アストンマーティン、Britishvoltと電池セル技術を共同開発

英国の高級車メーカー、アストンマーティンが、リチウムイオン電池技術会社であるBritishvolt(ブリティッシュボルト)と覚書を締結した。両社は、高性能車向けのバッテリーセル技術の開発に向けて協力する。

アストンマーティンは、2025年に同社初のバッテリー式電気自動車を発売する計画で、現行のスポーツカーの1つを直接置き換えることになると見られている。また、2026年までにはすべての新商品ラインに電動パワートレイン(動力伝達装置)の選択肢を提供し、2030年までには中心ラインナップを完全電動化することを目標としている、と同社はいう。

完全電動化へのロードマップはまだ公表されていない。

アストンマーティンとBritishvoltの共同研究開発チームは、特注モジュールとバッテリー管理システムを含むバッテリーパックの設計、開発、量産化を共同で行う。この共同研究開発がどこで行われるのかについての問合せに、両社はまだ回答していないが、現在Britishvoltは、ノーサンバーランド州カンボワにある45GWhのギガプラントに取り組んでいる。同プラントは2027年にフル稼働する予定で、年間45万台の電気自動車用の電池パックを生産できるようになる予定だ。

2022年の1月、Britishvoltはこのプロジェクトのために英国政府から23億ドル(約2642億円)の資金を確保した。この資金を使って、Britishvoltは大量生産を後押しするために、ニッケル含有量の高いバッテリーとエネルギー密度の高い材料の開発に注力することになる。さらに先月には、Britishvoltはコバルト採掘の巨人Glencore(グレンコア)から5400万ドル(約62億円)の投資を受けてシリーズCを開始した。このラウンドでは合計2億6400万ドル(約303億3000万円)の調達が目指されており、その一部は計画中のバッテリー工場と研究開発センターに向けられる予定だ。

Britishvoltは先月、4つの自動車メーカーと契約を結んだことも発表しているが、そのうちの1つは英国の自動車メーカー・ロータスだ。アストンマーチンもその4社のうちの1社である可能性があるが、Britishvoltはそのことについて回答していない。

アストンマーティンは電動化ロードマップの一環として、同社初のプラグインハイブリッドカー「Valhalla(ヴァルハラ)」の納車を2024年初頭までに開始する予定だ。Valhallaに、Britishvoltのバッテリーが搭載されるかどうかについては明言されていない。

画像クレジット:Aston Martin

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

モントレー・カーウィーク開催、未来のEVと高性能ハイブリッド車が注目を集める

現地時間8月15日(日曜日)に閉幕したMonterey Car Week(モントレー・カー・ウィーク)では、ペブルビーチにコンクール・デレガンスが戻ってきた。太平洋を望むペブルビーチ・ゴルフコースで開催され、2021年で70回目を迎えるこのショーでは、黒の1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurierがベストショーの栄冠に輝いた。しかし、2021年目立ったのは、ビンテージカーではなく、EVハイパーカーや高性能ハイブリッド車である。

絵画のように美しいモントレー半島一帯で、自動車レース、展示、パレード、販売を中心としたさまざまな催しが一週間以上も開催されるモントレー・カーウィーク。このペブルビーチのイベントは年を追うごとに華やかになり、2020年は中止となったが、2021年は(新型コロナウイルスの蔓延が懸念されていたにもかかわらず)シャンパンが振る舞われた。

デルタ型変異ウイルスの懸念を受け、2021年8月初めにニューヨークモーターショーの中止が決定した際には、モントレー・カーウィークも中止になるのではないかという憶測が流れた。しかし、秋に向かって先行き不透明なパンデミック禍でもショーを行う必要があることから、カーウィークは事実上のショーとして開催された。

2021年8月15日、ペブルビーチで開催された「2021年ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、ベスト・オブ・ショーを受賞した1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurier(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

コンクール・デレガンスまでの数日間、カーメルやモントレーの街は静かで人通りも少なく、走行しているビンテージカーも少ないように感じられた。駐車スペースでは、ランボルギーニやベントレー、フェラーリなどのモダンカーがスタンバイしていた。霧のような雨と低い気温にもかかわらず、ほとんどが屋外で行われたイベントでは、多くのゲストがマスクをつけたり外したりしていた。日曜日になると、大勢の観客がやってきて、コンクールは例年のような賑わいとなった。

メインイベントであるペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、かつては戦前のレストアされたビンテージカーを対象としたイベントだったが、世代や嗜好の変化に伴い、会場のゴルフコース上には新車も登場するようになった。来場者の年齢層が若くなったことから、今では高性能なスポーツカーが数多く展示されている。

8月13日(金曜日)の夜に行われたGooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークションでは、1995年式マクラーレンF1が2000万ドル(約22億円)という記録的な高値で落札された。一方、自動車メーカー各社は、高額なスーパーカーの限定モデルを、メディアやプライベートイベントに参加している上顧客に向けて、慌ただしく発表した。

Lamborghini(ランボルギーニ)のCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏は「ペブルビーチは要です」と話す。「ペブルビーチのイベントは、車の美しさという側面で、人々が何を好んでいるかを教えてくれます」。

注目すべきは、現地時間8月11日(水曜日)、Audi(アウディ)が未来的なSkysphere conceptを展示したことだ。金曜日にはMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が、カリフォルニアスタイルの新しいコンバーチブルSLをプレビューしたが、このモデルは9月まで正式には発表されない。Aston Martin(アストンマーティン)は、ペブルビーチのゴルフコースを見下ろす広々としたスタンドで「Valkyrie」と「Valhalla」のモデルを展示したが、モデルを間近で見ることができたのはメディアと十分に吟味された顧客のみだった。

Rimac Automobili(リマックアウトモビリ)とLucid Group(ルシードグループ)の両社は、最も高価なEVパワートレインに投資する余裕のある潜在顧客と接触するためにペブルビーチに登場。Rimacは台座の上に圧倒的なスピードを誇るスポーツカー「Nevera」をデビューさせた。2021年のモントレー・カーウィークは、モダンカーと新しいプレイヤーが、周りの古い車を追い抜いてしまったように見えた。

超高級車に対する1年越しの鬱積した需要の高まりの中で、モントレーやカーメル周辺のレーストラック、道路は、パンデミック禍で購入したすべての車を披露できる最高の舞台だ。オークション価格が高騰し、7桁台(日本円では1億円以上)のスポーツカーが完売する中、ハイパフォーマンスカーへの情熱が衰えていないことが明らかになった。今回、ペブルビーチでお披露目された新車には、高価格、スポーツカーテクノロジーの集結、生産台数が少ないという共通点がある。以下、ハイライトを紹介する。

Aston Martin

画像クレジット:Tamara Warren

ここ数年、何度か延期されていたAston Martin Valkyrie Spiderだが、新CEOのTobias Moers(トビアス・ムアース)氏によってすでに完売したと発表された。Valkyrieは、取り外し可能なルーフパネルを備え、最高速度は時速350kmにも達する。パンデミック中にCEOに就任したムアース氏は、同社の生産方法を大幅に改良している。

ムアース氏は、新しい車載技術を加えることはブランドの将来にとって不可欠であり、それによって前世代のメルセデス・ベンツの技術から脱却できると話す。Astonのブースでは、ハイブリッドパワートレインを搭載したValhalla(2024年モデル)も展示されていた。

Audi Skysphere

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」(カリフォルニア州カーメル)に出展されたEVコンセプトカー「Audi AG Skysphere」(画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg)

自動運転のコンセプトカー「Skysphere」は、ビンテージカーのコンクールというよりも、CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)に出展されているような印象を受けたが、ペブルビーチで発表された車の中で、最も興味深い車として注目を集めていた。Audiによれば、グランドツーリングモードとスポーツモードでホイールベースを変化させられるとのこと。

Bentley Flying Spur Mulliner

Bentley Flying Spur Mulliner(画像クレジット:Bentley)

Bentley Flying Spur Mullinerの豪華なインテリアは、贅沢なレザーで賛辞を集めたが、Bentley(ベントレー)にとって重要な意味を持つのはハイブリッドパワートレインを搭載するというニュースだ。

Bugatti Bolide

2021年の「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」でBugatti Bolideの横に立つBugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)のプレジデント、Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏(画像クレジット:Bugatti)

Bolideはペブルビーチではなく、金曜日にザ・クエイルで開催されたプレスカンファレンスで発表された。超高級自動車メーカーにとって、新型車は大きな意味を持つが、特に最後のガソリン車となるモデルは重要である。Bugattiによれば、Bolideは40台製造され、価格は1台400万ドル(約4億4000万円)。最高速度は時速480kmにもなるという。

Lamborghini Countach LPI 800-4

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された「Lamborghini SpA Countach」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

デビュー50周年を記念し、初代モデルをオマージュしてデザインされたCountach。ボンネットの中には2.8秒で時速100kmに達するというハイブリッドパワートレインを搭載した、まったく新しいモデルである。

Acura NSX Type S

Acura NSX Type S(2022年モデル)。(画像クレジット:Acura)

Acura(アキュラ)は、現行最後のスーパーカー「NSX」の最終モデルとして、ハイエンドのハイブリッドバージョンを発表した。350台限定生産を予定し、価格はおよそ17万1000ドル(約1900万円)から。

Rimac Nevera

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された高級EVスーパーカー「Rimac Nevera」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

Rimacは、244万ドル(約2億7000万円)のEVスーパーカー「Nevera」を米国でデビューさせ、モントレーにその名を刻んだ。Rimacによると、Neveraはフル充電で最大400マイル(約640km)走行可能で、最高速度は時速258マイル(約410km)とのこと。モントレーでのRimacの華やかな存在感は、かつてはビンテージカーの象徴だったペブルビーチで、競争相手を凌駕する新たなEVプレイヤーが求められていることを示している。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

アストンマーティンDBXは老舗ブランドの野心と苦心が共存する高級SUV

Aston Martin(アストンマーティン)DBXは同ブランド初のSUVであり、英国を象徴する高級車メーカーにとって、これ以上ないほど大きな賭けだ。

これまでのアストン車と同様、DBXは客観的に見て美しいクルマだ。その彫刻的なフォルムは、大胆で伸びやかなプロポーションを持ち、私立学校の送迎に並ぶSUVの群れの中で際立つだろう。美しさ、性能、個性を高い次元で表現した豪華なデザインだ。超高級SUVセグメントでは遅れて発売されたクルマでもあり、他社の同種のモデルと比べると、車内テクノロジーや燃費の良さには欠ける。2020年夏に海外で発売されたDBXは、米国では2020年後半に17万6900ドル(約1920万円)からという価格で販売が始まった(日本での車両価格は2299万5000円から)。アストンマーティンが用意した我々の試乗車は、オプション満載で配送料込の価格は20万5186ドル(約2220万円)にもなる。

それは高級車購入者の予算を巡って2種類のクルマが争う時代の物語と言ってもいいだろう。モビリティの分野で電動化が急速に進みつつあるのと同時に、SUVの需要は急増し続けている。アストンマーティンは、2023年までにその販売台数を1万4000台に増やすという目標を掲げていたが、これは小規模なブテックブランドとしては大幅な増加だ。しかし、新たな経営陣の下、「プロジェクト・ホライゾン」と呼ばれる組織再編戦略の一環として、この目標を1万台にまで後退させることになった。

新型コロナウイルスの影響で売上を大きく落とした年の後、新たな筆頭株主と新CEOが就任した。DBXの運命がどのように決定づけられるかは不明だが、アストンマーティンの将来はこのクルマの成功に掛かっている。

同社によると、2020年に販売されたDBXは1516台と、予想を上回ったという。本格生産の初年度となる2021年には、同社の世界販売台数のうち40%から60%を、DBXが占めるようになると同社は見ている。

二車物語

エンジニアリングと車内体験の両方において、クラス最高の技術をいかに構築するかということは、専門知識を貸してくれる大規模な自動車メーカーの傘下にない小規模なスーパーカーメーカーにとって悩みの種となっている。アストンは2013年にMercedes-Benz AG(メルセデス・ベンツAG)と、エンジンと電気アーキテクチャの開発で提携を結ぶことで、この問題を解決しようとした。2020年夏までメルセデス・ベンツのAMG部門を率いていたTobias Moers(トビアス・ムアース)氏がアストンの新CEOに就任したことは、アストンが将来に向けてダイムラーの技術的パフォーマンスをいかに重要視しているかの現れだ。

アストンマーティンは最近F1レースに復帰したばかりだが、そのモータースポーツにおける長い伝統を反映し、DBXにはスポーツカー並みのパワーが与えられている。メルセデスAMGから供給される4.0リッターV8ツインターボ・エンジンは最高出力550psと最大トルク700Nmを発揮し、停止状態から100km/hの速度まで4.5秒で加速する。

DBXのインテリアは、乗員が移動のための時間を過ごす場所として(あるいは単に籠もる場所としても)総合的な感覚で高得点が付けられる。すべてがBridge of Weir(ブリッジ・オブ・ワイル)製レザーで包まれ、後部座席の同乗者も伸び伸びと快適に座っていられる余裕がある。スキーブーツウォーマーを備えたスノーパックなど、気の利いたオプションも用意されている。

画像クレジット:Aston Martin

インテリアに関するもう半分の物語は、超高級車セグメントにおける車載技術の役割についてより現実的な疑問を浮かび上がらせ、アストンのジレンマの核心に迫る。つまり、アストンは常に、その技術供給元であるメルセデスの進歩に比べると、少なくとも1世代は遅れるだろうということだ。DBXは18万ドルからという価格のクルマだが、最新モデルならその半値で買えるクルマでも、より高度な車載機能を備えているだろう。

ユーザー体験

アストンマーティンDBXには、メルセデスが1998年に導入し、2014年に改良を受け、2016年に再びアップデートされたインフォテインメントシステム「COMAND」が搭載されている。技術面における数年はほとんど一生に値する。

問題は、ヘッドユニットを交換すればいいというような単純なことではないと、アストンマーティンの広報を担当するNathan Hoyt(ネイサン・ホイト)氏はTechCrunchに語った。

「車両全体の電気的アーキテクチャがきちんと作動するように、すべて見直さなければならないのです」と、同氏はいう。「私たちが以前発表したメルセデスとアストンマーティンの間のより緊密な提携は、私たちが当面の間はメルセデス・ベンツの技術を使用し続けることを意味しています」。

アストンマーティンが古いシステムを押し付けられている間、メルセデス・ベンツはより技術的に高度な新しいインフォテイメントシステムである「MBUX」に移行した。2018年に導入されたこのシステムは、すでにアップデートも受けている。いつになればMBUXがアストンマーティンのクルマにも搭載されるのかということについては、まだ何も発表されていない。

実用面で言えば、それはタッチスクリーンを持たない2021年の高級車ということになる。代わりにあるものは、クラシックと呼ぶにも無理がある(そう呼べるものなら、おそらくまた別な価値があるはずだ)あまりにも不格好なプラスチックの塊だ。2014年頃のMacのキーボードを思い出して欲しい。DBXにはApple CarPlay(カープレイ)が標準装備されているが、Android Auto(アンドロイドオート)には対応していない。

画像クレジット:Aston Martin

洗練された金属製のノブなどではなく、単なるプラスチック製のボタンが、天然木を使った高級感のあるインテリアの他の部分と調和が取れていない。エアベントやギアセレクターにもプラスチックが使われている。

公平に考えれば、何でもかんでもタッチスクリーンを使って操作するというのは、車内テクノロジーの最良の解決策というわけではない。多くの自動車メーカーのダッシュボードには、直感的に操作できずイライラするような触覚テクノロジーがあまりにも多く使われている。

画像クレジット:Aston Martin

傑出したテクノロジー

アストンはDBXのインテリアにおいて、従来のメルセデスのシステムとの差別化を図るために、できる限りの仕事をしてきた。そのクリエイティブな発想は、センタースタック上の10.2インチディスプレイに表示されるDBXのために作られた巧みなグラフィックに現れている。例えば、アダプティブクルーズコントロールの作動を示すアイコンとして使用されているのは、 James Bond(ジェームズ・ボンド)の愛車であるDB5だ。

アストンはテクノロジーによる利点を、先進性とそして全体のムードを高めるために利用した。

アンビエント照明は、2つのゾーンで64とおりの異なる色に変えられる。出力790ワットの専用サウンドシステムは、13個のスピーカーと密閉型サブウーファーを搭載し、ロードノイズを打ち消すノイズ補正技術も採用されている。その快適なキャビンとスピーカーの迫力ある音は、誰もが映画館へ足を運んでいた頃のハイエンドシアターにいる気分を運転しながら味わえるし、アストンのオーナーであれば、自分だけのホームシアターに逃げ込むこともできる。

ADAS(先進運転支援システム):形状と機能

DBXに自動運転機能は搭載されていないが、アストンはアダプティブクルーズコントロール、前後パーキングセンサー、車線逸脱警報、レーンキープアシスト、ブラインドスポット警告機能などの安全機能を標準装備することでそれを補っている。

各機能は、前述のプラスチック製ボタンに集約されている。アダプティブクルーズコントロールはステアリングホイールの左側にあり、手元で車間距離と車速を調整できる。レーンキープアシストのボタンは、センターコンソールの右側にある。

センターコンソールに備わるスイッチを操作するためには、ドライバーが一瞬、視線を下に落とさなければならず、その間は道路から目が離れてしまう。車線逸脱警報が作動すると、ダッシュ上のライトが点灯し、ステアリングを微かに振動させ、ドライバーに注意を促す。その他のスイッチは、ドライブモードやエアサスペンションの設定を変更するためのものだ。

キャラクター研究

米国では、アストンのイメージといえばジェームズ・ボンドに限定されるかもしれないが、英国の自動車文化の愛好家にとって、アストンは情緒、重厚感、重要性に満ちたブランドだ。私は2010年にイングランドで開催されたアストン100周年記念式典に出席したが、そこでは英国中でブランドの伝統に対する愛が溢れているのを目の当たりにした。

Andy Palmer(アンディ・パーマー)前CEOの下で、アストンは未来を追求してきた。ウェールズにはDBXを生産するための近代的な工場が建設された。しかし、アストンの本質的な魅力の一部は、少数の愛好家に向けた数千台のクルマのために、いくつかの部品がいまだに手作業で作られていることにある。クルマが複雑にコンピューター化されたシステムになるほど、手作業による組み立ては責任が増すことになる。

DBXの進む道は、BMWグループが所有するRolls-Royce Cullinan(ロールス・ロイス・カリナン)や、VW傘下の集団に属するBentley Bentayga(ベントレー・ベンタイガ)、Lamborghini Urus(ランボルギーニ・ウルス)、Porsche Cayenne(ポルシェ・カイエン)のような、6桁(数千万円クラス)の夢のクルマに対し、潜在顧客のドライバーが何を望むか、何を必要とするかにかかっている。あるいはTesla(テスラ)もその中に入るかもしれない。

画像クレジット:Aston Martin

洗練された技術や機能がより重要視されるようになれば、アストンマーティンはどうやって遅れを取り返すかを再考する必要に迫られるだろう。それは例えば、堂々としたクラシックな魅力を倍増させることかもしれないし、あるいは将来追加されるパワートレインを使って、21世紀の自動車メーカーとしてのメッセージを後押しすることかもしれない。後者の可能性が高いと思われる。

既存の契約を元に、2020年にメルセデスと合意した提携拡大によって、アストンマーティンは2027年まで、メルセデスの電気、マイルド / フルハイブリッドのパワートレイン・アーキテクチャを含む幅広い技術を利用できることになっている。

アストンマーティンは最新の決算発表において、ハイブリッドSUVを提供することが同社にとって重要になると指摘している。メルセデスAMGの元CEOで、新たにアストンマーティンのCEOとなったトビアス・ムアース氏は、プラグインハイブリッドのDBXを2024年までに投入すると語った。完全電気自動車も同社の計画に含まれており、こちらは2020年代の中期を目標にしている。

問題はハイブリッドやEV技術の投入に合わせて、アストンマーティンがインフォテインメントシステムに必要なアップグレードを施すことができるかということだ。

数千万円クラスのSUVにもなると、トップの空気は薄い。

カテゴリー:モビリティ
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画像クレジット:Tamara Warren

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(文:Tamara Warren、翻訳:Hirokazu Kusakabe)