Googleの機械学習がスマートデバイス上で天気と気温に応じたアラームを即興

Lenovo(レノボ)のSmart ClockやAmazon(アマゾン)のEcho Show 5などのスマートディスプレイが登場すると、まず実装されるのが目覚まし時計の機能だった。Lonovo、Amazon、Googleなどはそれぞれ機能やデザインに工夫を凝らしている。

米国時間12月10日の朝、Googleはスマートディスプレイの目覚まし時計に新しい機能を付け加えた。これはImpromptu(即興演奏)と呼ばれるアラームメロディーのカスタマイズ機能で、機械学習アルゴリズムが天気や設定時刻などの情報を利用してその状況にふさわしいアラーム曲を作る。

ちなみに下が気温10℃のときの早朝向けのアラームだ(クリックで再生)。

ガーシュインのピアノ風だが、目覚ましサウンドとしては悪くなさそうだ。

本日朝に公開されたGoogleのブログ記事によれば、このカスタムリングトーンは同社のオープンソースAIプロジェクトであるMagentaを利用したものだという。

MagentaはGoogle Brainのチームがスタートさせた作曲、作画のためのプロジェクトだが、もちろんGoogleの他の部門のエンジニアも多数が協力し、重要な貢献をしてきた。.

我々は作曲、画像処理、描画などさまざまな分野でディープラーニングと機械学習のアルゴリズムを新たなレベルに強化している。その一環がアーティストやミュージシャンが利用できるモデルをスマートツールとそのインターフェイスで構築することであり、ツール、モデルとも(オープンソースの)TensorFlowライブラリに登録され、GitHub上で公開される。

新機能は本日公開される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google、AIから偏見を排除する方法を研究中

Artificial intelligence and cybernetics

ガーベージイン・ガーベージアウト ― これは常にコンピューティングのルールであり、機械学習も例外ではない。基本的ぬAIは、教えられたことしか知らないので、データに何らかの偏見があれば、それに基づいて訓練されたシステムもそうなる。Googleは、そんな厄介で深刻な問題を引き起こしかねない状態を、”Equality of Opportunity” [機会均等]と名付けた方法を用いて系統的に回避しようとしている。

機械学習システムは、基本的に様々なデータ集合の性質学習する予測エンジンから成り、新たなデータを与えられるといくつかあるバケツのどれかに分類する。画像認識システムなら、車のタイプの違いを学習し、それそれの写真に「セダン」「ピックアップトラック」「バス」等のラベル付ける。

間違いは避けられない。スバルのBRATやシボレーのEl Caminoを考えてみてほしい。コンピューターがどう判断するにせよ、それは間違っている。この少数しか存在しない車両タイプのデータを十分に持っていないからだ。

この例の誤りから起きる問題は取るに足らないだろうが、もしコンピューターが車でなく人間を調べ、住宅ローン不払いのリスクによって分類したらどうだろうか? 共通パラメーターから外れた人々は、システムがデータに基づいて良好と考える条件に当てはまらない可能性が高くなる ― それが機械学習のしくみだからだ。

グループのメンバー情報に、繊細な属性、例えば人種、性別、障害、宗教等があった場合、不公平あるいは偏見をともなう結果を招きかねない」とGoogle BrainのMoritz Hardtがブログに書いている。「ニーズがあるにもかかわらず、繊細な属性に基づくこの種の差別を防ぐための十分吟味された方法論が、機械学習には存在しない」

Hardtは、同僚のEric Price、Nathan Srebroと共同で、この種の結果を避ける方法を説明した論文をまとめ、この種の結果を避ける方法を記載した。次のような数式がたくさん書かれている。

Kolmo-what now?

Kolmo-what now?

しかし要点はこうだ:望ましい結果が存在し、誤った属性のために正しい結果を得られない可能性があるとき、アルゴリズムが自らを調整して、その属性によらず結果の分布が均等になるようにする ― 即ち、本質的でない属性間に等しい価値を置くようシステムを訓練する。

チームが作ったこのインタラクティブ・チャートを使うと直感的に理解できるだろう。これは道徳的に正しい数字をひねり出すためのものではない。モデルの結果はむしろ予測を正確に反映している。もし、ある属性に意味があるなら ― 地域に基づいて信仰する宗教を計算したり、性別による医学的予測を行う場合等 ― それを判定基準に含めればよい。

機械学習が多くの業界で急速に広まる中、Googleの取り組みは実に思慮深く、極めて意義が大きい。新たなテクノロジーの限界とリスクをよく理解しておくことは大切であり、これは地味だが重要な活動だ。

著者らはNeural Information Processing Systems会議で論文を発表する — 誰もがバルセロナを訪れる良い理由だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのAIが初期のCasioのシンセに匹敵する音とメロディーを作り出す

burning-man-piano

それは1989年だった。親たちはベルリンの壁が取り壊されるのを見ていたが、あなたは二階の自分の部屋でCasio SA-1の電池を交換し、コンサートに備えていた。それが叩き出すビートは熱い。あなたはデモ曲“Wake me up before you go-go”聴き、自分もやる気むんむんとなる。100種類ある音色の02番、”HONKY-TONK PIANO”を選ぶ。そのプラスチック製の象牙(鍵盤)をまさぐり、気分は絶好調。さあ、行くぜ!

しかし、ここまで^

悪くないね、そう思わない? でもこいつは、当時7歳の練習熱心な子の迷演ではなくて、人工知能が作ったオリジナル曲だ。そのAIを作ったのはGoogle ResearchというかGoogle Brainの連中。すでに記事のタイトルにあるから、驚かなかったと思うが、タイトルを飛ばしていきなり本文を読んだ人は、どうだったかな? ( )。

これは、“マシンインテリジェンスに音楽やアートの高度な生成能力を持たせるための研究プロジェクト”Magentaの、最初の公開出力だ。プロジェクトのサイエンティストの一人Douglas Eckによると、機械学習は発話認識(speech recognition)のような比較的単純明快なタスクではかなり進歩してきたが、でもそれは、たとえば、音の並びが音楽と呼べるためには何がどうあるべきか、を学習できるだろうか? あるいは、アートとして鑑賞できる色や言葉の並びを? へんてこな詩(PDF)を作ったことは、あったけど。

“発話認識や、翻訳、画像アノテーション〔タグ付けなど〕などでうまくいったやり方を基盤として、アートや音楽を創造できるすばらしいツールを作れる、と信じている”、とEckは書いている。

クリエイティブなワークは何でもそうだが、Magentaもまず必要なのは練習、そしてフィードバックだ。そのためGoogleは、クリエイティブとプログラミングの両方の分野に、コミュニティへの参加を呼びかけている。コードのチェックや、データの供給などのためだ。このプロジェクトはGitHubに置かれ、Google自身のオープンソースの機械学習プラットホームTensorFlowも利用できる。あなた自身の、フォークを作ってみよう。

研究者たちが初めて、コンピューターに作曲をさせてみたのは、もうかなり昔の話だ(数十年前)。でもGoogle Researchの潤沢なリソースと頭脳があれば、Magentaはもう一歩二歩進んだ結果を見せてくれるかもしれない。

このプロジェクトの今後の進捗は、Magentaのブログでチェックできる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))