収益化ツールを統合したクリエイター向けCRMのPicoが7.1億円調達

ニューヨークのPicoは、オンラインのクリエイターやメディア企業がお金を稼げて顧客データを管理できるようにする。米国時間4月14日、同社はそのプラットフォームのアップグレードと、新たに650万ドル(約7億1000万円)を調達したことを発表した

共同創業者でCEOのNick Chen(ニック・チェン)氏は声明文の中で、Picoはクリエイターたちの2つの大きな問題、「どうすればもっと簡単にお金を稼ぐことができるか、どうすればオーディエンスをもっとよく知ることができるか」という問題を解決する手助けをすると同時に、彼らの最も重要な資産である「ブランドとオーディエンスとの関係」をコントロールできると述べている。

同社はランディングページ、メールアドレスを収集するためのポップアップ、有料ニュースレター、定期購読のペイウォール、階層型メンバーシッププログラム、定期的および1回限りの寄付、動画収益ツールなど、さまざまなツールを提供している。バージョン2.0では、これらすべての機能を統一されたデータ構造に統合し、ユーザーが「誰がどのコンテンツにお金を払っているのか、どこから来たのか」を1つのダッシュボードで確認できるようになったと同社は述べている。

共同創業者で社長のJason Bade(ジェイソン・ベード)氏(上の写真はチェン氏といっしょに写っているはメールで、最も重要なアップグレードは「私たちのCRMの力でクリエイターたちが、彼らのオーディエンスを理解できるようにすること」だと述べ、「Picoをクリエーター経済のオペレーティングシステムにすること」を示唆した。

画像クレジット:Pico

さらにベード氏は「クリエーターは適切なツールなしにビジネスを拡大することはできません。電子メールのキャプチャーは、オーディエンス開発の最初のステップです。その次は何でしょうか。それはデータとそれを処理するCRMが必要です。バージョン2.0は、Picoのすべての部分をアップグレードして、クリエーターエコノミーが求めるスケーラビリティと拡張性に合わせて再構築しました」という。

Picoはまた、プラットフォームのさまざまな部分との統合をサポートするAPIを近々公開する予定だと述べた。

The Colorado Sun、Defector Media、The Generalistなどの顧客により、同社の顧客数はこの1年間で5倍近く増加したようだ。そして最近、同社はYouTubeでパートナーセールス部門のグローバル責任者をはじめ、さまざまな役職を務めたRodolpheKödderitzsch(ロドルフ・ケドレツシュ)氏を最高収益責任者(chief revenue officer、CRO)に招いた。

今回の投資をリードしたのはBullpen CapitalのAnn Lai(アン・ライ)氏で、Picoの総調達額はこれで1000万ドル(約10億9000万円)になった。その他の投資家にはPrecursor VenturesやStripe、BloombergBeta、そしてVillage Globalなどがいる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:PicoCRMクリエイター資金調達

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

SalesforceがZoom会議時にセールス情報をオーバーレイ表示する機能を追加

パンデミックは明らかに私たちの仕事のやり方に影響を与え、特に営業への影響は大きかった。Salesforceは米国時間3月24日朝、Sales Cloudにいくつかのアップデートを行った。その中の1つSalesforce Meetingsは、Zoomでのミーティング用スマートオーバレイで、オンラインミーティングで見込み客と対話しているときの営業チームに情報やアドバイスを提供する。

Salesforceの執行副社長でCRMのゼネラルマネージャーであるBill Patterson(ビル・パターソン)氏によると、同社は営業チームがこのようなタイプの対話を効果的に管理し、デジタルの利点を生かせるようにしたいと、かねてから考えていたという。

「Salesforceだけでなく、現在、すべての営業組織が、営業という仕事が完全に変わってしまったという認識を持っている。すべての人が理解し、おそらく意外だと感じているのは、時間を限定されず、場所も特定しない営業のやり方が極めて有効であることだ」とパターソン氏は語る。

Salesforce Meetingsはそのためのオーバレイ情報を提供する。もっとゆっくり話した方が良いといったアドバイスを提供したり、ミーティングで決まった行動計画をToDoリストにまとめて会の終わりに出席者に配布し、その後のやり忘れがないようにしたりする。

Salesforce Meetingsはその実現のために、Salesforce全体に浸透しているインテリジェンスレイヤーであるEinsteinを利用している。特に利用しているのが、Einstein Conversation Insightsと呼ばれる新しいツールだ。デベロッパーのための機能としても提供されているもので、デベロッパーはこのツールを使って独自のソリューションを作ることもできる。

営業担当者がこのツールをお節介すぎると感じたら、各個人が情報の信頼水準を調整し表示する情報の両をコントロールすることもできる。

関連記事:SalesforceがSlackを約2.9兆円で買収、買収前の企業評価額は2.6兆円強だった

パターソン氏によると、同社は現在のところZoomと協力しており、Zoomの開発チームと密接に協力して、実現するために必要なAPIとSDKを提供しているという。将来的にはWebExやMicrosoft Teamsと互換性を持たせる計画もあるという。

このアイデアはパンデミックの前から存在し、開発も進めていたが、新型コロナウイルスには人の仕事を急がせる効果があり、この機能だけでなく、本日発表されたPipeline Inspectionなどその他の機能も急ピッチで開発が進められている。それは、AIを利用して営業のパイプラインを分析する機能だ。取引の時間軸上の変化を調べて、商談前進のために指導や管理者のサポートが必要だった部分を見つける。

CRM Essentialsの創業者で主席アナリストのBrent Leary(ブレント・リアリー)氏によると、オンラインのミーティングでそんな情報を特定できるようになれば、CRMに関する考え方が変わるだろうという。

「私が関心を持ったのは、ビデオミーティングとコラボレーションの密接な統合が、今や営業で利用されていることだ。ミーティングにおける対話はCRMシステムに入ってこないから、それが自動的に捕捉できるのはすごいことだ」とリアリー氏はいう。

Salesforce Meetingsは米国時間3月24日から利用可能になり、Pipeline Inspectionは夏にリリースされる。

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画像クレジット:Salesforce

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンも利用する定性的ユーザー調査のためのCRM「User Interviews」がシリーズAで10.9億円調達

Entrepreneurs Roundtable Acceleratorに支援され、製品研究チームがユーザーフィードバックを得るためのCRMを構築しているUser Interviews(ユーザーインタビューズ)が、1000万ドル(約10億9000万円)のシリーズAラウンドをクローズした。今回の資金調達はTeamworthy Venturesが主導し、Las Olas、Accomplice、FJ Labs、ERA、Trestle Partners、そしてValueStreamが参加した。

Basel Fakhoury(バーゼル・ファクホーリー)氏が共同で設立したこの会社は、ある意味では失敗から生まれた。元々User Interviewsのチームは、ホテル向けのアメニティ物流プラットフォーム「Mobile Suites」というプロジェクトからスタートしている。これは不発に終わり、Basel Fakhoury(バーゼル・ファクホーリー)氏、Dennis Meng(デニス・メン)氏、そしてBob Saris(ボブ・サリス)氏からなる3人のチームは、次の製品を決める前にもっとユーザーリサーチを行うことにした。

そのリサーチを集めようとしたとき、彼らは大きな問題にぶつかった。企業がユーザー調査を行うには、数週間どころか数カ月かかることが多いのだ。そこで同社は、調査対象者を迅速かつ効率的に調達するためのプラットフォームを構築することにした。このプラットフォームでは、アルゴリズムを使用して適格で熱心な参加者とクライアントを組み合わせる。

この製品は「Recruit」となり、アラカルトモデルで運営されることになった。Recruitを補完するために、チームはリサーチチームがパネルを管理するためのCRMおよびリクルートツールである「Research Hub」も立ち上げた。誤解のないようにいうと、User InterviewsはアンケートやABテストを自ら実施するのではなく、参加者の管理や調査のためのロジスティックスをサポートしている。

画像クレジット:User Interviews

最近User Interviewsはサブスクリプション層を追加し、企業がソフトウェアへのアクセスを使用量ベースではなく、年次ベースで購入できるようにした。ファクホーリー氏によると、この2つのモデルにより、企業は完全にコミットする前にプラットフォームを試すことができるとのこと。

User Interviewsによると同社は年間140%の成長を遂げており、パンデミックの際にはそれが加速したという。顧客リストにはAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Colgate(コルゲート)、Spotify(スポティファイ)などが名を連ねている。

User Interviewsは今回の資金調達により、製品部門の人員を増やすとともに、ユーザーテストソフトウェアや顧客データ管理システムとの統合を進めていく予定だ。

現在のチームは約50名で、完全なリモートワークを行っており、従業員の約半数が女性だという。

ファクホーリー氏によると、同社にとって最大のチャレンジは、同時に2つのことを実行できるようにすることだという。

「当社はRecruitでこのレガシーな業界を破壊することと、Research Hubでカテゴリーを創造することを同時に行っています」と同氏は語る。「これらはやや異なる戦略とミッションであり、その両方を並行して行えるようにすることが、我々にとっての大きな課題です」。

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タグ:User InterviewsCRM資金調達

画像クレジット:User Interviews

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(文:Jordan Crook、翻訳:Aya Nakazato)

カスタマー・エクスペリエンス・スタートアップのSprinklrがSECにS-1を非公開申請

ニューヨークに拠点を置くカスタマーエクスペリエンスのスタートアップSprinklrは米国時間3月15日、IPO(株式公開)の可能性に先駆けて内容非公開のS-1を申請したと発表した。

「Sprinklr社は、本日、米国証券取引委員会(SEC)に対し、同社の普通株式の新規公開に関連して、Form S-1による登録届出書の草案を非公開にて申請したことを発表しました」と同社は声明で述べている。

具体的な株式数と価格帯については、SECから株式公開の承認を得た後で決定するとしている。

Sprinklrは2020年、27億ドル(約2900億円)の評価額で2億ドル(約218億4000万円)を調達した。これは同社にとって4年ぶりの資金調達だった。当時、創業者兼CEOのRagy Thomas(レイジー・トーマス)氏は、2020年には4億ドル(約436億7000万円円)のARR(年間経常収益)を見込んでいると予測していたが、これは上場企業として出発するには十分な数字だ。

関連記事:顧客体験管理のSprinklrが4年ぶりに資金調達、評価額2869億円で212億円調達

トーマス氏はまた、Sprinklrの次の資金調達はIPOになるだろうとも語っており、その言葉どおりの結果となっている。2億ドルの資金調達の際に同氏は「私はこの事業の道筋を公表してきましたが、次の資金調達のマイルストーンはIPOになります。新型コロナウイルスのパンデミック時は1年ほど先の話でしたが、タイミングが早まったようです」と語っている。

SprinklrはカスタマーエクスペリエンスマネジメントをCRMが自然な延長線上にあるものと考えており、その巨大な市場は1000億ドル(約10兆9187億円)の価値を持つ可能性があるとトーマス氏は述べている。しかし同氏は、Salesforce(セールスフォース)やAdobe(アドビ)といった大規模な競合企業との戦いであることも認めており、それは2020年の資金調達の理由にもなっている。

Sprinklrは2009年にソーシャルメディアのリスニングに焦点を当てて設立されたが、2017年にソーシャル分野の事業にマーケティング、広告、リサーチ、カスタマー、eコマースを加えたことで、カスタマーエクスペリエンスへの取り組みを強化すると発表した。

Crunchbaseのデータによると、Sprinklrはこれまでに5億8500万ドル(約638億7000万円)を調達しており、ベースプラットフォームに機能を追加しながら途中で11社を買収するなど、買収意欲も非常に意欲的だ。

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画像クレジット:Bloomberg/ Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:塚本直樹 / Twitter

マイクロソフトがビジネススイートのDynamics 365とコラボツールTeamsを緊密に統合

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束せず、従業員がバラバラになって在宅勤務をするための条件がわかってくる中で、ユーザーはツールをもっと統合してタスクの完了に必要なクリックを減らしたいと望んでいるだろう。米国時間3月2日のIgniteカンファレンスMicrosoft(マイクロソフト)は、こうした問題を解決するために同社ビジネススイートのDynamics 365とコラボレーションツールのTeamsを緊密に統合すると発表した。

Microsoftのビジネスアプリケーション&グローバルインダストリー担当コーポレートバイスプレジデントであるAlysa Taylor(アリサ・テイラー)氏は、ネイティブに統合するこのアプローチの利点の1つは異なるアプリケーション間でのコンテクストの切り替えが減ることだと指摘した。同氏は「我々はコラボレーションプラットフォームとビジネスプロセスのレイヤーを1つにまとめ、営業職やサービス担当者、オペレーションマネージャー(と類似の職種)がコラボレーションと日常業務の両方の機能を備えた一元化されたプラットフォームを使えるようにコミットしています」と説明した。

その効果はマーケティング、セールス、サービスにさまざまなかたちで現れるだろう。例えばマーケッターはDynamics 365 Marketingツールでウェビナーを設定して管理し、Dynamics 365のコンソールに直接統合されたTeamsストリーミングセットアップを利用して、Teamsでストリーミングイベントを実施できる。

テイラー氏は営業を例に挙げ「販売担当者がLinkedIn Sales Navigatorを使って顧客の人事異動を追跡し、Dynamics 365 Salesを離れることなくMicrosoft Teams内で特定の販売記録を関連づけられます。このため、Salesアプリケーション内で顧客やTeamsで発生した顧客に関する変更事項をしっかりと把握でき、Salesは自動で更新されます」と話す。

Microsoft製以外にもさまざまなツールをワークフローに組み込んで使いたい企業の場合に関してテイラー氏は、Microsoftのクロスクラウドコネクタを使って別のサービスと接続でき、どのようなタスクかは問わないと説明する(コネクタが目的のアプリケーションに対応できればの話だが)。

ビジネスソフトウェア分野におけるMicrosoftの大きなライバルであるSalesforceは2020年末にSlackを270億ドル(約2兆9000億円)以上で買収し、Microsoftと同様の統合機能をSalesforceプラットフォームに導入した。テイラー氏は、この買収をMicrosoftがすでに構築を始め現在も継続している統合への対抗策と見ている。

関連記事:SalesforceがSlackを約2.9兆円で買収、買収前の企業評価額は2.6兆円強だった

同氏は筆者に対し「SalesforceはSlackを買収して(我々と同様の)コラボレーションを実現する必要があったと考えています。Salesforceは我々のようなネイティブの統合にはならないため、我々はSalesforceが提供しようとしていることより何年も先行しています。そのため私は、Salesforceの買収は我々がDynamics 365とTeamsでしようとしていることへの対抗策と見ています」と語った。

CRM分野の市場シェアではSalesforceがMicrosoftを上回っていることは指摘しておいた方がいいだろう。2019年のGartnerの調査によると、Salesforceが19%を超えているのに対しMicrosoftは3%に満たない。この調査以降に数字が多少は動いているかもしれないが、おそらく大きくは変わっていないだろう。

Microsoft Ignite 2021

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画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Facebookが過去最大1000億円でKustomerを買収、カスタマーサービス事業の強化を目指す

米国時間12月7日、Facebook(フェイスブック)は、ビジネス向けサービス構築のためとして過去最大の買収を行った。新たにフェイスブックの傘下に入ったKustomer(Facebookリリース)は、カスタマーサービスに根本的な変化をもたらすことを目指すスタートアップだ。同社は顧客のソーシャルメディアその他のチャネルでの活動及び顧客とユーザー企業との間の関係を総合し、顧客の全体像を得て企業に優れたデータを提供するアプローチを採用している。

詳細は明らかにされていないが、事情に通じた情報源はTechCrunchの取材に対して、買収価格が10億ドル(約1040億円)程度だったことを確認した。この取引の記事(と10億ドルという価格)は12月7日のWSJに掲載されている。

Kustomerの共同ファウンダーはCEOのBrad Birnbaum(ブラッド・バーンバウム)とJeremy Suriel(ジェレミー・スリエル)の2人で、これまでにAirtime、AOLなどで一緒に仕事をしてきた。Kustomer以前のスタートアップはSalesforceへの売却に成功している。Kustomerへの投資家はCoatue、Tiger Global Management、Battery Ventures、Redpoint Ventures、Cisco Investments、Canaan Partners、Boldstart Ventures、Social Leverageの各社で総額1億7400万ドル(約181億円)を調達している(未訳記事)。PitchBookのデータによれば、最新の会社評価額は7億1000万ドル(739億円)だった。

フェイスブックの買収の動機はわかりやすいが、同時に、戦略的な方向性を示す非常に重要なサインでもある。

フェイスブックは、プラットフォーム上の企業にカスタマーサービスを提供するビジネスを着実に構築してきた。Kustomerの買収はこのサービスの一層の強化を目指していることを示すものだが、将来はこれを有料化して収入の柱の1つとなるサービスとしていきたいのだろう。

現在、フェイスブックのビジネス利用者は約1億7500万人だ。これには独自のホームページやアプリではなくフェイスブックを主要なオンラインのアイデンティティ(身元)としている企業へのアクセスとフェイスブックグループのアプリ(Instagram、Messenger、WhatsAppなど)を顧客との会話のチャンネルの1つ(唯一という場合もある)としている企業へのアクセスの双方を含む数字だ。

20億人以上というフェイスブックの全ユーザー数と比べれば、1億7500万人はさほど大きな数字に感じられないかもしれない。

しかしSnapchat、TikTok、その他のサービスとの競争が次第に激しさを増すにつれて、優れたビジネス向けプロダクトを持つことは企業とそこにアクセスするユーザーをフェイスブックのエコシステムに囲い込んでおくために重要となる。また同社では現在も広告収入が他を大きく引き離して同社の収入のメインだが、企業向けサービスは広告を補完する新しい収入分野となる道を開くだろう。

実際、カスタマーサービスはフェイスブックにとって非常に興味深い方向だ。これまでもメッセージングアプリ上に企業向けの機能を追加(未訳記事)するために多大の投資をしてきた。たとえば最近では、企業がWhatsAppアプリ内に簡単にショッピングその他の機能を追加できるようにしている。カスタマーサービスは、これまでのフェイスブックの閉鎖的なエコシステムの外に広がる広大な分野だ。

実際、Kustomerを始めCRM(顧客関係管理)企業が最近何をしているかを説明するために多用されている用語は「オムニチャンネル」だ。つまりアプリ、ソーシャルメディア、ウェブサイト、チャットボット、電子メールなど顧客との会話が発生するさまざまなチャンネルを総合し、ユーザー企業が顧客の全体像を把握できるようにする。これによりカスタマーサービス要員の仕事が効率化され、ある顧客はどのチャネルから企業に連絡する可能性が高いかなどが的確に示せるはずだという論理だ。コンテキストに基づいた顧客の全体像が把握できれば、企業のカスタマーサポートにとって極めて有益だ。

フェイスブックの場合、これまでCRMプロファイルは、サービスの登録ユーザーに関するものに限られていた。しかしカスタマーサポートの強化はプラットフォームを超えて広く顧客関係を把握し、コントロールすることを目的としている。

偶然だが、ライバルのSnapがカスタマーサポートのための音声チャットのボットを作るVoca.aiの買収(未訳記事)を発表したのが2020年12月初めだった。

SnapがVocca.aiのテクノロジーをどのように利用するのかはまだわからない(Spectaclesに、音声コマンドなど音声ベースのテクノロジーを導入するのかもしれないという推測も出ている)が、我々はこの買収は理に適っていると評価した。私自身「Snapchatをセールスツールに利用している企業にさらに多くのサービスを提供し、プロダクトのポートフォリオを拡大することは適切な方針だ」と書いている。

今回のフェイスブックのKustomer買収は、いろいろな意味で極めてタイムリーな動きだと感じる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Freshworksが顧客関係管理サービスを「再」スタート、機械学習による的確な予測も可能に

顧客と従業員の関係管理(CRM)を行う企業Freshworks(フレッシュワークス)は、コールセンターとカスタマーサポートのためのソフトウェアから人事ツール、マーケティング自動化サービスなど幅広い製品を提供しているが、米国時間10月26日、最新サービスとなる「Freshworks CRM」をスタートさせた。これは同社が新しく立ち上げたFreshworks Neo(フレッシュワークス・ネオ)プラットフォーム上に構築されるサービスで、企業のセールスおよびマーケティング部門に、顧客ビューの理解に必要なあらゆるツールを提供する。また機械学習も少しだけ投入し、的確な予測を行う。

Freshworks CRMは、基本的には同社のFreshsales(フレッシュセールス)サービスに、Freshmarketer(フレッシュマーケータ)マーケティング自動化ツールの機能を追加してリブランディングしたものだ。

「Freshworks CRMは、FreshsalesとFreshmarketerの能力を1つのソリューションに統合し、あらゆる状況に対応した前例のない360度顧客ビューのための内蔵顧客データプラットフォームを強化します」と、同社の広報担当者は私に話した。

同社が約束するのは、この改良型のCRMソリューションが、同社のNeoプラットフォームが提供する統一されたビュー(および集計データ)により、さらに充実した(潜在)顧客ビューを提供できるということだ。

CRMユーザーの大半は、自ら選んだCRMサービスにたちまち幻滅してしまうと同社は主張する。その原因は貧弱なデータだ。そこで差別化が図れるとFreshworksは考えている。

「Freshworks CRMは、CRMの本来の役割に基づき提供されます。つまりAI駆動データ、見識、情報を統合した1つのソリューションです。そうして、事業の目標の前面と中心に顧客を据えます」と同社の最高製品責任者であるPrakash Ramamurthy(プラカシュ・ラママーシー)氏はいう。「私たちは、データのパワーを操り、直接的な価値を生み出すためにFreshwork CRMを作り上げました。使いづらいインターフェイスと不完全なデータのためにセールス担当者の力になれなかった旧来のCRMソリューションに対抗するものです」。

その理念は、各担当部署に、1つのダッシュボードを通じてセールスとマーケティングのデータとAIの支援による見識を提供することで担当者の意志決定能力が高まり、やがてそれが顧客体験の改善、そして売上げ向上につながるというものだ。このサービスでは、さまざまなシグナルに基づきユーザーが必要に応じてカスタマイズできる予測リードスコアリングと絞り込みが提供される他、SlackとTeamsの統合、潜在顧客にリーチできる録音可能な内蔵電話機能など、数々の機能が備わっている。その多くは、すでにFreshsalesにも備えられていたものだ。

「オンライン学習における課題は達成度です。これを高めるには、学生がそのコースを受講する『なぜ』を理解し、そしてそのための『何を』そして『どのように』組み立てればよいかを知ることで、学生の個別の必要性を満たし、個々のゴールを達成できるようにしなければなりません」と、Shaw Academy(ショー・アカデミー)の最高分析責任者Mamnoon Hadi Khan(マムヌーン・ハディ・カーン)氏は話す。「Freshworks CRMによって、Shaw Academyでは全学生のカスタマージャーニーの追跡が可能となり、当校の学生支援の専門家を通じて彼らとよりよい関係を築き、彼らの学習体験をAIによってパーソナライズできるようになりました。つまり、個々の目標に添えるようになったのです」。

Freshworks CRMの利用料は1ユーザーあたり月29ドル(約3000円)。より高度な機能を備えた完璧な企業向けプランでは、1ユーザーあたり月125ドル(約1万3000円)となる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:FreshsalesCRMマーケティング

画像クレジット:Freshworks

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(翻訳:金井哲夫)

SugarCRMがNodeを買収し、顧客の購買行動を予測でさまざまな企業の悩みを解決

米国時間8月24日、SugarCRMはカスタマーインテリジェンスのスタートアップであるNodeの買収を発表した。両社は買収の価額を公表していないが、買収はすでに終了している。

これによりSugarCRMは大量のAI技術を手に入れるだけでなく、同社のプラットフォームに顧客を予測する要素が加わり、実買に結びつく顧客と単純に立ち去る顧客を予測できるようになる。

このような予測能力のあるインテリジェンスの層はしばらく前からAdobeやSalesforceにもあるため、SugarCRMはこの2社と直接競合することになる。CEOのCraig Charlton(クレイグ・チャールトン)氏によると、多くの企業にとって使いやすいのは自分たちの方のソリューションだという。

チャールトン氏は声明で「SugarCRMはAIと時間認識とデータの充実を組み合わせてCX(顧客体験)の新たな最前線を築き、AIを誰でも使えるものにしている。これにより企業のパフォーマンスが上がり、規模を問わずどんな企業でも予測能力を持つようになる」と述べている。

関連記事:Node snags two top AI researchers to advance AI-fueled search tool(未訳記事)

NodeのCEOで創業者のFalon Fatemi(ファロン・ファテミ)氏によれば、両社には以前から業務上の関係があり、合併は理に適っている感じていたという。「SugarCRMのチームは弊社の予測サービスプラットフォームの価値をすぐに理解した。予測の力をSugarCRMが持つプロダクトのさまざまなユースケースに与えることで、営業やマーケティング、サービスのチームを長年悩ませていた問題を解決し、製品を市場に出すまでの時間を短縮できるようになる」とファテミ氏はいう。

56 Groupのプレジデントで「CRM at the Speed of Light」の著者でもあるPaul Greenberg(ポール・グリーンバーグ)氏は、両社がお似合いのカップルでNodeがSugarCRMにもたらす価値はとても大きいと述べている。「Nodeはビジネスの両端にエンゲージメントの分析とアクションを加え、それと同時に彼らに市場における差別化も提供するため、SugarCRMのギャップを埋めることになる」とグリーンバーグはいう。

30人のNode社員はSugarCRMに加わるが、ファテミ氏自身は合流しないい。彼女は何かまた新しいことを始めるという。「新しいベンチャーをやってみたい。その詳細は時期が来たらお話するとのことだ。

2004年の創業したSugarCRMは、これまでに1億2300万ドル(約130億円)を調達している。2018年にはAccel-KKRが同社を買収し、プライベートエクイティ企業としての同社に対する評価とオーバーホールを始めている。

例えば同社はSugarCRMのCEOにチャールトン氏を迎え、買収で不足しているものを補うという路線を始めた。今回が4つ回目の買収であり、Crunchbaseのデータによると2019年には3社を買収している。

Nodeは2014に創業し、Crunchbaseによるとこれまで4300万ドル(約46億円)を調達している。

関連記事:SugarCRM moves into marketing automation with Salesfusion acquisition(未訳記事)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa