GMが電気トラック開発のNikolaに2120億円出資、生産でも提携

Nikola(ニコラ)とGeneral Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は米国時間9月8日、戦略的パートナーシップを発表した。提携を通じGMはNikolaの株式11%を取得し、Nikolaのワイルドな燃料電池ピックアップトラックを2022年末までに生産する。

提携のニュースを受けて両社の株価は大きく上昇し、立会取引時間前でNikola株は45%、GM株は11%上昇した。

今回の提携で、GMは注目を集めている自動車スタートアップの1社であるNikolaに20億ドル(約2120億円)を出資する。また、株式の取得とともにNikolaの取締役会に1席を確保する。

GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、今回の提携は同社のバッテリーと燃料電池システムを展開する別の方策であるとの考えを示した。

「当社は複数の大型EV部門で存在感を高めており、その一方でバッテリーと燃料電池のコストを下げて収益性を向上させる方策も構築している」とバーラ氏は述べた。「加えて、当社の電動化テクノロジーソリューションを大型の商業車両に適用することはゼロエミッションを目指す当社のビジョン達成において重要なステップとなる」。

今回の提携では、GMはNikolaが今後展開するクラス7・8(中型・大型)トラック向けに燃料電池を提供する唯一のサプライヤーとなる。

Nikolaにとっては生産を控えた中での、強力なパートナー獲得となる。GMは電動の燃料電池搭載ピックアップトラック「Nikola Badger」を設計、確認、承認する。同社はまたピックアップトラックの生産も担う。

Nikolaの創業者でCEOのTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏は声明で次のように述べた。「両社が手を携えることで、我々はGMの有効性が確立されたパーツ、Ultiumバッテリーテクノロジー、生産準備の整った数十億ドル(数千億円)規模の燃料電池プログラムにアクセスできる。Nikolaはサプライヤーと製造の何十年にもわたる知識、承認・テスト済みで生産準備が整っているEVプロポジション、世界クラスのエンジニアリング、そして投資家の信頼をすぐに手に入れることができる。そして最も重要なのは、General MotorsはNikolaの成功に常に関心を持っていることだ。当社は株主に3つの約束をしたが、このうちの2つを予定前倒しで果たした。素晴らしい発表だ」。

今回の提携でNikolaは生産業務を世界最大の車メーカーの1つに任せることになり、これにより発売を早めることができる。ひいては、Nikolaの投資家により早くリスクを抑えつつ利益を還元することになる。GMにとっては、少なくとも名目上は勢いのある大きな資産を手にすることになる。

関連記事:

カテゴリー:モビリティ

タグ:Nikola General Motors 電気自動車

画像クレジット:Nikola Motor

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

GMとフォードが新型コロナで米政府と契約していた人工呼吸器生産を完了

米国内での新型コロナウイルスの広がりを受け、数多くの自動車会社やメーカーが個人防護具や人工呼吸器の不足を補おうと工場を改造する計画を発表した。

そしていま、米自動車メーカー2社がそれぞれ結んでいた数百万ドル規模の人工呼吸器製造の契約を完了した。2社合わせて8万台を米政府に納入した。

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は9月1日、3万台の救命救急人工呼吸器を国家戦略備蓄向けに製造するという米保健福祉省(HHS)との契約を完了させたと発表した。GMは人工呼吸器の多くは病院に配備されたと述べた。Ford(フォード)でも契約の人工呼吸器5万台の製造が完了したBloomberg記事)

GMとフォードは単独で取り組んだわけではなかった。両社ともまったくゼロの状態から5カ月以内に数千台の製造体制に加速させるのにパートナー企業と力を合わせた。GMはインディアナ州ココモのエンジンプラントで従業員1000人体制で人工呼吸器を製造するのにVentec Life Systems(ベンテック・ライフ・システムズ)と提携した。GMとVentecの提携は、新型コロナ問題への対応としてし企業のマッチングをコーディネートするStopTheSpread.orgの取り組みから生まれたものだ。

一方、フォードはGE Healthcare(GEヘルスケア)と提携して、ミシガン州ローソンビルロードにあるプラントで人工呼吸器を製造した。フォードの3億3600万ドル(約357億円)の契約は、8月28日にモデルA-E人工呼吸器の最終ユニットを出荷して完了した。フォードの契約は当初7月中旬に完了するとされていたが、Bloombergによると、パーツ生産の新規サプライヤーの影響で遅れが生じた。契約の延長はHHSに認められた。

契約初期に両社はトランプ大統領に批判され、攻撃さらされたが、結局大統領は両社の取り組みを称賛した。

両社の生産は拡大し、車両やパーツの組み立てに使われていたかなりの工場を医療機器製造施設へと変換できることを示した。GMはVentecとの提携を発表する前に、VentecのVOCSNという救命救急人工呼吸器の製造に必要な700以上の部品を確保できるかどうか調査しさえした。VOCSNは2017年にFDA(米食品医薬品局)に承認された多機能人工呼吸器だ。

GMは当初、製造費用を7億5000万ドル(約797億円)と見積もった。ここには、エンジンプラントの改造、人工呼吸器製造のための材料購入、製造に従事する労働者1000人の賃金などが含まれる、と情報筋は話した。しかし、トランプ政権は見積もり額に尻込みし、契約を保留した。最終的にGMは8月末までに人工呼吸器3万台を製造するという4億9000万ドル(約520億円)の契約を政府と結んだ。この契約のもとで、GMは400種類パーツから構成される、VOCSNよりもシンプルなタイプのVOCSN V+Proという別の人工呼吸器を製造した。VOCSNのほうが高価で多機能性を備えた複雑な機器だ。

フォードとGMはまた他の医療用品も手掛けた。Apolloというプロジェクトを展開したフォードは3M(スリーエム)とのコラボレーションで、フェースシールド1900万個、フェースマスク4200万枚、洗濯可能な予防衣160万着、電動ファン付き呼吸用保護具3万2000点を生産した、と述べた。

GMはウォーレンにある施設にフェースマスク生産ライン2つ、N95医療用マスク生産ライン1つを稼働させていると話した。これまでにマスク1000万枚を生産し、GM施設で働く従業員向けと地域組織への寄付用のマスクの生産を続けている、と述べた。

画像クレジット: AJ Mast / GM and Ventec

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

GMがコルベットのエンジニアリングチームをEVと自動運転に配置換え、オール電化の未来にコミット

GM(ゼネラル・モーターズ)は、ミッドエンジンのChevrolet Corvette(シボレー・コルベット)を担当するエンジニアリングチームを同社の電気自動車および自動運転プログラムの研究・開発部門に移動させたことを明らかになった。「将来のEVバッテリーシステムとコンポーネントが提供できるものについて『限界を押し広げる』ことを目的としている」と社内のメモには書かれている。

GMのグローバル製品開発・購買・サプライチェーンを担当するエグゼクティブ・バイス・プレジデントのDoug Parks(ダグ・パークス)氏が社内に送ったメモによると「コルベットのチームは、自動車メーカーのグローバル製品チームから、Ken Morris(ケン・モリス)氏が率いる自律・電気自動車プログラムに移る」と発表された。メモによると、この異動は9月1日に発効するという。この変更はInsideEVsが最初に報じた。

「GMはオール電化の未来にコミットしています。スーパーカーの性能、デザイン、達成可能性を再定義したチームを重要な役割に配置し、同じ高水準のEVの統合と実行を支援することに興奮しています」とモリス氏は電子メールでの声明で語った。

そのメモの中でパークス氏は、今回の異動は「このすでにダイナミックなチームが、将来のEVバッテリーシステムとコンポーネントが、顧客に興奮とスリリングなパフォーマンスを提供する際に、何を提供できるのかという境界線をさらに押し広げるのに役立つだろう」と述べている。コルベットチームは、ミッドエンジンのコルベットを発売して世界的に高い評価を受け、自動車の歴史の中で最も多くの賞を受賞した車の1つとなったことで、顧客や評論家を喜ばせることに精通しています」と続ける。

今回の交代でコルベットチーム全体が混乱することはない。Tadge Juechter(タッジ・ジュエヒター)氏は引き続きグローバル・コルベットのエグゼクティブ・チーフ・エンジニアとして、新モデルが市場に投入される際にもチームを率いていく。コルベットのチーフエンジニアであるEd Piatek(エド・ピアテック)氏は「将来の製品」のチーフエンジニアに就任するが、引き続きレポートライン、つまり直接の上司はタッジ氏となる。メモによると、ピアテック氏はこの新しい役割の下、組織全体で将来のEVプログラムに取り組むことになるという。ピアテック氏の後任としては、コルベットのプログラム・エンジニアリング・マネージャーを務めてきたJosh Holder(ジョシュ・ホルダー)氏がグローバル・コルベットのチーフエンジニアに昇格する。

今回の組織変更は、GMが電気自動車や自動運転車技術への投資を相次いで発表したことを受けてのもの。1月には、デトロイト・ハムトラムクの組立工場に22億ドル(約2300億円)を投資し、全電動トラックとSUVを生産し、子会社のCruise(クルーズ)が発表した自動運転車も生産すると発表した。GMは、新型電気トラックの発売に関連して、サプライヤーのツーリングやその他のプロジェクトに8億ドル(約843億円)を追加投資する。

GMはこの新しいプログラムを、2021年後半に生産を開始する全電動ピックアップトラックでキックオフする。また、ライドシェアリング用に設計された電動自走シャトルであるCruise Origin(クルーズ・オリジン)は、デトロイト地区の工場で生産を開始する2台目の車両となる。先月、GMは2023年までに20台の電気自動車を納入する予定であると発表したが、そのほとんどはUltium(ウルティウム)呼ばれる同社の新しいモジュール式EVアーキテクチャを採用する予定だ。

GMはすでに約300万平方フィート(27万8700平方m)の工場を建設中で、今後3年以内に電気自動車を市場に投入するという同社の戦略の要となる、Ultium電池セルとパックを大量生産する予定だ。オハイオ州ロードスタウンのUltium Cells工場の電池セル製造施設は、12月に発表されたGMとLG化学の合弁事業の一部だ。

画像クレジット:GM

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

GMがオール電化のChevy Boltシリーズ2モデルを発表、ハンズフリー・アクティブドライバー支援システムを搭載

GM(ゼネラル・モーターズ)は米国時間8月26日、2つのバージョンのオール電化のChevy Bolt(シボレーボルト)シリーズを発表した。 2017年に電気自動車市場に参入した同社は、Tesla(テスラ)のModel 3から売り上げを奪い取ろうとしている。

フル充電で238マイル(約380km)の航続距離性能を備えた全電気式ハッチバックとして登場したボルトEVだったが、ここ数年はTesla Model 3に後れを取っている。現在GMは、ボルトEVの改良版とクロスオーバー車の改良版を来年夏に発売する準備を進めている。同社によると、どちらの車も2021年夏には生産を開始する予定だ。現在、ショートクリップを含むティーザーサイトが公開されている。

画像クレジット:GM

GMは今春のEVデーに新型のボルトEVとボルトEUVの詳細を発表し、本日同社はプロフィールを見せるためにベールを外したわけだ。

新型ボルトEUVで注目すべき点は、LIDAR用地図データ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用するGMのハンズフリー・アクティブドライバー支援システムであるSuper Cruise(スーパークルーズ)と、ハンドルの後ろにいる人が注意を払っているかどうかを監視する「ドライバーアテンションシステム」が搭載される点だ。

画像クレジット:GM

スーパークルーズは現在市場に出回っているものの中では最も有能な部類に入ると思われるが、搭載されているのはCadillac(キャデラック)の数車種に限られている。GMが2017年にスーパークルーズを発売した当時は、大型セダン「CT 6」の1車種に限定されていたほか、専用道路のある高速道路での使用に限られてきた。GMはこれを徐々にほかのキャデラック車にも展開しており、いずれはほかのブランドにも拡大するとしている。

画像クレジット:GM/ Photo by Steve Fecht

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)