Appleは、iPhone XRで3D Touchが失敗であることを認めた

3D Touchを覚えているだろうか? iOSのパワーユーザーでなければ、おそらく知らないだろう。あるいは、知らないほうがいいかもしれない。Appleが2015年に次世代のマルチタッチとして発表したこのテクノロジーが、そうではなかったとわかってからしばらく時間がたった。ほとんどのiPhoneユーザーにとって、それは実際やりたいことを邪魔する厄介者である。

Appleが3D Touchで実現したものは、マルチタッチ世界のショートカットキーだった。またの名をマニア専用の秘密兵器

プロのギークたちはその隠された深みを知ることを無限に楽しみ、高度に精緻化された彼らのワークフローから貴重なマイクロ秒を削った。しかし、それ以外の全員は無視した。

いや、少なくとも無視〈しようと〉した——何か重要なことをしようとしてうっかり3D Touchを起動し、自分のiPhoneが何をしようとしているのかわからず混乱、困惑するまでは。

IT界の長老たちは、Blackberry(覚えてますか?!)が10年前に似たようなことを試みて失敗したことを思い出すかもしれない——可愛くない(かつ、可愛がられなかった)クリッカブルスクリーン付きの、一代限りの変わり者、BlackBerry Storm開封の儀はこちら。

Stormには、BlackBerryの象徴である(クリック可能な)物理的キーボードはなかったが、タッチスクリーン上のQWERTYキーはやはりクリック可能だった。要するに、狂気の沙汰だ。

もちろんAppleの場合、そこまでのつまずきではない。しかし、3D Touchの公開から3年が過ぎ、Appleは自らの失敗を告白した——最新のiPhoneラインアップで、トリオの最安値機種iPhone XRから、この圧力感知テクノロジーを全面的に削除したのだ。

3D Touchをなくすことで、XRの製造コストを削り、おそらくわずかに厚さを減らすことができただろう。しかし、これはAppleが多大な技術的努力を注いだものを、ほとんどのユーザーが使わず、使いたくないことを認識した証と見るべきだろう——本誌のBrian Heaterが言うように、iPhone XRが「一般人のためのiPhone」であることを踏まえれば。

しかし、XRは安物の端末ではない。XRにはAppleの次世代バイオメトリック技術、Face IDなどが採用され、トップの切り欠きの裏には高度なセンサー機器が密集している。

これは、Appleが手を抜いているのではないことを示している。むしろ、iPhoneユーザーが求め、必要としているものに機能を絞ろうとしている。つまり、ほとんどのiPhoneユーザーは3D Touchを必要としていない、というのがクパチーノの明白な計算結果だ。

一方で同社幹部は、今週のイベントでFace IDを絶賛し、このテクノロジーがユーザーの間で絶大の人気であると語った。しかし、同時にiPhoneラインの末端で3D Touchが消えたことは、一言の説明もなく葬り去られた。

2つのテクノロジーを比べてみれば理由は明白だ。

Face IDの人気は驚くに当たらない。見つめることでロック解除するより簡単な方法は思いつかない。

厄介な3D Touchはちょっと違う——タップより強くプレスする必要があり、それは押し込むという感じだ。押し方が足りないとタップとみなされて思っていたのと違うことが起きる。しかし、強く押しすぎるとタッチスクリーンは働いてくれることもあれば無駄におわることもある。

そもそも、機能の有効性自体が疑問だ——たとえば、コンテンツのプレビューは恐ろしく遅いので、単にタップしてメールを見るほうがよい。

3D Touchを巡る困惑とイライラは、ユーザーインターフェース界の「三匹のくま」物語のようだ。うまくいくまで続けられる驚異の忍耐力がない限り、フラストレーションは保証されている。パワーユーザー以外に誰が喜ぶだろうか?

「みんなの」iPhone XRのために、Appleは3D Touchを触覚フィードバック(Haptic Touch)へと代えた——おそらくこれは、iPhone機種間の隙間をスムーズに埋めるためだろう。つまり、デベロッパーが3D Touchを活用して、ユーザーが実際に使いたいアプリ内ショートカットを作っていた、というレアなケースのために。

もし、本誌が予想しているように、iPhone XRが大量に出荷されることになれば、3D TouchのないiOSユーザーがたちまち数百数千万人になる。すなわちAppleは、一時はマルチタッチの未来とまで呼んだテクノロジーを、パワーユーザーのためのアドオン機能へと格下げしようとしている。

プロユーザーはiPhoneへの最大の出費をいとわない人々でもある——つまりiPhone XSまたはXS Mac(3D Touchが搭載ささている、少なくとも今のところ)を喜んで買うだろう。

というわけで、3D Touchは一部の超プレミアムiPhoneを最高峰へとシフトする役にはたっているかもしれないが、パラダイムをシフトすることはありそうにない。

その意味では、マルチタッチを余裕のあるスクリーン領域と組み合わせれば十分だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、3D Touchに対応。近況アップデートや写真・ビデオ投稿のショートカットを提供

facebook-3dtouch

Facebookは今日(米国時間10/12)午前iOSアプリをアップデートし、iPhone 6sと6s Plusのオーナーは新たに導入された3D Touch機能を利用して、ソーシャルネットワークとすばやく対話できるようになった。アップデート後、Facebookアイコンを強押しすると、ショートカットが表示され、写真/ビデオのアップロードや撮影、近況ステータスの投稿が可能になる。

この機能追加は、サードパーティーによる3D Touchサポートとして強く期待されていたものだ。3D Touchは、Apple Watchで導入された類似機能のForce Touchに由来する。これは新しいiPhoneの看板機能の一つであり、アプリの迅速なアクセスを可能にする新たなジェスチャーだ。

アプリの右クリックになぞらえられることも多いが、これは元々モバイルアプリの持つ機能のショートカットなので、どちらかというとパワーユーザーのための新たな選択肢であり、誰もが覚えるべき新しい操作ではない。

当初3D Touchは、Appleの標準アプリケーションであるメール、ミュージック、マップ等のみで利用できたが、iPhone 6s/6s Plusの発売後、徐々にサードパーティー製アプリにも採用されてきた。Facebook傘下のInstagramは3D Touchを最初にサポートしたアプリの一つだが、今回Facebookがサポートしたことは、同機能が史上トップクラスのモバイルアプリに入るという意味であり、comScoreによれば、他のどのアプリよりも多くのユーザーの手に届くことになる。

Facebookの他のアプリ、WhatsApp、Messenger、Moments、Group等はまだ新操作方式を採用していない。

Facebook以外に、現在3D Touchをサポートしているトップアプリには、Pinterest、Jet、Twitter、Shazam、OpenTable、チャットアプリのConfideとFirechat、Medium、Dropbox、Evernote等がある。

ただし、ユーザーはFacebookが今日3D Touchを公開したことに全く気付かないかもしれない。なぜならFacebookは詳細なリリースノートを出さないからだ ― これはデベロッパーが自分のアプリの新機能についてユーザーに通知する必要を感じなくなった悪しき慣習である。

アップデートされたFacebookアプリは現在iTunesで公開中。これ以外にiPhone 6sまたは6s Plusのみで利用できる新機能、例えばLive Photos等の追加はないようだが、年内には出てくるだろうとAppleは言っている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook