ダブルユニコーンとなったFormlabs、新型3Dプリンターで最大40%のスピードアップを約束

FormlabsがKickstarterに登場したのは約10年前のこと。当時、混雑していた3Dプリンティング分野のスタートアップの中で、高解像度の光造形を身近に楽しめるアプローチを提供したことで注目を集めた。

それまで高価な工業用機械にしか使われていなかった技術をより手軽に導入できるようにしたことは、大きな話題となった。これが功を奏し、競合他社の多くが撤退していく中、同社は2022年初めにダブルユニコーンの地位を獲得した。同社によると、これまでに9万台以上のプリンターを販売しているという。

米国時間1月4日のCESで、MITからスピンアウトした同社は「Form 3+」と「Form 3B+」という2つの新しいプリンターを発表した。その名が示すように、新しいプリンターは、2019年に発表された「Form 3」と「3B」のアップデート版だ。ここでの主な更新点はスピードで、露光と印刷が初期モデルよりも最大40%速くなることを約束している。これは、レジンの硬化プロセスに使われるレーザーがよりパワフルで高出力になったことによるものだ。また、新しい「Build Platform 2」ベースで、プリントの取り出しがより速く簡単になった。

CEOのMax Lobovsky(マックス・ロボフスキー)氏は、CESのニュースに関連したリリースの中でこう述べている。「Formlabsはプロフェッショナル向けのデスクトッププリンター市場を創造し、当社のForm 3はベストセラーになりました。Form 3+は、ユーザーがアイデアからパーツを手にするまでのプロセスを、可能な限り迅速かつ簡単に行えるように設計された次の世代の製品です」。

また、今回の展示会では、電子機器製造、自動車、航空宇宙などの用途に特化した、プリンティング用の新しい静電放電(ESD)レジンも発表された。

画像クレジット:Formlabs

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

再び注目が集まる3Dプリント技術FormlabsがソフトバンクのVision Fund 2などから約160億円調達

3Dプリント業界で大規模な資金調達があった。マサチューセッツ州拠点のFormlabs(フォームラブズ)が5月19日、1億5000万ドル(約160億円)のシリーズEを発表した。同ラウンドはSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund 2がリードし、Formlabsの評価額はユニコーンの2倍、20億ドル(約2180億円)となった。

このニュースは、かつて窮地に陥っていた産業がかなりの関心と資金を引き寄せて復活を果たす中でのものだ。注目すべきDesktop Metal、Shapeways、Velo3D、MarkforgedなどはすべてSPAC(特別買収目的会社)経由で上場する計画を発表した。Formlabsは、業界が2026年までに510億ドル(約5兆5570億円)超の規模に達すると予測する最近の研究に言及している。テクノロジーの進化、素材の多様化、そして企業が付加製造を大量生産に取り入れる方法を模索していることを反映している。

MIT Media Labの学生によって2011年に創業されたFormlabsは3Dプリント業界においては変わり種的存在だった。同社はそれまでの付加製造(光造形法)の手法をデスクトップのフォームファクタに変えた。それは業界がバブル崩壊する中で同社が存続し続けるのに十分なものだった。

「現代においては、大半の3Dプリント技術は幅広く浸透するにはまだ高価で扱いにくいものです」とCEOのMax Lobovsky(マックス・ラボフスキー)氏は資金調達に関するプレスリリースで述べた。「当社はユーザーエクスペリエンスとこれらの機器の質の向上にピンポイントでフォーカスしており、その一方で価格抑制は当社の成功ならびに業界の成長にとって重要です。今回調達した資金で、SLAとSLSのテクノロジーの現在のポートフォリオを拡大し、引き続き3Dプリント産業に注がれている期待に応えるために製品開発を加速させる計画です」。

大型ラウンドで獲得した資金は、世界の従業員数の増加、そして大半の3Dプリント技術にとって長い間障害だった大量生産向けテクノロジーの展開にも使われる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:3DプリントFormlabs資金調達SoftBank Vision Fundユニコーン企業

画像クレジット:Formlabs

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ゼンハイザーがカスタムイヤフォン作成で3DプリントのFormlabsと提携

3Dプリントは過去10年で大きな進歩を遂げたが、この技術が主流になるかどうかについてはまだ疑問が残っている。一方で医療機器は大量生産されておらず、高度なパーソナライズが必要とされるため、非常に説得力のあるユースケースとなっている。たとえば矯正歯科などは、そのスイートスポットに該当するものの好例だ。

オーディオにもまた、多くの可能性が秘められている。たとえば装着者の耳のためにカスタムデザインされたイヤフォンを想像してみよう。この技術はこれまではハイエンドモデルでは利用できていたが、3Dプリントはこの技術をより幅広く普及させられるようになる可能性がある。

Sennheiser(ゼンハイザー)は今週、カスタムイヤフォンの3DプリントにFormlabsの技術を活用するパートナーシップを発表した。具体的には、ゼンハイザーは主に歯科用途に利用されている生体適合性材料のForm 3Bを使用する予定だ。製品の詳細は明かされていないが、同社のAMBEO部門がこの技術を使ってカスタムイヤフォンのイヤーチップを作成する予定だという。ユーザーはスマートフォンで自分の耳をスキャンし、それを送ってイヤーチップをプリントしてもらうことができる。

画像クレジット:Sennheiser

「Sennheiserとの技術提携は、製品開発においてよりカスタマイズされたユーザー中心のアプローチを可能にし、顧客が好きなブランドとの関わり方を変えることを目指しています」と、Formlabsのオーディオ部門を率いるIain McLeod(イアン・マクロード)氏はリリース文で述べている。「Formlabsは幅広い業界知識とスケーラブルなソリューション開発により、ユーザーに具体的なイノベーションを提供します。今回のケースでは、SennheiserのAMBEOチームと協力して他に類を見ないアクセス性の高いカスタムフィットエクスペリエンスを提供しています」。

製品はまだプロトタイプ段階だ。このような提携はヘッドフォンメーカーにとっては簡単なことのように思えるが、価格や拡張性などいくつか大きな問題点もある。明らかにこのような製品は標準的なイヤフォンよりも高価だが、このような目新しさを考えれば高価すぎるわけではない。

リリースでは「手頃な価格でシンプルなソリューションが、カスタムフィットイヤフォンを大量に3Dプリントすることを可能にしました」と述べている。それが本当に手頃な価格になるのかは、今後を見守る必要がある。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Sennheiser3DプリントFormlabsイヤフォン

画像クレジット: Formlabs

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter