海外の学校へのリモート留学を可能にするEducate Onlineが約4.5億円のシード資金を調達

Educate Onlineのチーム

学生と国際的な教育機会を結びつけるStudyFree(スタディーフリー)が300万ドル(約3億4000万円)のシードラウンドを調達したことを知ったのは、今週始めのことだった。しかし、さらに従来のコースに合格すること以上のものが存在する。パンデミックによって教育はリモート産業と化し、テック系スタートアップ企業はこれに対応した。

Educate Onlineは、留学生が英国、米国、カナダの学校で勉強できるようにするプラットフォームだが、ひとひねりある。外国に移住したり、それにともなう関連費用を負担したりすることなく、すべてオンラインで、遠隔地から、フルタイムまたはパートタイムで学習することができるのだ。

現在、Xploration Capital(エクスプロレーション・キャピタル)、TMT Investments(TMTインベストメント)、Flyer One Ventures(フライヤー・ワン・ベンチャーズ)、Softline(ソフトライン)、Angelsdeck(エンジェルズデック)から400万ドル(約4億5400万円)のシード資金を調達している。

過去12カ月の間に、18カ国から2500人の生徒が集まり、幼稚園から高校までの学習、ESOL、キャリア模索、大学進学準備、インターンシップやメンタープログラムをカバーしているという。

このプラットフォームでは、学生がキャンパス内のサマープログラムやセメスタープログラムに参加するオプションも提供している。現在、LATAM(ラテンアメリカ)、アジア、中東での展開を計画している。

競合には、Transitions Abroad(トランジションズ・アブロード)Smapse(スマプス)Academic Families(アカデミック・ファミリーズ)など、まだオフライン教育に重点を置いている代理会社がある。

Educate Onlineの共同創業者兼CEOであるAlexander Zheltov(アレクサンダー・ゼルトフ)氏は「Educate Onlineは2018年に設立され、それ以来、4歳から19歳までの4000人以上の子どもたちをトップスクールに斡旋してきました。新型コロナウイルスの流行後、オンライン教育への関心が高まっていたため、オンライン教育へのハードピボットを行いました。2020年には5.5倍に成長し、今後も前年比3~5倍の成長を見込んでいます」と述べている。

Xploration CapitalのマネージングパートナーであるEugene Timko(ユージン・ティムコ)氏は「学校は歴史的に非常にローカルな運営をしてきました。主に海外キャンパスや現地での提携を通じて、海外に進出しているところはほとんどありません。そのため、国際的な学校教育の可能性はかなり制限されています。Educate Onlineは、既存の学校のインフラを補完する有力なオンライン層となり、現在の国境を越えた教育市場を大幅に拡大する可能性があります」と述べている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

留学生の奨学金・助成金プラットフォーム「StudyFree」が約3.4億円調達

StudyFreeの創業者ダーシャ・クロシキナ氏(画像クレジット:StudyFree)

コミュニティ主導のB2C SaaSモデルで、学生と国際的な教育機会を結びつけるStudyFreeは、I2BF Global Ventures、TMT Investments、Techstarsが主導して300万ドル(約3億4000万円)のシード投資ラウンドを行った。また、PandaDocのCEOであるMikita Mikado(ミキタ・ミカド)氏とGoogleの元製品担当ディレクターAndrey Doronichev(アンドレイ・ドロニチェフ)氏が参加している。StudyFreeは現在、合計360万ドル(約4億1000万円)の資金を獲得しています。新たな資金は、コミュニティの新規メンバー獲得、新市場への進出、マーケティング、プラットフォーム開発などに充てられる予定になっている。

2018年11月に創業したStudyFreeは、学生生徒や他校の卒業生の大学や大学院への入学を支援し、奨学金や助成金をリストアップする。同社によると、プラットフォームを利用している国際的な学生生徒は計1030万ドル(約11億7000万円)相当の奨学金や助成金をもらい、米国やカナダ、ヨーロッパ、アジアなどの大学で勉強している。また、奨学金付きの様々な学位のプログラムを30万件以上提供し、9万人の学生が利用している。

StudyFreeのCEOで創業者のDasha Kroshkina(ダーシャ・クロシキナ)氏は「私も小さな町に生まれて国際的に勉強したため、このような機会提供が何よりも重要なことを誰よりもよく知っています。推計では、海外の国際的な教育市場は毎年150万の学生を受け入れています」と述べている。

StudyFreeの主な競争相手は、ユニコーンになったApplyBoardと従来からあるコンサルティングエージェンシーだが、StudyFreeが傑出しているのは学生たちの独立のコミュニティがメンターとして力を貸して入学を助け、外国での勉強の経験を提供していることだ。これらの卒業生たちは、自分が助けられたことのお返しをしたいという気持ちで、新しい学生たちのためのコミュニティイベントやネットワークをホストしている。同社のサービスの収益源は、サブスクリプションだ。

PandaDocのCEOであるミキタ・ミカド氏は、次のように語る。「StudyFreeは国際的な大学入学サービスの先頭に立ち、今やその世界の指導的なエキスパートになっています。過去3年の成功率は98%にも達しています。アドバイスのプロセスを入学志願の全過程を通じてデジタル化したことだけでなく、人的資本とコミュニティをプロダクトの基盤にしたことで、国際的な進学に関するコンサルティングやアドバイスに関する市場を、同社は変えてしまいました」。

クロシキナ氏は、Seedstarsが7年間やってきたグローバルなスタートアップコンペで、初めての女性の優勝者でもあり、またニューヨークのアクセラレータTechstarsやバークリーのSkyYDeckでも選ばれ、Techstarsからは2回投資されている。これまでの投資家には、Acrobator VCやBas Godskaのファンド、東西ヨーロッパに投資しているJoachim Laqueur(ヨアヒム・ラクール)氏、そしてChris Adelsbach(クリス・アデルスバッハ)氏らがいる。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

100万人以上の学生が参加するインドの海外留学プラットフォームLeapが約61億円調達

サンフランシスコとベンガルールに本社を置き、インドの学生が海外で適切な大学を見つけたり、入学試験の準備をしたり、またビザやローンの確保を支援している創業2年目のスタートアップ企業Leap(リープ)は、米国時間9月8日に、複数の著名なEdtech支援者から新たな資金調達ラウンドで5500万ドル(約60億6200万円)を調達したと発表した。

Leapは、Owl Ventures(オウル・ベンチャーズ)が主導する新しい資金調達ラウンドで5500万ドル(約60億6200万円)を調達した。今回のシリーズCラウンドには、ベンチャーファンドの出資者として有名なHarvard Management Company(ハーバード・マネジメント・カンパニー)も参加している。既存の投資家であるSequoia Capital India(セコイヤ・キャピタル・インディア)とJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加しており、2021年3月のシリーズBに続くもので、Leapの累計調達額は7500万ドル(約82億7000万円)を超えることとなった。

Leapの共同創業者であるArnav Kumar(アルナブ・クマール)氏は、TechCrunchの取材に対し、同社が、EdtechとFintechが交差するカテゴリーに位置づけられると語ってくれた。Leapは、インドの学生が海外で入学するのに適した大学を見つけるのを支援し、さらに、留学して生活するためのビザと資本を確保することも支援している。

このスタートアップが開拓しているのは、とてつもなく巨大な市場だ。

毎年、何十万人ものティーンエイジャーや若者が、高等教育を受けるためにインドから異国の地へと旅立っている。Sequoia Capital IndiaのマネージングディレクターであるAshish Agrawal(アシシュ・アグラワル)氏は「インドの学生の海外で勉強したいという願望は、これまで以上に強くなっています」と述べている。

しかし、彼らはさまざまな問題に直面している。その中には、異国の地に降り立った後に現れる問題も含まれている。

彼らは現地でのクレジットヒストリーがないため、ローンやクレジットカードなどのさまざまな金融サービスを利用することができない。もしくは、少なくとも割増料金を支払うことを強いられている。銀行などの金融機関にとっては、外国人客を相手にするとリスクが高まるため、料金が高くなるのだ。例えば、米国に留学しているインド人学生は、13%以上の金利でお金を借りており、これは、現地の学生の2倍近い金利を支払っていることになる。

Leapは、彼らが生成したインド国内でのデータ(代替データと派生データ)を評価し、学生に適正な金利でローンを付与することで、その金融面での問題に取り組んでいる。

しかし、金融は同社が提供するサービスの1つに過ぎない。このスタートアップは、学生が国際的な高等教育を受けられるようにするための、より広範なインフラとも呼ぶべきものを提供できるよう積極的にサービスの拡大を進めている。

Leapは、100万人以上の学生が参加し、学生同士がアドバイスをしたり、方法を模索したりすることができるコミュニティを構築している。Leapによると、コミュニティが過去1年半の間に6万人以上の学生の留学を手助けし、秋には最も好調なシーズンを迎えたばかりだ。

左からヴァイブ・シン氏とアルナブ・クマール氏(画像クレジット:Leap Finance)

前回の取材以降、Leapはさまざまな面で力強い成長を遂げているとクマール氏はいう。そのコミュニティは成長し(毎月10万人の学生が加わっている)、試験準備アプリはますます人気を博し、中核となる金融サービスも急成長しているという。

さらに、留学生が海外の大学に入学した際に、インターンシップの準備や獲得を支援するサービスを拡充することで、留学生が直面するもう1つの課題解決に努めている。

今回の資金調達により、Leapは中東や東南アジアなどの国際市場への進出を計画しており、学生が20カ国で高等教育を受けられるよう支援していくと、以前ベンチャーファンドのElevation Capital(エレベーション・キャピタル)で副社長を務めていたクマール氏は述べている。

「Leapは、学生のための卓越した留学プラットフォームになることを目指しています。海外教育市場は断片的であり、1つですべてが完結するソリューションというのは存在しません」と、Owl VenturesのマネージングディレクターであるAmit Patel(アミット・パテル)氏は声明の中で述べている。

「学生にとっては、どこから準備を始めればよいのか、どの大学をターゲットにすればよいのか、教育費をどのように捻出すればよいのか、非常に混乱していると思われます。Leapは、このような学生の準備や資金調達のニーズをすべて満たす、包括的なプラットフォームを構築しています。Owl Venturesは、Vaibhav(ヴァイブ)氏、Arnav(アルナブ)氏、そしてLeapチームとのパートナーシップを深め、1人でも多くの学生に海外留学を実現していきたいと考えています」と彼は述べている。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Tencentが中国本土から海外の教育サイトローディングをスピードアップするサービスを展開中

新型コロナウイルスパンデミックが引き続き世界中の暮らしと航空網を一変させている中、海外の学校に入学した数十万もの中国人学生が行き詰まっている。中国の自宅で学習しながら、彼らはみな、ある1つの問題に直面している。学校のウェブサイトや他の教育リソースのローディングが耐え難いほどゆっくりなのだ。これは、すべてのウェブトラフィックが通称「グレート・ファイアウォール」という中国の検閲システムを通過しなければならないためだ。

そこに好機を見いだしたAlibaba(アリババ)のクラウド部門は、米国のサイバーセキュリティソリューションプロバイダーFortinetとのバーチャルプライベートネットワーク(VPN)手配を通じて、中国の学生を海外の大学のポータルへと結びつけたとロイターは2020年7月に報じたが、Tencent(テンセント)も似たようなプロダクトを展開しているとも指摘していた。

Tencentのサービスの詳細が明らかになった。「Chang’e Education Acceleration」というアプリはAppleのApp Storeに2021年3月に登場した。選ばれた海外の教育サービスのローディング時間をスピードアップするというものだ。Tencentはアプリについて「在宅でそして海外で学ぶ学生や研究者にインターネットアクセラレーションと教育リソースの検索サービスを提供することを目的とした、Tencentからのオンライン学習無料アクセラレーター」と簡潔に説明している。

教育使用のためのAlibabaのVPNと異なり、Chang’eはVPNではない、とTencentはTechCrunchに語った。VPNをどのように定義づけているか、あるいはChang’eがテクニカル的にどのように機能しているかTencentは説明しなかった。同社は2020年10月にアプリのオフィシャルウェブサイトでChang’eの提供が始まったと述べた。

「VPN」という言葉は中国では隠れた意味を持つ。往々にして「グレート・ファイアウォール」を不法にバイパスすることを意味する。人々は婉曲表現「アクセラレーター」あるいは「サイエンティフィックインターネットサーフィングツール」と言及する。TechCrunchが行ったテストでは、Chang’eがスイッチオンになると、iPhoneのVPNステータスは「オン」と表示される。

TencentのChang’eウェブサイト「アクセラレーター」はリモート学習を余儀なくされている中国人学生が学校のウェブサイトを早く取り込めるようにするのを手伝っている(スクリーンショット:TechCrunch)

ウェルカム画面では、Chang’eはユーザーに「アクセラレーション」のための国を米国やカナダ、英国を含む8カ国から選ぶよう尋ねる。また、各地域のレーテンシータイムとどれくらいスピードアップするかの予想も表示する。

国を選ぶと、Chang’eはユーザーがアプリのビルトインブラウザーで訪ねることができる教育リソースのリストを表示する。そこにはトップの大学79校(大半が米国と英国)のウェブサイト、Microsoft Teams、Trello、Slackのようなチームコラボツール、UDemy、Coursera、Lynda、Khan Academyといったリモート学習プラットフォーム、SSRNやJSTORなどの研究ネットワーク、Stack Overflow、Codeacademy、IEEEなどのプログラミングとエンジニアリングのコミュニティ、世界銀行とOECDが出している経済データベース、PubMed、Lancetといった医学生のためのリソースが含まれる。

これらのサービスの多くは中国でブロックされていないが「グレート・ファイアウォール」下にある中国本土でのローディングはゆっくりとしたものだ。ユーザーはリストに含まれていないサイトをリクエストすることもできる。

Chang’eを通じてスタンフォード大学のウェブサイトにアクセス(スクリーンショット:TechCrunch)

Chang’eはユーザーのスマートフォンの全トラフィックではなく、選んだサイトだけを自由にアクセスできるようにしているようだ。中国で禁止されているGoogle、Facebook、YouTube、その他のサイトはChang’eを通じても利用不可だ。AndroidとiOSの両方で無料で利用できるChang’eは現在のところユーザーに登録は求めていない。オンラインでの行動が厳しく規制されている中国では珍しい方針であり、ほとんどのウェブサイトはユーザーに実名での登録を求めている。

Chang’eを通じて利用できるサービス(スクリーンショット:TechCrunch)

AlibabaとTencentによるサービスは、違法あるいは中国の国益を損なうと思われる情報をブロックするための中国政府の検閲システムによって引き起こされた迂闊な結果だ。大学、研究機関、多国籍企業、輸出業者は往々にして、当局が無害だと考えるもののために検閲回避アプリを探すことを余儀なくされる。

VPNプロバイダーは中国で合法的に運営するために政府の承認を得る必要があり、ライセンスを取得したVPNサービスは中国の国家セキュリティを危険にさらすウェブサイトのブラウジングが禁止されている。2017年にAppleは中国政府の命令を受けて何百もの無認可VPNアプリを中国のApp Storeから削除した。

2020年10月にTechCrunchは、VPNアプリとブラウザーのTuberは中国のユーザーがFacebook、YouTube、Googleといった世界のインターネットエコシステムを垣間見れるようにしていると報じたが、記事の掲載からほどなくしてアプリは削除された。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tencent中国オンライン学習留学グレート・ファイアウォールVPN

画像クレジット:GREG BAKER/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi