伊藤忠商事がエストニアのベンチャーキャピタルへの出資発表

伊藤忠商事は7月30日、エストニアのベンチャーキャピタルTera Venturesが組成する2号ファンドTera Ventures II Usaldusfondへの出資を発表した。

Tera Venturesは、エストニアにおける「Top European VC」に選出された、政府系ファンドSmartCapを継承する形で2016年に設立。バルト三国を中心とした周辺地域における強いローカルネットワークだけでなく、フィンランドやアメリカにも拠点を抱えている。グローバルな情報収集とともに、地場に根差したスタートアップに出資しているという。

今回のファンドはその2号ファンドとなり、SaaS、リテールテック、デジタルマーケティングなどの分野を投資対象としている。

伊藤忠商事はこれまでにも、米国やイスラエル、中国での有力なベンチャーキャピタルへの出資、また出資先スタートアップとの協業や海外展開支援を実施。直近では乗合システムを提供するVia Transportation, Inc.(Via)への投資、さらに同社システムを日本で提供するVia Mobility Japanへの戦略的事業投資も行っている。

今回のTera Venturesへの出資を通じ、DX分野において新たに世界をリードする期待を集めるバルト三国や北欧諸国での有望なスタートアップとの協業を実現し、国内外での新たなサービス開発や、各社の収益力向上・経済全体の活性化に寄与することを目指すという。

エストニアは、行政手続きが99%オンラインで完結できるなど、世界最先端の電子国家とされる。サイバーセキュリティや暗号化技術などのエンジニアが多く集まるほか、国外の起業家も進出しやすく、Skypeをはじめ多くの革新的企業が誕生している。

伊藤忠テクノロジーベンチャーズが100億円規模の5号ファンド設立、伊藤忠は20億円を出資

ベンチャーキャピタル事業を展開する伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)は5月19日、「テクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合」(5号ファンド)の設立を発表した。ファンドサイズは、同社過去最大規模となる100億円で、親会社の伊藤忠は出資約束金総額の5分の1となる20億円を出資する。

GP、LPの顔ぶれは以下のとおり(五十音順)。

  • GP(無限責任組合員):伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • LP(有限責任組合員):伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズ、KJホールディングス、コネクシオ、センチュリー、独立行政法人中小企業基盤整備機構、ベルシステム24ホールディングス、みずほ証券、三菱UFJ銀行、りそな銀行

ITVは2000年に設立された伊藤忠のコーポレートベンチャーキャピタル。1980年代から伊藤忠が培っていたシリコンバレーを中心とした有力ベンチャーキャピタルとのネットワークやノウハウを生かし、アーリーステージを中心としたスタートアップに対して投資を進めている。2000年設立の1号ファンドから2015年設立の4号ファンドまでの運用総額累計290億円超、累計投資先社数は150社超となっている。国内では、メルカリ、ラクスル、ユーザベースなどへの投資実績もある、

一方の伊藤忠商事は、ITVを含めた広範囲な国内外のスタートアップとのネットワークを生かし、ミドルおよびレイターステージを中心としたスタートアップへの出資および協業を進めていた。具体的には、医療系SaaSを提供するカケハシや、貸付ファンドのオンラインマーケットを運営するファンズへの出資。後払い決済サービスを提供するPaidyや企業のデータ活用を支援するウイングアーク1stは、持分法適用会社化している。

伊藤忠がバーチャルアーティストのアジア展開に本腰、「にじさんじ」運営のいちからと資本業務提携

バーチャルアーティスト(VTuber)事業を展開するいちからは4月14日、総額19億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先はLegend Capital、ソニー・ミュージックエンタテインメント、けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合、伊藤忠商事。累計の資金調達額は、これまでの10億円超と併せて30億円超になる。

今回調達した資金は、バーチャルアーティスト事業を支える人材への投資とバーチャルアーティスト事業における新規事業開発に投下される。

伊藤忠はバーチャルアーティスト事業について、現実の世界では困難な演出にも挑戦できるなど事業開拓の可能性が高い新たなエンターテイメント領域として注目。今回の提携は、既存のアニメコンテンツ産業を押し上げる日本発の新たなIPとして海外展開を見据えたものとなる。今後、伊藤忠グループのネットワークと知見を生かし、中国をはじめとする海外におけるバーチャルアーティスト事業の展開を支援していく。具体的にはバーチャルアーティストのキャラクターグッズの商品化、音楽展開、リアルイベントの実施といったの複合的な展開をサポートし、新たなアニメコンテンツ市場の創出を目指すとのこと。

いちからは、国内最大級のバーチャルアーティストグループ「にじさんじ」など、バーチャルアーティストに特化した事業を展開する、2017年5月設立のスタートアップ。YouTubeにおける累計チャンネル登録者数は1000万人超、配信動画の累計再生回数は10億回超となっている。人気アーティストの商品・デジタルコンテンツの販売、リアルイベントの実施など事業を多角的に展開している。さらには、中国、インドネシア、インド、韓国などにも事業を展開している。

筑波大発スタートアップiLACが伊藤忠と資本業務提携、全ゲノム解析事業が加速

茨城県つくば市拠点で全ゲノム解析事業を展開するiLAC(アイラック)は1月7日、大手総合商社の伊藤忠商事と資本業務提携を発表した。

iLACは、個人のゲノムを高速解読する「次世代シークエンサー」(遺伝子の塩基配列を高速に解読できる装置)を運用し、代謝産物なども含めた統合解析が可能な唯一の全ゲノム解析の技術を擁する、2012年8月設立の筑波大学発スタートアップ。創業者(サイエンティフィックファウンダー)は筑波大学プレシジョン・メディスン開発研究センター長である佐藤孝明氏。アドバイザー(サイエンティフィックアドバイザー)には、大阪大学名誉教授で、以前はDNAチップ研究所で代表取締役社長だった松原謙一氏が就任している。

伊藤忠によると、全ゲノム解析は、患者の個人レベルで最適な治療方法を分析・選択する「プレシジョン・メディスン」(個別化精密医療)の観点からますます重要なっているとのこと。そして、ゲノム情報を解析することで病気の予測ならびに発症前診断を通じ、最適な予防医療が期待できるとしている。全ゲノム解析を含む次世代診断・検査の世界市場は2025年に1.5兆円、各年3.6倍の成長率で拡大するという予想もあり、先行する欧米各国に追い付くためにも今回の資本業務提携は重要な一歩となる。

伊藤忠商事は今回の資本業務提携を通じ、全ゲノム解析プラットフォームの構築をiLACと共同で進める計画だ。また、伊藤忠グループのネットワークを駆使して、製薬企業とのデータ連携による創薬支援や、健診データと組み合わせた予防事業への展開といった関連事業の産業化を目指すという。

飲食店の無断キャンセルや後払のリスクを保証するGardiaが伊藤忠商事の子会社に

Gardiaは12月16日、伊藤忠商事の連結子会社になったことを発表した。具体的には、同社の発行済み株式の90%を保有するフリークアウト・ホールディングスが、伊藤忠商事に株式譲渡したことにより親会社が変わる。

Gardiaは、飲食店や宿泊施設における「予約の無断キャンセル」(No Show)に対するリスク保証や、サブスクリプション型サービス提供事業者へのリスク保証サービスなどを提供してきた、2017年設立のスタートアップ。最近では、スマートフォンなどを使って決済できるVisaプリペイドカード「バンドルカード」の後払い決済事業者として、与信から決済、回収、保証までのサービスをワンストップで提供している。売上高は設立2期目で10億円超に達しているという。

関連記事
エアトリで物々交換できるバンクの「モノ払い」をGardiaが全力サポート
アプリで作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード」に後払い式「ポチッと」チャージ機能追加

伊藤忠が親会社になった背景は、Gardiaの主力事業であるリスク保証サービスを支えるプラットフォーマーおよび損害保険会社との連携強化、後払い決済サービスの基盤となる豊富な資金力、グローバル展開におけるネットワークが不可欠という判断によるもの。

なお、ネット広告事業などを手掛けるフリークアウト・ホールディングスは、伊藤忠から出資を受けており、これまでも共同でデータを活用したマーケティング事業を進めていた。今回のGardiaの株式譲渡は、両社の提携関係から生まれたものと考えられる。

伊藤忠がQRコードマルチ決済端末開発のネットスターズと資本提携、キャッシュレス導入店舗の拡大狙う

伊藤忠商事は11月21日、国内外の主要なQRコード決済を一括導入できるサービス「StarPay」を展開するネットスターズとの資本業務提携を発表した。


ネットスターズは、中国・テンセントが提供するコード決済であるWeChat Payの代理契約を2014年に締結し、日本国内のQRコード決済市場に参入。その後、複数のQRコード決済を1つのアプリで決済可能にするサービス「StarPay」の提供を開始した。現在ではLINE PayやAlipayなど20以上の国内外のQRコード決済が1つの端末で可能になっている。2019年10月時点で導入店舗は12万拠点を超えるとのこと。ちなみにLINEは、StarPay端末やLINE Pay据置端末の導入を店舗側へ勧めて、LINE Pay決済の普及を推進してきた経緯がある。

伊藤忠商事としては今回の資本業務提携で、StarPayの普及を支援するだけでなく。複数のQRコード決済の導入が見込まれるASEAN、ヨーロッパ、南米、中東などへの海外展開を狙う。

調剤薬局向けクラウド「Musubi」開発のカケハシが26億円調達、伊藤忠やアフラックが株主に加わる

カケハシは10月31日、シリーズBラウンドで第三者割当増資による26億円の資金調達を発表した。引き受け先は既存株主のDNX Venturesやグロービス・キャピタル・パートナーズのほか、新たに伊藤忠商事、電通ベンチャーズ、アフラック・イノベーション・パートナーズ、みずほキャピタルが加わった。今回の資金調達により累計調達額は約37億円となる。そのほか既存の引き受け先は以下のとおり。

  • STRIVE
  • 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • 千葉道場2号投資事業有限責任組合
  • Coral Capital(旧500 Startups Japan)
  • SMBCベンチャーキャピタル

カケハシは、調剤薬局向けのクラウドシステム「Musubi」を開発している2016年3月設立のスタートアップ。患者の疾患や年齢、性別、アレルギー、生活習慣、検査値などのデータを基に最適化した服薬指導をサポートする。季節に応じた対応や、過去の処方や薬歴などを参照した指導内容の提示も可能だ。データを入力していくことで各種情報が蓄積され、より高い精度で患者に最適な服薬指導やアドバイスを自動提案してくれる。

Musubiはタブレットを使用するサービスで、服薬指導中に患者と薬剤師が一緒に画面を見ながら、話した内容をタップするだけで薬歴の下書きを自動生成できるのも特徴だ。調剤薬局といえば、医師から出された処方箋を手渡して薬をもらうだけの場所になりがち。通常は「(処方された薬を)ジェネリック医薬品に切り替えますか」「お薬手帳を持っていますか?」ぐらいの会話しか発生しない。

こういった環境にMusubiを導入することで「かかりつけ薬局」としての存在感が増すという。患者にとっては、診察を受ける医療機関はさまざまでも、薬を受け取る調剤薬局を1つに決めておくことで薬歴が集約されるので、調剤薬局で市販薬を購入する際の服薬指導やアドバイスの精度も増すはずだ。小児科や皮膚科などは平日でも混み合っていることが多く待ち時間が長い。深刻な症状を除けば、調剤薬局に相談して解決というケースも増えるだろう。

カケハシによると、今回調達した資金のうちの大半は、Musubi事業の拡大と新規事業の創出に必要な人材に投資するとのこと。同社は2019年2月に大阪に拠点を開設するなど首都圏以外での事業展開を進めている最中だ。

伊藤忠が自社社員向け乗り合いシャトルサービスを提供へ、NY発ライドシェアViaの技術を活用

伊藤忠商事は9月24日、Via Mobility Japanを通じて、Via Transportationが提供するテクノロジーを活用した、同社社員向けのオンデマンド型乗合サービス「BlueVia」(ブルー・ヴィア)を10月から開始することを発表した。サービスは2020年7月31日までの実施が予定されており、10台の乗り合い用自動車を使う計画だ。

Viaは、一般的なハイヤー・タクシー配車サービスとは異なり、複数人の乗客を最適なルートで複数の目的地まで送り届けるオンデマンド型乗合サービスを提供している、2012年設立の米国・ニューヨーク拠点のスタートアップ。すでに世界約80都市、地方自治体、バス会社、タクシー会社、交通オペレーター、企業、大学などで導入されており、日本では2018年8月に森ビルと森ビル社員向けに同様の実証実験を実施済みだ。

関連記事:NY発ライドシェア 「Via」街や交通機関との“パートナーシップ”を重視した日本戦略とは

伊藤忠は今回、タクシー大手の日本交通の協力のもとでVia社のテクノロジーを活用し、伊藤忠の東京本社に勤務する社員を対象に勤務時間内の移動にオンデマンド型乗合サービスを提供する。同社は「社員の移動時間短縮による効率化やコストの削減をはかり『働き方改革』の一環としてより高い生産性の実現を目指す」としている。

ビジネスパーソンが商談や会議で移動する際、社用車やタクシー、電車、バスなどの移動手段が考えられるが、社用車やタクシーは利用する人数や頻度が高いとコスト高になる。一方、電車やバスはコストは低いものの、最寄りの駅や停留所から遠い場所への徒歩移動については、社員の労働時間をそのぶん削ることになり生産性を低下させる。今回の乗り合いサービスは、社用車感覚で複数人が複数の目的地に辿り着く移動手段として有望かもしれない。

伊藤忠は2019年4月に、米国のVia Transportationへ投資、日本法人のVia Mobility Japanへの戦略的事業投資を実施済みだ。そのほかモビリティ領域では、2018年8月に新興EV(電気自動車)メーカーの奇点汽車、EV商用車のレンタル・メンテナンスサービスの地上鉄の中国企業2社、P2P(個人間)カーシェアリングプラットフォーム事業を展開する英国のHiyacarなどに出資している。今回の社員向け乗り合いシャトルの提供は、Via Mobility Japanへの戦略的事業投資事業の成果物の1つとなる。

伊藤忠が米国のリサイクル会社TerraCycleと提携、持続可能なリサイクルビジネス参入へ

伊藤忠商事は9月6日、米国のリサイクル業者であるTerraCycle(テラ・サイクル)との資本・業務提携を発表。伊藤忠がリサイクルビジネスに本格参入することを表明した。

TerraCycleは、米国で2001年に2人の大学生が有機肥料の会社として立ち上げたことに始まる。大学のカフェテリアから出る食べ残しをミミズに与えてミミズの堆肥を作り、それを溶かして有機肥料を製造する事業を展開していた。しかし、設立当初は資金が限られていたため、肥料を入れて売る容器を調達できず、ゴミ箱から回収した炭酸飲料のペットボトルを使ったのが、リサイクル事業を始めるキッカケになった。

現在同社は、リサイクル困難な資源を回収し、さまざまな製品に再生する技術を擁する。大手消費財メーカー、小売業者、都市、施設などと連携することで、使用済みのおむつ、たばこの吸い殻、製品の空き容器、パッケージといった従来は埋立地に置くか焼却所で処分するしかなかったモノを回収・リサイクルする事業を米国や日本を含む21カ国で展開している。

具体的なリサイクル事例は国内でも進められている。日本法人であるテラサイクルジャパンは、オートバックスセブンとP&Gと組んで、使用済みの自動車用消臭芳香剤を反射板キーホルダーにリサイクルする活動を行っているほか、3Mのスポンジロクシタンの容器などを回収するプログラムもある。

最近では、スターバックス・コーヒーが2020年までにストローをプラスチック製から紙製に切り替える動きを見せるなど、処分に手間とコストのかかるプラスチックゴミを出さない取り組みも欧米を中心に進んでいる。伊藤忠商事は今回の提携により、TerraCycleが持つリサイクル技術やネットワークを活用して、日本やアジアにおけるリサイクル事業の展開を推進していく。

関連記事:TerraCycle introduces speakers made of candy wrappers, chip bags

AIチャットボット開発の空色が約6.5億円を調達

空色は8月22日、総額約6.5億円の資金調達を発表した。WiL、NTTドコモ・ベンチャーズ、S5(エスファイブ)1号投資事業有限責任組合、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先とした第三者割当増資による調達となる。累積資金調達額は約10億円。

写真に向かって左から、空色で取締役CSO兼CFOを務める瀧 直人氏、代表取締役を務める中嶋洋巳氏

同社は、ウェブ接客ソリューション「OK SKY」、AIチャットボットソリューション「WhatYa」(ワチャ)を開発・提供する、2013年10月設立のスタートアップ。

今回の調達した資金は、これまでに蓄積した会話データを活用した購買促進を目的とした会話標準化モデルの実現、顧客接点拡大に伴うウェブ接客ソリューションの発展と開発体制の構築、新事業領域への参入および海外事業展開を目的としたマーケティング、事業拡大に伴う全職種における採用活動の強化などに投資する計画だ。人材採用も強化し、2020年度末をめどに累計導入企業数500社を目指す。同社によると、現在の導入企業数は累計約80社で、流通、小売、メーカー、インフラなどの業種が採用しているとのこと。

同社ではすでに、コールセンターに代わるチャットセンター事業の拡大に向け、伊藤忠商事や三井物産、ベルシステム24などの事業会社と資本業務提携を結んでいる。今後は、大量に保有するチャットログデータの解析およびAI開発、チャットログデータのマーケティング活用に向けた事業提携も検討しているという。

OK SKYは、LINEやFacebook Messenger、SMS、サイト内チャットなどを横断して顧客とやり取り可能できるのが特徴。チャットの内容を蓄積してAIが解析することで、有人チャットと組み合わせた効率的な顧客サポートが可能になる。2018年10月には、こども服大手のファミリアが「OK SKY Chat Bot」を導入している。そのほか、朝日新聞デジタル、レイクALSA、ベルメゾンなどにも導入されている。

WhatYaは、多言語対応のAIチャットボットで、2018年7月に近畿日本鉄道ではウェブサービス「近鉄ご利用ガイド」に試験導入されている。日本語、英語に対応しており、利用者から寄せれた質問をAIが学習して自動回答を行う。

同じく7月に髙島屋京都店でも店内案内にWhatYaを導入。こちらは、日本語、英語、中国語の3カ国対応だ。店内案内に掲載されている二次元コードをスマートフォンなどで読み取れることでウェブサイトにアクセスでき、ブランド名やカテゴリー名などのキーワードを入力すると目的の売場の場所情報を受け取れるというものだ。

飼料と肥料に革命を起こすハエ技術のムスカ、丸紅に続き伊藤忠と提携し10億円超調達へ

ムスカが有する超抜イエバエは羽化する前に収穫・飼料化されるが、ムスカは遂に飛翔することになる。同社は、TechCrunch Tokyo 2018の「スタートアップバトル」で応募100社超の頂点、最優秀賞に輝いた2016年12月設立のスタートアップ。

【関連記事】
Startup Battleはハエで食糧危機を解決するムスカが優勝
ムスカが丸紅と電撃提携、イエバエ技術で生ゴミや糞尿を約1週間で肥料・飼料化
超抜イエバエで世界のタンパク質危機を解決するムスカ、創業者が秘める熱い想い
ムスカに元三井物産の安藤氏、元ゴールドマン・サックスの小高氏が加わる
超抜イエバエ技術のムスカがiCEO職を廃止、新経営体制を発表

伊藤忠商事は4月23日、ムスカに出資し、戦略的パートナーシップを締結することを発表した。大手商社との提携は、3月1日に発表された丸紅との戦略的パートナーシップ締結に続く快挙だ。

伊藤忠商事の出資額は明らかになっていないが、建設費用10億円と言われるムスカのバイオマスリサイクル設備の第1号プラントへ参画することも併せて発表されたため、十数億規模と見られる。これにより同社はムスカの新株予約権を取得することになる。

ムスカのイエバエを活用したバイオマスリサイクルシステム

現在、世界の深刻な食糧危機により飼料としての魚粉が供給限界に達すると言われているほか、人口増加によって有機肥料市場が今後高騰することも確実。伊藤忠商事はこういった現状を打破するためにムスカとの提携を決めた。

ムスカは45世代1100交配を重ねたイエバエの繁殖技術を擁する

ムスカが擁する45年1100回以上の交配を重ねた超抜イエバエは、通常は2〜3週間かかる生ゴミや糞尿の肥料化を約1週間で処理できるのが特徴。しかも、イエバエの幼虫が出す消化酵素により分解されるため、温室効果ガスの発生量も抑えられるという。

伊藤忠商事の食料カンパニーは、食糧原料から製造加工、中間流通、小売りまで幅広いネットワークを有する

前述のように伊藤忠商事はムスカの1号プラントへ参画するが、そのほか国内外における伊藤忠グループのネットワークを駆使して、既存事業やビジネスとの相乗効果を創出し、将来の食糧危機解消の一翼を担う狙いだ。伊藤忠商事や丸紅のネットワークを活用できることで、日本国内はもちろんムスカの海外への展開も現実のものとなってきた。