Airbnbが非公開で株式上場を申請、Q3かQ4に直接上場ではなく新規株式公開か

多難な状況が続く中、宿泊・民泊仲介大手のAirbnbは新規上場を申請したと発表(Airbndプレスリリース)した。ただし申請書は非公開だ。

同社の上場申請は予想よりも早く進められた。同社が今月中に上場を申請を行うことを準備しているというWall Street Journal(WSJ)の報道の直後だった。WSJ記事によれば同社は今年中に上場するという。

つまり今年の第3四半期ないし第4四半期に上場する確率は極めて高い。

Airbnbは新型コロナウイルスの感染蔓延によって旅行業界全体が受けた打撃(未訳記事)から立ち直るべく努力を続けてきた。同社の収入も大きく低下したため、同社は2000人近い社員をレイオフし、外部から調達コストの高い資金を導入している。

同社は2019年に2020年に上場する計画を発表(New York Times記事)していたが、今年の前半には上場は到底果たせない約束ではないかと見られていた。しかしAirbnbはビジネスの各方面で活発に努力してニュースを作ってきた。同社は息を吹き返してきたようだが、そのビジネスはユーザーの旅行、バケーションのパターンが大きく変化した影響を受けている。

Airbnbが上場申請したのであれば、これまでに重ねてきた努力が成果を挙げたのだろうと考えざるを得ない。そうでないならいま上場を申請する必要はない。あとで申請すればいいはずだ。そこで現在注目すべきなのは発表済みの第2四半期の決算が上場のために十分と考えているのか、あるいは第3四半期の決算によってS-1申請書を改定すると同時に公開して復活ぶりをさらに強く印象づけるのかという点だろう。

もちろんこのようなスケジュールだと上場時期が米国における大統領選挙にあまりにも近づくというリスクがある。

こうした点には今後も注目しなければならないが、Airbnbの上場が差し迫ったものとなってきたことは間違いない。 もう1つ注目すべき点は、上場が伝統的な新株発行によるのか、あるいは既存の株式を公開する直接上場となるのかだ。同社の発表では前者を考えているようだが(Axios記者のツイート)、直接上場の可能性は残っている。TechCrunchとしては、やはり伝統的上場の確率が高いと考えるが、今はなんでもありの2020年だ。何が起こるかは最後まで予断を許さない。

画像:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Chatworkが東証マザーズ上場、山本代表が語る今後の事業戦略

ビジネスチャットツール「Chatwork」(チャットワーク)を開発・提供しているChatworkは9月24日、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場した。主幹事証券会社は大和証券で、そのほかみずほ証券、SMBC⽇興証券、SBI証券、マネックス証券、楽天証券、松井証券などが株式を取り扱う。初値は1480円で2019年9月24にち9時11分に1521円の高値となり、その後は1450円台で株価が推移している。公開価格は1600円だったので初値で7.5%下回ったことになる。発行済株式数は3660万株。

ChatWorkは2000年7月の設立。2015年4月にGMO VenturePartnersから3億円、2016年1月にGMO VenturePartners、ジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタルから15億円を、第三者割当増資で調達していた。

大手企業への導入、サイボウズやBoxなど他社サービスとの連携など進め、2018年6月にはChatworkの生みの親でもある取締役兼専務執行役員CTOだった山本正喜氏が、代表取締役兼CEO/CTOに就任。今年2月にはマネーフォワードとの資本提携も発表。3月には、取締役1名と執行役員を2名、監査役を1名を選任する新経営体制を発表していた。

ChatWorkで代表取締役兼CEO/CTOを務める山本正喜氏

今回の上場の目的について山本氏は「社会インフラとして定着させるには事業の継続性や信頼性を担保する必要がある。その手段として上場を選んだ」と語る。山本氏によると「当初は上場や外部資本の導入は考えていなかった」とのこと。

2014年にChatWorkで大規模な障害が発生した際に、顧客のツイートや問い合わせなどでChatworkがビジネスのライフラインとして活用されていることを痛感し、翌年の2015年に腹をくくって資金調達を始め、開発体制の強化を進めたそうだ。具体的には前述したように、2015年4月にGMO VenturePartnersを引受先とした第三者割当増資で3億円、2016年1月にジャフコ、新生企業投資、SMBCベンチャーキャピタル、GMO VenturePartnersを引受先とした第三者割当増資で15億円、総額18億円の資金調達を実施している。

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ちなみに、先月8月23日に発生したAWSの障害により、コード決済やEC、オンラインゲームなどがさまざまなサービスが一時利用できなくなったが、「ChatWorkのメッセージング機能はAWSの障害の影響を受けませんでした。メッセージ検索機能は一時使えなくなりましたが、すぐに復旧しました」と山本氏。「障害に強いシステムを作るには冗長性を持たせる必要がありますが、そのぶんコストがかかります。ChatWorkでは、2014年の教訓からコアサービスであるメッセージング機能は障害に強い設計に作り変えた」と続ける。

セキュリティ面での取り組みも進めており、社内で検証するホワイトボックステストはもちろん、外部アクセスで検証するブラックボックステスト、脆弱性や不具合などを発見した場合に報奨金を支払うバグバウンティプログラムも実施している。「重要度の高いものは速攻で直し、軽微なものは定期メンテナンスでまとめて直しています」とのこと。

ビジネスチャットといえばSlackの勢いが増している印象だが、山本氏は意外にも「あまり競合していないと」語る。「ビジネスチャットは普及率は23%程度で、まだまだ開拓の余地があります。ChatWorkは、Slackが登場する2013年8月より前の、2011年3月からサービスを開始していたこともあり、国内企業の普及率は高いそうだ。IT業界ではSlackの普及率も高いが、ChatWorkは300名以下の非IT業界で採用が増えているという。具体的には、士業、介護、建設、製造、小売り、医療などの現場で使われているそうだ。

ChatWorkの優位性としては「社内と社外で同じアカウントを利用できるため、シームレスな運用が可能」と話す。例えば、Slackでは企業単位でチャンネルを作成した場合、社外の利用者とやり取りする場合は専用のゲストアカウントを利用するか、企業のチャンネルとは別のチャンネルを作成する必要がある。実際は1画面でチャンネルを切り替えられるのでさほど手間ではないが、取引先ごとにチャンネルを作るとなるとかなり煩雑になる。

今後の海外戦略については「まずは日本企業の現地法人があるベトナムやマレーシアに注力する」と山本氏。新興国は安価で労働力が手に入るため、ITへの投資熱はまだまだ低いですが、日本企業が進出している地域では利用頻度は上がっています。当面は日本9割、海外1割のぐらいで事業を拡大していきます」と話す。当面の主戦場は日本とアジア諸国になるが、中国については「グレートファイアーウォールの問題がありメッセージを暗号化できないため、進出の優先順位は低い」そうだ。

米国進出については「調査のためにシリコンバレーに事務所を作ってスタッフを5人ほど常駐させていたが現在は撤退している」とのこと。その理由として、日本資本で日本の会社が英語圏でのエコシステムに乗るのは難しく、ハードルは高かったと話す。

今後のサービス展開として山本氏は「まだまだ普及率の低いビジネスチャットを当たり前にし、次にチャットを利用した商取引を当たり前にする」と語る。将来的には、請求書や決済などもChatWork上で済ませられるマーケットプレイスの構築を考えている」と語ってくれた。

Uber株が持ち直し、ついに上場売出し価格を超えた

米国時間6月5日、 オンライン配車サービスのUberの終値は5%アップし、1株当たり45ドルとなった。5月10日にニューヨーク証券取引所に上場して以来、初めて売り出し価格を上回って取引されたことになる。

この値動きは、上場にあたってUber株を引き受けた証券会社がいっせいにポジティブな見通しを流し始めたことによる。インサイダー取引防止規定により、こうした証券会社は四半期終了前の4週間は意見の公表を禁じられていた。四半期決算の発表によってこの禁止が外れた証券会社はUber株について一斉に「買い」をシグナルした。

Uberは5月の上場で81億ドル(8800億円)を調達し、時価総額70億ドル(7600億円)前後を達成したものの、上場としては失敗だったと見る意見が強かった。上場初日の株価は売出し価格から大きくアップするのが普通なのに、売出し価格を下回って42ドルに下落したからだ。Uberは創立後10年間でベンチャーキャピタルから巨額の資金を調達しており、上場直前の会社評価額は72億ドル(7800億円)だった。

ただし上場後4週間の値動きは比較的安定しており、40ドルから43ドルの間を往復していた。

Uberについての最初の業績見通しは著名なアナリスト、Raymond James Financialのジャスティン・パターソン氏によるもので、Uber を「オフライン・アプリの時代のリーダー」として高く評価し、予想価格を50ドルに設定した。CNBCによれば、パターソンはこう述べている。

他の伝統的企業とは対照的に、Uberはデジタルアプリで人々のオフラインの行動に大きな変化をもたらしている。これには当初膨大な資金を必要とするが、長期的にみればこのコストは容認しうるものだ。

Uberが先週発表した初の四半期決算では、2019年第1四半期に31億ドルの収入があったが、10億ドルの損失を出していたことが判明した。この数字はおおむね予想どおりで、アナリストは1株あたり調整済み純損失は0.76ドルと計算した。UberのCEOであるダラ・コスロウシャヒ氏は四半期決算に対して次のようにコメントした。

今月始めに我々は株式上場という重要な一歩を踏み出した。今後は地域内の移動と配送のためのワンストップサービスを目指すというビジョンの実現に全力を挙げていく。第1四半期におけるユーザーのUber利用はすべての分野で予想を上回り、平均して1日あたり1700万回に上っている。粗収入を通年換算すると590億ドルに相当する。

画像:pencer Platt / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

上場申請書でSlackは収入4億60万ドル、赤字1億3890万ドルと判明

ビジネス向けコミュニティーツールのSlackはDPO(直接上場)を行う予定だ。証券会社の一括引受けにより上場のための新株を発行するという通常の方式ではなく、昨年のSpotifyの上場と同様、発行済株式を直接投資家に販売する。

SlackがSEC(証券取引委員会)に提出したS-1申請書では販売予定株式総額は1億ドルとなっているが、これは仮の数字だろう。

一方、申請書に記載された財務情報によれば、今年1月31日を終期とする会計年度の純損失は1億3890万ドル、収入は4億60万ドルだった。その前年度は赤字1億4010万ドル、収入2億2050万ドルだった。

Slackでは巨額の赤字を計上している理由を「市場シェアを獲得し会社を急成長させるための先行投資」によるものと位置づけ、収入に対する赤字の率が対前年比で減少していることを指摘している。

またSlackは昨年11月から今年1月にかけての四半期で一日あたり1000万アクティブユーザーを得ており、60万の会社その他のユーザー組織のうち、8万8000が有料プランに加盟していることを明らかにした

申請書によれば、Slackはもともと自社内の連絡ツールとして開発されたのだという。同社は自社のサービスについて次のように述べている。

2014年に一般公開して以来、世界の無数の組織がSlackが提供するようなサービスをを必要としていたことが明らかになった。そのためわれわれのマーケティングは主として口コミの推薦によっている。組織におけるSlackの導入はほぼすべてボトムアップであり、まずエンドユーザーが利用を始めている。そうであっても(われわれ自身も含めて) Slackというサービスの本質を説明することは難しい。「チーム活動のOS」「共同作業のハブ」「組織を結合させる何か」その他さまざまな呼ばれ方をしているが、ビジネステクノロジーのまったく新しいレイヤーであり、まだ充分に定義されているとはいない。

同社はビジネスの共同作業のためのコミュニケーションツールの世界市場の総額は280億ドル前後と推定している。Slackの成長戦略は機能を拡充し続けることによって既存のユーザー企業内の地位をさらに強固にしつつ、Slackを中心とするデベロッパーエコシステムを確立することだという。

申請書が触れているリスク要素は他のインターネット企業の場合とあまり変わらない。巨額の赤字を計上している以上、現在の成長率が維持できない事態となれば経営は深刻な問題を抱えることになる。またヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)も.リスクとなリ得る。

Slackはこれまでに総額で12億ドルの資金調達を行っている。Crunchbaseのエントリーによれば、大口投資家はAccel、Andreessen Horowitz、Social Capital、ソフトバンク、Google Ventures、Kleiner Perkinsなどだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ビジネスチャットのSlackが非公開でSECに上場申請したと発表

ビジネスにおけるチャットと情報共有の有力企業、Slackは今年中に株式を上場するために証券取引委員会(SEC)に対して書類を提出したことを明らかにした。ただし書類は当面非公開。

創立5年になるSlackが上場のための具体的措置を取ったのはこれが初めてだ。

サンフランシスコに本拠を置くSlackは、8月の 4億2700万ドルのラウンドを含め、10億ドル以上の資金を調達している。8月のラウンドの会社評価額は71億ドルだった。これによりアメリカで最も.会社評価額の高い非公開企業のひとつであることが確認された。

Slackの発表によれば、世界の1日あたりアクティブユーザーは1000万人、2019年1月現在で 8万5000人が有料ユーザーだ。 SensorTowerからメールで提供されたデータによると、2018年のインストール数は800万回で前年同期比21%アップしている。モバイルユーザーは、2018年第4四半期に前年同期比で21%アップ、2400万人となった。2018年中の新規インストールは800万で前年同期比で21%アップしている。

Slackの株主にはSoftBankのVision Fund、Dragoneer Investment Group、General Atlantic、T. Rowe Price Associates、Wellington Management。Baillie Gifford、 Social Capital and IVPが含まれる。有力ベンチャーキャピタルのAccel、Andreessen Horowitzも初期からの投資者だ。

Slackは今年上場が予定されているユニコーン(10億ドル級)テクノロジー企業の一つだ。UberとLyftも今年の上場を目指して同様に非公開で申請書をSECに提出している。この両社は証券会社を幹事とする通常の上場を行う予定だが、SlackはSpotifyの例にならって直接上場を目指す。新株を発行するのではなく、関係者、社員、投資家などが保有する発行済株式を市場で販売可能とする。これにより、ロードショーと呼ばれる上場説明会の開催やウォールストリートの証券会社による高額な上場手数料をバイパスするのが狙いだ。

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筆頭株主Intelとの共同開発も進めるClouderaが上場申請

大方の予想通り、過去にIntelからの巨額出資を獲得したビックデータ企業のClouderaがIPOの申請を行ったことが明らかとなった。

S-1フォームで同社の財政状態を確認することができる。収益は伸びていて、2017年1月に終了した会計年度では2億6100万ドルを記録している。昨年同期における収益は1億6600万ドルだった。

最終損益は1億8632万ドルの損失。昨年の2億300万ドルと比べると損失額は減っている。フォームの「リスクファクター」の項には「近い将来に関して言えば、今後も損失が発生することが予測されます」と記載してある。

Clouderaの事業領域には多くの競合が存在することを同社は認識している。彼らは、HP、IBM、Oracle、Amazon Web Services、Hortonworksなどの企業を競合として挙げている。

2014年、IntelはClouderaに7億4000万ドルを出資した。当時のバリュエーションは41億ドルだ。しかし、IntelとClouderaのパートナーシップは財務的なものだけではない。S-1フォームによれば、この2社は大量のデータセットを処理するスピードとセキュリティ性を向上させるためのプロダクトの共同開発に取り組んでいるようだ。フォームには、「私たちが想定している共同開発の例として、Intelのアーキテクチャーに演算加速機構を組み入れることでデータを暗号化するスピードを向上させるという試みがあります。また、IntelとClouderaはSpot(インキュベーティング・プロジェクト)の開発にも取り組んでいます。これはオープンソースのサイバーセキュリティ分析プラットフォームで、ビックデータ分析と機械学習の技術によって想定される脅威を事前に警告するオープン・データモデル上に構築されたものです」と書かれている。

2008年まで遡った同社の累計調達金額は10億ドルだ。S-1フォームによればClouderaの筆頭株主はIntelで、発行済株式の22%を同社が保有している。以下、Accelが16.3%、Greylock Partnersが12.5%を保有している。

Clouderaが最後に資金調達を行ったのは3年前だ。IPOを目指し、かつベンチャー資金が投下された企業としてはその空白の期間は長かったと言える。ただ、この数年間Clouderaによる買収やIPOの噂は絶えなかった。

今回のIPOで主幹事を務めるのはMorgan Stanley、JP Morgan、Allen & Coの3社だ。Clouderaが上場するのはニューヨーク証券取引所(NYSE)で、ティッカーコードは「CLDR」。昨年は大半のテック系企業がNasdaqを目指していた一方、今年上場したSnap、Mulesoft、AlteryxなどはClouderaと同じくNYSEに上場した。

JOBS Actにより、企業は通常、ロードショーの約15日前に申請書類を公開する。つまり、企業と株式市場が安定していれば、実際の上場が行なわれるのは4月下旬から5月上旬になる可能性が高い。

株式の発行価格の合計は2億ドルだ。しかし、これはあくまで推定でしかない。実際の発行価格が最終的に決定するのは上場日の前日夜となる。

今回の上場により、Clouderaも最近のテック系企業によるIPOラッシュに加わることになる。閑散とした昨年の後に起こったIPOラッシュの先駆けとなったのは、今月はじめに上場したSnapだ。その後、Mulesoft、Alteryxがその流れに加わることとなる。YextとOktaもすでに申請を済ませており、彼らのデビュー戦は今後数週間のうちに行なわれると見られている。

直近に上場を果たした企業の成功、そしてポジティブな株式市場の動向によりIPOの「窓」は開いている。投資銀行と企業も株式公開に乗り気だ。

[原文]

(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

データ分析のAlteryxが上場 ― 株価は約11%上昇

米国時間24日、データ分析のAlteryxがニューヨーク証券取引所に上場した。アメリカでは、これが今年3番目のIPOとなる。IPO時の公募価格は14ドルだったが、金曜日の株式市場では10.7%高の15.50ドルの終値をつけている。

Alteryxの顧客はAmazon、Ford、Coca-Colaなどの企業だ。同社はこれらの顧客にデータ分析ツールを提供し、プロダクトの改善やマーケットに存在する非効率性の発見の手助けをしている。CEOのDean Stoecker氏のによれば、同ツールのリテンション率は高く、それにより高い精度で収益を予測することが可能だという。

Stoeckher氏によれば、Alteryxは「インストールと使い方の学習が簡単なプラットフォーム」だ。また、彼らは「セールスオペレーションやマーケティング、HR分析」まで幅広い業種のさまざまな部署を顧客として獲得している。

昨年度のAlteryxの収益は8580万ドルで、当期純損失は2430万ドルだった。2015年度の収益は5380万ドル、最終損益は2150万ドルの損失となった。

2010年の創業以来、これまでに同社は少なくとも1億6300万ドルを調達している。出資比率はInsight Venturesが27%、Thomson Reutersが13.1%、Sapphire Venturesが13%となっている。その他にもToba CapitalやICONIQなども出資に加わっている。

カルフォルニア州アーバインを拠点とするAlteryxは、急成長を遂げているカリフォルニア南部のテックシーンの一翼を担う企業だ。先日上場したSnapの本拠地もカリフォルニア南部に位置するVeniceであり、今年上場した企業の2/3は南カリフォルニア出身の企業だということになる。

Alteryxに続き、ニューヨークのYextとサンフランシスコのOktaもすでに上場申請済みだ。彼らの株式市場デビュー戦の日は今後数週間の内に訪れるだろう。昨年は不調だったテック企業のIPOだが、今年は「上場の窓」が開いていることを多くの企業が望んでいるところだ。

Meritech Capitalでマネージングディレクターを務めるRob Ward氏によれば、同社がAlteryxへの出資を決めたのは、「データの消費と保管のあいだには巨大なチャンスが眠っていると考えたから」だという。彼らはAlteryxが「複雑なデータ・エコシステムへの解決策を求める何百万のデータドリブンな企業に向けて、セルフ分析ツールを提供するリーダー的企業となる」ことを望んでいる。

Stoecker氏によれば、同社は今回のIPOによってビジネスの国際展開を加速する構えだ。また、他社の買収も視野に入れているという。

「IPOはこれから始まる物語の序章でしかありません」と彼は語る。

[原文]

(翻訳: 木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter