SpaceXが有人宇宙船「Crew Dragon」の新規製造を終了、今後は製造済み機体の再利用に注力

SpaceX(スペースX)は、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を送迎する宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」の新規製造を終了し、代わりにすでに製造済みの4機を再利用することに注力すると、Reuters(ロイター)が米国時間3月28日に報じた

SpaceXでは、改修用にCrew Dragonのコンポーネントの製造を継続する予定であり、必要があればこの宇宙飛行士カプセルをさらに製造することも可能であると、SpaceXのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)社長は、ロイターに語った。

Crew DragonはSpaceX初の有人宇宙船で、ISSへの物資輸送サービスに使用されているDragon(ドラゴン)貨物カプセルの設計を流用している。Crew Dragonは2020年のデビュー以来、5つのミッションで人間を宇宙に連れて行った。その中には、億万長者のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏が出資した初の民間人のみによる有人飛行ミッション「Inspiration4(インスピレーション4)」も含まれる。

また、Crew Dragonは、NASAがISSとの間で宇宙飛行士を往復させるために使用する唯一の再利用可能な乗り物でもある。SpaceXは2014年に同機関と「Commercial Crew Transportation Capability(CCtCap、商業乗員輸送能力)」契約を締結し、6つのミッションを受注していたが、2022年2月にはNASAがSpaceXにCrew Dragonを使う3つのミッションを追加発注している。SpaceXは合計9回のミッションで総額約35億ドル(約4300億円)を手にすることになる。

現在、ISSへの有人宇宙飛行はSpaceXの独占状態にある。Boeing(ボーイング)もNASAからCCtCap契約を獲得しているが、同社の提案する有人宇宙船「Starliner(スターライナー)」は技術的な遅延に悩まされ、テスト飛行さえ中止されている。

SpaceXは、Crew Dragonの生産を終了する一方で、超重量級の次世代ロケットシステム「Starship(スターシップ)」の開発に引き続き力を注いでいく。SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOはTwitter(ツイッター)で、この新型宇宙船の最初の軌道飛行試験を5月に実施することを目指していると語ったが、同社はその前に米連邦航空局から重要な規制上の承認が得られるのを待っているところだ。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

初の民間人だけの宇宙ミッション成功、Inspiration4の着水はSpaceXにとって始まりにすぎない

いとも簡単に彼らは帰還した。

Inspiration4のクルーが米国時間9月18日夜にフロリダの東海岸に着水し、晴々しく帰還した。ほぼ完全に民間人だけの初の宇宙ミッションとなった。着水から1時間弱してSpaceX(スペースエックス)のGo Searcher回収船がResilienceと命名されたCrew Dragonカプセルを曳航した。その後クルーはヘリコプターでNASA(米航空宇宙局)のケネディ宇宙センターに移送され、そこで標準的なメディカルチェックを受けた。

ミッションの成功はElon Musk(イーロン・マスク)氏、全ミッションを遂行したSpaceX(そして広範にとらえると技術開発の資金を提供したNASA)にとって重要な勝利だ。そしておそらく、はっきりと宇宙旅行時代の幕開けを告げるものだ。

SpaceXの有人宇宙プログラム担当シニアディレクター、Benji Reed(ベンジ・リード)氏は、潜在顧客からのプライベートミッションについての問い合わせが増えている、と報道陣に語った。「年に少なくとも3〜6回ミッションを実施できる」とも述べた。

もちろん、今回のミッション司令官のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は宇宙に行った初の富豪ではない。2021年夏、 Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏とJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏もそれぞれが所有するVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)とBlue Origin(ブルーオリジン)が開発した宇宙船で宇宙飛行を楽しんだ。しかしその宇宙飛行はかなり短いものだった。ベゾス氏と同乗者3人は宇宙に行き、15分もせずに地球に帰還した。必然的に放射線アーチを描く移動だった。

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それとは対照的に、Inspiration4のクルーは最高高度590キロメートルで地球を周回しながら3日間を過ごした。この高度は国際宇宙ステーションよりも高く、宇宙にいる人間の中で最も「外側」にいたことを意味する。ミッションの間、クルーは1日あたり平均15回地球を周った。

軌道にいる間、クルーはいくつかの科学実験を行った。その大半は宇宙旅行が人体に及ぼす影響を理解することを目的とする自身のデータ収集だ。クルーはまた、SpaceXが「キューポラ」と呼ぶ大きなドーム型の窓で宇宙の写真を撮ったりして過ごした。

決済処理会社Shift4 paymentsで財を成したアイザックマン氏以外のクルーは、医師助手で子どもの頃にがんを患って克服したHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏、地球科学者のSian Proctor(シアン・プロクター)氏、ロッキード・マーティンのエンジニアであるChris Sembroski(クリス・センブロスキー)氏だ。クルーの中でアルセノー氏が宇宙に行った最も若い米国人で、かつ義足をつけて宇宙に行った初の人間であり、プロクター氏は宇宙ミッションを行った初の黒人女性だ。

この歴史的なミッションの費用はすべてアイザックマン氏によるものだが、同氏とSpaceXはどちらも費用が合計でいくらだったのかについては口を閉ざしている。このミッションはセント・ジュード研究病院のための2億ドル(約218億円)の募金活動として行われ、ここにアイザックマン氏が1億ドル(約109億円)、マスク氏が5000万ドル(約55億円)を寄付した。さらに募金活動には市民から6020万ドル(約65億円)が寄せられた。

Resilienceが安全に人を宇宙に運び、そして連れ帰ってきたのは今回が2回目だ。2021年5月の最初のミッションCrew-1では宇宙飛行士4人(NASAの3人、日本の宇宙航空研究開発機構の1人)を国際宇宙ステーションへと運び、そして宇宙飛行士を地球に連れて帰った。SpaceXは今後6カ月でいくつかの有人ミッションを実施する予定で、ここにはNASAと欧州宇宙機関の代わりに行う国際宇宙ステーションへのミッション、Axiom Spaceの依頼で行うプライベートAX-1ミッションが含まれる。

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「SpaceXにとても感謝しています。すばらしいフライトでした」とアイザックマン氏はカプセルが帰還した後に述べた。「まだ始まったばかりです」。

着水の一部始終は下の動画で閲覧できる。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Inspiration4の民間人クルー、宇宙へ。スペースXの初となる民間人だけの打ち上げミッション成功

史上初、民間人だけのクルーで宇宙にたどり着いた。

Inspiration4クルーは、米国東部標準時午後8時4分(日本時間9月17日午前10時4分)にフロリダ州のNASAケネディ宇宙センターを離陸し、訓練を受けた宇宙飛行士がゼロという人類史上初の宇宙ミッションをスタートした。

再利用可能なFalcon9ロケットの第1段は、地球に帰還するまでに燃焼を2回行い、打ち上げ後9分半ほどでスペースXの無人機「Just Read the Instructions」に垂直着陸した。Dragonは、米国東部時間午後8時16分(日本時間9月17日午前10時16分)に第2段から分離した。

2段目の分離(画像クレジット:SpaceX

4人の乗組員は、Falcon9ロケットに取り付けられたスペースXのCrew Dragon Capsuleに乗って軌道上で過ごすことになる(このDragonは2回目、Falcon9の第1段は3回目の利用となる)。この高度は、2009年にハッブル望遠鏡の修理を行ったとき以来、人類が到達した最高高度となる。現在のハッブルや国際宇宙ステーションの軌道よりも高いため、宇宙にいるすべての人間の上を飛ぶことになる。

乗組員は、宇宙にいる間に地球を15周する。宇宙空間にいる間、Crew Dragonのノーズコーンに取り付けられた透明な観測ドーム「キューポラ」から宇宙空間を見ることができる。これは、宇宙にある連続した窓としては最大のものだ。Inspiration4は、宇宙飛行が人体に与える影響を解明するための研究をはじめ、さまざまな科学実験を軌道上で行う。また、宇宙飛行が人体に与える影響を知るための研究も含まれている。研究対象となるのは自分自身で、乗組員は飛行前、飛行中、飛行後に自分自身の生物医学的データや生物学的サンプルを収集する。

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現在のところ、億万長者がいなければ民間宇宙飛行は行えない。Inspiration4にもその1人がいる。ミッションの司令官であり、資金提供者でもあるJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は、決済処理会社Shift4 Paymentsで財を成した。残りのクルーである医師助手のHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏、地球科学者で科学教育の博士号を持つSian Proctor(シアン・プロクター)氏、ロッキード・マーティンのエンジニアであるChris Sembroski(クリス・センブロスキー)氏たちは才能豊かで、並外れた勇気を持っていることは明らかだが、普通の人たちだ。

発射台39AでFalcon 99ロケットを見るInspiration4のクルー(画像クレジット:SpaceX

このミッションはセント・ジュード研究病院のための募金活動だ(セント・ジュードの募金キャンペーンに寄せられた約7万2000件の寄付の中からセンブロースキーしは選ばれた)。クルーは総額2億ドル(約220億円)の募金を目指した。アイザックマン氏は1億ドル(約110億円)を寄付し、ミッションは目標を大きく上回り、打ち上げ時には3億ドル(約330億円)近くに達している。

民間人による最近の宇宙飛行と比べてはるかに長いミッションに向けて、乗組員たちは、レプリカのDragon Capsuleで12時間、さらに30時間のフライトシミュレーションを行い、2021年5月にはワシントン州のレーニア山に登るなど、何百時間ものトレーニングを行ってきた。

スペースXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、ケネディ宇宙センターでクルーを見送った。また、スペースXのカスタム宇宙服を着た2台のModel Xで発射塔に向かうなど、スペースXらしいスタイルを貫いた。今回のミッションにおけるNASAの関与は、100万ドル(約1億1000万円)相当のサービスや機材を提供した程度のものだったが、スペースXを現在のような高い地位にまで押し上げる上で、NASAは重要な役割を果たした。スペースXは、2014年にNASAから26億ドル(約2841億円)を獲得し、商用クループログラムのもと、Crew Dragonを開発した。

世界最大かつ最も収益性の高い打ち上げ会社であるスペースXにとって、大きな節目となった。今回の打ち上げは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏やRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏がここ数カ月で行ったものとは大きく異なるものだ。類似点もあるにはあるが、Blue OriginやVirgin Galacticのミッションよりも、クルーはより高く、より長く飛行することになるからだ。しかし、スペースXの有人宇宙飛行担当シニアディレクターであるBenji Reed(ベンジー・リード)氏が先に述べたように、3社とも宇宙飛行を「航空会社のようなモデルに進化させる」という目標を持っている。

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リード氏は「究極的に私たちは、多くの惑星を生命のあるものにしたいと考えています。つまりそれは、何百万人もの人々を宇宙に送り出すことを意味します。長期的なビジョンは、宇宙飛行が航空券を買って行くようなものになることです」という。

2021年も、スペースXはより多くの有人ミッションを実施する予定だ(ただし、全員が民間人のクルーということはない)。2021年末にはFalcon9によるISSへの宇宙飛行士輸送が予定されており、2022年初めには初の商用Axiomミッションが実施され、同じく宇宙ステーションへの輸送が予定されている。「Dragonのマニフェストは、刻々と忙しくなっています」と付け加えた。

すべてが計画どおりに進めば、3日後にはInspiration4のクルーがフロリダ沖のメキシコ湾または大西洋に着水、地球に戻ってくる姿を見ることがでる。天候も重要だ。「打ち上げ時の天候だけでなく、3~4日後の帰還時の天候も考慮しなければなりません」とリードは米国時間9月14日の記者会見で説明した。

クルーが軌道上にいる間は、Inspiration4のメンバーであるセンブロスキー氏(宇宙でウクレレを演奏する予定)が監修したプレイリストを聴くことができる。

画像クレジット:SpaceX

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画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA

4月24日、日本人飛行士の星出彰彦氏ほから4人を乗せたSpaceX Crew Dragonが、再利用された宇宙船として初めての国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功しました。このCrew-2ミッションは、再利用されたFalcon 9ロケットによる初の有人ミッションでもあります。

また、ISSで星出飛行士を迎えた野口聡一らが乗り込んで打ち上げられたときにCrew Dragonに登場したのはNASAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行士でしたが,今回はそれに欧州宇宙機関(ESA)の飛行士も加えた3機関の飛行士が同時にCrew Dragonに搭乗した初のミッションであり、初物づくしのミッションになっています。

なお日米欧の宇宙機関の飛行士が同時にSpaceXの宇宙船でミッションを行うのもこれが初めて。NASAにとっても20年ぶりのことです。さらに言えば、日本の飛行士が2名同時にISSに滞在するのは、2010年の野口飛行士と山崎直子飛行士以来の出来事です。

今回のドッキングでISSに搭乗した4人を加えて、現在ISSには11人の飛行士が滞在していることになります。これもまた、スペースシャトルが現役だったころ以来の人口密度。ただし、Crew-1ミッションでこれまでISSに滞在していた野口飛行士ら4人は、約6か月の滞在を終えて28日に地球へ帰還の途に就く予定。ISSは星出飛行士が船長に就任します。

スペースXが再利用Dragon宇宙船で初めてISSにドッキング、宇宙飛行士11人揃う

NASA TV

再利用宇宙船によるISSへの人員輸送成功は、民間企業による宇宙飛行がさらに一般的になってきたことを示すものです。SpaceXは、2022年1月には民間だけでの宇宙飛行ミッションAX-1を計画しており、さらISSへの人員輸送も、すでに2023年までの予定が組まれているとのことです。

ちなみに、JAXAのリリースによると星出飛行士のISS滞在中の任務としては「次世代水再生システム構築に向けた技術実証、筋萎縮予防に貢献可能なバイオ素材の有効性検証や細胞内の重力感知メカニズムに関する宇宙実験、船内ドローンロボットを使ったプログラミング競技会」などが予定されています。

(Source:NASAJAXASpaceXEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:Crew Dragon(製品・サービス)JAXA(組織)SpaceX / スペースX(企業)NASA(組織)Falcon 9(製品・サービス)

スペースXが再利用Dragon宇宙船での宇宙飛行士の打ち上げに初成功

SpaceX(スペースX)は米国時間4月23日の金曜日朝、Crew Dragon宇宙船の打ち上げと軌道投入を予定通り実施し、またしても有人宇宙飛行を成功させた。Crew DragonはFalcon 9ロケットに搭載され、米フロリダ州ケープカナベラルから東部時間4月23日午前5時49分(日本時間4月23日午後18時49分)に離陸した。搭乗したのはNASAのMegan McArthur(メーガン・マッカーサー)飛行士、Shane Kimbrough(シェーン・キンブロー)飛行士をはじめ、JAXAの星出彰彦、ESAのThomas Pesquet(トーマス・ペスケ)氏ら4名の宇宙飛行士である。

これはスペースXにとって、2020年のCrew-1に続く2回目のNASA向けの正式な宇宙飛行士輸送ミッションだ。Crew-1とは異なりCrew-2では、Crew-1の打ち上げ時に使用された第1段ブースターや、ペースXが初めて有人宇宙飛行を行った際に使用されたCrew Dragonカプセルなど、宇宙船システムのうちの2つの再使用部品が使用された。Crew DragonカプセルはNASA向けの宇宙船認証プログラムの最終デモンストレーションミッションで、Bob Behnken(ボブ・ベンケン飛行士、このミッションのパイロットであるマッカーサー飛行士はベンケン飛行士の妻)とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)飛行士をISSに送り込んだ。同社は再使用部品を使用することは新品部品を使用するよりも間違いなく安全であると指摘しており、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは4月22日の夜に行われたXPRIZEのPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏との会話の中で「工場から出てきた宇宙船の初飛行」には参加したくないと述べている。

Crew Dragonは目標とする軌道に到達し、これから24時間弱かけて国際宇宙ステーション(ISS)とのランデブーを実施する。そして翌日の早朝には、スペースXのもう1機のCrew Dragonが2021年4月初めにISSの別のポートに移動した際に空けられたばかりのドッキングポートに取り付けられる予定だ。

今回の打ち上げにはブースターの回収も含まれており、スペースXのドローン着陸パッドを使って海上に着陸した。このブースターはすでに2組の宇宙飛行士を搭乗させており、改修後にさらに別の宇宙飛行士を乗せることができる。

スペースXとNASAとのCommercial Crewプログラムは、NASAが研究や宇宙開発ミッションのためにより多くの民間企業と提携する動きの中でも、重要な成功例であり続けている。アポロ計画以来初めて月に人間を帰還させるアルテミス計画の有人着陸システムの開発に、NASAはスペースXを起用した。同社の有人宇宙飛行計画にとって次の大きなマイルストーンは、現在秋に予定されている民間人のみで構成されたミッションの初飛行だ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXCrew DragonFalcon 9ロケットNASAJAXA

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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXが「最も宇宙にいると感じられる」展望ドームをDragon宇宙船の先端に設置すると発表

SpaceX(スペースエックス)は、現在9月15日に計画されている歴史的な民間人のみの宇宙飛行に向けて、宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」に変更を加える予定だ。この宇宙船は、国際宇宙ステーションのドッキング機構が透明なドームに置き換えられ、乗員は軌道上から宇宙と地球の壮大なパノラマを眺めることができるようになる。

このガラスドームは、Dragonカプセルの「鼻」の部分、つまり打ち上げ準備中のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットの先端に、このカプセルを直立状態で搭載した時の最上部にあたる部分に設置される。一度に1人の乗員が利用できるスペースが設けられ、宇宙船が安全に地球の大気圏外に出ると保護カバーが開く。帰還時に大気圏に再突入する際には再びカバーが閉じて、展望デッキを保護する。

SpaceXの Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この新装備のレンダリング画像をTwitter(ツイッター)に投稿し「最も『宇宙にいる』ことを感じられるだろう」とツイートした。億万長者のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏が率いる、この「Inspiration4(インスピレーションフォー)」と名づけられた宇宙観光飛行の記者説明会では、国際宇宙ステーションのキューポラから脱出したような景色が楽しめると説明された。

国際宇宙ステーションのキューポラは、欧州宇宙機関(ESA)が製作し、2010年に設置された観測モジュールだ。SpaceXの予想画像によると、ISSのキューポラが支持構造によって区切られた複数のパネルで構成されているのに対し、Dragonのドームは切れ目のない透明な半球状になっているので、Dragonの方が見晴らしが良いということになりそうだ。

国際宇宙ステーションのキューポラ(画像クレジット:NASA)

この改造は、SpaceXが計画している商業宇宙旅行ミッションに適した、より恒久的なDragonの後継機につながる可能性がある。商業旅行ミッションでは、ほとんどの場合、ISSに実際にドッキングすることなく、軌道上を移動することを目的としていると思われるからだ。軌道上の科学ステーションへのクルー輸送が目的でない場合、SpaceXはさらにキャビンに改良を施す可能性もある。

SpaceXは米国時間3月30日、Inspiration4ミッションについて、打ち上げ予定日が9月15日であること、ミッションの飛行期間が3日間であることなど、新たな詳細を明らかにした。また、4名のクルーのうち、残りの2名の搭乗者も同日朝に公表された。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXイーロン・マスク民間宇宙飛行宇宙船Crew Dragon

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

初の完全民間有人宇宙飛行の1座席はSalesforceマーク・ベニオフ氏らの審査委員会が決める

SpaceX(スペース・エックス)による初の完全民間有人宇宙飛行ミッションは、計画どおりに進めば2021年中にCrew Dragon(クルー・ドラゴン)カプセルを使って4人のクルーを軌道へと運ぶ。クルーの1人は審査委員会によって応募した起業家の中から選ばれる。委員会のメンバーは、Salesforce(セールスフォース)CEOのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Fast Company(ファスト・カンパニー)編集長Stephanie Mehta(ステファニー・メータ)氏、ユーチューバーのMark Rober(マーク・ローバー)氏、およびBar Rescue TVのホストJon Taffer(ジョン・タッファー)氏だ。多岐にわたる人々だが、この狂乱ぶりには理由がある。

この席は乗船する4人のうちの1人分だ。1つ目はコンテストとミッションのスポンサーであり、Shift4 Payments(シフト4ペイメンツ)のファウンダーで、このフライトを支援するためにわずかとはいえない金額を費やすことを選んだJared Isaacman(ジャレド・アイザックマン)氏に渡る。2つ目は、先にアイザックマン氏が明かした通り、 セントジュード小児研究病院の従業員で元がん患者のHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏に決まった。

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残る2つの席は、それぞれ別のコンテストによって決定される。1つは現在進行中の慈善募金活動を通じてセントジュード小児研究病院に寄付した米国市民全員に与えられる。もう1つは、審査委員会によって決定され、勝者はShift4のeコマースプラットフォームShift4Shop(シフト4ショップ)に店を持っている応募者の中から選ばれる。

そのとおり。このとてつもなく高額で開拓精神あふれる宇宙ミッションは、アイザックマン氏率いるShopifyライバルのグロースマーケティングキャンペーンでもあるのだ。ただし公正を期すために言っておくと、当選者の店は新しくなくてもよい。既存のShift4ユーザーも応募可能で当選の権利がある。

勝者を決める条件として発表されているのは「創造力と革新性と決断力を有する事業主または起業家」つまり、まあ誰でもよい。私はベニオフ氏、メータ氏、ローバー氏(ユーチューバーであるとともに元NASA JPLのエンジニア)、タッファー氏の面々が、果たして誰を選ぶのか非常に関心がある。

このInspiration4(インスピレーション・フォー)ミッションは現在2021年第4四半期の打ち上げを予定している

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Crew Dragon民間宇宙旅行

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

骨肉腫サバイバーの女性がSpaceXの初の完全民間有人宇宙旅行のクルーに

SpaceX(スペースエックス)は今や人々を宇宙に運ぶ事業を展開している。計画どおりにいけば、乗り込む全員が民間宇宙旅行客という初の宇宙旅行を2021年後半に初めて実施する。そして今、億万長者でShift4Paymentsの創業者Jared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏の旅に加わる人物が明らかになった。St. Jude Children’s Research Hospital(セントジュード小児研究病院)の従業員で元患者のHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏だ。

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同氏はSpaceXのDragonに搭乗する4人のメンバーの1人としてアイザックマン氏によってすでに選ばれていた。打ち上げられれば、このミッションには詳細不明の軌道上を回りながら数日間過ごすフライトが含まれる。アイザックマン氏は2021年初めに宇宙旅行を発表した記者会見で、セントジュード小児研究病院から誰を選んだのか「すでに知っている」としていたが、披露するのは後に取っておくと話していた。

同氏は、自身が命名したフライト「Inspiration4」の数カ月におよぶキャンペーンを展開している。宇宙旅行の残る2席は現在進行中の2つのコンペティションで選ばれた人物に提供される。1人は打ち上げにともなう募金キャンペーンでセントジュード小児研究病院に募金した人の中から選ばれる。残りの1人はShift4が新たに立ち上げたeコマースプラットフォームでオンラインストアを開く起業家から選ばれる。

AP通信が報じたように、アルセノー氏は骨肉腫サバイバーで、医師助手として2020年にセントジュード小児研究病院へと加わった。予定されているフライトで宇宙に行くとなれば、同氏は数多くの「初」記録を打ち立てることになる。その1つが、わずか29歳で宇宙にいく最年少の米国人というものだ。また同氏は10歳のときにセントジュード小児研究病院で骨肉腫の治療を受け、人工膝と大腿骨にロッドを装着していて、人工装具をつけて宇宙に行くというのも初だ。

打ち上げにかかる費用はすべてアイザックマン氏がSpaceXに支払う。このミッションにともなうセントジュード小児研究病院から選ばれた人の納税義務もカバーする。同氏はまた、他のクルーを選ぶために使われる募金活動で集まった費用に加えて、自身の基金からセントジュード小児研究病院に1億ドル(約105億円)を寄付することも約束している。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Crew Dragon民間宇宙旅行

画像クレジット:Inspiration4

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpaceXが初の完全民間有人宇宙飛行を2021年中に実施、Shift4 Paymentsのジャレド・アイザックマン氏ら4人が乗船

SpaceX(スペースX)は、初の完全民間有人宇宙飛行ミッションの計画を発表した。高価な銀河系旅行の打ち上げは、2021年第4四半期の実施を予定している。このミッションには、SpaceXの宇宙船Crew Dragonと打ち上げロケットFalcon 9が使用され、決済プラットフォームShift4 Payments(シフトフォー・ペイメンツ)のCEOであるJared Isaacman(ジャレド・アイザックマン)氏が選ばれた3名のメンバーとともに乗船し、アイザックマン氏と彼の会社およびSt. Jude Children’s Research Hospital(セントジュード小児研究病院)がスポンサーを務める。これも製品の採用を推進する方法の1つだ。

ミッションはInspiration4と呼ばれ、すでにデジタルの世界では大きく注目されており、カウントダウンタイマー付きのウェブサイトもある。4人乗りの座席のうち2つはセントジュード病院に贈られ、その1つは小児病院の前線で働くヘルスケアワーカー(すでに決まっているが、アイザックマン氏が彼女は多様な選択肢の1人であると言った以上は明かされていない)に、もう1つはセントジュードに寄付した人たちによるオンラインコンテストの参加者から選ばれる。最後の1席はShift4のeコマース向けオンラインプラットフォームでビジネスを構築した起業家に渡る。

アイザックマン氏はセントジュード病院に1億ドル(約105億円)を寄付することをInspiration4キャンペーンの一環として約束しているほか、キャンペーンを通じた寄付でさらに1億ドルを集める見込みだ。アイザックマン氏は16歳の時にShift4 Paymentsを開業し、現在、年間2000億ドル(約20兆9800億円)以上の取引が行われているが、同氏は他に民間空軍を創設、指揮していたこともあり、後に大手国際民間軍事企業のBlackstoneに売却した。アイザックマン氏の会社は米国空軍のためにパイロットの訓練を行い、彼自身も商用および軍用飛行機の訓練済みパイロットとして認定されている。

Shift4 Paymnentの創業者でCEOのジャレド・アイザックマン氏。SpaceX初の完全民間有人飛行の最初のメンバーに選ばれた(画像クレジット:SpaceX)

アイザックマン氏は、宇宙船Dragonの指揮官を務める。宇宙船は完全自動で飛行するが、緊急時にはある程度の専門知識を持つ者が船内にいる必要があるので、理に適った選択だ。アイザックマン氏のパイロットとしての経歴と大富豪であることを考え合わせると、この役割の有力候補である。

ミッションの性質上、事前の民間宇宙飛行士訓練があり、軌道メカニズムや無重力操作などの指導も受ける。フロリダ州のケネディ宇宙センターから飛び立ち、地球軌道を複数(約90分間に1回)周回し、宇宙船は複数日間、宇宙に留まる。SpaceX創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、最終的にはジャレド(・アイザックマン)の判断になるが、会社は2~4日間を想定していると語った。その後、地球の大気圏に突入し大西洋に着水してSpaceXクルーに回収される。当ミッションではこのフライトのために現在国際宇宙ステーションにドッキングしているSpaceXのDragonカプセルを使用するつもりで、打ち上げに関するNASAの承認と協力を取り付けてある、とマスク氏は語った。

以前SpaceXは、宇宙船DragonがNASAから有人飛行の認定を受けたあかつきには、民間ミッションを実施したいという意向を明らかにしていた。今私たちは最初の専用民間ミッションの打ち上げが迫っていることを知ったわけだが、それはVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の準軌道宇宙循環機による日帰りツアーをはじめとする他の民間宇宙旅行計画を追い抜くかもしれないということでもある。

フライトはどの軌道を目指すのかを尋ねられたマスク氏は、「強調したいのは、どこへ行きたいかを決めるのは、本人次第だということだ。私たちはそこへ連れていく」とはぐらかし、アイザックマン氏が近日中に決定して発表するとつけ加えた。別の質問で、乗組員はどんな装備を持ち込めるのかと尋ねられると、マスク氏は再び船長に委ね「過ごす時間に安らぎをあたえるものがあれば、ちょっとすてきですね」とアイザックマン氏は語った。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Crew Dragon民間宇宙旅行

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAの有人月探査船ミッションのメンバーに選ばれたアン・マクレーン宇宙飛行士が次世代宇宙船の設計と操縦について語る

NASAは有人月探査プロジェクトであるアルテミス計画に参加する宇宙飛行士を発表した。ISS国際宇宙ステーションで203日間過ごし、船外活動を2回行ったAnne McClain(アン・マクレーン)氏もそのメンバーに選ばれた。宇宙ビジネスは10年前とは様変わりし、宇宙船のテクノロジーは一新されている。マクレーン氏は本人や他の飛行士の宇宙に関するビジョンを語ってくれた。

マクレーン陸軍中佐がISSに搭乗していたのは2018年12月から2019年6月までだ。スペースシャトルの退役後の時代だったため、軌道への打ち上げも降下もロシアのソユーズが利用された。しかしアルテミス計画では、米国製の新しいロケットと宇宙船が使用される。マクレーン氏はCrew Dragon宇宙船を操縦はしていないが、カプセルがISSにドッキングしたときに内部を実際にチェックしている。同氏は次のように述べた。

ソユーズに搭乗できたことはうれしい経験でした。ソユーズは簡素ですが非常に信頼性が高い宇宙船であり、歴史の一部を飛ばしているように感じました。もちろん将来は新しい宇宙船に搭乗できるはずだと知っていました。DM-1(Dragonカプセル)がISSにドッキングしたとき、私はISSにいたので実際に体験する機会がありました。(Drogaonの)船内を遊泳してタッチスクリーンのモニターなどのコントロールをチェックする機会がありました。テクノロジーが民間旅客機の機内なみに進歩したことに驚きました。

Dragonカプセルを軌道上で最初に操縦したのはDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士だった。後に両氏は「(コントロール類が)まるきり違っている」と感想を述べている。実際、Dragonの主要なインターフェースはタッチスクリーンだった。マクレーン氏はソフトウェアがインターフェイスとなるにつれて、命を預けられる信頼性を確保するのが大事業となっていることを次のように強調した。

現在の宇宙船は大部分がソフトウェアでコントロールされており、インターフェイスはタッチスクリーンです。物理的なスイッチはあまりありません。リレーはほとんどソフト化されています。しかし、読者もよく知っていると思いますがソフトウェアの信頼性確保は難しく、非常に複雑なタスクとなります。システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたいと考えています。

システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたい

どんな場合に人間がシステムに介入する必要があり、どんな場合に自動化すべきなのか我々は常に注目しています。また自動化の場合、そのソフトウェアが有人宇宙飛行に十分な信頼性を備えていることをどのように知ることができるかという問題も重要です。ある時点で、「これこれの事態が発生したら人間がシステムに介入する」ということを決めておかねばなりません。ソフトウェアの信頼性テストの結果が出るのを10年間も漫然と待っているわけにはいきません。

マクレーン氏はパイロットとして当然意見を持っており、ハーリー、ベンケン両宇宙飛行士とともに早い段階からSpaceXと協力してきた。マクレーン氏は、宇宙船Orion宇宙船と宇宙船Starlinerが彼女のような専門家から同様の注目を受けたことを指摘している。

ボブ(・ベンケン)、ダグ(・ハーリー)と仕事をすることができて幸運でした。私はCrew Dragon宇宙船コックピットのコントロールについて非常に早い段階からSpaceXにアドバイスしてきました。

SpaceXのCrew Dragon宇宙船の歴史的成功を祝って拳を打ち合わせるボブ・ベンケン氏とダグ・ハーリー氏

会社の名前が宇宙船を作るわけではない。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっている

中でもシステムの柔軟性は最も重要だった。プログラムがわずかでも予期と違う動作をする場合、ツールが柔軟であり、人間の介入に対する制限とならないことが絶対に必要だ。

我々パイロットは 常に柔軟なオプションが欲しいと考えます。何か起きたときは対処のオプションが必要です。我々は地上でできるかぎりあらゆる状況を想定してシナリオを練り上げます。しかし現場では必ず予測されていない事態がおきる可能性があることを常に強く意識しています。そうなったら、オプションが必要です。システムを十分に理解し、設計者が直接想定していないような方法でもシステムを操作できるしたいと考えています。ソフトウェアが人間の選択肢を制限しないことが何より重要です。これが宇宙船のハードとソフトをまったく予想されていなかった方法で使用した(奇跡的に地球生還を果たした)アポロ13号のケースをNASAが重視している理由の1つです。

Jeffrey Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のBlue Originのような新しい宇宙企業と仕事をするのはこれまでと違うのかと私が尋ねたところ、マクレーン氏は「違うのは名前だけです」と答えた。

Blue Originとロッキードによる月着陸船の予想画像(CG)

こうした企業と協力した経験は十分にあります。会社の名前が宇宙船を作るわけではありません。こうした会社にはこれまでに宇宙船を建造した人々が大勢います。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっています。これはまさにNASAが望んだことなのです。これが宇宙事業の核心となる人的資本です。もう1つ自信を持っていえるのは、NASAがこうした新しい宇宙企業と協力する方法です。NASAはテストと設計レビューを徹底的に行います。ですからロケットが発射台に乗ったときにはシステムが徹底的にチェックされていることに私は確信を持てます。

コミュニケーション・テクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込む

つまりマクレーン氏によれば、新しい宇宙船には地上のノウハウと能力がすっかり搭載されており宇宙飛行士とともに宇宙に出るのだという。私は最後に、たとえばビデオチャットのような消費者向けテクノロジーの発達によって、宇宙で長期間過ごすことが楽になったかどうか尋ねた。マクレーン氏によれば答えはイエスだ。

まさにそのとおりです。ビデオチャットがなかったら、我々が陥っているパンデミックははるかに耐えがたいものになっていたでしょう。現在、大切な人と自由に会えずにいます。相手が地上にいても宇宙にいてもつ会えないのは同じです。たとえばビデオチャットで両親の顔を見て会話ができるのは本当にすばらしいこどです。これは士気高めるだけではありません。ミッションは6カ月、いや1年も続くかもしれません。その間コミュニケーションテクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠です。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込むのです。

マクレーン氏は アルテミス有人月面着陸ミッションに参加する18人の宇宙飛行士の1人に選ばれた。他の宇宙飛行士についてはこちらで知ることができる

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画像クレジット:NASA / Bill Ingalls

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXのCrew DragonがISSにドッキング完了、初の運用ミッションへ

SpaceX(スペースX)の宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonは現在、地球周回軌道上の国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングされており、初の運用ミッションの第1段階が成功した。Crew Dragonは2020年初頭に有人でのデモンストレーションフライトを成功させて開発とテストプログラムを完了した後、2020年11月初めにNASAから有人宇宙飛行のための認定を受けていた。

Crew DragonはNASAのMichael Hopkins(マイケル・ホプキンス)飛行士、Victor Glover(ビクター・グローバー)飛行士、Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)飛行士、JAXAの野口聡一宇宙飛行士を含む4人の宇宙飛行士を乗せて、米国時間11月15日の日曜日夕方にフロリダから打ち上げられた。宇宙船は軌道上で1日強を過ごし、ISSに合流するために移動し、ドッキングの準備を実施。ISSの新しい国際ドッキングアダプタに接続するために、スペースXの自動ドッキングソフトウェアを使って自律的に行動し、米国時間11月16日月曜日の夜遅くにドッキングを完了した。

ドッキングとハッチの開放成功は、スペースXとNASAがCommercial Crew programの目標を達成したことを意味する。これは米国から宇宙へ、そしてISSへと宇宙飛行士を打ち上げる効果的な手段を開発することが目的だ。このミッションに参加する宇宙飛行士たちは、Crew Dragonが接続された宇宙ステーションで今後6カ月を過ごし、ミッションの第2フェーズかつ最終フェーズである2021年6月に帰還する予定だ。これにより、このシステムが地球への帰還でも機能することを証明する。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

「マンダロリアン」のベビーヨーダもNASAとSpaceXのDragon宇宙船で国際ステーションへ

NASAは、現在、国際宇宙ステーション(ISS)に向かうCrew-1ミッションに、驚きの5人目の乗客も追加していた。「スター・ウォーズ」のスピンオフ「The Mandalian(マンダロリアン)」の「ザ・チャイルド」(別名:ベビーヨーダ)のぬいぐるみだ。この人形は「ゼロG・インジケーター」と呼ばれるもので、通常は柔らかくて小さな物体で、宇宙船のキャビン内を自由に浮遊させて、地球の重力が大きな影響を与えない宇宙空間に入ったことを簡単に、しかし効果的に確認できる。

Crew-1号の4人の乗員は、NASAのMichael Hopkins(マイケル・ホプキンス)飛行士、Victor Glover(ビクター・グローバー)飛行士、Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)飛行士、そしてJAXAの野口聡一飛行士だ。彼らは、2020年初めにFalcon 9とCrew Dragon宇宙船の有人飛行を認可したSpaceX(スペースX)の協力を得て、今後半年間にわたるNASA初の商業クルーミッションで宇宙飛行士をISSを派遣するために飛行している。

ベビーヨーダは2019年、ディズニーのオリジナルのストリーミングコンテンツ「マンダロリアン」でデビューして視聴者のハートをつかみ、2020年の第2シーズンでも引き続き観客を魅了している。​「スター・ウォーズ」シリーズの初代ヨーダがどんなものであれ、子どもであることから、この名前で呼ばれるようになった。​新シリーズでベビーヨーダは、宇宙船の操縦装置をコントロールをいじったことで、シリーズを通して有名な賞金稼ぎから定期的に怒られている。

ベビーヨーダはすでに人気だが、過去のゼロG・インジケーターも宇宙旅行における注目の的になっている。スペースXの最初の有人宇宙飛行ミッションである、2020年初めに行われたDemo-2のテスト飛行では、「Tremor」と呼ばれるTy Flippableの恐竜が微重力空間を飛行した(collectSPACE記事)。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXとNASAが4人の宇宙飛行士を乗せた初の有人Dragon運用ミッションの打ち上げに成功

SpaceX(スペースエックス)は国際宇宙ステーション(ISS)への人の輸送を行う初の民間企業となったわけだが、これはNASAとのパートナーシップにより長年積み重ねてきた有人宇宙飛行能力の開発努力の結晶だ。米国東部標準時間11月15日午後7時27分(日本時間11月16日午前9時27分)、NASAのShannon Walker(シャノン・ウォーカー)、Victor Glover(ビクター・グローバー)、Michael Hopkins(マイケル・ホプキンス)、そしてJAXAの野口聡一宇宙飛行士は、フロリダ州ケネディー宇宙センターの39−A発射台からISSに向けて飛び立った。

SpaceXの有人打ち上げプログラムは、NASAのCommercial Crew(商業乗員輸送開発)計画の元で開発が進められてきた。そこでNASAは、米国の国土からISSへ宇宙飛行士を送り込む有人打ち上げシステムの構築を行う民間企業2社を選定していた。SpaceXは、2014年にBoeing(ボーイング)とともにNASAに選ばれ、それぞれが打ち上げシステムの開発を開始した。そしてSpaceXのDragon(ドラゴン)カプセルとFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットが、2020年の初めに2人の宇宙飛行士をISSへ送り届けるというDemo-2テストミッションの最終テストに成功し、先にNASAから有人飛行の認可を取得した。

ここへ来るまでに、SpaceXはいくつもの関門を通過しなければならなかった。無人飛行でのISSへの完全自動ドッキングや、地上の打ち上げ台と打ち上げ後のロケットの両方での宇宙飛行士の命を守るための緊急脱出安全システムの実証などがこれに含まれていた。Demo-1ミッションでは、実際の打ち上げ、ドッキング、着陸までのすべてがSpaceXの完全自動のソフトウェアとナビゲーションによって行われたが、必要な場合には人間がバックアップに入り、予定どおりに運行できることを実証する短時間の手動操縦も試された。

現在のところCrew-1(クルーワン)は、フロリダからの完璧な打ち上げの後、順調に飛行を続けている。Crew Dragonを打ち上げたFalcon 9の第1段ブースターは、無事に帰還している。Crew Dragonの有人宇宙船Resilience(リジリエンス)は、打ち上げ10分後に予定どおりFalcon 9の第2段から切り離された。27時間軌道を飛行した後にISSにドッキングすることになっている。ドッキング予定時間は、米国東部標準時間11月16日午後11時前後(日本時間11月17日午後1時ごろ)となっている。ドッキングが完了すると、宇宙飛行士たちは下船してISSに移り、2021年6月まで滞在して、それぞれの任務を遂行する。

Crew-1の乗員、左からNASAのシャノン・ウォーカー、ビクター・グローバー、マイケル・ホプキンス、JAXAの野口聡一宇宙飛行士(画像クレジット:SpaceX)

ミッションの4人の宇宙飛行士のうち3人は宇宙飛行の経験を持つが、パイロットのビクター・グローバー氏はこれが初飛行となる。4人は、現在滞在中のNASAのKate Rubins(ケイト・ルービンス)、Roscosmos(ロスコスモス)のコスモノートSergey Ryzhikov(セルゲイ・リジコフ)、Sergey Kud-Sverchkov(セルゲイ・クドスべルチコフ)氏と合流し、ISSは7人体勢となる(通常は6人体勢だが、1人増えることで、日常の定期メンテナンスに関連する作業は増えるものの、宇宙飛行士が実験を行う際の時間的余裕が生まれるとNASAは話している)。

定期的なNASAの運用ミッションとして宇宙飛行士が宇宙に打ち上げられたのは、2011年にスペースシャトル計画が終了して以来となる。これで米国は、有人宇宙飛行能力を公式に取り戻したわけだ。さらにこれは、今後期待されるSpaceXとDragonによる数多くの宇宙飛行ミッションの最初のものとなる。それは、NASAの計画と、企業顧客が運営する宇宙飛行の両方にわたって展開されることになる。

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(翻訳:金井哲夫)

​スペースXのFalcon 9ロケットとDragon宇宙船がNASAから有人宇宙飛行の認可受ける

SpaceX(スペースX)とNASAは、初の商用宇宙飛行士輸送システムとして開発されたFalcon 9とDragon宇宙船の複数年にわたる認証プログラムを完了した。認証プロセスの最終段階は同社が2020年初めに打ち上げた、NASAのBob Behnken(ボブ・ベンケン)宇宙飛行士とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士を2020年5月30日に国際宇宙ステーションに輸送したDemo-2ミッションであり、この結果によりミッションに必要なすべてのレビューが完了したことになる。

​NASAは公式ブログにてこのマイルストーンを発表し、Falcon 9とDragonの初めての公式なISS搭乗員ミッションに備えたFlight Readiness Reviewが含まれていることを明らかにした。Falcon 9とDragonは米国時間11月14日土曜日(天候がよければ)に予定されている。​NASAから3人、日本の宇宙機関(JAXA)から1人の宇宙飛行士を含む合計4人の宇宙飛行士がISSに移動し運ばれ、設備を維持しながら実験を行う正式な長期滞在が行われる。

これはマルチミッション認証プロセスの最終段階であり、完全自動化された無人でのISSドッキングミッションや、打ち上げ後に予期せぬ事故が発生しても軌道到達前にロケットの安全システムが機能するかを実証するための発射台中断テストなどが含まれる。​またスペースXは、宇宙ステーションから地球に帰還したDragonのクルーカプセルの降下を制御するための新しいパラシュートシステムを開発し、広範囲でテストした。

NASAによると、スペースXとの「試験飛行データの詳細な分析」は、ベンケン飛行士とハーリー飛行士を宇宙ステーションから地球に帰還させたDemo-2ミッションの後に行われたという。

関連記事:NASAとSpaceXがCrew Dragonの初運用打ち上げを11月14日に予定、野口聡一宇宙飛行士も搭乗

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タグ:SpaceXNASAFalcon 9Crew Dragon

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAとSpaceXがCrew Dragonの初運用打ち上げを11月14日に予定、野口聡一宇宙飛行士も搭乗

国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を正式に輸送し、標準的なクルーローテーションを実施する最初のミッションは、現在、暫定的に米国時間11月14日に設定されている。NASAは当初の10月中の予定を変更した後、今週、ミッションの更新日を発表した。2020年に行われた歴史的なDemo-2ミッションが正式にテスト段階を終了し、NASAでの使用が認められた後、SpaceX(スペースX)の乗員用カプセルであるCrew DragonがISSでの 「シフトチェンジ」 ミッションのために飛行するはこれが初めてである。

今回の打ち上げではNASAのShannon Walker(シャノン・ウォーカー)、Victor Glover(ビクター・グローバー)、Mike Hopkins(マイク・ホプキンス)宇宙飛行士の3人と、JAXAの野口聡一宇宙飛行士がISSに到着し、クルーとともにISSのメンテナンスやアップグレードなどの定常運用を行うほか、地球上の研究者と共同で実験を行う。

彼らはロシアのSergey Ryzhikov(セルゲイ・リジコフ)、 Sergey Kud-Sverchkov(セルゲイ・クドスベルチコフ)宇宙飛行士、NASAのKate Rubins(ケイト・ルービンズ)宇宙飛行士など、現在ISSに滞在している乗組員に加わる予定だ。ISSに到着すると、クルーは通常の6人から7人になるが、これにより宇宙ステーションの円滑な運用を継続しつつ、通常の任務よりも研究や実験に多くの時間を費やすことができる。

Crew-1はケープカナベラルからFalcon 9ロケットで打ち上げられる予定で、東部標準時午後7時49分を予定している。もちろんこれは変更される可能性があるが、現時点ではこのスケジュールで予定されている。

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タグ:NASASpaceXCrew DragonFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAとSpaceXは公式有人宇宙飛行の初号機打ち上げを10月23日に定める

NASAとSpaceXは、SpaceXのCrew Dragon(クルー・ドラゴン)宇宙船を使った公式としては初の有人ミッションである「Crew-1」の具体的な日程を設定した。Crew-1は、Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏、Victor Glover(ビクター・グローバー)氏、Mike Hopkins(マイク・ホプキンス)氏、野口聡一氏の4人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ。これは、NASAによるCrew Dragon宇宙船の開発・試験プログラムが認証されたあとに、最初の定期的なミッションとなる。

Crew Dragonの最終テストは、5月30日にBob Behnken(ボブ・ベーケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏の二人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられたミッション「Demo-2」だった。両氏は今月初めに地球への帰還に成功してそのミッションを完了したが, 技術的にはまだCrew DragonとSpaceXのFalcon 9ロケットのための認証プロセスの一部だった。今回は正式に有人宇宙飛行の認定を受け、Crew-1から始まる通常ミッションの運用が始まるわけだ。

NASAは、9月下旬の時間枠を議論していたが、結局のところ10月下旬に目標を定めることになった。10月下旬には、ロシアからISSへ向かうソユーズ宇宙船の接近と、現在ISSに滞在しているクルーのローテーション終了による帰還が許可されるという。なお、Crew DragonとDemo-2ミッションのデータと認定基準の完全なレビューはまだ実際されていない。実際にはかなり計画どおりに氏進んだと思われるが、本当にそうであったことを確認するために、NASAとSpaceXのスタッフによって子細にチェックされる。

このデータのレビューがうまく進んで10月にCrew-1が飛ぶなら、Crew-2は来春に打ち上げられ、さらに4人の宇宙飛行士がCrew-1の宇宙飛​​行士とともに、鼈の科学と宇宙ステーションの運用のプロジェクトに備えることが可能になる。

画像クレジット:NASA

[<a target="_blank" href="https://techcrunch.com/2020/08/14/nasa-and-spacex-target-october-23-for-first-operational-astronaut-launch/“>原文へ]

(翻訳:TechCrunch Japan)

Crew Dragonテスト成功でSpaceXはNASA初の有人民間宇宙飛行事業者へ


既報のとおり、SpaceXとNASAは極めて重要なミッション「Demo-2」を成功させて、宇宙飛行の新たな歴史を作った。SpaceXのCrew Dragon宇宙船は初の有人飛行を無事完了したのだ。NASAの2名の宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は5月30日に軌道上国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、約2か月間実験などに従事したのち無事に地球に帰還した。

Crew Dragonは当初の計画どおりに全任務を進めることができたようだ。打ち上げ、ISSへのドッキング、逆噴射による衛星軌道離脱、完全自動操縦により着水という重要なステップを予定どおり実施し、何より重要なことだが、すべての段階で2名の宇宙飛行士の安全を確保できた。

今回のミッションの最終段階はベンケンとハーリーの両飛行士を乗せたCrew Dragonをメキシコ湾にパラシュートで着水させ、ゴーナビゲーターと呼ばれるSpaceXの回収船に引き上げることだった。このプロセスは米国東部時間午後3時18分(日本時間8月3日午前5時18分)にスムーズに完了した。その後、午後4時ごろにカプセルのハッチが開かれ、4時6分に両宇宙飛行士が姿を現した。

周辺には多数の民間船が見物のために集まっていた。これは航行禁止区域の違反でセキュリティー上の問題なのだが、SpaceXは制止線を作って作業を続行した。ともあれこの状況では他に方法はなかっただろう。

今回の飛行が成功したことで、Crew DragoとFalcon 9ロケットをNASAの正規の基準により商用有人宇宙飛行システムとして認証する準備がすべて整った。ただし最終的な認証決定までには今回の飛行に関する情報をすべて詳細に審査し、解決を要する何らかの問題が残っていないかチェックする必要がある。我々が中継で見た限り、Demo-2は終始絵に描いたように順調に作業が進んだように思われるので、NASAの認証を得るための困難は大きくないだろう。もうひとつ記憶すべき点は、これが45年ぶりの有人着水だったことだ。前回の着水は1974年のSkylabの最後のクルー(NASAプレスリリース)だった。

Crew Dragonが進むべき次のステップは宇宙ステーションへの往還における米国の主要手段となることだ。次回からは本番任務となり、Crew-1と呼ばれる。スケジュールとしては9月中が予定されており、NASAの宇宙飛行士と日本の宇宙開発機関であるJAXAの星出彰彦宇宙飛行士がISSへ向かう(JAXAプレスリリース)。

これによってNASAは2011年のスペースシャトルの退役以後失っていた自国(および友好国)の宇宙飛行士を自力で宇宙ステーションに往復させる能力を取り戻す。ただしこれは商用クループログラム(Commercial Crew program)とう名前が示すとおり、スペースシャトルの際のようにNASAが打ち上げから機体運用まですべて単独で実施するものではなく、あくまで民間企業との協力によって行われる。全ミッションを完了したのはSpaceXが最初となったが、ボーイングもNASA向け商用宇宙飛行の実施の2社目となるべく準備を進めている。

NASAは将来にわたってISSへのアクセスを確保したい意向だ、また宇宙産業育成の資金とするためにできるかぎりコストを節約したいのでCrew DragonもボーイングのStarlinerも有料の乗客のための席を確保している。SpaceXはすでにCrew Dragonによる宇宙往復(ISSには滞在しない)旅行のチケットの予約を取り始めている。Dragonカプセルは最大7名の収容能力がある。NASAはこのうち4席のみを予約している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXの有人宇宙船Crew Dragonがメキシコ湾に着水し船上回収成功

SpaceXと NASAはこれまでで最大の共同ミッションを遂行中だ。Crew Dragon Demo-2による有人宇宙飛行を完了する準備を整えている。Crew Dragonは、一般人の宇宙飛行を可能にするよう設計された宇宙船だ。今回のミッションはCrew Dragonが商用宇宙飛行に適格であると認定するもので、SpaceXとNASAの協力の成果の集大成となる。

NASAの2名の宇宙飛行士は数時間にわたって高度を下げ、フロリダ半島東側、アラバマ州ペンサコラ沖に着水する。

Behnken(ベンケン)氏、Hurley(ハーリー)氏の両宇宙飛行士は米国東部時間8月1日午後7時30分(日本時間8月1日午後9時30分)にすでに国際宇宙ステーション(ISS)を離脱しており、以後の飛行はCrew Dragonのシステムが自動操縦となる。SpaceXは、Crew Dragonの打ち上げと帰還飛行を完全に自動化するようデザインされているのだ。前回の無人無人宇宙飛行ではこれに成功している。

Demo-2ミッションは ベンケン氏とハーリー氏をメキシコ湾のペンサコラ沖に米国東部標準時8月2日午後2時48分(日本時間8月3日午前43時48分)着水させること完了する。ここにはSpaceXの回収チームが待ち受け、回収船に収容する。Crew Dragonは 5月30日にEndeavourの飛行を成功させているが、今回は宇宙飛行の歴史上最初の商用宇宙飛行の成功となる。

Dragonカプセルは大気圏を降下し、まず小型のパラシュートを使って姿勢を安定させ、さらにメインパラシュートを展開して時速24km程度に減速する。ISSを離脱してから着水までに非常に長い時間が必要な理由は、ISSをスタートしたきは時速2万8000km程度で飛行しており、非常に大きな減速の必要があるためだ。

NASAとSpaceXは回収の模様をペンサコラ沖とカリフォルニア州ホーソーンのミッションコントロールの双方からライブで中継している。新しい情報が確認でき次第、記事をアップデートする。

【Japan編集部追記】ペンサコラ沖の洋上回収に成功。両宇宙飛行士に異常はなく、カプセルは回収船のU型クレーンによって船上引き上げられハッチが開かれるのを待っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceX Crew Dragonが国際宇宙ステーションから無事離脱、地球への帰還の途に就く

NASAの宇宙飛行士であるBob Behnken(ボブ・ベーンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は、地球への帰還の最初の重要なミッションとなる国際宇宙ステーション(ISS)からのドッキング解除に成功した。このあと彼らは、宇宙から大気圏を通って地球に戻ってくるコースを下降し、SpaceXCrew Dragon(クルー・ドラゴン)宇宙船のパラシュートを広げ、機体回収のために大西洋に落下する準備をしながら速度を落として進むことになる。

ドッキング解除と沿岸作業およびスプラッシュダウン(宇宙船をパラシュートで水域に着陸させる方法)の作業は、SpaceXCrew Dragonのために設計したシステムを利用してすべて自動制御される。これにはISSから離脱したカプセルの移動と大気圏へ突入する際の噴射も含む。大気圏に再突入する間、Crew Dragonはとてつもないストレスを受けるため、二人の宇宙飛行士の安全を確保しながら降下角度を調整しつつ、パラシュートを安全に展開できる地点までコントロールするのだ。

機体回収作業には何時間もかかる。SpaceXとNASAは、米国東部標準時(EDT)の8月2日午後2時42分(日本時間8月3日午前3時42分)ごろに、カプセルは最終的なスプラッシュダウンになると予想している。

今回は、NASAとの商用クループログラムにおけるSpaceXのDemo-2ミッションの最終段階。NASAが宇宙飛行士を宇宙ステーションと地球を往復させる通常運用ミッションのためにCrew Dragonを認証するために必要なプログラムだ。ベーンケン氏とハーリー氏は、5月30日にSpaceXが製造した民間宇宙船に搭乗した初の宇宙飛行士で、歴史的なミッションの第1部で打ち上げに成功し、それから数カ月間は宇宙ステーションで通常のクルーミッションに従事してきた。

Crew Dragonは、Demo-2を終了するためにフロリダ沖に着水する。SpaceXの地上クルーは、その時点で宇宙飛行士を回収したあと陸地を目指す。すべてが計画どおりに進めば、前述したようにSpaceXは正式に宇宙飛行士の定期飛行を開始する準備が整う。

今後の動きについては最新情報が入り次第、記事をアップデートする。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXとNASAはCrew Dragonの初の業務運用を9月に設定

SpaceX(スペースX)とNASAは今週、SpaceXの有人宇宙船Crew Dragon(クルー・ドラゴン)の最初の公式運用ミッションを9月中に実施するとNASAのメディア向け最新情報で伝えた。この打ち上げは、当初は8月に設定されていたのだが、「9月後半」に予定が変更された。Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏と Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏が参加しているCrew DragonのDemo-2(デモツー)有人ミッションは、早ければ8月1日に両宇宙飛行士がSpaceXのこの宇宙船で地球に帰還・完了することになっているが、それを見届ける時間の猶予が必要なためだ。

Demo-2ミッションは、実際に国際宇宙ステーション(ISS)に人を送り込むことに成功したが、これはあくまで最終試験であり、Crew DragonとFalcon 9に人を乗せて評価を行う開発工程の最終段階に過ぎない。今後、この宇宙船とロケットは、宇宙飛行士の定期的な輸送サービスが可能かどうか、NASAの目によって審判される。これに対してCrew-1は最初の運用ミッションだ。つまり、定期的に宇宙飛行士を運ぶというSpaceXの契約に記されたひとつの基準を、初めて満たすものと考えられる。

Crew-1は、Michael Hopkins(マイケル・ホプキンス)氏、Victor Glover(ビクター・グローバー)氏、 Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏の3人のNASAの宇宙飛行士と、JAXAの野口聡一氏をISSまで運ぶ。フロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられ、宇宙飛行士たちはそこで通常の任務期間を過ごす。この国際チームは、NASAとパートナーに依頼された数々の実験や研究を、力を合わせてこなすことになっている。

もちろん、Crew-1が9月に打ち上げられるためには、いくつかの条件がある。そのひとつが、ハーリー氏とベンケン氏がISSから無事に帰還することだ。SpaceXの証明プロセスを完了するためには、この部分がスムーズに進行しなければならない。その後、NASAによる検証が行われるのだが、それには少々時間がかかる。

ベンケン氏とハーリー氏は、ISSにドッキング中、「居住性評価」と呼ばれるもうひとつの重要なテストを完了させたところだ。ドッキングハッチの開閉、廃棄物システムが予定どおり操作できるか、ISSから荷物をCrew Dragonにうまく運び込めるか、などが試された。NASAの認証を得るためには、NASAが要求する膨大な数の試験項目のすべてに合格マークが付かなければならないのだ。
画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)