マイクロソフトが新型コロナの元患者に血漿提供の可否を問うボットを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)から回復した元患者の血液から取り出す血漿は、世界的パンデミックをコントロールしようと展開されている取り組みの中で、差し当たって活用できる有効な手法となる可能性を秘めている。米食品医薬品局(FDA)はすでに対象となる個人に献血を広く呼びかけている。そして今度はMicrosoft(マイクロソフト)がCoVIg-19 Plasma Alliance(ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金の一部を拠出している)の代理でオンラインスクリーニングツールを構築した。

マイクロソフトが財団のために開発した「CoVIg-19 Plasma Bot」は同社がテクノロジーを駆使して作った新型コロナ関連の最新ボット事例となる。同社が米疾病予防管理センター(CDC)向けに手がけた症状自己チェックサイトは、米国で初期に大規模展開されたものの1つだ。Plasma Botは個人が生物学上、そして健康上、血漿提供の条件に合致するか、個人が貢献したいかどうか、献血センターでの血漿回収に参加できるかどうかを判断するために、いくつかの簡単な質問をする。

新型コロナに感染し、完全に回復した人の血液から分離される液体である回復期血漿の使用は、多くの科学者や研究者が模索している治療方法だ。血漿の使用方法は主に2つある。1つは、予防や素早い回復のための免疫アップを目的に新型コロナ患者やリスクの高い人に直接血漿を注入するというもの。もう1つは高度免疫治療と呼ばれる治療法の開発だ。容易かつ効率的に大規模展開できるかもしれない治療法を開発するために提供された血漿から抗体を集める。

回復期血漿にかかる開発の試験や療法研究で最大のボトルネックが、血漿そのものだ。新型コロナウイルス感染症の元患者で完全に回復し、献血に必要な条件をクリアした人からしか集められない。

新型コロナウイルスを克服するために研究や開発が進められている他の多くの治療法と異なり、回復期血漿は他の呼吸器感染症の治療で既に効果が確かめられており、長く活用されてきた歴史がある。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

血漿ベースの新型コロナ治療法開発に米政府が約16億円注入

先週我々はEmergent BioSolutions(エマージェント・バイオソリューションズ)の治療学事業部門の責任者Laura Saward(ローラ・サワード)博士に、同社の血漿をベースとする新型コロナウイルス(COVID-19)治療法の開発について話を聞いている。そして今、同社は米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から1450万ドル(約16億円)の資金を得たと発表した。BARDAは米保健福祉省(HHS)の一部門で、今回調達した資金は、可能性がある治療法の開発のスピードアップに使う。

Emergent BioSolutionsは、新型コロナに感染し、それによって引き起こされる呼吸器疾患を抱える患者の処置に使う2種類の血漿ベース治療法の開発にすでに取り組んでいる。そのうちの1つは馬から採取した血漿をベースにしたもので、大量生産できることがメリットだ。もう1つは人間の血漿を使用していて、こちらは患者の拒絶反応を引き起こす可能性を抑えられる。

どちらの場合も、患者の免疫を高めることができる「高度免疫」治療製品を開発する1つの方法として回復期患者の血漿を使うというコンセプトに基づいている。研究者や衛生当局が調べている、回復期患者の血漿の他の使用法と似ている。しかし直接注入するアプローチではなく、Emergentはウイルスと戦うための多くの異なる種の抗体を含む血漿ベースのソリューション、しかも予想通りの効果を伴うものを作り出すことで状況を打破しようとしている。

同社はすでにこれらのソリューションの開発に取り組んでおり、似たような治療法を実用化させた以前の経験をフル活用しながら開発、認証、テストを急いでいる。しかし今回、特に人間の血漿を使ったプログラムの開発を加速させるためにBARDAから1450万ドル(約16億円)を得た。計画では、新型コロナウイルスから回復した人の血液を使って開発を行う。同社はまた、すでに献血の回収とスクリーニングを始めている。

次のステップとして、Emergent BioSolutionsのソリューションは米国立アレルギー感染症研究所との臨床試験で確かめられる。同研究所が治療の有効性を判断する。

画像クレジット:zhangshuang/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

人体のGoogle EarthがシリーズAの資金調達―BioDigitalはブラウザ・ベースの精密な3D人体図鑑

ニューヨークに本拠を置く画像処理のスタートアップ、Biodigitalが野心的なプロジェクトを開始したのは昨年だった。精密な3Dのアニメーション人体図鑑をブラウザを通じて提供しようというのだ。共同ファウンダーのFrankSculliとJohn QualterはCAD、HTML5、WebGLなどのテクノロジーを駆使して印刷版の解剖学教科書を時代遅れの存在にしようという試みをスタートさせた。

昨年のローンチ以来、Human Biodigitalと名付けれられた3Dバーチャル人体には病気や妊娠など医学的に正確な何千もの画像が追加されている。このバーチャル人体はGoogle Earthによく似た方式で回転させたり傾けたりズームインしたりできる。ユーザーはすでに100万人に上っている。Sculliがわれわれに語ったところによると、Bioditalは2500以上の学校で解剖学の授業に活用されているという。また一般ユーザーも健康に関する知識を得るために利用し始めている。

また病院やクリニックで医師が患者に症状を説明する際にもBiodigitalのバーチャル人体が利用されている。しかし共同ファウンダーたちの長期的な野心は、強力なAPIを提供し、サードパーティーのデベロッパーがアプリやサービスを開発できるようにして、Biodigitalを人体画像のプラットフォーム化することだ。

サービスの拡大にともなって、Biodigitalは今日(米国時間9/24)、400万ドルのシリーズAの資金調達を行ったことを発表した。今回のラウンドはFirstMark Capitalがリードし、NYU Venture Fund、数人のエンジェル投資家が参加している。

Sculliは今日発表したブログ記事で「3D画像処理テクノロジーはゲームや映画のあり方を根本的に変えただけなく、Google Earthのようなサービスを通じて今や一般ユーザーにも馴染み深いものになりつつある。バーチャル人体以上にこの3Dテクノロジーの建設的な応用場面は少ない」と書いている。これには私もまったく同感だ。ブラウザが3D画像処理をネーティブにサポートし、APIベースのビジネスが爆発的に拡大している現在、Sculliの意見では、バーチャル人体は医療やヘルスケアにとどまらず、ウェブ一般にあらゆる応用が考えられるという。

今回の資金調達でBiodigitalは本格的にAPIの開発に乗り出すことができる。現在バーチャル人体は無料で利用できるが、同時に有料のプレミアム版も提供している。

われわれのJohn Biggs記者のファウンダーに対するインタビューと初期のプロダクトのデモのビデオを下にエンベッドした。オリジナル記事はこちら


[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+