DigiTimes(Appleサプライチェーン関連ニュースに特化した中国の当たるも八卦ブログ)が伝えた最新の噂によると、Appleは今年、大型廉価版iPhoneを出す〈のではなく〉、新しい4インチモデルを2機種デビューさせるという。
一つはiPhone 5Sと思われるiPhone 5のアップグレード版で、もう一つは、廉価版iPhoneでおそらく陽極酸化アルミニウムの代わりにプラスチックのカバーを使用する。
しかし、これ以上深入りする前に、これは一つの噂を別の噂で塗り替えているだけで、Appleが発表するまでわれわれは新製品について殆ど知らないということをお忘れなく。しかし、少々の憶測は誰も傷つけない。
まず、最初の噂である大型廉価版iPhoneからスタートして、その後われわれが得た最新情へと移ることにしよう。
大型、廉価版iPhone
Info:
DigiTimesは、この情報をリークした情報筋が完全に間違っているとは言っていない。この大型モデルは開発中らしいが、今年は出てこないということだ。果たして当初の報道のようにこの大型機種が低所得層を狙ったものなのかどうかは不明だ。
賛:
最新データによるとAppleは米国内で市場シェアおよび販売全般共に好調だが、ヨーロッパや新興諸国は依然としてAndroidが支配している。もしこの大型廉価版iPhoneが新興国向けであるとするなら、少なくとも新スマートフォンユーザー獲得というAppleのゴールとは一致してしているはずだ。
Androidメーカーは、Androidの市場シェアが増すにつれ徐々にかつ着実に画面サイズを大きくしているので、Appleとしてはたとえ本来の方針に反していても、大型機種への移行は論理的な選択といえる。iPad miniも、長い間あり得ないと思われてきた。
否:
Appleは、業界で最も利益性の高い会社であり、それは旧機種を新興国のスマートフォン新規導入層に最適な商品として仕立てることに成功してきたからだ。米国では旧機種価格がキャリアー契約込みで100ドルまで値下がりし、市場によっては一部の国でも値下げが行われている。これはAppleのコストを下げる。なぜなら、1年に1回しかiPhoneの製造・販売を行っていないにも関わらず、ある種の低価格モデルを商品ラインに追加できるからだ。
旧世代iPhoneの売上を食うような新機種を作ることは、Appleのスタイルとは思えない。加えて、大画面の電話機を作るコストは大きいので、それを低価格で売ることはAppleの利益率を下げる。
そうそう、Appleが3.5インチ画面を捨てるのにどれだけかかったかを思い出してほしい。近い将来画面サイズに関するこれ以上の譲歩があるとは私には予想できない。
2013年中に4インチiPhoneが2機種
Info:
巷ではAppleが今年、iPhoneを1モデルではなく2モデル出すと噂されている。どちらも4インチのインセル型タッチパネル内蔵画面と言われている。
賛:
長年Appleは、すっきりと整頓された製品ラインで知られてきた。
ごく最近になって、iPad 4がiPad 3から微妙に仕様強化され、iPhone 5の直後にiPad miniが発表された。史上初めて、Appleはその商品群を多少分散化させたが、理由は単にLightningコネクターへの統一であり、製品の機能強化ではない。
iPhoneは、まちがいなくAppleの宝で最も利益率の高い製品であり、最も多様化から遠い存在だ。しかし、iPhone 5の部品を陽極酸化アルミではなくプラスチック製の殻に詰め込んでやや安く売ることはさほど困難ではない。それは、もっともらしく、論理的ですらあるが、私としては期待するものではない。
否:
既に書いたように、AppleはiPodやiPadなどいくつかの製品で多様化を開始しつつあるように見える。しかし、それは必ずしもiPhoneに同じような機種の多様化が〈必要〉であるという意味ではない。
iPhone 4Sは、さほど魅力的な新機能がなかったにもかかわらずiPhone 4よりも売れた。iPhone 5は4Sより売れた。iPhone 5のプロセッサーをアップグレードし、もしかしたらSiriやAppleマップのような驚きと喜びを与える、クールな(しかしめったに使われない)機能を付加して、5Sとして市場に出す以上のことをする理由はあるのだろうか。
もう一つの新iPhoneはプラスチック製のカラフルな筺体
info:
以前の、DigiTimes以外の報道によると、もしAppleが、予想されるiPhone 5Sと共に第2のiPhoneモデルを出すとすれば、iPhone 5の陽極酸化アルミニウムでもiPhone 4/4Sのゴリラガラスでもなく、プラスチック製の筺体を使うという。この報道には矛盾があり、裏面はやはり陽極酸化アルミニウムにプラスチッムまたはゴムのベゼルで作られるという意見と、裏面全体がプラスチックだとする意見がある。カラーバリエーションまであるという可能性もある。
賛:
私には到底プラスチックiPhoneを支持する気になれない。理由は上と下に挙げた。
しかし、カラフルiPhoneというアイディアは完全には捨て切れない。iPodファミリーとの相性は良さそうだし、iPodタッチが未だに(プラスチックではなく)アルミニウム製であることを思い出してほしい。Appleが黒い羊から「メー」と鳴く羊の群れになった今、カラーバリエーションは理にかなっている。
クローズドなエコシステムとわずか2色のカラーしかない中、形状にせよ外観にせよAppleユーザーに何らかの方法で差別化する方法を与える意味はある。カラーは、デバイスに対するわずかな制御権を消費者に与えつつ、色を選ぶ以上の本質的制御権は与えない最も費用効果の高い方法に思われる。
否:
Apple製品を持つことは一種のステータスシンボルだ。しかしAndroidの主力モデルが機能その他でiPhoneと肩を並べ(時には凌駕し)、どこにでもiPhoneがある今、そのシンボル価値は少々下がり気味だ。AppleのiDevice群にプラスチックがないという明白な特徴は、このレベルのステータスを維持する重要な役割を担っている。
もちろんプラスチックiPhone採用の主目的は消費者にとっての低価格だが、Appleには、製品に対する一切の犠牲も許さない伝統がある。たとえそれがユーザーにとっては意味があっても。
私は次期iPhoneのカラーバリエーション説には同調するが、クパチーノから近い将来プラスチックが出てくること関しては強く疑念を抱いている。
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(翻訳:Nob Takahashi)