電動キックボードのUnagiが新たに米6都市でサブスクサービスを展開

ポータブルでデザイン重視の電動キックボードを手がけるスタートアップUnagi(ウナギ)は調達した1050万ドル(約11億4000万円)を元にサブスクサービスを米国の6都市で新規展開する。

Beats Musicの元CEOであるDavid Hyman(デビッド・ハイマン)氏とMogの共同創業者が2018年に立ち上げたUnagiは米国時間3月17日、サブスクサービスをオースティン、マイアミ、ナッシュビル、フェニックス、サンフランシスコ、シアトルで開始すると明らかにした。同社はまたニューヨークとロサンゼルスの首都圏でもサービスを拡大する予定で、ここにはニューヨーク市の5区、ロングアイランド、ウェストチェスター、北部ニュージャージ、ウェストサイド、南東L.A.、サンフェルナンド・バレー、オレンジ郡などが含まれる。

これらのエリアは潜在消費者が計3000万人のマーケットだ。シリーズAのラウンドはEcosystem Integrity Fundがリードし、Menlo Ventures、Broadway Angels、Gaingelsなどが参加した。

今回のサービス拡大の6カ月前にUnagiは「All Access」サブスクサービスをニューヨーク市とロサンゼルスで試験していた

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同社はサブスクサービスを提供する唯一の電動キックボード企業ではないかもしれない。同社は急速に知られるようになり、米国で最大のリーチをもつサービスになりつつある。Bird(バード)も2019年に似たようなサービスを立ち上げたが、その後の展開はなかった。

数年前にTechCrunchが「キックボードのiPhone」と名づけたUnagiはデュアルモーター搭載のModel Oneという電動キックボードを月49ドル(約5300円)で提供している。電動キックボードを所有するのに990ドル(約10万8000円)も払いたくない広い階層の人々がにアクセスしやすくするのが狙いだ。ハイマン氏によると、スリークなデザインで頑丈、そして驚くほど軽量な電動キックボードの販売は35歳以上の男性を主なターゲットにしている。一方で、Unagiのサブスクサービスはすてきなものは好きだがコミットメントは好まないというミレニアル世代のヤッピーたちに重きを置いている。

「当社のマーケットは純粋に都市部であり、企業理念は『もしあなたが当社の電動キックボードを持って3階上れなかったら、それは我々がしたいものではない』というものです」とハイマン氏はTechCrunchに語った。「所有以外のアクセスを好み、責任やメンテナンスの懸念を抱えたくないという消費者の世代があると思います」。

これはキックボードで育った世代と同じであり、彼らは路上で見かける電動キックボードの乗り方を直感的に知っている。部分的にはこれが電動キックボードが近年大成功した理由だと同氏は述べた。

グローバルの電動キックボードマーケットは今後10年は年8%ほどで成長し、2030年までに420億ドル(約4兆5720億円)に達すると予想されている。Unagiとカリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールが共同で行った調査に基づいて、シェアリングは電動キックボードマーケットの3分の1を占め、残りが所有とサブスクとなるとハイマン氏は推測している。サブスクモデルは、利用可能な電動キックボードを探したり、見つけても最後のライダーがそこら中にウイルスを咳で撒き散らしたのではないかと心配したりする必要がないため、シェリングモデルよりも魅力的だと同氏は話した。

Unagiのセールスポイントは、前もって価格が決められていること、そしていつでもサブスクをキャンセルできるため、心配いらずのエクスペリエンスとなることだ。月極料金にはメンテナンスや紛失・盗難・ダメージの保険が含まれている。ただ、いくつかの決まりもある。最低3カ月の利用、そしてセットアップ料金50ドル(約5400円)を払わなければならない。

ハイマン氏はサブスクモデルが成長するには少し時間がかかるが、成長すればUnagiの稼ぎ頭になると考えている、と話した。同氏によると、パイロット事業を展開した都市でサブスク電動キックボードの需要があり、2019年から2020年にかけてUnagiは450%成長した。しかし具体的な数字の公開は拒否した。

もしワクチン接種した人々が通常の通勤スタイルに戻ったら、電動キックボード熱は最終的に落ち着くかという質問に対して、同氏は「当社のプロダクトの主要なユースケースは通勤であるため、実際にはパンデミックで当社は打撃を受けたと考えています」と話した。

「都市では人々の乗車の大半は3マイル(約4.8km)以下です。そしてポータブルな電動キックボードを持っていることで何でもできます。持ち運びはかなり簡単で、施錠や盗難、あるいはアパートや地下鉄への持ち込みの心配をする必要はありません」と語った。

電動キックボードの重さは26ポンド(約11.8kg)で、畳んだときにどちらの車輪ででもバランスを取ることができる。ライダーの体重、そして1つのモーターで走行するかあるいは2つのモーターで他のライドシェア電動キックボードを追い抜くかにもよるが、フル充電で8〜15マイル(約12.8〜24km)走行可能だ。

サブスクモデルは電動キックボード販売とうまく噛み合っている。というのも、再利用できるからだ。サブスク利用者は新しい電動キックボードの提供は保証されず、前に誰かが所有していたものが回ってきがちだ。Unagiはハイエンドな材料での製造を約束しているため、定期的なメンテナンスで3〜5年、電動キックボードを利用できると同社は話す。

最終的にApple MusicになったMOGの音楽サブスクのようなサブスクビジネスモデルを作った経歴をもっているハイマン氏は、電動キックボードというかたちでハードウェア・アズ・ア・サービスを提供する個人的な理由がある。クルマより自転車が一般的なアムステルダムに同氏は3年間暮らしたことがある。

「通勤が3マイル以下の人がどれだけいるかを考えると、街にこれほど多くのクルマがあるという事実はばかげたものです。私たちは、街からクルマを追い出すことに夢中になっています」と同氏はいう。

【更新】以前の記事でUnagiは3カ月のサブスクリプションが必要とされていたが、同社はその要件を廃止することを決定した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Unagiアメリカ資金調達電動キックボード

画像クレジット:Unagi

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロモビリティのBolt Mobilityが同業Last Mileの資産を引き継ぎ48の新市場に展開

金メダリストのUsain Bolt(ウサイン・ボルト)氏が共同創設した、マイアミを拠点とするマイクロモビリティのスタートアップBolt Mobility(ボルト・モビリティ)は、Last Mile Holdings(ラスト・マイル・ホールディングス)の資産を獲得し、48の新しい市場に規模を拡張する。

Bolt Mobilityの台頭とLast Mileの終焉は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、すでに部分的に足下がぐらついていたビジネスモデルがひっくり返されたマイクロモビリティ企業に、1年間取り憑いていた不確実性のなせるわざだ。

Bolt MobilityもLast Mileも、どちらも新型コロナウイルスのパンデミックに打撃を受けていた。たとえばBolt Mobilityは、その影響で2020年にいくつかの市場から撤退している。同社はその後、ビジネスモデルを変更し、地元の事業者と手を組むことにした。元GMのグローバルデザイン部門副社長のEd Welburn(エド・ウェルバーン)氏を顧問として迎え入れ、二重ブレーキ、10インチタイヤ、LEDライト、走行距離40kmの交換式バッテリー、NanoSeptic(ナノセプティック)で抗菌処理を施した、手で触れることが多い部分に細菌やバクテリアをつきにくくするデザインのハンドルとブレーキレバーを装備した新型スクーターを導入した。

Last Mile Holdingsも災難だった。

Last Mile Holdingsという名前に聞き覚えがない人も、同社が所有していたブランドなら知っているかも知れない。Last Mileは、OjO Electric(オジョ・エレクトリック)スクーターと電動トライク、スクーター、バイクによるライドシェアのGotcha Mobilityを所有していた。Last MileはGotchaを1200万ドル(約12億4500万円)の現金と2020年3月に成立した株式交換で買収している。

2020年、Bolt Mobilityが躍進し顧客ベースが30万人に達する一方で、Last Mileは逆風に晒された。そしてトロント証券取引所にMILEというティッカーシンボルで上場されていたLast Mileは、米国での資産をオークションで売却する結果となった。Bolt Mobilityは実質的にそのすべてを、300万ドル(約31億円)のクレジッド・ビッドで入手したことが、2020年のSECファイリングに記されている。

資産には電動スクーター、電動自転車、ペダル式自転車、着座式スクーターなど8500台の新しい機材と、48の新市場で事業展開できる許可証が含まれていた。BoltのCEOであるIgnacio Tzoumas(イグナシオ・ツォマス)氏によると、新市場のうちの大半(30以上)が独占契約だという。48の新市場には18の大学のキャンパスも入っている。

「この資産買収によって、Boltは全方面に大きく拡張できるようになります」とツォマス氏はいう。さらに同社は、Gotchaの最高執行責任者Matt Tolan(マット・トーラン)氏を迎え入れたと話していた。同氏はBoltの最高商務責任者の役職に就くことになる。また、Gotchaの技術と運用の各部門で働いていたメンバー20人も雇い入れた。

Boltの新市場では、利用者はこれまでどおり、GothcaとOjO ElectricのiOSとAndroidのアプリを使って電動スクーター、電動自転車、ペダル式の自転車に乗ることができる。Boltは行政や大学と共同して、それらの市場をBoltのプラットフォームに移行する作業を進めている。この資産買収で、Boltのプラットフォームに初めて電動自転車が加わった。だが同社は、すでに独自の電動自転車の開発も行っている。2021年末に登場する予定だ。

写真クレジット:Bolt Mobility

Boltは、同社が2020年を生き抜いたばかりか発展できたのは、新しいビジネスモデルのおかげだと考えている。車両の管理と運営という複雑で多岐にわたる仕事を続ける代わりに、Boltは地元企業と提携する道を選んだ。これらのパートナーが、それぞれの市場の現場でBoltの車両を運用してくれる。このアプローチはカスタマイズができるため、市場によっては配送業者、レストラン、その他のスモールビジネスにスクーターを貸し出すという事業提携モデルも可能になったと、同社は話している。

7月までには、Boltとそのパートナー企業は、5つの新しい市場と、再開した市場での事業を展開できた。またBoltには、さらに20の市場での買収準備を整えたパートナーとの契約手続きが残っていると同社は話す。

ツォマス氏によれば、Boltはもうこれ以上借金をせずに取引を完了できるという。しかも「私たちが事業を行っているすべての市場のサービスの拡大と向上に、私たちの資産を今後も投入できるという条件付き」だ。この資産買収には、以前からのBoltの投資者であるFuel Venture Capitalからの資金も役立っている。また、Sofreh CapitalとThe Yucaipa Companiesの支援も受けている。

「私たちは、マイクロモビリティがコミュニティの中での人々の生活や移動の方法を変革するものと信じてBoltを創設しました」と、ウサイン・ボルト氏は声明の中で述べている。「今回の拡張は、才能ある人々、革新的なテクノロジー、Boltチームの賞賛すべき道労働倫理の力を支えにすれば、マイクロモビリティに不可能はないことを証明しています」

カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt Mobility電動キックボードマイクロモビリティ

画像クレジット:Bolt Mobility

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(翻訳:金井哲夫)

Boltが第4世代キックボードを発表、事故や危険走行を検知するセンサーを搭載し安全性重視

Boltは配車サービスでよく知られているが、同社は欧州の45都市で電動キックボードサービスも運営している。そしてBoltの社内ハードウェアチームが設計した新モデルの電動キックボードは、安全性に重点を置いている。

写真を見るとわかるように、新モデルは重量19kgの大型キックボードで、平均的な自転車より重い。航続距離40kmのバッテリーを搭載し、車体は主にアルミニウムでできている。

Boltによると、新車両はモジュラー設計のおかげで最大60カ月は使用できるという。またBoltは車体全体を交換しなくても、部品を交換できる。

車両には事故や危険な走行を検知するセンサーが搭載されている。利用者が落下するか、または急ブレーキをかけた場合、Boltは警告を発することができる。さらに車両は危険なライディングパターンも認識する。音声と視覚的な警告を組み合わせて、何をすべきか、あるいは何をしてはいけないかを利用者に伝えることができる。

統合ダッシュボードは歩行者エリアで乗車していることや、低速エリアで乗車していることをアラートで通知する。また、駐車可能エリアかどうかも確認できる。Boltによれば、歩行者や低速エリアに入るとフロントライトを点滅させる予定だ。

最新のeスクーターと同様に、車両を移動させなくてもバッテリーが交換できる。着脱式のバッテリーは、スクーター本体の交換よりもはるかに効率的だ。

数週間前、Boltはキックボード事業を拡大する計画を発表し、2021年には100以上の都市でサービスを運営する計画だ。これにより、ヨーロッパの都市で13万台もの電動キックボードや電動バイクが展開される可能性がある。同社の2021年における野心的なロードマップが達成できるのかどうかに注目が集まる。

画像クレジット:Bolt

カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt電動キックボード

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

シェアリング電動キックボードの利用回数が2021年までに5億回を超える5つの理由

著者紹介:Travis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は、Bird(バード)の創業者兼CEO。

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4年前、電動キックボードのシェアリングサービスは存在すらしていなかった。それが今では、2021年までに世界全体で5億回以上の利用回数を記録する勢いだ。2009年にUber創業と同時に生まれた、CO2排出量の多い車両を中心とするライドシェア業界の初期の頃をはるかに上回るペースで成長している。

電動キックボードのシェアリングサービスはどの尺度から見ても、都市交通を劇的に変化させた。こうなると、「なぜここまで爆発的に普及したのか」という、素朴だが重要な疑問の答えを知りたくなる。

ここ数年の間にマイクロモビリティ普及の追い風となった主な進展について理解すると、この業界の現在の方向性だけでなく、世界数億人にのぼる利用者の今と将来のニーズを満たせるサービスの考案に役立つ貴重なインサイトが得られる。

電動キックボードのシェアリングサービスが世界中で拡大し、より健康的で持続可能な都市生活の実現が促進された背景には、車両の設計、データ、安全性報告書、インフラ整備などに関する、次の5つの革新的な進展があった。

電動キックボードのシェアリングサービス誕生(2017年秋)

Bird(バード)の電動キックボードシェアリングサービスが最初に開始されたのは2017年9月、カリフォルニア州サンタモニカでのことだった。それまでは、ドックあり方式またはドックなし方式の自転車シェアリングサービスがマイクロモビリティ業界のほぼ全体を占めていた。当時、自転車シェアリングサービスは米国全土で毎年平均およそ3500万回利用されており、その半分以上がニューヨーク市に集中していた。

幸先のいいスタートを切った電動キックボードのシェアリングサービスは、2018年には約3900万回、2019年には8600万回も利用されるようになった。そして、大西洋の反対側でも、同じように爆発的な増加が見られた。ドイツ、フランス、イスラエル、スペイン、ポルトガル、ベルギー、デンマーク、ポーランドなど、都市交通網のニーズを満たすためにマイクロモビリティを活用する国が急速に増え、イタリア英国ウクライナなどの国々も最近、その仲間入りをした。

電動キックボードのシェアリングサービスは現在、ほぼすべての大陸に分布する200以上の都市で利用できる。

シェアリング向けに設計された電動キックボードの登場(2018年秋)

世界初の電動キックボードのシェアリングサービスが始まると、この種のマイクロモビリティに対する高い需要が存在し、その需要を満たすにはシェアリング向けに設計された電動キックボードが必要であるという、2つの点がすぐに明らかになった。

シェアリング用の電動キックボードは、自家用のものに比べて、使用頻度が高く、より多様な路面状況や天候の中で走行しなければならないのが実情だ。2018年10月にバードの車両開発チームが業界初のシェアリング向けモデルとなるBird Zero(バード・ゼロ)を発表したのはそのためだ。より長いバッテリー寿命、明るいライト、高い耐久性、一歩進んだGPS機能を備えたこのモデルを皮切りに、安全性、持続可能性、耐用期間の向上を目指す一連の包括的な車両革命が起こり、その革命は成功した。今でも使用されている当時の電動キックボードは何万台もあり、使用される期間がひと月またひと月と伸びるたびに、二酸化炭素のライフサイクル排出量はさらに少なくなる

Bird One(バード・ワン)やBird Two(バード・ツー)など、バード・ゼロに続いて発表された他のシェアリング向けモデルには、バード・ゼロが持つ性能に加えて、下記のような業界初の機能が搭載された。

  • 200種類以上の故障を検知できる車載式の診断センサー。
  • 1日あたり数百万回もの故障診断を自動的に実行・報告する車両インテリジェンスシステム
  • IP67またはIP68レベルの防水バッテリー。
  • 1万4000マイル(約2万2500キロメートル)を走行できるバッテリー寿命。平均的な使い方を毎日続けても10年以上は耐用できる。
  • 独立した機関による6万回以上の衝撃試験に耐えた機械設計

業界企業による包括的な安全性報告書の公表(2019年春)

当然のことながら、安全性は、マイクロモビリティの創始期から今に至るまで最重要課題であり、最も議論されてきた側面でもある。そのため、2018年1月にバードは業界の中でいち早く、最も大規模な「ヘルメット無料配布キャンペーン」を実施し、他にもさまざまな安全対策を導入し始めた。

2019年4月、バードはこれらの取り組みを、電動キックボードの安全性に関する包括的な報告書にまとめた。これは、現代のマイクロモビリティシステムに深く切り込んだ初めての報告書であり、電動キックボードにも自転車と同様のリスクや脆弱性があることが、事故報告書やその他のデータに基づいて説明されている。この報告書を土台として、モビリティ事業者と自治体が、電動キックボードの利用者や歩行者に限らず、道路を使うすべての人を守るために協力して安全対策を講じることができるようになった。

ここ1年半ほどの間、バードは、同報告書の内容や、それを支持する他の論文に基づき、電動キックボードの安全性に関する業界標準の策定に役立つ革新的な機能を考案、開発してきた。例えば以下のようなものだ。

  • マイクロモビリティのシェアリング業界初の「ヘルメット自撮り機能」でヘルメット着用を促す。
  • マイクロモビリティのシェアリング業界初の「ウォームアップモード機能」で新規利用者にも使いやすくする。
  • 業界初、かつ業界で最も正確なジオフェンシング機能により、電動キックボードの速度を落とせるようにし、走行禁止区域を設定する。
  • データ共有に関する信頼性の高い基準や慣行により、自治体による自転車やキックボード用のインフラ整備を後押しする。

Open Mobility Foundation(オープン・モビリティ・ファウンデーション)の設立(2019年夏)

前段落の最後の項目は特に重要である。自治体は、路上の交通量を制限し、自転車やキックボード用のインフラを最大限まで拡大するために必要不可欠な存在だ。しかし、道路を利用する人すべての安全向上に役立つこの戦略は、信頼性が高く標準化されたデータがなければ成立しない。

バードはサービス開始以来ずっと、責任ある方法で自治体とデータを共有すべきであると積極的に主張してきた。しかし、一企業としてだけでなく、複数の組織が協力してマイクロモビリティ業界共通のモビリティデータ標準策定を支援するような団体はなかった。

この状況は2019年6月に一変した。ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなどをはじめとする都市の自治体と、バード、Microsoft(マイクロソフト)、非営利団体のコンソーシアムであるOASIS(オアシス)により、オープン・モビリティ・ファウンデーション(OMF)が創設されたのだ。会長を務めるロサンゼルス市交通局長Seleta Reynolds(セレタ・レイノルズ)氏は、フォーブス誌に次のように語っている。「OMFは、安全向上、収益確保、健康促進という、自治体にとって重要な目標を、CO2排出量を減らし、渋滞を緩和しながら達成できるよう助けてくれるプラットフォームだ」。

オープンソースのコードと共有データを活用し、モビリティ事業者と自治体が協力してマイクロモビリティシステムを管理すると聞くと、いったい何のことかと少し不安に感じるかもしれないが、その効果は日常生活の中ではっきり目にすることができる。例えばアトランタでは、電動キックボードに関するデータが自治体と共有された結果、市内の自転車専用レーンが2021年までに4倍に拡張されることになった。サンタモニカでは、キックボードのデータに基づき、19マイル(約30キロメートル)分のマイクロモビリティ専用インフラを新たに整備するための修正法案が提案され、承認された。

英国とニューヨーク州における電動キックボードのシェアリング合法化(2020年春)

今年、英国ニューヨーク州で電動キックボードのシェアリングが合法化され、それぞれの場所で試験運用が始まったことは、特に革新的とは言えないかもしれない。しかし、電動キックボードのシェアリング利用回数が2021年に5億回を突破するためには欠かせない展開だ。

環境と都市交通の分野において、ロンドンとニューヨークは世界の他の都市よりも重要な意味を持つ。この2都市だけで人口は1700万人をかぞえ、1日あたりの自動車の利用回数は1000万回を超える。これだけ人口密度が高く、車両があふれている両都市に電動キックボードを導入すれば、毎日の通勤は劇的に変わるだろう。新型コロナウイルス感染症のせいで公共交通機関が苦戦を強いられている今のような状況であれば、なおさらそう言える。これは、自治体にとっても、市民や環境にとっても、うれしい進展だ。

これだけ利用者が多いマイクロモビリティから収集されるデータは、ニューヨークとロンドンのインフラ整備状況を把握するのに役立つだけではない。マイクロモビリティに関するテクノロジーの迅速な進歩につながる研究を促進し、そのテクノロジーを世界各地ですばやく活用するためにも役立つ。

今後の展望

以上のことから何がわかるだろうか。電動キックボードのシェアリングサービスが誕生してからこれまでの4年間と、利用回数5億回を目前に控える今の状況は、マイクロモビリティの将来について何を示唆しているのだろうか。

第一に、この業界の成長は今後も続いていくと考えられる。道路渋滞や都市部の空気汚染を改善できる、適応性が高くて環境に優しいソリューションに対する需要は2020年のコロナ禍以前から高かったが、今では、単に望まれているだけでなく、必要な存在とみなされている。今後、電動キックボードは娯楽の延長ではなく、都市交通網の要となる乗り物になっていくだろう。その際、自治体とモビリティ事業者には、互いに緊密な関係を築いて、協力し合うことが求められる。これには、自転車や電動キックボードのシェアリング利用者が安全に使えるインフラを、データに基づいて大々的に整備することが含まれる。

第二に、電動キックボードのテクノロジーは引き続き、安全性と持続可能性という2本の柱を中心に進歩していくだろう。これには、キックボード本体の形状や機能だけでなく、本体を管理する日々のオペレーションも関係してくる。進歩の度合いは、製品寿命の長期化、バッテリー性能の改善、耐久性の向上、診断機能の強化といった尺度で判断できる。

最後に、数億回に及ぶ利用から収集されたデータが蓄積していくにつれ、都市交通の需要をより明確かつ詳細に理解できるようになるだろう。これにより、危険が予測される地域を特定し、その対策として、効果の高い措置を低コストで講じることができるようになり、それぞれの道路や時間帯に特有のニーズに基づいて都市計画を策定することが可能になる。

現在の傾向が続いたら(というよりも、そうなることを確信できる十分な根拠があるのだが)、最初の5億回達成まで4年かかった電動キックボードのシェアリング利用回数はすぐに、1年もかからずに倍増して世界合計10億回に到達するようになるだろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電動キックボード コラム

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(翻訳:Dragonfly)