MokaがシリーズBラウンドで4300万ドル(約48億8300万円)を調達してからちょうど1年後に行われた。同社は「ユニコーン」の地位を獲得したと述べているが、正確な評価額については公表していない。ゲームやショートビデオなどの消費者向けインターネットサービスが規制強化に直面する中、企業の生産性向上に貢献するスタートアップ企業への投資家の関心が高まっていることを反映しているのだろう。

Mokaは、Tencent(テンセント)、Xiaomi(シャオミ)、McDonald’s(マクドナルド)、Arm China(アーム・チャイナ)など、1500社以上の有料顧客を獲得しており、年間の継続率は110%を超えているという。スタンフォード大学の卒業生であるLi Guoxing(リー・グオクシン)CEOは、以前の講演で、Mokaの製品は中国のインターネット企業の間で特に人気があると主張していた。

画像クレジット:MokaのCEO、Li Guoxing

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ANOBAKAが事業会社対象に急成長スタートアップ100社への出向型留学サービス「CROSS WORK」を開始

ANOBAKAが事業会社対象に急成長スタートアップ100社への出向型留学サービス「CROSS WORK」を開始

シードおよびアーリーステージの起業家を支援する独立系ベンチャーキャピタルANOBAKA(アノバカ)は7月6日、HR支援事業を核とする戦略的子会社ANOBAKA Human Capital(ヒューマンキャピタル)を設立し、第1弾事業となる出向型留学サービス「CROSS WORK」を開始した。

出向型留学とは、大手企業の社員が籍を置いたまま、別の企業に一定期間出向して研鑽を積む制度。「CROSS WORK」は、おもに新規事業の立ち上げやDX人材の育成に取り組む企業を対象に、ANOBAKAが成長目覚ましいスタートアップ100社を厳選し、希望者をそこへ1年間ほど「留学」させるというもの。投資企業にハンズオン支援を提供するANOBAKAは、それぞれのスタートアップの経営状況を熟知しているため、優良な企業を留学先として紹介できるという優位性がある。また、環境が変わることで負荷がかかる留学者には、事前研修や定期的なメンタリングも提供される。

出向型留学については、経済産業省も「越境学習によるVUCA時代の企業人材の育成」や「出向起業等創出支援事業」といった職場留学を推進する事業を行うなど、その効果には期待が高まっている。ANOBAKAは、これまでの事業会社とスタートアップの人材交流を通じて、「スタートアップ留学」で大きく成長し、会社に戻った後に活躍する人たちを多く見てきた経験があるという。今後は、それを「CROSS WORK」として幅広い事業会社に提供してゆくとのこと。サービス開始記念として、7月15日までに問い合わせをすると、初月無料割引が受けられる。

ANOBAKAは、「夢見るバカを信じつづけるバカでいたい」との理念のもと、「ときには無謀ともいえるような夢の原石」を見いだし支えることを目指している。

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カテゴリー:HRテック
タグ:ANOBAKA(企業)教育 / EdTech / エドテック(用語)人材マネジメント(用語)VC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

マネジメントツールとトレーニングを組み合わせたプラットフォームRising Teamが約3.3億円のシード資金調達

Jennifer Dulski(ジェニファー・ダルスキー)氏はChange.orgの社長兼COOからGoogleのショッピングと製品広告の責任者、Facebookグループ担当チーム責任者と、リーダーシップのポジションを経験してきた。

ほとんどのマネージャーが痛いほど知ることになる問題に、同氏も気づいた。優れたマネージャーになるためのトレーニングとツールが不足しているという問題だ。

そこで同氏はRising Teamを設立した。米国時間3月16日、同社はシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはFemale Founders Fundで、Peterson Ventures、Burst Capital、Xoogler Ventures、500 Startups、Roble Ventures、Supernode Venturesとエンジェル数名が参加した。

ダルスキー氏は、GallupやGlintのアンケートのようなマネージャー向けのツールは存在し、エグゼクティブコーチなどトレーニングの選択肢も存在すると説明する。しかしこの2つを組み合わせたものは少ない。

同氏はこう語る。「私はラッキーなことにエグゼクティブコーチをつけたりトレーニングに参加したりする機会を得ることができ、釣りの仕方を教えてもらったと思いました。しかしその後、釣りざおも餌も持たずに湖畔に放り出されたかのように感じました。良いリーダーになる方法はすべて学びましたが、学んだことを実践するツールを持っていなかったからです」。

Rising Teamはマネージャーがチームを刺激し、編成し、最終的には効果的に率いるためのツールとトレーニングを組み合わせたプラットフォームだ。

このプラットフォームの1つ目のレイヤーはツールスイートで、独自の評価や1対1のテンプレートが含まれる。従業員アンケートはたいてい実際の業務に相当重きを置いていて、従業員が最適な仕事ができるのはどこかについての質問が並んでいる。Rising Teamでは、評価はチームメンバーが自分をどのように見られたいと思っているか、自分の能力やスキルをどのように考えているかなど、個人に注目するように調整されている。

これによりマネージャーはどのようにチームメンバーを組み合わせるか、どのタスクを割り当てるかを考え、一人ひとりの仕事のモチベーションをしっかり理解することができる。このような評価ツールの他に、Rising Teamでは動画、記事、オーディオ形式のトレーニングも提供している。将来的には評価から得たデータをもとにAIでカスタマイズしたトレーニングのヒントも追加する予定だ。

Rising Teamはマネージャー同士が交流するコミュニティも作っている。

同社が収益に関してボトムアップのアプローチをとろうとしていることは興味深い。マネージャーが個人的にソフトウェアを購入できるような価格にして、そこから他のメンバーに広がっていくことを狙っている。ただし組織が全従業員分を購入することもできる。

今のところRising Teamは無料のベータ版で、価格はまだ発表されていない。

Rising Teamのスタッフは現在8人で、60%が女性、50%がBIPOC(black, indigenous and people of color、黒人、先住民、有色人種)だ。

ダルスキー氏は「我々が最初から多様性のあるチームとなったことは、私にとってもチームにとっても本当に重要なことです。私は強くそう信じていますし、多様性のあるチームほど成功することはあらゆるデータから明らかです」と語った。

カテゴリー:HRテック
タグ:Rising Team資金調達人材マネジメント

画像クレジット:Rising Team

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)