Airbnbが新型コロナ禍の中、未公開株式投資会社から1000億円超を調達

Airbnb(エアビーアンドビー)は米国時間4月6日、未公開株式投資会社であるSilver Lake(シルバー・レイク)とSixth Street Partners(シックス・ストリート・パートナーズ)から、融資および株式で10億ドル(約1090億円)調達したと発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、同社のオンライン宿泊マーケットプレイスが急激に落ち込む中でのことだ。

契約条件は公表されていない。Airbnbが以前公表していた上場計画に、この出資がどう影響を与えるのかもわかっていない。

新型コロナウイルスによって起こされるCOVID-19は、世界中の政府に自宅待機命令の発出を促し、旅行、接客業界にキャンセルの波を引き起こした。Airbnbはこの資金調達について、長期的投資に向けた現在進行中の事業を支援するためであると説明し、これが戦略的な投資であり低迷からの回復のためではないこと強調した。

「現在の状況が接客業界にとって困難なものであることは明らかだが、旅に出て本物の体験をする欲求は、基本的かつ永遠のものだ」とSilver Lakeの共同CEO兼マネージングディレクターのEgon Durban(イーゴン・ダーバン)氏は声明で述べた。「Airbnbの多様かつ国際的で弾力性のあるビジネスモデルは、世界が必ず復活し外へ出て旅を体験する時、発展するために最適である」

同じく米国時間4月6日にAirbnbのCEO、Brian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、人とつながり旅に出る欲求はこの期間に強まっているが「それを具現化する方法は世界の変化とともに明らかになっていくだろう」と述べた。

Airbnbは、人々の働く場所と方法が変わっていくことに賭けている。そのため、同社は企業の焦点と新たな資金を「ホスト」「長期滞在」および「Airbnb体験」という3つ主力製品につぎ込むと語った。

2020年4月にAirbnbは、新型コロナの影響を受けたホストを救済するために2億5000万ドル(約272億円)を準備すると語った。これは、3月14日~5月31日の期間、新型コロナによる予約キャンセルがあった場合、ホストが通常のキャンセルポリシーの下で受け取るはずだった金額の25%をAirbnbが支払うものだ。このポリシーは上記期間の予約取り消しすべてについて遡って適用される、とAirbnbはいう。

これは新型コロナのために予約をキャンセルした宿泊客が全額返金を受けられる、という同社のポリシーに不満を募らせるホストに対する補償を目的としている。そのポリシーは現在も有効で、3月14日以前から5月31日までの間の宿泊を予約し宿泊客は、キャンセルして通常の返金または旅行クレジットを受け取れる。

画像クレジット:TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LinkedIn創業者は著書「BLITZSCALING」で猛スピードこそ生き残りへの道と主張

LinkedInの共同創業者兼エグゼクティブ・チェアマンであり、Greyrock Partnersのパートナーとしてシリコンバレーを代表する投資家でもあるリード・ホフマン氏はTechCrunch読者にも名前をよく知られた人物だろう。

ホフマン氏が母校スタンフォードで続けていたスタートアップを成功させる方法の講義に加筆してまとめた本をTechCrunch Japanの同僚、高橋信夫氏と共訳した。興味深い内容と思ったので紹介してみたい。

ブリッツスケーリング 苦難を乗り越え、圧倒的な成果を出す武器を共有しよう」(日経BP)に詳しく述べられたホフマン氏の戦略は「直感と常識に反することをせよ!」というものなので、当然賛否はあるだろう。しかしスタートアップとベンチャー投資の最前線の体験から得たエピソードや観察が数多く披露されている。

本書はまず創立2年目のAirbnbが陥った深刻な危機から始まる。ホフマン氏はAirbnbの将来性をいち早く見抜いた一人で、最初期からの投資家だった。創業者たちとも親しかったため、このあたりは内側から見た手に汗握る企業ドラマだ。

Reid Hoffman

シリコンバレーで新しいアイデアが生まれるとそっくりコピーしてヨーロッパで事業化して繰り返し成功を収めてきたドイツの大企業がAirbnbにも同じ手法で攻撃をかけてきた。会社の権利のかなりの部分を譲渡するなどしてなんとか和解の道を探るべきだろうか?

しかし助言を求められたマーク・ザッカーバーグ氏らは「戦うべきだ」と言う。Y Combinatorのポール・グレアム氏の要約も面白い。「(ドイツの連中は)子供が欲しくもないのにカネ目当に赤ん坊を育ているようなものだ」とやはり一歩も引かないことを勧める。ブライアン・チェスキー氏(下の写真)らAirbnbの創業者たちも正面からの激突を選ぶ。

Brian Chesky

よろしい戦争だ。では、どうやって勝つのか?

相手は資金でも規模でも圧倒的に大きい実績ある企業グループで、Airbnbは無名のスタートアップだった。ここでAirbnbを成功させた戦略が「ブリッツスケーリング」だというのがホフマン氏の主張だ。

ブリッツスケーリングはブリッツクリークからのホフマン氏の造語だ(ブリッツはドイツ語で「稲妻」という意味で日本では「電撃戦」と訳されている)、要約すれば「いかにリスクが高くても成長スピードを最優先せよ」という戦略だ。ホフマン氏はテクノロジーのように変化が急速な世界では成長速度がすべてだと主張する。「資本効率より成長率に重点を置くのではない。資本効率などはうっちゃて急成長を追求せよ。誰にも先が見えない世界で安定成長などはありえない。そっちががむしろ幻想だ」という。

もちろんブリッツスケーリングは典型的なハイリスク・ハイリターンな戦略だ。ブリッツスケーリングのコンセプトの源となった電撃戦は第二次大戦の初戦でドイツに空前の大勝利をもたらした。しかし内情はきわどいもので、もしフランスがミューズ川、セダンなどの要衝で頑強に抵抗すればドイツは大敗していたという。しかし電撃戦を発案し指揮したグデーリアン大将は「予想していない速度で進撃し神経中枢を刺せば敵はマヒする」と確信して突進し、そのとおりとなった。ブリッツスケーリングにはこの二面性がある。

Airbnbの拡大戦略は社員わずか40人のスタートアップが世界各地に一挙にオフィスを開設するなどブリッツスケーリングというのにふさわしい猛烈なものだった。ホフマン氏はブリッツスケーリングに内在するリスクの要素を熟知しており、成功させるためには無数のハードルを日々乗り越えていく必要があると指摘する。自ら体験したLinkedInを始め、Google、Amazon、Facebookなどの実例で市場の選択、ビジネスモデル、プロダクト・マーケット・フィット、ディストリビューションなどの分野でどんな努力が払われたかを具体的に説明する。これがビジネス書として非常に面白い部分だろう。

もうひとつ興味深かったのはブリッツスケーリングは既存の大企業が生き延びるためにも必要だとした点だ。Apple(アップル)はMacとiPodのメーカーとして十分成功していたがスティーブ・ジョブズはスマートフォンというまったく新しい市場を切り開いて「大企業のブリッツスケーリング」の例となった。大企業といえども同じビジネスを永久に続けていくことはできない。日本の大企業にもこのところ気がかりなニュースが続いている。誰もがAppleになれるわけではないだろうが、どんな大企業であれブリッツスケーリングの考え方を取り入れなければ今後生き延びることは難しくなるのではないか。

今月下旬にバルセロナで予定されていたMWCの開催が中止された直接の原因は、コロナウィルス感染症に対する懸念で、テクノロジーに内在するものではない。しかし「何が起きるか予測できない世界」だということの一例ではあるだろうし、その背景にはモバイルネットワークの発達で情報拡散の速度と密度が格段に高まったことがあると思う。

本書にはLinkedInを買収したMicrosoft(マイクロソフト)のビル・ゲイツ氏が内容を的確にまとめた序文を寄せている。企画から編集作業まで担当した日経BPの中川ヒロミ部長はFactfulness(『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 』)を大ヒットさせているが、こちらも最近のノンフィクションでベストの1だ。

画像:TechCrunch

滑川海彦@Facebook

Airbnb CEO、「来年のIPOは可能、だけどないかもしれない」

Airbnbは年間数十億ドルの売上をもたらし、EBITDAベースで黒字なので、この宿泊シェアリング会社がいつ上場するのか多くの人々が注目している。今日(米国時間5/30)のCodeカンファレンスで、Airbnb CEO Brian Cheskyは、「来年IPOはできるだろうが、するかどうかはわからない」と言った。

Airbnbが上場するときは、それが間違いなく会社にとって大きな利益になることを考えなくてはならないと付け加えた。いくつかの質問のあと、Cheskyは「上場することに問題はない。上場は可能だ」と語った。

一方Airbnbは規制問題に関しては2010年以来苦闘を続けている。中でもサンフランシスコとニューヨークは規制の観点から見てもっとも困難な2都市だとCheskeyは言った。

たとえばニューヨークは2010年以来停滞状態にある。Cheskyによると、彼はニューヨークの問題は解決にあと数年かかると予想している。

「この挑戦には終わりがないように思える」とCheskyは言った。Cheskyによるとこの問題には、ホテル業界および「この終わりのない戦いに人々を駆り立てた」組合も関係しているという。

ほかにAirbnbに対する批判として、家賃の上昇と立退きの問題が挙げられている。Cheskyはこれを単なる経営判断だとして付け加えた。ニューヨークには「住む価値がなかったということだろう」。しかしCheskyは、Airbnbで収入を得ることに依存しているホストもいると言う。

CodeカンファレンスでCheskyは、AirbnbのExperience製品を説明し、同社の宿泊サービスの10倍以上の速さで伸びていることを自慢した。Airbnb ExperienceはAirbnbが2014年にテストを始め、正式には2016年にスタートした、旅行者が世界中の都市でなにかを見つけるのを手伝うサービスだ。

スタート当初、Airbnbはそれぞれの体験について調べていなかったが、悪い体験がいくつかあって以来、Aibrnbは検証を始めた

「非常にうまくいっている」とCheskyは言った。さらに、「Experience経済」は成長中であり、「おそらく各種の体験を中心にして大きな経済が生まれるだろう」と付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnb、入国拒否命令の被害者に無料宿泊を提供

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トランプ氏の大統領令によって、難民や学生やグリーンカード保有者が米国の空港で立ち往生させられている大混乱の最中、Airbnbは影響を受けた人々に無料宿泊を提供する。

この大統領令に対しては法的行動や抗議運動が起こされ、空港で拘束されていた一部の人々が解放された。しかし、税関国境警備局がトランプの命令をどのように遂行するのかは未だ明らかになっておらず、旅行者が米国行きフライトに乗れなかったり、到着時に拘束されるケースは今後もあり得る。。

AirbnbのCEO Brian Cheskyは昨日、トランプの難民受入れ拒否に反対する意見を数多くのIT企業経営者と共に明言した。しかし昨夜Cheskyは、さらに一歩進めて難民やその他影響を受けた人々に宿泊を提供するべく「Airbnbは難民をはじめ米国への入国を許されなかった人々に無料で宿泊を提供する」とツイートした。「今後も情報に注目されたい。緊急に住まいが必要な場合は私に連絡してほしい」。

Airbnbの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、今回の対応には既存の災害対応プログラムを活用するという。自然災害で住居を失った人や支援する人たちに宿泊を提供するようホストに依頼するプログラムだ。近くにホストが見つからないときなどにはほかの物資や情報が必要になるが、Airbnbは今後の計画について近く詳細を発表すると約束した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook