アンケートで従業員のエンゲージメントを可視化し、リファラル採用を加速する「Refcome Engage」ベータ版

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最近スタートアップの採用施策において「リファラル採用(紹介採用)」の話題になることが増えてきた。だがこのリファラル採用、企業の人事担当者からは「従業員の協力が得られない、従業員が人材を紹介してくれない」といった悩みをの声が上がることも少なくない。

そこに着目したのがリファラル採用支援サービス「Refcome(リフカム)」を手がけるCombinatorだ。同社は2月15日、従業員エンゲージメント(社員満足度)を可視化するサービス「Refcome Engage(リフカムエンゲージ)」のベータ版をリリースした。またリリースと同時に事前登録も開始している。サービスの利用は無料だ。

リファラル採用に協力的な従業員を可視化

Refcome Engageは従業員にアンケートを配信し、従業員エンゲージメントを可視化するサービス。使い方は非常にシンプル。従業員情報をCSVファイルで追加した後、あらかじめ用意された「eNPS(employee Net Promoter Score:従業員向けの顧客ロイヤルティ指標)」に基づいて作成したアンケートを配信するだけ。その回答によって、従業員が批判者、中立者、推奨者の3つに分類。従業員エンゲージメントを可視化する。

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アンケートの配信は全社はもちろんのこと、部署ごとに絞り込みを行うことも可能。この結果をもとにすることで、批判者の多い部署にリファラル採用の協力依頼をすることなく、推奨者の多い部署からリファラル採用を始めることができる。

リファラル採用、成功のカギは従業員のエンゲージメント

TechCrunchが以前行った取材でCombinator代表取締役の清水巧氏は「社員満足度や組織課題を可視化できるようなプロダクトにしていく」と今後の展望を語っていた。Refcome Engageはその思いを形にしたプロダクトだ。

「Refcomeを半年間運用していく中で、リファラル採用が上手くいく企業と上手くいかない企業がハッキリと分かれてきました。うまくいく企業には何があるのか? そこで重要だったのは『エンゲージメントの高い従業員がどれだけいるか』ということでした」(清水氏)

例えば、非協力的な従業員が多くいる状況にもかかわらず、全社に向けて「リファラル採用の協力をお願いします」と言ってしまっては施策自体がしらけてしまう。極端に言えばかえって会社を嫌いになる人も出てきてしまうだろう。その一方で、協力的な従業員が多い会社であれば、自然と採用に関する話が盛り上がる。であれば、リファラル採用に取り組む前にきちんと自社の環境を分析する方がいいのではないか。そう思って社員のエンゲージメントを把握できるサービスの提供を決めた。

「Refcome Engageはリファラル採用の施策策定をサポートするサービスではありますが、それだけではありません。エンゲージメントを可視化することで退職リスクの高い従業員も浮き彫りになってくるので、事前に対策が打てるようになります」(Combinator取締役 カスタマーサクセス部の石川優氏)

アンケートの回答内容はRefcome Engage内に蓄積されていくため、会社に対する不満の変化も知ることができ、それをもとに面談などが行える。

早期の100社無料登録を目指す

「いきなりRefcomeを使ってもらうのではなく、まずはRefcome Engageを使って社内の環境を分析する。それでリファラル採用が上手くいくかどうかを知ってもらい、その次のステップとしてRefcomeを使ってもらえればと思っています」(清水氏)

まずは100社の無料登録、そして半年後の正式公開を目指すという。一方、従来提供してきたRefcomeに関しては現在、無料ユーザーの募集をいったん停止。有料ユーザーの獲得を狙うことで、MRR(月間経常収益)の向上を目指すとしている。

(左から)取締役 カスタマーサクセス部 石川優氏、代表取締役 清水巧氏

Combinator取締役 カスタマーサクセス部の石川優氏(左)、代表取締役の清水巧氏(右)

リファラル採用ツール「Refcome」のCombinatorがBEENEXTなどから5000万円の資金調達、開発・サポートを強化

左からBEENEXTの前田ヒロ氏、Combinator代表取締役の清水巧氏、Draper Nexus Venture Partnersの倉林陽氏、ANRIの佐俣アンリ氏

左からBEENEXTの前田ヒロ氏、Combinator代表取締役の清水巧氏、Draper Nexus Venture Partnersの倉林陽氏、ANRIの佐俣アンリ氏

リファラル採用(紹介採用)支援サービス「Refcome(リフカム)」を手がけるCombinatorは10月6日、BEENEXT、ANRI、Draper Nexus Venture Partnersを引受先とした総額5000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

7月にリリースしたRefcomeは、効果的なリファラル採用を行うための施策設計のサポート(コンサルティング)に加えて、人事担当者、社員、社員の友人(採用対象)の3者に向けた機能を提供する。

社員への人材紹介依頼機能や、協力した社員の管理機能、そして友人の招待を促すメッセージの作成機能を提供することで、人事、社員の双方に余計な手間がかからないリファラル採用が実現する。利用料は導入企業の社員数やコンサルティング内容によって異なるが月額7万〜10万円程度。正式公開から3ヶ月で、すでに約30社9000人に利用されているという。

screenshot_667同社は今回調達した資金をもとに、開発および営業・サポート体制を強化。リファラル採用の支援だけでなく、より良い組織創りのヒントが得られるプロダクトの開発を目指すとともに、サポート体制を整えることで、企業ごとに最適化したリファラル採用の施策を支援できるようにするとしている。

「Incubate Camp」での優勝が資金調達の契機に

Refcomeの正式公開から3カ月で資金調達を実施したCombinator。その経緯には7月15日、16日に開催されたスタートアップとベンチャーキャピタリストの合宿「Incubate Camp」が大きく関わっている。

「BEENEXTからの投資はIncubate Campが開催される前に決まっていたのですが、ANRI、Draper Nexus Venture Partnersからの投資はIncubate Campでの結果があったからこそ、決まったのではないかなと思っています」(Combinator代表取締役の清水巧氏)

Incubate Campはシードラウンドの資金調達およびサービスリリース済みで、さらなる事業成長を目指して資金調達を希望するスタートアップとVCが一堂に会し、2日間で事業アイデアを磨きあげる合宿イベント。今回参加した17社のスタートアップの中で、Combinatorは最も高い評価を獲得。その結果も相まって、3社のVCから資金を調達することができたという。

3人の投資家と一緒に戦おうと思ったワケ

もちろん、Incubate Campに参加していたVCは数多くいる。様々な選択肢が用意されている中、なぜCombinator代表取締役の清水巧氏はBEENEXT、ANRI、Draper Nexus Venture Partnersの3社から投資を受けることにしたのだろうか?

「BEENEXTは前田ヒロさんがいたからです。前田ヒロさんには、スタートアップに特化した仲間集めプラットフォーム「Combinator」を立ち上げた頃から事業の相談に乗ってもらってたんです。その経験もあって、今回資金調達の相談をしに行ったら、その場で快諾していただけて。前田ヒロさんは起業家と一緒になって事業をつくっていくことに強みを持っている方だと思っているので、僕自身、一緒にRefcomeをつくっていきたいと思っていました」(清水氏)

清水氏自身、Refcomeはプロダクトマーケットフィットの少し前の段階と話しており、”事業・組織づくり”の観点から前田ヒロ氏が所属するBEENEXTを選択した。ANRI、Draper Nexus Venture Partnersを選んだ理由もそれぞれある。

「Draper Nexus Venture PartnersはIncubate Campでメンタリングを担当してくれたこともあるのですが、パートナーの倉林陽さんがSaaSの領域に強く、BtoBサービスのグロースの方法に精通していた方だったので、その方法を教えてもらいたいと思いました。ANRIの佐俣アンリさんはCombinatorの創業時から相談に乗ってもらっていて、僕のことをすごく理解してくれ方だと思っていました。また、すごくビジョナリーで大変なときも背中を押してくれるので一緒に戦っていきたいと思いました」(清水氏)

組織課題も解決できるようなサービスに

実際、3カ月間サービスを走らせることで見えたこともある。それはリファラル採用のハードルを下げられたこと。リファラル採用の導入・運用の簡略化させることで、「リファラル採用って何から始めて良いかわからない」という人事担当者の悩みに答えることはできた。

しかし、一方で「ツールを導入すればリファラル採用が上手くいく」と思っている企業も一定数出てきたという。その原因は、リファラル採用を運用していくための仕組みづくりができていないことにあるので、今後、清水氏はRefcomeを社員満足度や組織課題を可視化できるようにし、より良い組織づくりのヒントが得られるプロダクトにしていくそうだ。

また、企業によって最適なリファラル採用の手法が異なることもわかったため、カスタマーサポートの採用を強化。導入企業のサポート体制を整えることで、企業ごとに最適化したリファラル施策を支援できる基盤を整えていく。

「3カ月間サービスを運用していく中で、リファラル採用の導入ハードルを下げることはできたかなと思っています。ただし導入後、リファラル採用が定着していない企業も多くある。もちろん、リファラル採用の導入・運用の簡略化も継続して行っていきますが、リファラル採用をきちんと運用できるよう、組織づくりもサポートできるサービスにしていきたいと思っています」(清水氏)。Combinatorでは2016年中の導入企業100社を目指す。

人事、社員、その友人を繋ぐリファラル採用ツール「Refcome」——Combinatorが正式公開

左からCombinatorの中森恭平氏、代表取締役の清水巧氏、技術顧問の加瀬正喜氏

左からCombinatorの中森恭平氏、代表取締役の清水巧氏、技術顧問の加瀬正喜氏

Combinatorは7月12日、リファラル採用(紹介採用)支援サービス「Refcome(リフカム)」を正式リリースした。Combinatorでは2015年8月に予約受付を開始し、クローズドベータ版としてサイバーエージェント、コロプラ、GMOメディア、オープンハウスグループのアサカワホームなど20社に限定してサービスを公開していたが、今後は全ての企業が利用できる。またCombinatorでは、2015年1月から12月にかけて、シード系VCとエンジェル起業家1人(いずれも非公開)から約1150万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。

Refcomeは、企業のリファラル採用を支援するサービス。効果的なリファラル採用を行うための施策設計のサポート(コンサルティング)に加えて、人事担当者、社員、社員の友人(採用対象)の3者に向けた機能を提供する。

人事担当者には、社員への人材紹介依頼機能や、協力した社員の管理機能などを提供。実施しているリファラル採用の施策は専用のダッシュボードで一元管理でき、施策の効果測定などが可能だ。また社員には、友人の招待を促すメッセージの作成機能を提供。自動生成されるテキストを使って、FacebookやLINE、メールなどで手軽に友人を招待できる。招待された社員の友人には、「特別な招待ページ」と呼ぶ登録フォームを用意。PCやスマートフォンから必要事項を入力すればすぐに採用のエントリーができる仕組みを提供する。これらの機能により、人事、社員の双方に余計な手間がかからないリファラル採用を実現する。利用料は導入企業の社員数やコンサルティング内容によって異なるが月額7万〜10万円程度。

社員の知人や友人を紹介・推薦してもらう「リファラル採用」は米国では主流な採用手法として認知が進んでおり、最近では日本でも注目が集まっている。まだ属人的ではあるが、企業がリファラル採用に取り組むことも増えてきた。

しかし、採用担当者からすれば課題も残る。これまでのリファラル採用の施策は人事、社員、社員の友人という3者のコミュニケーションコストがかかりすぎてしまう傾向にあったのだ。その結果、社員が友人の紹介に協力的になれずに終わるということも少なくない。Refcomeではそんな課題を解決するため、煩雑な作業を一元管理するとしている。

Refcomeの利用イメージ

Refcomeの利用イメージ

失敗体験がサービスを生んだ

煩雑な社員紹介のプロセスをシンプルにしたRefcome。そのサービス開発には、Combinator代表取締役である清水巧氏の”事業の失敗経験”が大きく関わっている。

MOVIDA JAPAN(当時)からシードマネーを調達し、2014年1月からスタートアップに特化した仲間集めプラットフォーム「Combinator」を展開していた清水氏。だが同年11月、Combinatorは資金難に陥り、事業が立ち行かなくなってしまった。

「自分が起業しようと思ったときに、創業メンバーの仲間集めにすごく苦労したんです。その経験から、創業メンバーのマッチングができるサービスがあれば起業家が増えると思いサービスを立ち上げました。ただ、当時は全く売上を意識できていなくて……」(清水氏)

事業を継続していくのか、撤退するのか——迷った末に清水氏は事業の継続を選択。Combinatorのユーザーを対象にした採用イベントを開催し、売上を立てようとした。

「一度、オフィスなどは全て解散し、地元の石川県に帰って今後のことを考えました。株主の方とも相談しながら考えた結果、自分の失敗は”やりきった失敗”ではないと思ったんです。(起業前に就職していた)Sansanの寺田さん(代表取締役社長の寺田親弘氏)からも『お前はまだまだ骨が細い。きちんと積み上げていくことが大切だ』という言葉をもらい、もう一度挑戦したいと思いました。見栄やプライドは捨て、愚直に採用イベントでマネタイズすることに決めました」(清水氏)

2015年1月から半年間、何度も採用イベントを開催した。石川で企画までを仕込み、イベント直前に深夜バスで東京に向かい、イベントが終わればまた石川に戻る…そんなことを繰り返してなんとかキャッシュも回るようになってきた。そこであらためて、清水氏は本当に挑戦したいことを自問自答した。

「起業家が旗を掲げて仲間が集めるだけでなく、社員全員が仲間集めをできないか。今、勢いのあるスタートアップは社員全員が採用活動をやっている。であれば、その世界をサービスによって実現できないか、と考えたんです」(清水氏)

そんな思いからRefcomeの事前予約ページを公開したところ、1カ月で約150件の事前応募があったという。手応えを感じた清水氏は、そこから営業資料とプロトタイピングツールで作成したサービスのイメージを持ち、応募企業に対して営業をかけていった。企業のニーズを受けてサービスをブラッシュアップしていった結果、サイバーエージェントでの導入が決定。そこから約3ヶ月間、技術顧問の加瀬正喜氏、SanSanの同僚だった中森恭平氏と協力し、急ピッチで開発を進行。なんとか、導入に間に合わせたという。

「Combinator」のトップページ

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導入企業ではすでに採用実績も

サイバーエージェントでは導入から2カ月で150人の応募者の獲得に成功。実数は非公開だが、複数人の採用実績もできた。実は筆者にも、サイバーエージェントの友人から特別選考の連絡(当時はRefcomeだと全く知らなかった)が来ていた記憶がある。友人からダイレクトに連絡が来るというのは企業からの連絡よりも嬉しい気持ちになったし、応募ページの記入は1分ほどですごく簡単だったのが印象的だったこともあり、応募率が上がるのではないかという感想を持った。実際、サイバーエージェント以外の企業でも一定の実績が出はじめているという。

一方で、会社の風土によっては応募者の獲得が難しいケースもあるそう。この点は社員のモチベーション向上施策など、コンサルティングも行っているという。

Combinatorでは2016年中に導入企業100社を目指す。現在の導入企業はIT企業がほとんどだが、今後は代理店とも連携し、アパレルや医療など、リファラル採用の文化がある業界への導入を進めていく。