子供に照準を合わせたフィンテック「Greenlight」がシリーズDで283億円調達、評価額は約2倍の2500億円に

子どもにやさしい銀行口座として親に売り込んでいるフィンテック会社のGreenlight(グリーンライト)が、シリーズC調達ラウンドで2億6000万ドル(約283億円)を調達した。評価額は約2倍増の23億ドル(約2500億円)だった。

今回のラウンドは、ジョージア州アトランタ拠点のスタートアップが、12億ドル(約1300億円)の評価額で2億1500万ドル(約230億円)を調達してからわずか数カ月のことだ。最新ラウンドの結果、Greenlightの2014年創業以来の調達総額は5億5500万ドル(約600億円)を超えた。

シリーズDをリードしたのはAndreessen Horowithz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)で、他に既存出資者のTTV Capital、Canapi Ventures、Wells Fargo Strategic Capital、BOND、Fin VCおよびGoodwater Capital、新規出資者のWellington Management、Owl VenturesおよびLionTree Partnersが参加した。

2017年に子ども向けデビットカードを発行して以来、同社は300万以上の親と子どものために口座を開設し、アプリを通じて1億2000万ドル(約131億円)以上の預金を集めた。2020年9月に資金調達した際は口座数200万件、預金額5000万ドル(約54億円)だった。

全体では、前年比で売上は「3倍以上」、プラットフォームの親と子の人数は2倍以上に増え、過去1年間にチームの人数は2倍になった、とGreenlightはいう。

画像クレジット:Greenlight

「Greenlightはファミリー財務分野でまたたく間にリーダーになりました」とAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーでGreenlightの取締役に就任予定のDavid George(デビッド・ジョージ)氏は声明で語った。「Greenlightは、親が財務に明るい子どもたちを育てる手助けをするために作られ、その使いやすい金銭管理ツールと教育コンテンツの画期的な組み合わせによって、同社は世界で最も愛され信頼される家族向けブランドになる好位置にいます」。

会社は自らのサービスがデビットカードだけでなく、アプリを使って親が口座に入金し、お小遣いやお駄賃を渡したり、子どもたちの使えるお金を管理したりできることをアピールしている。2021年1月、Geenlightは子どものための教育投資プラットフォームであるGreenlight Maxを立ち上げた。このプラットフォームを通じて、子どもたちはMorningstarによる分析とともに株式を調査できるほか、親が承認すれば、Apple(アップル)、Tesla(テスラ)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)などの企業に実際に投資することもできる。

以前、TechCrunchが報じたように、これは世代全体を財務サービスプラットフォームに囲い込める可能性のある大きなビジネスであり、おびただしい数の会社が似たような看板を掲げて参入している理由の1つだ。Kard(カード)、Step(ステップ)、Till Financial(ティル・フィナンシャル)、Current(カレント)などが米国内で同様のビジネスを展開しており、Y Combinatorから最近出てきたMozper(モズパー)は、ラテンアメリカにこのモデルを持ち込もうとしている。(StepCurrentも大型ラウンドを本日、4月27日に発表しており、Till Financialはシードラウンドを先週発表した。ちなみにa16zはCurrentのラウンドもリードしている)。

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「私たちGreenlightのビジョンは、子どもたち全員が財政的に健康で幸福な人間に育つ世界を作ることです」とGreenlightの共同ファウンダーでCEOのTim Sheehan(ティム・シーハン)氏は語る。

パンデミックによって、パーソナルファイナンス(個人の財政)の良い習慣を身につけることの大切さがますます強くなっている、と同社はいう。

「家族が一緒に過ごす時間がかつてないほど増え、多くの人達がこれを子どもたちにお金について教える良い機会だと捉えていることで、当社製品に対する需要は高まっています」と同社はいう。

Greenlightの共同ファウンダーであるティム・シーハン氏とJohnson Cook(ジョンソン・クック)氏(画像クレジット:Greenlight)

Greenlightは新たな資金を、プロダクト開発を加速してプラットフォームに財務サービスを追加するとともに、戦略的販売パートナーへの投資と地域の拡大に使うという。現在の従業員275名に加えて、今後2年間にあと300名を雇い、特にエンジニアを増やす計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Greenlight子ども資金調達デビットカード

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ用ワクチンの早期開発に欠かせない伝令RNAの生成技術を持つGreenLight Biosciensesとは

新型コロナウイルス(COVID-19、SARS-CoV-2)ワクチンを開発している医薬品会社が現在頼りにしているのがmRNA(伝令RNA、タンパク質生成の命令を出す)ワクチンだ。mRNAは比較的新しい手法で、動物を治療するために承認された例があるが、人体への利用はまだ承認されていない。そして、mRNAの生成はかなり特殊な作業だ。しかし、このほどmRNAの生成に特化したバイオ技術スタートアップが、製造能力拡大のための特別目的ファンドとして1700万ドル(約18億2200万円)を調達した。

ボストン拠点のGreenLight Biosciences(グリーンライト・バイオサイエンス)は、既存および新規の出資者から新たな資金を引き出した。Flu Lab、Xeraya Capital、Baird Capitalらが出資した資金は同社のmRNA生産能力の強化に用いられる予定で、世界中で実施されるであろう新型コロナウイルスワクチンの試験、および効果が証明された場合の「数十億投与」分の生産に寄与することになる。

ちなみにGreenLightは、そのmRNAを利用して新型コロナウイルスによる感染を予防するワクチン候補も何種類か独自に開発している。資金の一部はこれに充てられる。

新型コロナによる世界的パンデミックを受け、さまざまな企業がmRNAワクチン候補の開発に力を入れており、すでに臨床試験に入っているところもある。この種のワクチンは人間の細胞に対して、ウイルスをブロックする能力のあるタンパク質を生成する特殊な命令群を送り込むことで、ウイルスが足場を築くのを防ぐ。これは従来のワクチン開発が、実際のウイルスの無効化されたものあるいは少量を投与して免疫反応を誘発するのとは異なる手法だ。

mRNAワクチンは実際のウイルスを含まないため比較的安全であり、かつ非臨床開発時間を短縮できるという利点がある。これは試験から接種までの開発時間全体が短縮されることを意味している。この分野が注目を集め、パンデミックによってさらに投資熱が高まっている理由はそこにある。しかし、上記のとおり開発が完了し、人体の治療が認められた例はまだ存在しない。

この投資は、mRNAワクチンが人体に有効であることが証明されるだけでなく、このパンデミックに限らずインフルエンザなど既存のウイルスによる脅威も抑制する有効な手段になることへの大きな賭けである。

画像クレジット:JUAN GAERTNER/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

子ども向けデビットカードのGreenlightが750万ドル調達

僕が子供のとき、両親からお小遣いとして現金をもらっていた。デパートで欲しいものを買ってもらう時にも現金をもらっていた。でも、今や現金を使う人などいるのだろうか?

Greenlightは子供向けのデビットカードを提供するスタートアップだ。モバイルアプリを使ってこのカードの残高をチャージすることができ、子供が購入するものに制限をかけることも可能だ。

サービス開始からまだ6ヶ月にも満たないが、同社はすでに1万人の有料ユーザーを獲得している。そんなGreenlightは今回、Relay Ventures、Social Capital、New Enterprise Associates(NEA)、TTV Capitalなどから750万ドルを調達したと発表した。同社は今回調達した資金を人材採用と顧客獲得のための投資に充てるとしている。

Greenlightの共同創業者兼CEOであるTim Sheeran氏は、彼自身が感じていた不便さを解決するために同社を立ち上げた――その不便さとはつまり、自分の財布に現金がない時には子供にお金を与えることができないというものだ。親世代に向けたアンケートを行ったところ、この不便さを感じているのは彼だけではないことが分かった。また、子どもにお金に関する教育をしながら、お小遣いの使い道を監視する方法を親たちが探していることも分かった。

Greenlightのデビットカードを使うことで、親たちはコントロールがきいて透明性の高いお小遣いを子どもたちに与えることができる。口座情報や取引情報を管理できるモバイルアプリ付きだ。

比較的安価な月額料金を払えば、即座にデビットカードの残高をチャージしたり、子どもが買い物したときに通知を受け取ったり、子どもの買い物にお店レベルで制限をかけたりすることができる。お小遣いをあげるという行為を自動化したり、紛失したときにカードを停止することも簡単にできる。

Greenlightがターゲットにしているのは、8歳から18歳の子どもがいる家庭だ。月額料金は4.99ドル(約550円)で、1家族につき最大5枚のカードを発行できる。大抵、子ども1人ごとに専用の銀行口座を開設するよりも簡単で、しかも安い。銀行口座の開設には年齢制限や要求される残高基準があったり、思いもしなかった手数料が後からかかったりもする。

Greenlightが得る収益は、カードの月額料金とカードの利用に際するインターチェンジ・フィーだ。しかし、ATMの利用手数料やユーザーが負担する取引手数料はかからない。

[原文]

(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter