Disrupt SFで語られたAIの現状に関する5つの注目点

[著者:Taylor Nakagawa]

人工知能(AI)に期待されていることは計り知れないが、そのゴールに至るまでのロードマップはいまだ不透明だ。TechCrunch Disruptサンフランシスコのステージでは、AIを専門とする知識人たちが、現在の市場での競争の様子、アルゴリズムが差別主義を助長させないための方法、未来のマンマシン・インターフェイスといった課題について意見を述べ合った。

そこで、2018年のDisruptで語られた、AIの現状について注視すべき5つの点を紹介しよう。

1. アメリカがAIで中国に参入しようとすれば多くの障害に遭遇する

SinnovationのCEO李開復(リー・ カイフー)(写真:TechCrunch/Devin Coldewey)

中国がAIに力を入れて華々しい発展を遂げていることは、各方面で数多く報道され、もはや無視できない存在にまでなっている。AlibabaやTencentのような巨大企業が国産ビジネスに何億ドルもつぎ込んでいるため、アメリカ企業がAIで中国に参入しても、動き回ったり拡大できる余地はだんだん狭くなっている。AI投資家でありSinnovationのCEO李開復(リー・ カイフー)は、AI開発においては、中国とアメリカは「並行宇宙」に生きていると話している。

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Sinnovation会長にしてCEO李開復は、AIに関しては中国はアメリカを超えたと話す。

Googleの中国進出を助けた李は、「AIを電気と同様に考えるべき」だと説明している。「トーマス・エジソンもAIの深層学習も、どちらもアメリカ生まれですが、彼らはそうした技術を発明し、寛大にも公開しました。今や中国は、最大のデータ量を誇る最大の市場として、従来型のビジネスのあらゆる場所、インターネットやその他のあらゆるスペースに価値を加えるために、AIを実際に使っています」

「中国の起業家エコシステムは巨大です。現在、コンピュータービジョン、音声認識、ドローンの分野でもっとも価値の高いAI企業は、すべて中国企業です」

2. AIの偏見は古い問題の新しい顔

9月7日、カリフォルニア州サンフランシスコにて。モスコーンセンターで開かれたTechCrunch Disrupt第3日目のステージで討論する(左から)Ken Goldberg(UCバークレー教授)、Timnit Gebru(Google AI研究者)、Chris Ategeka(UCOT創設者、CEO)、Devin Coldewey(司会)(写真:TechCrunch用にKimberly White/Getty Imagesが撮影)

AIは、数多くの仕事から、つまらない単調な作業をなくし、人々に生産性と効率性をもたらすと約束されてきた。しかし、多くのAIシステムの学習に使用されるデータには、人間が持つ偏見が植え付けられていることがあり、それを放置すれば、所得格差や人種差別といった体系的問題をはらむコミュニティーを今よりも疎外することにつながりかねない。

「社会的経済地位の低い人たちは、より監視が強化され、さらにアルゴリズムで調べられることになります」と、Google AIのTimmit Gebruは言う。「なので、地位の低い仕事の求職者ほど、自動化されたツールで処理される可能性が高くなります。現在、こうしたアルゴリズムがさまざまな場所で使われていますが、機会均等法のような法律に準拠しているかを確かめることすらできていません」

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アルゴリズムの偏見は、所得格差と人種差別に根をもつ古い問題の新しい顔だ。将来のより客観的なアルゴリズム構築のためのステップの概要を示すTimmit Gebru(Google AI)、Ken Goldberg(UCバークレー)、Chris Ategela(UCOT)

危険なアルゴリズムが広がりを阻止できる可能性のある解決策を、UCバークレーのKen Goldbergが解説した。彼は、複数のアルゴリズムとさまざまな分類子が共同して働き、ひとつの結果をもたらすアンサンブル理論の概念を引用している。

しかし、不適切な技術のための解決方法が、よりよい技術であるかどうかを、どうやって確かめたらよいのだろう。Goldbergは、適正なアルゴリズムを開発には、AIの外の分野から来た、さまざまな経歴を持つ人間が欠かせないと語る。「機械の知能と人間の知能には、深い関連性があると思われます」とGoldbergは説明する。「異なる視点を持つ人は非常に貴重です。ビジネスの世界でも、そうした人が認められつつあるようです。それはPRのためではなく、異なる経験値と多様な視点を持つ人がいれば、よりよい決断が下せるからです」

3. 未来の自律走行は、人と機械の協力に依存することになる

UberのCEO、Dara Khosrowshahi(写真:TechCrunch/Devin Coldewey)

運送会社の多くは、移動が高度に自動化されて、人間が介在することがかえって有害になる近未来の夢の世界を想像している。

UberのCEO、Dara Khosrowshahiは、そうはならないと指摘する。人間を隅に追いやろうと競い合う時代では、人間と機械が手を取り合って働くほうが現実的だと彼は言う。

「人間もコンピューターも、それぞれ単独で働くより、一緒に働いたほうがうまくいく。私たちには自動化技術を導入する能力があります。サードパーティーの技術、Lime、私たちの製品は、すべてが協力してハイブリッドを構成しています」

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「未来の自律走行は、人と機械の協力に依存することになると、UberのCEO、Dara Khosrowshahiは言う」

Khosrowshahiが最終的に描いているUberの未来では、エンジニアがもっとも危険の少ないルートを監視し、乗客のための最適なルートが自動的に選択されるという混合作業になるという。この2つのシステムを組み合わせることが、自律走行の成熟には大変に重要で、乗客の安全を守ることにもなる。

4. アルゴリズムを「公平」だと判断するための合意による定義は存在しない

9月7日、カリフォルニア州サンフランシスコにて。モスコーンセンターで開かれたTechCrunch Disrupt第3日目のステージで話をするHuman Rights Data Analysis Group の主任統計学者Kristian Lum(写真:TechCrunch用にKimberly White/Getty Imagesが撮影)

昨年の7月、ProPublicaはある報告書を発表し、その中で機械学習が、独自に偏見を芽生えさせる危険性を強調している。調査によると、フロリダ州フォートローダーデールで使われていたAIシステムは、黒人の被告が将来再び犯罪を犯す可能性は、白人の被告の2倍あると誤った指摘を行った。この歴史的な発見は、公正なアルゴリズムの構築方法に関する論議を呼び起こした。

あれから1年、AIの専門家はまだ完全な構築方法を見つけていないが、アルゴリズムにおける、数学と人間というものへの理解を組み合わせた文脈的アプローチが、前に進むための最良の道だと考える人は多い。

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公正なアルゴリズムをどうやって作るか? Kristian Lum(Human Rights Data Analysis Group)は、明確な答えはないが、AIの文脈的なデータトレーニングによると言う。

「残念なことに、公正とはどんなものか、に関する定義の普遍的な合意が得られていません」とHuman Rights Data Analysis Groupの主任統計学者Kristian Lumは話す。「データをどのように刻んでゆけば、最終的にアルゴリズムが公正でないとわかるのか、ということです」

Lumの説明によれば、この数年間、数学的な公正さの定義を巡って研究が進められてきたという。しかし、このアプローチはAIの道徳に対する見識と相容れない場合が多い。

「アルゴリズムの公正さは、大いに文脈に依存します。それは、トレーニングに使用するデータに依存するということです」とLumは語る。「問題について、深く理解しておく必要があります。そして、データについても深く理解しておかなければなりません。それができたとしても、公正さの数学的定義への意見は分かれます」

5. AIとゼロトラストは「理想的な縁組」であり、サーバーセキュリティーの進化の鍵となる

9月6日、カリフォルニア州サンフランシスコにて。モスコーンセンターで開かれたTechCrunch Disrupt第2日目のステージで話をする(左から)Mike Hanley(DUOセキュリティー副社長)、Marc Rogers(Oktaサイバーセキュリティー上級ディレクター)、司会のMike Butcher。(写真:TechCrunch用にKimberly White/Getty Imagesが撮影)

前回の大統領選挙で、私たちは、個人情報、金融資産、民主主義の基礎を守るために、セキュリティーシステムの改良が喫緊の課題であることを学んだ。Facebookの元主任セキュリティー責任者Alex Stamosは、Disruptサンフランシスコにおいて、政治とサイバーセキュリティーの現状の厳しい見通しを示し、次の中間選挙でのセキュリティーのインフラは、2016年当時からそれほど良くなっていないと話した。

では、セキュリティーシステムの改善に、AIはどれくらい役に立つのだろうか。OktaのMark RodgersとDuoのMike Hanleyは、AIと「ゼロトラスト」と呼ばれるセキュリティーモデルの組み合わせに期待を寄せている。本人確認ができないかぎり、どのユーザーもシステムにアクセスできないという仕組みだ。それが、人を介さず侵入してくる相手を積極的に排除できるセキュリティーシステムの開発の鍵になるという。

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AIとゼロトラストが組み合わせた将来のセキュリティーシステムの仕組みを説明するMarc Rodgers(Okta)とMike Hanley(Duo)

「ゼロトラストの背景にある考え方全体が、自分のネットワーク内のポリシーを自分で決めるというものなので、AIとゼロトラストは理想的な縁組なのです」とRodgersは話している。「AIは、人間に代わって決断を下すことを得意としています。これまで人間には不可能だったほどの短時間で判断します。ゼロトラストが進化して、ゼロトラストのプラットフォームにAIが組み込まれるようになることを、私は大いに期待しています」

この大きな仕事を機械に任せられるようになれば、サイバーセキュリティーのプロは、もうひとつの差し迫った問題を解決する機会を得る。それは、これらのシステムを管理する資格を持つセキュリティーの専門家の配属だ。

「必要な仕事を実際に熟せる有能なセキュリティーのプロが、大幅に不足してます」とHanleyは言う。「それは、セキュリティーを提供する企業にとって、片付けなければならない仕事が特定できる非常に大きなチャンスとなります。この分野には、解決されていない問題が、まだたくさんあります。なかでも、ポリシーエンジンは面白いチャレンジになると思います」

Disrupt SF 2018


Disruptサンフランシスコ2018のその他の記事(英語)

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(翻訳:金井哲夫)

今秋のDisrup SFにデモ・テーブルを確保するなら今だ――TC Top Pic 60チームに選定されれば無料

スーパー・アーリーバード・チケットを手に入れよう

まだ春だが、アーリー・ステージのスタートアップが今秋のDisrupt SFにデモ・テーブルを確保したいなら今がチャンスだ。Disrupt San Francisco 2018に設けられるStartup Alley申し込みが始まった

今年9月5日から7日にかけてサンフランシスコのモスコーニ・センター・ウェストで開催されるDisrupt SFはTechCrunchのカンファレンスの中でも過去最大の規模となる。Startup Alleyでは1200社以上の参加チーム、スポンサーが最新のテクノロジー、プラットフォーム、サービスをデモする予定だ。スペースはすぐになくなるので、この機会を逃さないようにしていただきたい。

Startup Alleyでデモしたいスタートアップには2つの参加方法が用意されている(どちらも申し込みが必要)。最初のクラスはあらゆるカテゴリーのアーリー・ステージのスタートアップ向けのもので、Startup Alley Exhibitorパッケージを購入する必要がある。Pro Tip:参加者にはたいへん魅力的なボーナスがつく。

このパッケージにはデモ・ブース1日分、Disrupt SFのファウンダー・チケット3人分(ただし7月25日以前の申し込みに限る)、CrunchMatch(スタートアップと投資家を仲介するキュレーテッド・プラットフォーム)が含まれる。また参加者はStartup Alley出展者ラウンジ、Disruptをカバーするメディアのリストが利用できる。さらに最優秀出展者はワイルドカードとしてメインステージのStartup Battlefieldでプレゼンを行う機会が得られる(今年の賞金は10万ドルだ)。

Startup Alley Exhibitorパッケージを得る2番めの方法はTechCrunch編集部によるTC Top Pickに選ばれることだ。経験を積んだテクノロジー・ジャーナリストぞろいのわれわれ編集部はもっとも優れた60チームをTC Top Pickに選定する。この場合パッケージ1組が無料jとなり、さらに3分間のShowcase Stageインタビューの時間が得られる。

ただしTC Top Pickに選定されるためには以下のカテゴリーに含まれている必要がある。AI、AR/VR、ブロックチェーン、バイオテック、フィンテック、ゲーム、ヘルステック、プライバシー/セキュリティー、宇宙、モビリティー、リテール、ロボティクスの12カテゴリーだ。平均して各カテゴリー5チームということになる。

Startup Alleyに参加するメリットは? まず第一に来場者は1万人以上となる。メディアも400社以上がこのカンファレンスをカバーする。何千人もがStartup Alleyを見てまわる。将来のカスタマーや投資家を見つけ、メディアに露出するために絶好のセットアップだ。 われわれのテクノロジー企業のデータベース、CrunchBaseによれば、Disrupt SFのStartup Alleyの参加チームはカンファレンス後4ヶ月以内に3700万ドル以上のシード資金とシリーズAの資金調達に成功している。人脈をつくり、アイディアを交換し、新しいチャンスを得るために最適だ。

なおTC Top Pickを狙うなら6月29日までに申し込む必要がある。Disrupt SF Startup Alley自体の締切は8月8日を予定している。まだまだずっと先の話と思うかもしれないが、前述のとおり、スペースはなくなり次第終了だし、早起きはなんとやらいうとおり、早期の申込者にはボーナスがある。

1回の申し込みで通常参加もTC Top Pickへの応募もできる。 いそげ

すでに実績を上げている後期スタートアップや大企業であってDisrupt SFへの出展に興味ある場合はスポンサーシップ担当までご連絡いただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

今年秋のDisrupt SFにはNext Stageが登場する――ファウンダー、投資家向けプログラム多数準備中

これまでTechCrunch DisruptではDag KittlausのSiriのライバル、Vivなど大型プロジェクトが発表されている。またSalesforceのMarc Benioff、EthereumのVitalik Buterin、GoogleのDiane Greene、23andMeのAnn Wojcickiなどスタートアップ・コミュニティーの著名人多数が登壇している。キーノートやインタビュー、またStartup Battlefieldが例年3日わたって息もつかせぬ熱さで繰り広げられてきた。しかしこれでもTechCrunchの編集部、スタッフは不満だった。やりたいことをすべてやるためのスペースが不足していたからだ。

しかし今年9月5日から7日わたって開催されるのDisrupt SF 2018ではこの問題が解消されるはずだ。モスコーニ・センター・ウェストという新しい会場を確保したため、スペースが大幅に広げられる。 TechCrunchでは従来のステージに加えてThe Next Stageを追加する。これによりプログラムの数は2倍になる。

Main Stage同様、Next Stageでもファイアサイド・チャット、パネルディスカッションを予定しているが、プログラムは全体としてスタートアップを成功させるためにファウンダーにも投資家にも必須の話題、つまりアーリーステージの資金調達方法、連続起業家によるスタートアップづくりの体験談に加えて、AI、モバイル、バイオテック、ブロックチェーンなどの重要なトレンドについてファウンダーや投資家、エンジニアが専門的見地から掘り下げた意見交換を行う。カンファレンスという枠組みではディスラプトに値するすべてを取り上げるわけにはいかないが、十分に広い分野をカバーできるものと思う。

Next StageとMain Stageはイノベーター、ファウンダー、投資家などすべての関係者を歓迎し、それぞれにチケットを用意している。プログラムの数が多すぎて見逃しが出るのではないかという心配は無用だ。カンファレンス参加者はオンデマンドのビデオストリーミングで両ステージをモニターできる。

Disrupt SFのチケットを今すぐ購入すればすれば、早割が適用されて最高1800ドルものバーゲンになる。

SF 2018のプログラムのいずれかのスポンサーになることを希望する企業はこのフォームに記入していただきたい。折り返しスタッフがコンタクトする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Disrupt SF 2018はサンフランシスコで9月5-7日に開催――モスコーニ・センターに昨年の3倍のスペース確保

TechCrunchの数々のイベントの中でもフラグシップとなるのが毎年サンフランシスコで開催されるDisrupt SFだ。昨年9月に開催されたDisrupt SF 2017は参加者5000人、投資家とファウンダーのミーティング1220回、出展スタートアップ500社という新記録を作った。オンラインの視聴者は100万単位となった。なにより重要なことは、アーリーステージのファウンダーと投資家が共にDisruptに対してわれわれが望むとおりの点を評価してくれたことだろう。つまり「スタートアップが優れたものになることを手助けする」という目標だ。

Disrupt SFに唯一足りないものがあったとすればスペースだ。 スタートアップはデモブースをさらに必要としていた。ファウンダーはさらに多様なワークショップを求めていた。TechCrunchの編集部でもさらに数多くのプログラムを提供したかった。全員がもっといい仕事ができるスペースを求めていた。

2018年の9月5日から7日かけてTechCrunchはサンフランシスコを代表するコンベンションセンター、Moscone Center WestでDisrupt SFを開催する。これまでのどのDisruptと比較してもスペースは3倍以上となり、アメニティーも完備している。快適なカンファレンスとなるはずだ。

これまでにさまざまな興味深い施設でDisrupt SFを開催してきた。今は閉鎖されてしまったDesign Centerのコンコースや旧埠頭、ドッグパッチ地区のPier 70、チャイナベイスン地区のPier 48などだ。こうした施設は無駄を省き成果だけを直截に求めるリーンなスタイルを象徴していたと思う。その点ではやや懐かしくもあるが、貧弱な空調や仮設トイレの列などはありがたくなかった。

今年のDisrupt SFで追求するのはいっそう優れたカンファレンス体験だ。

スペースの問題がクリアされるのでいっそう多くのスタートアップが参加できる。AI、CRISPR、ブロックチェーンや暗号通貨、モビリティ、AR/VR、自動運転車、ロボティクス、航空宇宙など注目を浴びつつある新たなテーマを深く掘り下げるべく、多彩なプログラム、ワークショップやデモが準備されている。もちろんスタートアップの主戦場であるカテゴリー、エンタープライズ、eコマースなどにも従来どおり力を入れていく。

今年のDisruptでは参加者が自由に使えるスペースを多数用意している。シリアスなビジネス交渉に使うもよし、たまったメールをチェックしたり、単にコーヒーを飲んで一息入れるのに使ってもよい。われわれが大小のイベントを開催する中で気づいたことは、こうしたイベントはおよそ普段交流がなさそうな多様な層の人々を出会わせるということだ。そうして重要な議論が深められたり、思いもよらない契約のきっかけとなったりする。今年のDisruptでは参加者がそれぞれの目的のため必要なスペースを提供できるはずだ。また独自のランチミーティング、レセプション、専用ラウンジを用意したい会社の便宜も十分に考慮している。

規模が拡大することの利点にはチケット価格もある。従来よりも多様な価格でチケットが入手できるようになる。さらに広い層からの参加を期待している。

Disrupt SF 2018は昨年とくらべて2倍の参加者を集めるはずだ。しかし同種の他のカンファレンスとくらべてDisruptは独特の親密な空気を保っている。どのDisruptであれ、参加者は集中的かつ快適なカンファレンス体験を得られるものとわれわれは確信している。またDisrupt独特のサイド・プログラムとして、ファウンダーと投資家を引き合わせるCrunchMatchは今年も用意される。また参加者が講演者とモデレーターを介してディスカッションできるプログラムやスタートアップがステージでコンパクトなピッチを行うShowcaseも用意される。

カレンダーに「Disrut SF 9月5-7日 Moscone Center」と記入しておいていただきたい。準備状況その他最新のニュースを受け取りたい場合、こちらに登録できる。

ここで2つのニュースをお知らせしなければならない。

過去8年、われわれはニューヨークでDisrupt NYを開催し、この地域のスタートアップ・エコシステムに貢献してきた。ただ、依然としてわれわれは比較的小規模なリーンなチームであるため、エネルギーをどこに集中すべきか、その選択が重要なものとなる。今年われわれはアメリカ全土で規模最大、テーマも広汎なDisruptを開催することとした。TechCrunchにとってニューヨークは重要かつお気に入りの街なのでこの決定は辛いものがあったが、今年われわれは残念ながらDisrupt NYを開催しない。大勢のニューヨーカーが9月にサンフランシスコを訪れるよう期待する。

昨年12月4日、5日にベルリンでDisrupt Berlinが開催され好評を得た。TechCrunchは今年もヨーロッパでDisruptを開催する。準備が進めばその都度発表したい。

2つ目のニュースだが、Crunchies賞は引退する。TechCrunchのファウンダー、Michael Arringtonが10年前に創設したどちらかといえば軽い意味あいのイベントだが、熱心なCrunchiesファンには今年以降開催されないというのはショックかもしれない。われわれもいささか寂しく感じてはいるが、Crunchiesが生まれた頃、スタートアップは数も少なく、サンフランシスコ周辺でさえスタートアップ・コミュニティーは互いに知り合えるような社交行事を必要としていた。Crunchiesはこの必要性を満たす親しみ深いイベントとなった。しかし今日ではスタートアップは世界中で生まれており、「今年のベスト・スタートアップ」や「今年のベスト・ベンチャーキャピタリスト」を決めるというのは、率直に言って、われわれには答えられない質問となってしまった。

Crunchiesの10年間で誰が何を何年に受賞したかというのはトリビア・クイズのかっこうの問題になるかもしれない。2007年にベスト・プロダクト賞を得たのは何だったか? 答えは―AppleのiPhoneだった。これだけ言えば十分だろう。『2001年 宇宙の旅』の猿人をモチーフにしたCrunchie Monkeyのトロフィーの価値はBitcoinも同様永続すると思う。しかも今後増えることはないのでますます希少となる。

最後になったが、われわれはStartup Battlefieldを各地で開催している。NFLと提携して NFL at Stanfordを、またケニアではNairobi with Facebookを、オーストラリアではSydney with Elevacaoを開催した。

Disruptとは別にBattlefieldを開催するのは、特定の分野や地理的に遠くはなれた場所のスタートアップ・シーンを手助けするのが狙いだ。2018年にはBattlefieldもいっそう拡大していく。公共政策と司法制度ロボティクスなど重要な問題について1日かけて深く検討するTechCrunch Sessionsは今年も開催される。こちらも期待していただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+