個人向け自動資産運用サービス「SUSTEN」のsustenキャピタル・マネジメントが15億円調達、利便性向上や新サービス開発

個人向け資産運用サービス「SUSTEN」を展開するsustenキャピタル・マネジメント(サステン・キャピタル・マネジメント)は3月28日、第三者割当増資による総額15億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、マネーフォワード、NOWが運用するファンド、東京理科大学ベンチャーファンド。調達した資金は、既存サービスの利便性向上をはかる改良、個人投資家のニーズに応える新サービス開発、本格的なマーケティング活動にあてる。

SUSTENは、利用者がアプリ上で質問に答えるだけで、利用者ごとに適した運用ポートフォリオを診断し運用まで自動で行うという資産運用サービス。投資の知識がない人でも、金融工学理論と機械学習を融合させた分散投資を利用できるとしている。世界の株式に投資する従来型の運用だけでなく、株式以外の収益源を活用する絶対収益追求型戦略も用意しているそうだ。

また同社は、完全成果報酬型の費用体系を導入。資産が増える時のみ費用が発生し、相場が軟調な間は、同社に対する費用は発生しない。顧客の投資資産を保全する信託銀行に支払う受託者報酬、投資対象上場投資信託に支払う経費など、投資金額に対して年率0.022~0.099%(税込)程度の実質的な費用は発生する。

フランスのFinaryは新たな創業理念でプライベートバンクの構築を目指す

フランスのスタートアップ企業であるFinary(フィナリー)が、800万ユーロ(約10億300万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。この会社は、富裕層が資産をトラッキングする際に全体像を把握できる包括的なアグリゲータを構築している。そしてそれは、Finaryが銀行口座に限定されないことを意味する。つまり、不動産から暗号資産や株式まで、多くの資産をトラッキングすることができるということだ。

そして、このスタートアップのビジョンは、筆者が初めてこの会社について記事を書いたときからあまり変わっていない。データの集約は、同社にとって最初の一歩に過ぎない。Finaryは、これまでと異なる創業理念でゼロからプライベートバンクを作りたいと考えている。

現在のプライベートバンキング業界について考えてみると、顧客と銀行の間にズレがあることがわかる。銀行は顧客から直接収益を得るのではなく、金融商品を販売し、その商品から収益を得ようとする。彼らはファイナンシャルアドバイスと称しているが、それは単なる胡散臭いセールスだ。

「当社は独立企業だから、何でも話せます。既存の業者は、自分たちに手数料が発生するようなソリューションしか提案しません」と、共同創業者でCEOのMounir Laggoune(ムーニエ・ラグーン)氏は筆者に語った。

次世代の富裕層はこれまでとは異なる体験を求めると、Finaryは確信している。彼らは情報を直接見て、自分自身で十分な知識を得た上で意思決定をしたいと思うだろう。つまり、もはや家族に送金するために銀行員に電話しなくても済むようになったように、Finaryは富裕層に適切なツールと情報を提供したいと考えているのだ。

Finaryの今回の資金調達ラウンドは、既存投資家のSpeedinvest(スピードインベスト)とY Combinator(Yコンビネーター)が主導した。また、Qonto(コント)の創業者であるSteve Anavi(スティーヴ・アナヴィ)氏や、Alexandre Prot(アレクサンドル・プロット)氏、Bitpanda(ビットパンダ)のEric Demuth(エリック・デムス)氏などのエンジェル投資家も参加した。

しかし、それですべてではない。Finaryは、新しいプライベートバンクを作るということは、最も活動的な顧客が同社の株式を所有できるようにすることだとも考えている。このスタートアップ企業は、まもなく株式のクラウドファンディングキャンペーンを開始する予定だ。

具体的には、フランスで近々立ち上げられるエクイティクラウドファンディング(株式投資型クラウドファンディング)プラットフォームを通じて、人々は10ユーロ(約1300円)から投資して株式や端株を購入することができるようになる予定だ。

「私たちは50万ユーロ(約6400万円)を割り当てましたが、多少のオーバーファンディングはOKです」と、ラグーン氏は言っている。

筆者が前回の記事を書いた以降、FinaryはiOSとAndroidの両方でモバイルアプリの提供を開始した。このアプリは現在、同社のサービスにアクセスするための一般的な方法となっており、ユーザーは平均して週に9回、つまり1日に1回以上、Finaryの口座をチェックする傾向があるという。

その後も同社はさらに統合機能を追加し、フランス、米国、カナダ、スペイン、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグで1万種類の資産をトラッキングできるようになった。例えば、ユーザーは複数の銀行口座、株式取引口座を接続し、不動産、金、暗号資産ウォレットの公開アドレスなどを追加することができる。

Finaryは、Plaid(プレイド)やBudget Insight(バジェット・インサイト)など、いくつかのAPIベースのアグリゲータを使って口座をトラッキングしており、また、bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のノードを動かしてウォレットアドレスをトラッキングしている。

このスタートアップ企業は、全体で3万人のユーザーを集め、100億ユーロ(1兆3000億円)相当の資産をトラッキングしている。つまり、同社のユーザーは平均するとそれぞれが30万ユーロ(約3900万円)以上の資産をトラッキングしていることになる。同社は現在、月額10ユーロ(約1300円)のサブスクリプション料金で収益を上げている。

そして、これがこの製品の興味深いところなのだが、Finaryはデータを集約するだけでなく、レコメンデーション(推薦)もできる。例えば、投資信託の隠れた手数料を明らかにしたりする。ユーザーはパフォーマンスレポートを生成し、異なる地理的配分、セクター、リスクプロファイルなど、どのように投資を分散させることができるかを学べる。

今回調達した資金を使って、同社は英国、ドイツ、スイスの金融機関を完全にカバーすることを計画している。同社は他に、新たな追加機能の開発にも取り組んでいる。今後はファミリーモードや、より効率よくRSU(譲渡制限付株式ユニット、フランスではBSPCE)をトラッキングする方法、個人資産と職業資産を分離する機能などが加わる見込みだ。

Finaryはさらに25人の新規雇用も予定している。この先、多くの製品拡張も計画されており、例えばこのプラットフォームから、暗号資産を直接購入できるようになることもあり得るだろう。税務申告を支援するサービスも考えられる。Finaryは2022年末までにユーザーベースを10倍に拡大し、30万人のユーザーに到達することを目指している。

画像クレジット:Finary

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自社の株式や暗号資産などを持つテック企業従業員が自分の財務管理を行うためのオールインワンプラットフォーム「Compound」

Jordan Gonen(ジョーダン・ゴネン)氏とJacob Schein(ジェイコブ・シャイン)氏は、テック業界で働いていた数年の間に、自分たちの財務状況を明確に把握していないことに気づいた。他の多くのテック系社員と同様、2人のソフトウェアエンジニアは、自分たちが働いていたスタートアップ企業の株式や、暗号資産への投資など、流動性の低い資産を保有していた。彼らは自分たちの資産を把握し、投資や納税のサポートを受けたいと思った。しかし、従来の金融機関やロボアドバイザーは、このような資産を持つ人々に合ったシンプルで包括的なソリューションを提供していないと、彼らは感じた。

そこで2人は、約3年ほど前にCompound(コンパウンド)という会社を起ち上げた。Y Combinator(ワイコンビネータ)の2019年夏クラスに参加したCompoundは、現金、証券、暗号資産、不動産、ベンチャー投資など、流動資産および非流動資産の財務状況の全体像をユーザーに示す、オールインワンのウェルスマネジメント・プラットフォームを自称している。

筆者は、CompoundのCEOであるゴネン氏(偶然にも筆者の元同級生)にインタビューを行い、彼が構築しているものについて話を聞いた。Compoundを起ち上げる前に、ゴネン氏とシャイン氏は、テック系企業の従業員や創業者、投資家からファイナンシャルプランニングのニーズを把握するために、個人的に1300件以上のコンサルティングを行ったという。

「私たちがこの会社を設立したきっかけは、自分たち自身の問題を解決しようとしたことでした。私たちが書いた株式報酬に関するエッセイが、テック業界で大きな注目を集めたことから、(私たちに相談してきた)人々を支援するようになったのです」と、ゴネン氏は語る。

ゴネン氏とシャイン氏は、ストックオプションを行使すべきかどうか、遺産計画の立て方、IPO後の分散投資など、さまざまなテーマで各人に助言を行った。

このようなテック業界の人々との会話が功を奏し、彼らは数多くのテック系企業の幹部を惹き付けることができた。今回発表されたシリーズBラウンドには、Coinbase(コインベース)、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)、Plaid(プレイド)など、数多くの企業の幹部が参加した。

Compoundが2500万ドル(約29億円)を調達したこのラウンドは、Greenoaks(グリーンオークス)と元Stripe(ストライプ)のプロダクトマネージャーであるLachy Groom(ラッシー・グルーム)氏が主導し、Y Combinator、XYZ、SciFi(サイファイ)、Day One Ventures(デイ・ワン・ベンチャーズ)、Silver Lake(シルバー・レイク)のEgon Durban(エゴン・ダーバン)氏、FTXのCEOであるSam Bankman-Fried(サム・バンクマン・フライド)氏、および前述のエンジェル投資家たちが参加した。このシリーズBにより、同社の資金調達総額は3700万ドル(約42億6000万円)に達した。

ゴネン氏によると、同社には「数百人」のユーザーがいるという。明らかに特定の富裕層をターゲットにしているわけではなく、キャリアの段階ごとにさまざまな顧客に対応していると、同氏は付け加えた。

Compoundは、自らをユーザーが個人のバランスシートを見るためのワンストップショップであると考えていると、ゴネン氏は語る。同社では、株式、暗号資産、その他の非流動資産のためのさまざまな投資プラットフォームにリンクする統合機能を使用しているが、このような形でCompoundと提携しているプラットフォームの数については、ゴネン氏は明らかにしなかった。

提携プラットフォームになっていない取引所に関しては、既製の統合機能も使用しており、特に複雑な構造で保有されているユーザーの資産については、手動で追跡していると、ゴネン氏は述べている。納税申告サービスについては、プラットフォームとの提携に加え、Compoundが所有する税理士事務所を通じて自社でも提供している。

ゴネン氏は新たに調達した資金で、現在約50名のチームを「かなり大きく」したいと考えている。

「人々は、財務を特定の状況に合わせてローカルに最適化するのではなく、グローバルに最適化するべきです」と、ゴネン氏はいう。

「そうは言っても、お客様の多くはカタリスト・イベントの前後に当社を訪れます」と、ゴネン氏は続けた。「彼らは、ストックオプションを行使するかどうかを決めたり、オプションを行使するためにローンを組むべきかどうかを考えたりしています。州を移すべきか、流動性イベントの後にどうやって分散させるか、エンジェル投資できる余裕がどれだけあるのか。Compoundは、これらの質問に答えるためのオールインワンのプラットフォームを提供しているのです」。

画像クレジット:Teera Konakan / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】暗号資産の規制が米国でスーパーアプリが生まれるきっかけになるかもしれない

今や、中国社会の大部分が「スーパーアプリ」と呼ばれるものに依存するようになった。診察の予約からタクシーの配車、ローンの申し込みに至るまで、さまざまなタスクを1つのプラットフォームでこなすWeChat(ウィーチャット)などのアプリのことだ。

米国ではこのようなワンストップショップが勢いに乗ることはなかったが、ついに米国でもそのときが来たのかもしれない。フィンテック業界、とりわけ暗号資産を専門とするプラットフォームからスーパーアプリが誕生する可能性が高いのだ。

株価の高騰と金利の記録的な低下、近い将来に起きるインフレへの不安などが重なり、暗号資産は急速に人気を集めている。米国政府が暗号資産を全面的に規制することを決定した場合(現在、米国議会はこの議題を検討している)、暗号資産の正当性はさらに高まるかもしれない。

今後、暗号資産の発行体が規制当局と連携し、消費者を保護しながら金融および投資に関する新たなオポチュニティを生み出すための妥協案を見いだせた場合、Coinbase(コインベース)などの暗号資産専用プラットフォームの他、PayPal(ペイパル)、Venmo(ヴェンモ)、Stripe(ストライプ)など、最近になって暗号資産による決済機能を追加したサービスが米国版のスーパーアプリに進化する可能性がある。消費者が暗号資産を安全かつ正当なもの、そして使いやすいものとして見ることができれば、これがスーパーアプリの基盤となり得るだろう。

関連記事:オンライン決済の巨人「Stripe」が暗号資産市場に再参入

これらの暗号資産アプリや決済アプリを拡大し、他のアプリやサービスと統合すれば、さまざまなタスクが便利になるはずだ。結局のところ、人は銀行に行くときにだけ資金管理のことを考えているわけではない。そもそも銀行口座を持っていない人も存在する。人は、買い物や旅行をするとき、診察料を払うときにも資金管理について考えており、こうしたアプリはそれぞれの人に必要な金融サービスを各個人に合わせて提供する助けとなるだろう。

暗号資産による決済を他のタスクと統合することは、金融業界を一般に広く行き渡るものに変えるという面でも大きなカギとなるだろう。暗号資産を普及させることで、十分なサービスを受けていないコミュニティの他、信用履歴がなくクレジットカードやローンの申し込みが困難な人に対し、より幅広い金融サービスを提供できるようになるからだ。

スーパーアプリの台頭

WeChatは2011年に中国国内のメッセージングアプリとしてサービスを開始したが、2013年には決済プラットフォームとしての機能を果たし、その後まもなく買い物や食料配達、タクシーの配車といったさまざまなサービスを展開するようになった。

今や、WeChatは何百万もの種類のサービスを提供しており、その大部分は、各企業がWeChat内で動作するミニアプリを開発し、そのミニアプリを通してサービスを提供する形となっている。10億人以上のユーザー数を誇るAliPay(アリペイ)の仕組みも同様だ。これら2つのアプリは、過去10年間で中国を現金主義経済からデジタル決済に大いに依存する経済へと変換したとして評価されている。デビットカードやクレジットカードが普及する中間段階を飛び越えた形での進化だ。

この仕組みはインドネシアをはじめ、同地域の他の国でも普及が進んでいる。ここでカギとなるのは、スーパーアプリのサービスの多くに、決済手段を含む金融サービスが搭載されているという点だ。

米国と欧州でも、こうしたアプリの使用は急増している。Apple(アップル)やFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)などの大手テック企業が決済サービスを追加し、VenmoやSquare(スクエア)といった複数の決済アプリがさらに普及するようになった一方で、スーパーアプリの出現はいまだに見られていない

その理由の1つは、データプライバシーに関する規制だ。米国、そして特に欧州におけるプライバシー規制によってアプリ間のデータ共有が制限されているため、アリペイなどのスーパーアプリにミニアプリを自動統合するようなエコシステムの構築が困難となっている。

また、以前から米国に充実したインターネットエコシステムがあることも理由の1つだ。フェイスブックなどの人気ソーシャルメディアやペイパルなどの決済サイトがスマートフォンの誕生以前から存在したため、1つのアプリが複数のサービスを提供する代わりに、これらのプラットフォームがそれぞれ別のアプリを展開する結果となっている。一方中国では、インターネットの大半がモバイルファーストで、スマートフォンの出現以降に進化している。米国市場は長きにわたり、各タスクについて別個のプラットフォームを使用する形態に慣れていたというわけだ。

しかし、アナリストの多くは、さまざまなアプリやテック企業がサービスの種類を拡大している点(例えばTikTok(ティックトック)はショッピング機能を追加し、Snapchat(スナップチャット)はゲーム用のミニアプリを統合し、Appleは決済業界に参入)を指摘し、米国でもいずれスーパーアプリが台頭するか、たとえそうでなくても今より多機能の大型アプリが出現するだろうと述べている。1つのアプリにサービスを追加し、ユーザーのリテンションを維持する方法を見いだすことができれば、あるアプリでのユーザーの挙動を別のアプリと共有せずに済むため、プライバシー規制を回避することにもなる。

米国では、アジア市場のように1つまたは2つのアプリが群を抜いて市場を支配することは考えにくいものの、アプリの巨大化、そして包括的なものへの変化が進んでいることは明らかだ。

DeFiの進化

一方、過去10年間で暗号資産が生み出したものは決済アプリとスーパーアプリだけではない。ビットコインという1つの製品から誕生した暗号資産は、今や総合的なピア・ツー・ピアの金融システム、いわゆるDeFi(ディーファイ、分散型金融)へと進化した。これには、Ethereum(イーサリアム)やDogecoin(ドージコイン)など複数の通貨が含まれ、システム上でユーザーによるお金の投資、売買、消費、貸し出しが可能となっている。

新型コロナウイルス感染症の拡大によって経済の先行きが不透明になり、また従来の金融機関のなかにも暗号資産関連のサービスを一部提供する機関が増えたことで暗号資産の人気がさらに上昇している反面、暗号資産はいまだに主要の金融システムや金融セクターから除外されており、高い危険性があることを多くの専門家から指摘されている。暗号資産の発行体もまた、分散型の金融製品を生み出すという目標から外れるとして、規制に長らく抵抗してきた。

しかし、この状況には変化が生じ始めており、一部の暗号資産プラットフォームが規制の遵守に関心を示すようになっている。

例えば、Coinbaseはユーザーがコインを他人に預け入れた場合に利子を獲得できるという製品の提供を計画していた。ところが、米国証券取引委員会によるガイダンスの提供がなかったにもかかわらず、同委員会から「Coinbaseが製品をリリースした場合は同社を提訴する」との警告が発せられ、この計画を断念するに至った。事実、暗号資産の発行体は、一部の規制に従うことで自社の製品の正当性が高まり、より多くの人に幅広い目的で使用してもらうことができると認め始めているのだ。この流れには、最近、Stablecoin(ステーブルコイン)をはじめとする新たな暗号資産製品が市場に現れたことで、従来の通貨の価値が議論されていることも関係している。

暗号資産の規制については、米国証券取引委員会の委員長Gary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)氏をはじめ、一部の議員や暗号資産業界の人物が賛成の立場を表明しており、規制の実現は近づいていると考えられる。

暗号資産が米国初のスーパーアプリを後押しする存在に

暗号資産の発行体が政府関係者と連携し、イノベーションを制限することなく消費者を保護するような規制を定めることができた場合、暗号資産は長年動きのなかった米国のスーパーアプリの開発を促す要素となる可能性が高い。

Coinbaseが米国証券取引委員会と連携し、互いに調整しながら質の高い規制を定めることができたならどうだろうか。法令をもとにCoinbaseが、ユーザーが暗号資産として信頼できる、存続可能かつ認定された金融手段であることを立証し、魅力的な収益創出のオポチュニティとなる新規の金融製品のみならず、日常シーンでも使用できるツールとして成長させることができる。規制によって通貨に安定性が生まれれば、隠れた価値を持つ資産としてだけでなく、買い物に便利なツールとして変化させることができるだろう。現時点では日常生活で暗号資産を使おうとした場合、トランザクション時間の長さや手数料の高さ通貨価値の変動の大きさなどがユーザーエクスペリエンスに摩擦を生むことになるが、こうした規制により、面倒な一部の手順を排除することも可能だ。

規制のフレームワークを作成することで暗号資産の需要は圧倒的に増加し、飲食業から小売業に至るまで、暗号資産を使った決済処理への対応を希望する企業が突如として増えるだろう。そうなれば、既存の暗号資産決済アプリへの統合が加速し、それらがスーパーアプリに進化していくと考えられる。従来の通貨を銀行に預金する代わりに、これらのアプリで暗号資産の預金をする人も増え、経済、そして金融のエコシステム全体が根元から覆るだろう。

銀行はいつでも大衆が望む製品を生み出してきたが、暗号資産および分散型金融の業界はまぎれもなく、人が必要とする製品とサービスを提供してきた。現に、規制や法的な環境がはっきりしない今でさえ、何百万もの人が暗号資産を使用しているのだ。

中国では、クレジットカードのサービスを十分に受けられない市場で現金の代替手段が必要となり、そのニーズを満たすべく、ユビキタスかつ統合型のデジタル決済が急速に進化した。同じように、暗号資産ベースのスーパーアプリは従来の決済手段に代わって、あるいはそれに加えて、暗号資産を安全かつ効率的に使用することを望む消費者や企業のニーズを満たすものとなるだろう。

暗号資産が無規制のグレーゾーンにとどまる限り、そのプラットフォームもスーパーアプリに進化することなく、業界外の経済や日常生活から除外されたままとなってしまう。そうなれば、米国はモバイルファーストかつデジタルファーストな、革新的で新しい金融エコシステムを構築するチャンスを逃すことになるのである。

編集部注:本稿の執筆者David Donovan(デビッド・ドノヴァン)氏は、デジタルコンサルタント会社Publicis Sapientの米大陸におけるグローバル金融サービスプラクティスを率いており、元Fidelity Investmentsの幹部。

画像クレジット:loveshiba / Getty Images

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(文:David Donovan、翻訳:Dragonfly)

おつり投資・ポイント投資を行える資産運用サービス「トラノコ」のTORANOTECが約29億円のシリーズC調達

おつり投資・ポイント投資を行える資産運用サービス「トラノコ」のTORANOTECが約29億円のシリーズC調達

資産運用とアプリ開発・運営を行うフィンテック企業TORANOTEC(トラノテック)は8月30日、シリーズCラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約29億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターのJIC ベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合(JIC VGI。産業革新投資機構傘下のJICベンチャー・グロース・インベストメンツ運営)、セブン銀行、Aslead Capital Pte、AG キャピタル、SUMISEI INNOVATION FUND(住友生命CVC)。

トラノテックは、おつり投資やポイント投資を可能とする資産運用サービス「トラノコ」(Android版iOS版)を運営。投資へのハードルを著しく下げ、誰もが将来に向けた資産形成を行える社会の実現を推進しており、累計で約30万の口座開設に至っているという。

調達した資金は、トラノコのサービス拡充・普及拡大の加速を目的としたマーケティング活動の推進、またより幅広く顧客ニーズに対応すべく新商品・新サービスの開発・展開に重点投資を行う予定。

トラノコは、日々の買い物データから算出される買い物のおつり分や各種ポイントを、毎日コツコツ投資に回し、少額から本格的な資産形成ができるアプリサービス。トラノテック完全子会社のTORANOTEC投信投資顧問が提供しており、3つのファンドから1つを選ぶだけで、世界中の株式・債券などに分散投資できる。

また、無料歩数計アプリ「マネーステップ」(Android版iOS版)と連携することで歩くだけで投資資金を毎日獲得できる「歩いて投資」機能など、投資が楽しくなる各種サービスを搭載。今まで投資を行ったことがない方にとっても無理なく長期的な資産形成を始められるとしている。

累計ユーザー数30万人超のポイント投資「STOCK POINT」が三菱UFJ銀行をスポンサーに迎え新サービス開発に着手

累計ユーザー数30万人超のポイント投資「STOCK POINT」が三菱UFJ銀行をスポンサーに迎え新サービス開発に着手

株価など金融商品連動型ポイント運用サービス「StockPoint」(Android版iOS版)を手がけるSTOCK POINTは7月2日、三菱UFJ銀行をスポンサーとして迎え、新サービスの開発に着手したと発表した。2021年秋、新しいポイント運用サービス「STOCKPOINT for MUFG」を提供開始予定。

STOCKPOINT for MUFGは、誰でも気軽に資産運用疑似体験をスタートできるポイント運用サービスという。「投資=難しい」という固定観念の壁を越える「楽しい世界観」を実現すべく、サービス提供に向けて開発を進めるとしている。

STOCK POINTのポイント運用サービスは、買い物などでたまった所持ポイントの運用を行えるというもの。個別企業株の株価など金融商品の価格に連動して所持ポイント数が上下に変動し、金融機関に口座を開くことなくポイントを使い投資運用を疑似体験できる。現在、会員の約80%が20代から40代の若年層、また30%は投資未経験の者という。2021年5月末時点で累計ユーザー数が30万人を突破しており、従来投資に馴染みのなかった方が貯蓄から投資への一歩を踏み出せるサービスとして広がっているとした。

また個別株、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)に関しては、1株、1口価格相当以上のストックポイントが貯まると、現物金融商品との交換も可能。同社は、ポイント運用サービスを通じて、生活者が投資についての正しい知識を得て、自分らしい資産形成を始めるサポートを行うとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:資産管理 / 資産運用(用語)STOCK POINT(企業)StockPoint(サービス)投資(用語)日本(国・地域)