マガジンの作者が多様な付加的コンテンツでニュースコンテンツをより賑やかにするFlipboardの新機能…Apple Newsに対して差別化

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人気最大のモバイルニューズマガジンFlipboardは、今度のiOS 9で、実質的にFlipboardクローンと言われている強敵Newsアプリが出たって平気らしい。でももちろん、何百万というiPhoneに搭載される内蔵アプリに負けないためには、絶えざるイノベーションが欠かせない。そこで今朝(米国時間6/16)同社は、AppleのNewsに対して強力に差別化できると思われる、ある方法を発表した。それは、マガジンの作者たちが自分の出版物に自分の声を加えて、これから共有しようとしているニュースに対する意見や考えを述べたり、読者に質問したり、テキストを引用したり、リンクや個人的な写真などで自分のマガジンをカスタマイズできる、という機能だ。

これまでFlipboardのユーザは、いろんなソースから記事を引っぱり込んで自分のマガジンを作り、自分の関心を軸とする、世界に一つしかないコレクションを提供できた。しかし大手メディア企業などが提供している派手なマガジンと違って、このデジタルコンテンツの集合体には、編集者の生(なま)の声が欠けていた。それが、これからは変わる。これからはマガジンの作者が、テキストやリンクや画像などを自分のマガジンに添付できるのだ。

Flipboardが提案しているこの機能の使い方は、質問をする、読者と会話する、コンテンツ提供者にリクエストする、マガジンの変更について注記する、などだ。コンテンツの中で自分が感動したフレーズを、引用してもよいし、記事に対する感想や意見をシェアしてもよい。作者〜編集者によるこれらの付加物によって、記事のコンテキストがより豊かになる(より多面的立体的になる)。

記事をリンクや自分が撮った写真などで修飾してもよい。するとマガジンに(願わくば良い意味での)個人性が加わるだろう。

Apple製のNewsアプリも、人間の編集チームが制作に関与し、地域ニュース、全国ニュース、世界のニュースの各レベルでニュースをふるいにかけるらしい。Newsアプリの編集者もコンテンツを大小さまざまなソースから取り込むが、ときにはマイナーなミニコミみたいなものから素材を拾うこともあるらしい。

だから二つのニューズマガジンは、体裁や美観だけでなく、その内容でも競合することになる。多くの読者にとって、おもしろい、センスが良い、と感じられるのは、どちらの編集姿勢だろうか。Flipboardがこれから行う、作者によるマガジンの個人化の強化は、吉と出るか凶と出るか、はたして?

Flipboardによると、この新しい機能はまずとりあえずiOSでローンチするが、じきにAndroidにも行く。このオプションを利用するためには、表紙にある”compose”アイコンをタップするとよい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

“スマート雑誌”の実現を目指すダイマーズラボの「Favlis」

ダイマーズラボが提供する「Favlis」。2014年1月にiOS向けにサービスの本格提供を開始していたが、5月になってアプリを刷新した。アプリはApp Storeから無料でダウンロードできる。

Favlisはもともと店舗情報や書籍、CD情報などのブックマーク共有サービスとして2013年にクローズドベータ版サービスをスタートした。しかし正直なところ、利用してみた僕も使い方に迷うところがあるサービスだった。

だが2014年に入ってからは、ウェブメディアやブログなどから、同社にて独自にキュレーションしたレストランやイベントなどの情報をピックアップして配信する仕組みにそのサービスをピボットさせている。

情報は午前と午後に分けて1日40〜60件程度配信される。詳細を見る場合は元サイトにアクセスする仕組みだが、Favlisの特徴はその情報のすべてに位置情報を持たせていることにある。これによって、元サイトで店舗の詳細な情報を読みつつ、興味を持てばその情報をブックマークし、それを地図やリスト形式で閲覧することができるようになっている。

この仕組みを聞くと、「tab」を思い出すのだが、ダイマーズラボ代表取締役の長野英章氏は、「tabがユーザーがピックアップした情報を共有するもの。一方でFavlisは、キュレーションされた情報を知ることができるもの」と、サービスの違いを説明する。

ピボットしてからまだ4カ月程度なので、正直なところ情報数が多いとは決して言えない状況だ。しかし毎日ウェブメディアやブログの記事と店舗情報がセットで送られてくるため、「今まで知らなかったけれども、読んで興味を持った」というような店舗に出会うことは少なくない。ユーザーからの評価の高い飲食店を探すのであれば食べログやRettyがあるが、Favlisはニュースのように毎日プッシュで情報が送られてくるのも強みだ。

最新版のアプリでは、検索機能を追加。駅名やキーワードをもとに、Favlisでこれまでに紹介された店舗、イベントなどの情報を検索できるようになった。

長野氏は、Favlisを「スマート雑誌」として世に広めたいと語る。「雑誌をやウェブメディアのコンテンツはすばらしいし、それぞれ独自の視点でピックアップした情報であること自体に価値がある。ただそれが時間とともに過去のモノになってしまう(フロー型のコンテンツであるという意味)。これを何とかしたい」(長野氏)

Favlisで紹介するメディアやブログは基本的にRSSの利用許諾を取得、もしくは取得の打診をしているが、使用不可となった場合はコンテンツを削除しているそうだ。今後はFavlisから各サイトへの送客数などを増やし、メディアと共同での有料コンテンツ販売や広告なども展開したいとしている。


Twitterのプロフィールページ変更で思う、「自己表現」可能性のこれから

現実世界の時の流れというのは、もちろん過去から未来へと遷移していくものだ。つまり今ここに存在する自分というのが「最新」の自分であるということになる。ソーシャルネットワークも、そうした発想でプロフィールページを構成していた。しかし、最近になってTwitterでも特定のツイートを固定してフィードのトップに表示することができるようになった。これにより、自分のことをより的確に伝えることができるようになるかもしれない。よりトータルな視点から自分を伝えるための一歩であると評価することができるだろう。

誰かに会ったときはたいてい「how are you?」と話しかける。疑問を投げかけているわけではあるが、この質問に対する回答で相手のことを深く理解できるというようなことはほとんどない。「fine」と応じられるケースがほとんどだし、あるいはちょっとした調子の善し悪しに言及する程度のことが多い。「一番新しい言葉」が相互理解に繋がらないことが多いのはこの例からもよくわかるところだが、しかしこれまではFacebook、Twitter、あるいはGoogleなどもみな、同じような「伝わらなさ」を仕組みとして採用していたのだ。

もちろん、より深く知りたいのなら写真アルバムを見たりして、より多くの情報を集めることはできる。しかし「いったいどういう人なのか」とか「何をしているのか」ということは、すぐに知りたいものなのだ。ひと目みてわからないような場合、追加で手間を払おうとすることはほとんどないと言ってよい。また、写真やお気に入り、あるいはどういう人をフォローしているのかを眺めてみても、これまた時系列的理解の制限にしばられることになるのだ。運が悪ければ重要な情報が何も得られないということもあり得る。

これまでのプロフィールページの仕組みは、直近の3秒間だけの記憶(参考:Goldfish Memory)で自分を評価させるというようなやり方だったのだ。

街で偶然に人と出会うという状況とは違うのだから、ソーシャルネットワークにて「How are you? / I’m fine」方式を踏襲する必要はないのだ。部屋のインテリアを整えて、そして人を招待するような形式にすれば良いのだと思う。マントルピースに「最新の3枚」の写真を飾っている人は少ないだろう。たいていの人は一番のお気に入りを飾っておくものだ。もっとも大事な人やものなどが写っていることだろう。たくさんの本やCDを持っている人も多いかもしれない。そういう人も、たいていは好きな作品が目立つところにくるように配置しているものだろう。

選択することにより、私たちは自分の経験したことのうち、ぜひ人に伝えたいと思うことを共有することができるようになる。そうしたことこそ、インターネット上での友だちを見つけるのに有効な手段となるのだ。世界中には億の単位で趣味を語り合ったり、友だちになったり、あるいは情報を伝え合う関係になり得る人が存在している。ソーシャルネットワークは、そうした人々を繋ぐのに役立つツールとなるべきなのだ。

Twitterの新しいプロフィールページは、「正しい方向」に進化するものとして評価すべきものかと思う。プロフィールページに固定ツイートを表示できるようになったことにより、「新しい発言」ではなく、本当に興味を持っているものはなんなのかをツイートや写真、ないしリンクで示すことができるようになったのだ。「こちらはこういう人間です。興味があればフォローしてください」ということを示しやすくなる。

また、フォントサイズでも特徴を示すことができるようにしているようだ。反響の大きいツイートについては、少し大きめなフォントで表示されるようになっている。すなわち面白い発言が見つけてもらいやすくなっているわけだ。プロフィールのキュレーションをクラウドに委ねている状況だと言うことができようか。

自分が何物であるかを示しやすくなるとともに、こうした機能はある人をフォローすべきかどうかを判断する際にも役立つ。直近のツイートだけ見ても、その人が果たして興味深い人なのかどうなのか、判断できないことがある。これからはピン止めしているツイートをみて、ある程度の判断ができるようになるわけだ。

Facebookを見てみると、こちらではどういった投稿を誰に表示するかといったオプションをいろいろと用意している。但しこれはあくまでも、時系列のポストをどういった範囲で公開するかということを設定できるに過ぎない。「ページ」ではさまざまな機能が提供されているが、一般の利用者がこれを充分に活用することはできずにいる。「友達」、「いいね」、「音楽」、「ゲーム」、「本」、「イベント」、あるいは「ノート」など、プロフィール画面中に表示するいろいろなセクションが用意されてもいる。しかしこれらは少々わかりにくいところに表示されている。また管理の方法も面倒で、ほとんどの人が手付かずで放置している現状だ。

また、タイムラインへの投稿をどのように表示するべきかというのは、Facebookがずっと気をもんできた部分でもある。アルバム内の写真を大きく表示するかという選択ができるようにしたり、あるいは「いいね」のカスタマイズ表示もできるようになったり、あるいはそうした機能が使えなくなったりということを繰り返してきている。Google+の方は、オプションの選択が面倒すぎるのか、カスタマイズ機能については無視を決めこんだ格好だ。

ベストな形式というのがあるのだろうか。人気の投稿や写真を目立つように表示するのは、投稿者をわかりやすく表現するひとつの方法かもしれない。また表示形式を自由に作成できるセクションなどを追加するのも面白いのではないだろうか。たとえばPinterest風のレイアウトを使って、ひとめでわかるような自己表現はかなりわかりやすくて便利だと思うのだ。

多くのソーシャルネットワークが時系列による表示方法を採用していたことも理解はできる。共有範囲が狭く、また投稿数も少ないうちは、時系列による方式が確かに機能するのだ。しかしTwitterは8歳となり、Facebookも10歳になった。「最新」情報に拘らない表現の形式が生まれてくるタイミングだと思う。

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(翻訳:Maeda, H