インフルエンサープラットフォームのBitStarがシリーズDラウンドで10億円を調達

YouTuberをはじめとしたクリエイターのプロダクション事業、コンテンツ制作事業、インフルエンサーマーケティング事業を提供するBitStarは8月17日、第三者割当増資と金融機関からの融資により、シリーズDラウンドで総額10億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

プロダクション、コンテンツ、広告の3領域統合とテクノロジーが武器

BitStarは2014年7月の設立。当初はデータを活用したインフルエンサーマーケティングを核とした広告領域から事業を始め、2017年秋以降、プロダクション領域やコンテンツ制作領域にも事業を展開している。

今年4月にリブランディングを行い、プロダクション事業、コンテンツ制作事業に、より注力するようになったというBitStar。代表取締役社長CEOの渡邉拓氏は「プロダクションからは実在スターを創出し、コンテンツ領域からはIP(知財)を生み出す。その結果、それらをマネタイズする広告領域へも価値が返ってくることを期待している」と話す。

2年前の資金調達時の取材で渡邉氏は、UUUMやCandeeといった他のインフルエンサーマーケティングのプラットフォーム事業との比較で「それぞれプロダクションやコンテンツなどの得意分野がある中で、我々は広告・プロダクション・コンテンツ制作の3領域を垂直統合し、一気通貫で対応できる点が強み」と語っていた。

今回の取材でも「その強みは変わらない」と渡邉氏は述べ、「垂直統合とテクノロジーを中心にビジネスを大きくしている」と話している。

テクノロジーについては、スターあるいはIPを生み出すまでの「発掘」「育成」「マネタイズ」の一連のプロセスをデータを用いて仕組み化。「この仕組み、プロダクトは、ある意味エンタメ業界のDXのような形で、我々の事業と組織をスケールしていく上での成長エンジンとなっている。路上スカウトではなく、定量的にデータで旬なクリエイターを発掘するツールや、データを分析して自動でアウトプットする育成のシステムもある。マネタイズでも、従来なら有名人を感覚的にキャスティングしていたところを、定量的に分かるデータベースを提供している」(渡邉氏)

所属クリエイター80名、マーケ事業のクライアントは800社以上に

3年前からスタートしたクリエイタープロダクション事業「BitStar」(旧E-DGE)の現在の所属クリエイターは80名、総ファン数は3000万人を超えているという。プロダクションビジネスではGoogleアドセンスが収益源となるため、KPIには月間再生数を採用しているが、昨年比で200%に成長したと渡邉氏は説明する。

所属するクリエイターのジャンルは幅広く、ゲーム実況や“詐欺メイク”などの美容系、テレビでも活躍する大食いタレントなど、多種多様だ。芸能プロダクションとの連携により、アーティストやアイドル、モデルなども含まれる。YouTuberだけでなく、育成枠ではTikTokerなど、さまざまなプラットフォームのクリエイターが参加しているそうだ。

クリエイターのサポートについては、「画一的なサービスを一律で提供するというよりは“機能組織”をつくり、イベントならイベント運営、テレビ出演ならテレビのキャスティングに強い人といった具合で、それぞれの領域のスペシャリストが、必要なときに都度、クリエイターのやりたいことに合わせて参画するような形を取っている」と渡邉氏。クリエイターの満足度も高く、多くのクリエイターに利用してもらっているとのことだ。

コンテンツ制作事業の「BitStar Studio」もプロダクション事業と同じ3年前に、芸能人のYoutubeチャンネルづくりからスタートした。現在はマスメディアと共同でのYouTubeチャンネル運営や、ブランド・企業との協業、自社メディアとしてのチャンネル開設も行う。

「メディアとの協業では『情熱大陸』や『オカルト部』のYouTubeチャンネル運営により、3年で損益分岐点を超えるところまで育ってきたところ。ブランド・企業との協業では、テレビに代わり、YouTubeチャンネルへ年間でスポンサードしてもらうという流れが昨年あたりからできてきた。僕らは、制作費をいただきながらレベニューをシェアするというSaaSビジネスのようなモデルでやらせてもらっている」(渡邉氏)

YouTubeはほかのSNSと異なり、コンテンツ制作が番組作りに近いと渡邉氏。「コンテンツを頻度高く、毎日のように配信していくので、PDCAが試される。そういうサイエンス的なところは我々が強いので、業界の先駆けとして伸ばしてきたところです」(渡邉氏)

直近では、新型コロナウイルス感染症の影響で、新製品リリースなどのタイミングでライブ配信需要も増えており、「制作の幅も広がっている」と渡邉氏はいう。

VR/VTuber対応でも、2018年に「BitStar Akihabara Lab」を立ち上げ、専門の制作・運営体制を提供。他社キャラクターを協業で運用したり、VR空間を生かした体験型イベント、AR技術を生かしたアトラクションを提供したりしている。AR技術で深度センサーを使い、VTuberキャラと触れ合ってチェキを撮影できるイベントは、来場者300人でチケット3000枚を販売するほどの人気だったそうだ。

VTuberのリアルファンイベント「わくわく!VTuberひろば」はオンライン化も試みられた

創業当初はYouTuberと企業のマッチングプラットフォームとして始まった、インフルエンサーマーケティング事業「BitStar Ads」は現在、インフルエンサーのキャスティングから広告運用・出稿、データ分析と幅を広げ、クリエイティブ領域、コンテンツ領域にも対応し、「人を軸にしたエージェンシーとしていろいろな広告商品を開発・展開している」(渡邉氏)という。

BitStar Adsの利用クライアントは累計約800社以上、動画配信数は4000本以上となった。「広告領域で特に強みとするのは、定量的にデータでキャスティングを最適化する国内最大級のインフルエンサーデータベース『IPR(Influencer Power Ranking)』で、こちらは現在約1500社の登録がある。YouTubeに加え、InstagramやTwitterなどのプラットフォームも合わせて10万以上のクリエイターをデータベース化しており、キャスティングに役立てていただいている」(渡邉氏)

投資家の電通、マルイなどと事業提携も進める

今回の資金調達ラウンドに参加した投資家は、電通グループ、丸井グループ、フォーイット、SKIYAKI、ビーマップ、セガサミーホールディングスと、既存株主であるコロプラネクスト、ABCドリームベンチャーズ、および複数の個人投資家。これまでの累計調達額は約30億円となった。

調達によりBitStarでは、大手事業会社との戦略的協業を具体的に始める。広告事業では、電通グループとの資本業務提携を通じて、ナショナルクライアント獲得と共同での広告商品開発を図る。「既存業界との協業により、知見や発想、ソリューションを共有して、商品開発を行う」(渡邉氏)とのことで、提携内容については今後随時発表を予定しているという。

プロダクション事業では、ファンクラブやファンサービス運用のプラットフォームを提供するSKIYAKIと、ファングッズ販売関連で既に提携を開始している。またコンテンツ制作事業では、事業会社とのYouTubeチャンネルの共同運営や、企業のオフィス内に配信スタジオを展開する際の協力などを行っていく。

丸井グループとの提携では、BitStar Akihabara Labで開発・運営するイベントアトラクションの「わくわく!VTuberひろば」を渋谷モディに常設することが決まっている。

フルスピード子会社でアフィリエイトプラットフォームを運営するフォーイットとは、プロダクト開発で協業。プロダクション所属には至らないマイクロ/ミドルインフルエンサーを対象とした、仕事依頼のためのプラットフォームを共同で開発する予定だ。

渡邉氏は、プロダクション・コンテンツ制作・広告と、「インフルエンサーサービスの3領域いずれのエリアでも成長したい」と述べている。

今期、「業界ナンバーワンの成長を目指す」と話す渡邉氏。成長率で170%を今期の業績目標としているという。直近ではプロダクション事業のKPIだけでなく、コンテンツ制作事業でも月間売上を昨年比で約2倍に伸ばしており、「新規領域でも順調に成長している」と渡邉氏は述べている。

新型コロナの業績への影響について渡邉氏は、前述したようにライブ配信コンテンツ制作など、需要が増えた部分もあるが、「リアルイベントや物販会、実写制作では影響が出ている」という。ただ「経営的には全般に大きなインパクトがあるわけではない」とも話している。

「視聴者層は増えていて、事前の市場予測よりさらに130%の伸びとなっている。芸能人がテレビから動画配信へ進出するなど、エンタメ界でDXが起きやすくなっている環境」という渡邉氏。「再度、緊急事態宣言クラスの制限があれば、痛手がないということはないが、リアルビジネスについてもECやD2Cを物販に取り入れたり、VR握手会を企画したりすることで、オンラインへの移行は進めている。もともとエンタメ業界のDXを進めてきた立場として、柔軟に対応したい」と語っている。

インフルエンサーマーケティング基盤のBitStarが13億円を調達、事業会社との戦略的協業を図る

写真右から3人目:BitStar代表取締役 渡邉拓氏

インフルエンサーマーケティングのプラットフォームを運営するBitStarは8月20日、第三者割当増資と銀行からの融資により、総額13億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

第三者割当増資の引受先は、既存株主であるグローバル・ブレインが運営するファンド、ABCドリームベンチャーズが運営するファンドのほか、コロプラネクストが運営するファンド、グリー子会社のWright Flyer Live Entertainment、INTAGE Open Innovation Fund、Makers Fund朝日新聞社名古屋テレビ・ベンチャーズの各社・各ファンドなど。

BitStarは広告・プロダクション・メディア制作の3つの領域で、テクノロジーを活用したインフルエンサーマーケティングのしくみ、インフルエンサーと企業とを結び付けるプラットフォームを提供している。

インフルエンサーマーケティングのプラットフォーム事業では、UUUMVAZ、THECOOが運営する「iCON CAST」、Candeeなど、ほかにもサービスがある。BitStar代表取締役の渡邉拓氏は「UUUMやVAZはプロダクション機能を、Candeeは制作を得意としている。BitStarは元々は広告領域に明るく、一番シェアもあったが、プロダクションや制作領域にも進出して3領域を垂直統合し、一気通貫で対応できる点が強み」と述べる。

同社がインフルエンサーと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar」を公開したのは2015年秋のこと。以来、「スマホ時代にインフルエンサーが活躍できるインフラづくり」をビジョンに掲げ、約3年間テクノロジーを強化してきた、と渡邉氏は言う。

「インフルエンサーマーケティングを手がけるところでも、まだまだアナログなところが多い。BitStarはインフルエンサーの創出・発掘から育成、マネタイズまで、テクノロジーの力でデータを使って自動化や最適化を進めてきた」(渡邉氏)

例えば、創出・発掘ではYouTubeやInstagramなどの成長インフルエンサーを自動検知してスカウトできるクローリングシステム、育成支援では、YouTubeチャンネルをデータに基づいて分析し、配信方法を最適化するシステムを、またマネタイズ支援では、大量の企業からのオファーを効率的に実施するマッチングプラットフォームなどを提供している。

こうした施策もあって、キャスティングなども含めた同社の広告取引の累計案件数は約4000件となっているそうだ。

そして同社はBitStarのほかにも、昨年秋以降、プロダクション領域やメディア領域にも事業を展開。インフルエンサープロダクション「E-DGE」やインフルエンサーマーケティングのプランニング・分析ツール「Influencer Power Ranking」、ファンコミュニティサービスの「costar」といった、新サービスを追加した。またバーチャルYouTuber(VTuber)のグループ「アマリリス組」のプロデュースも始めている。

渡邉氏は「広告・プロダクション・メディア制作を垂直統合することで、各領域で重なる部分ができ、ナレッジやテクノロジーの共有が可能になる。この事業間の連携で、各分野が相互成長できる」と話している。

さらに3領域にわたって事業を展開することで「どのプレイヤーとも協業できるのも利点」と渡邉氏は言う。今回の資金調達では、事業会社の出資参加により戦略的協業を図ることも同社の目的のひとつとなっている。

例えばグリー子会社のWright Flyer Live Entertainmentは、先日VTuber専用のライブ配信プラットフォーム「REALITY」をリリースしたばかり。彼らとのタッグでBitStarはVTuber事業の推進を図っていく。

またインテージには、TVだけでは実態が捉えにくくなってきたコンテンツ視聴について、Influencer Power Rankingを通じて、SNS上の情報を提供。共同で商品開発も検討している。

朝日新聞社、名古屋テレビとは、YouTubeチャンネルなどのデジタルメディア制作で協業を図っている。今回追加投資を行ったABCについては、朝日放送グループ傘下のアニメ製作会社と組んでVTuberプロデュースも検討するという。

これらの動きについて渡邉氏は「YouTuberをテレビへ出演させるというデジタルからマスへの流れだけでなく、マスからデジタルへの流れを作っていくことも考えている」と述べている。

ほかにも「資本提携に限らず協業を図っていく」と渡邉氏は言う。8月10日には博報堂との戦略的提携を発表。「調達資金の一部をインフルエンサーマーケティングに関わるスタートアップへの出資や、M&Aに投資することも予定している」と渡邉氏は話している。

資金調達で「インフルエンサーが活躍できるインフラづくり、エコシステムの強化を図りたい」と渡邉氏は語る。

また渡邉氏は、MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTuberと提携してプロモーションや権利管理などをサポートする組織)への出資も行い、海外のインタラクティブエンターテインメント事情に精通するMakers Fundが株主として参加したことについては「海外の先端情報を取り入れ、グローバル展開につなげることも期待している」とも述べている。

BitStarは2014年7月の設立。これまでにシードラウンドでEast Venturesから、2016年8月のシリーズAラウンドでコロプラから、2017年6月のシリーズBラウンドではグローバル・ブレインから資金を調達している。また2017年10月にはTBS、ABC子会社のCVCから資金調達を行っている。今回の資金調達はシリーズCラウンドにあたる。これまでの累計調達額は約18億円に上るとみられる。

YouTuber支援プラットフォームのBitStarがTBS、ABCから資金調達——マスとネットの協業進める

インフルエンサーと企業をつなぐプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastは10月2日、TBSイノベーション・パートナーズABCドリームベンチャーズが運営する各ファンドから資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開だが、関係者によると数千万円程度の模様。また同社はあわせて、社名をBitStarに変更することを発表している。

BitStarは2014年7月の設立。これまでにシードラウンドでEast Venturesから、2016年8月のシリーズAラウンドでコロプラから、2017年6月のシリーズBラウンドではグローバル・ブレインから資金を調達している。今回の資金調達はシリーズBの追加調達に当たるという。

同社は、インフルエンサー支援プラットフォームのBitStarを手がけるほか、“マスメディアとデジタルの融合”をコンセプトとしたYouTuberプロダクション「E-DGE」を2017年7月に立ち上げ、所属YouTuberのマネジメントとコンテンツ制作を行っている。BitStar代表取締役の渡邉拓氏は「テレビはまだまだ主力メディアだ。プロダクション事業を拡大するに当たっては、所属するYouTuberを有名にすることが重要。メジャーなメディアであるテレビに、タレントを露出する場を用意することも、今回の資金調達の目的のひとつだ」と言う。

渡邉氏はテレビ局と組むことによるメリットを「番組宣伝へのYouTuberの出演、YouTuberを起用した広告宣伝、インフルエンサーが出演する番組を作れること」と説明する。「若者のテレビ離れと言われる中、テレビ局は若者を呼びたいし、広告も売りたい。そこでインフルエンサー出演番組を制作し、広告商品も一緒に企画するなど、(お互いに)自社だけではできない協業を進めたい、ということで今回の資本提携に至った」(渡邉氏)

「テレビ広告は、広告業界6兆円のうちの2兆円を占める。我々は、インフルエンサーのキャスティング、アサインからコンテンツ制作、広告販売まで一気通貫でできるところが強み。広告の共同商品開発をはじめ、TBS、ABCの2局と協業の仕組みを確立したい」(渡邉氏)

実はBitStarでは、9月27日にE-DGE所属のYouTuberが、10月4日深夜から放送されるテレビ東京のエンターテイメント番組「エンタX」にレギュラー出演することを発表している。番組MCには“ピコ太郎のプロデューサー”こと古坂大魔王氏らが起用され、毎週のゲストにマックスむらい氏ほか、E-DGE所属外も含めた大物YouTuberが出演する。BitStarはこの番組への取り組みでも、テレビ広告の共同販売を視野に入れているという。渡邉氏は「YouTuber番組をやりたかったテレビ局とスポンサー、そして我々の三者の意向が合致した。E-DGEの目指す“マスとデジタルの融合”を実現し、露出の場を作ってあげることができた」と話している。

渡邉氏はさらに「インフルエンサーのメディアへの露出も支援していくが、マスメディアがネットへ進出したい、という動きも支援したい」と語っている。「テレビだけでなく、出版やラジオなども含め、YouTubeでチャンネルを持ったり、ネットで番組を公開したりしたい、というメディアとの連携も進めていきたい」(渡邉氏)

YouTuber支援プラットフォーム「BitStar」運営が3億円を資金調達——JTBとの協業で海外進出も

YouTuberをはじめとした、発信力のある個人がコンテンツをどんどん公開するようになる中、日本でもインフルエンサーマーケティングのプラットフォームやサービスを提供して、インフルエンサーを支援する動きが活発になっている。5月には集英社がインフルエンサーマーケティング事業への参入を発表しているし、6月7日にはCandeeがインフルエンサーが商品を動画で紹介するライブコマースに参入、アプリの提供を開始したばかりだ。

こうしたインフルエンサーマーケティングのプラットフォームのひとつ「BitStar」を運営するBizcastは6月19日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とする3億円の第三者割当増資の実施を発表した。また資金調達に伴い、グローバル・ブレインのパートナー、深山和彦氏が社外取締役に就任する。

Bizcastは2014年7月の設立。動画広告での収益化を図りたいYouTuberと、動画プロモーションをしたい企業とをマッチングするサービスとして、BitStarベータ版を公開したのは2015年9月のことだ。Bizcastは、シードラウンドではEast Venturesから資金を調達、2016年8月のシリーズAラウンドではコロプラから資金を調達している。

BitStarがインフルエンサーに提供するのは、企業とのマッチングを行う広告代理店機能、インフルエンサーが活躍するためのプロダクション機能、そしてコンテンツ制作を進めるメディア機能だ。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏は「我々の狙うマーケットは芸能プロで1兆円、広告業界で6兆円、コンテンツ産業は12兆円ととても大きく、しかしアナログな世界だ。BitStarは、インフルエンサーの発掘、育成、マネタイズを支えるテクノロジーが強み」と話す。

具体的に用意されているシステムには、インフルエンサー発掘では、YouTuberやInstagrammerなど成長しているインフルエンサーを自動検知してスカウトできるクローリングシステム、マネタイズ支援では、大量の企業からのオファーを効率的に実施するマッチングプラットフォームがある。また育成支援ツールとして、YouTubeチャンネルをデータに基づいて分析し、配信方法を最適化するシステムを開発中とのことだ。

これらITを活用する一方で「(タレント)インキュベーターとして、元AKBやKPOPタレントのマネジメントに携わった人材なども抱えている」と渡邉氏は言う。「テクノロジーと人の力で、さらにこの市場での成長を加速させていきたい」(渡邉氏)

BitStarでは、著名なスターインフルエンサーだけでなく、ロングテールでコンテンツを提供するインフルエンサーも押さえている。YouTuberの登録は無料とし、マッチングシステムや広告案件の提供のほか、ファンレターの住所貸しや確定申告の支援などのサービスをアラカルト式に提供している。MCN(マルチチャンネルネットワーク)やタレント事務所に所属していないYouTuberの登録も多く、YouTubeチャンネルの購読者が1000人以上のインフルエンサーが1500人以上登録し、フォロワーは延べ8000万人に到達。国内では最大級のインフルエンサーネットワークとなっているという。

YouTuberによる動画配信実績は1000本超。クライアントにはDMM.comやミクシィ、ディー・エヌ・エー、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスといったゲームのプラットフォーマーやメーカーに加え、銀座コージーコーナー、デニーズ、リクルート、ユニチャーム、エステー化学など、さまざまな業種の大手企業の名が挙がっている。

今回の資金調達によりBizcastでは、マスメディアやプロダクションとの連携により、さらにプロダクション事業、メディア事業を強化していく考えだ。また、新たなプロダクトの開発と海外展開のための投資も進めるとしている。

特に海外展開については、今回の出資ファンドに戦略的LPとして参加しているジェイティービー(JTB)とそのグループ会社とも協業を進めるとのこと。既に国内では旅行商品「エースJTB」のプロモーションにBitStar登録のインフルエンサーが採用されているそうで、今後さらに観光インバウンド領域などで、日本企業の海外プロモーション支援を協業で進めていくという。

写真左から:グローバル・ブレイン パートナーの深山和彦氏、代表取締役社長の百合本安彦氏、Bizcast代表取締役の渡邉拓氏、COOの原田直氏、CTOの山下雄太氏

YouTuberと企業を結ぶプラットフォーム「BitStar」、運営のBizcastがコロプラから資金調達——海外展開も視野に

Googleの積極的なプロモーションもあって、言葉としても定着した感のある「YouTuber」。そのYouTuberとクライアントとなる企業を繋ぐマッチングプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastが8月1日、コロプラを引受先としたシリーズAの第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、関係者の話によると億単位の調達だと見られる。

BitStarは2015年9月のリリース。YouTuberをインフルエンサーにして商品のマーケティングを行いたいクライアント企業と、動画広告での収益化を図りたいYouTuberをマッチングするプラットフォームだ。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していない、事務所無所属のYouTuberの登録が中心となっている。

UUUMやiCON CASTなどYouTuberと企業を結び付けるサービスはほかにもある。Bizcast代表取締役の渡邉拓氏いわく(1)3200万チャンネル登録者とインフルエンサーのネットワーク規模が大きい、かつジャンルも多岐にわたること、(2)YouTuberとともに最適な企画を作るほか、機材貸与やファン向け施策の支援なども実施した「YouTuber寄り」な運営をしていること、(3)YouTuberごとのクリック単価や再生回数、再生数ベースの効果分析など、企業向けに効果測定のレポーティングを充実させていること——の3点がBitStarの特長だという。

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同社は7月で第3期目を迎えたが、1期から2期での売上は10倍以上(売上の金額は非公開だが、動画の単価は数万円から1000万円以上、数百万円規模が中心)に成長しているそう。クライアントは大手企業が中心で、たとえばゲームだとスクウェア・エニックスやフジテレビジョン、アプリならペロリ(MERY運営)、美容ならアルビオン、ユニチャームなどの名前が挙がる。例えば競馬好きのYouTuberが競馬ゲームの紹介とあわせて馬券を購入、実際に120万円の馬券を当てて話題になった動画などがあるそうだが、この動画を通じて約5000件のアプリダウンロードが発生。CPI(インストール単価)数十円という好調な結果を得た事例などがあるという。

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Bizcastは今回の調達をもとに新商品開発やシステム開発強化、人材拡充を含めた経営基盤の強化を進めるとしている。渡邉氏いわく、いわゆるタレントマネジメント業までは行わないものの、システムや制度面で事務所無所属のYouTuber向けの支援施策も強化するという。クライアント企業に対しては、戦略立案から企画、調査、実行、効果測定までをサポートできる体制を拡充するとしている。

また今後はアジア圏を中心にしたビジネスの拡大を進める。具体的には、国内企業のアジア向け施策のマーケティング・プロモーション支援や現地企業と現地YouTuberのマッチングなど。これに向け、グローバル戦略向けの人員体制も強化する予定だ。加えて、YouTuber以外のプラットフォームでのインフルエンサー獲得についても検討しているという。同社では今期目標について「売上で前期比5〜10倍を目指す」(渡邉氏)としている。

YouTuberと動画プロモーションをしたい企業をマッチングするBizcastの「BitStar」

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昨年から今年のスタートアップのトレンドの1つは間違いなく「動画」だろう。動画広告に動画配信サービスをはじめ、スタートアップ各社がしのぎを削る領域となっている。今回紹介するBizcastもそんな動画領域のスタートアップの1社だ。同社は9月1日、YouTuberと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar」ベータ版をを公開した。

BitStarは動画広告での収益化を図りたいYouTuberと、費用対効果の高い動画広告を出したい企業をマッチングするサービス。MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTubeチャンネル運営者と提携してコンテンツ作成やプロモーション、権利管理などを行う組織)やタレント事務所に所属していないYouTuberの場合、YouTube広告だけで収益化することが難しく、タイアップ案件などを探しているケースが多いのだという。BitStarではそんな「事務所無所属」のYouTuberを中心にプラットフォームへの参加を呼びかけており、クローズドベータ版の段階から現在までに参加したYouTuberののべ視聴者数(チャンネル登録者数)は600万人だという(参加YouTuber数は非公開)。

BitStarコンセプト図

BitStarでは、これらのYouTuberに対して、企業が「○○に関する動画の作成」といった形でスポンサード案件を提示、プラットフォーム上でのマッチングを行う。なおスポンサード動画については、基本的にはYouTubeの動画説明欄、場合によっては動画内でもその旨を記載するルールだという。

YouTuberが案件にエントリーする際には、あらかじめ登録したプロフィールやYouTubeの再生回数実績などを組み合わせて、自動で企業提出用のプロフィールシートを作成する。案件の単価については、YouTuberごとの再生実績などをもとに算定している。

動画配信が遅延したり、説明欄にスポンサード案件である旨の記載が漏れていたりといったトラブルに対応するため、運営側が動画の公開や説明コメントの編集などを行う管理機能を持つのも特徴だという。なお、BitStarはあくまでマッチングのプラットフォームのみを運営しており、YouTuberのマネジメント業務などは行わないのだという。

2015年6月まで数カ月の間クローズドでサービスを提供してきたが、すでに飲食、家電、美容、ゲーム、イベント、おもちゃと幅広い領域での実績があり、1社で40件、150万再生の実績のある企業もいるのだという。

Bizcastは2014年7月の設立。シードマネーをEast Venturesから調達し(金額非公開)、ビジネス特化の動画配信サービスを提供する中でBitStarを企画した。同社では2016年4月までにプラットフォーム経由で動画500本の配信を目指す。