Apache Sparkの技術を応用するDetermined AIがAI開発を民主化

深層学習では、データサイエンティストは、かなり反復的なプロセスによってモデルを設計し、GPUを利用したシステム上でテストすることになる。そうすることで、はじめて機能するものを手にすることができる。それには、多大な費用と時間がかかる。適切なモデルを仕上げるのに数週間かかることもざらだ。新しいスタートアップDetermined AIは、そこにメスを入れ、そのプロセスをより速く、安く、そして効率的なものにしたいと考えている。そして今日、1100万ドルのシリーズAの資金を得て忽然と表舞台に姿を現した。

今回のラウンドは、GV(かつてのGoogle Ventures)が主導したもので、Amplify Partners、Haystack、さらにSV Angelの協力も取り付けている。同社はすでに2017年、260万ドルのシードラウンドがあったことも発表した。現在までにトータルで1360万ドルを調達したことになる。

Determined AIの共同創立者兼CEOであるEvan Sparks氏によれば、これまでは、Facebook、Google、Apple、Microsoftのような巨大企業だけが、自動運転や音声認識技術など、高度なAIを生み出すためのインフラとシステムを構築することができたのだという。「私たちの考えでは、そうしたことが可能な大きな理由は、それらの大企業はみな社内にソフトウェアのインフラを持っていることにあります。それによって、機械学習のエンジニアとデータサイエンティストのチームは効率的に仕事ができ、素早くアプリケーションを生み出すことができるのです」と、Sparks氏はTechCrunchに語った。

Determined AIのアイデアは、クラスタ計算機のリソース管理からワークフローの自動化まで、すべてを扱えるソフトウェアを作成すること。それにより、大企業と同様の技術を、あらゆる組織の手の届くところに引き寄せることができる。「私たちの使命は、そのソフトウェアを他のみんなのために開発することです」と彼は述べた。ターゲットとする市場は、Fortune 500や、Global 2000に含まれているような企業となる。

同社のソリューションは、カリフォルニア大学バークレー校のAmpLabでの、ここ数年間の研究成果に基づいている。同研究室は、ビッグデータを扱うクラスタ計算機のフレームワーク、Apache Sparkを開発したことでもよく知られている。その研究室で培った知識を使って、顧客のGPUリソースをより有効に活用できるようにするための高度なソリューションを開発したのだ。

「私たちが提供するは、スケジューリングとリソース共有のための一種の基礎レイヤーです。それによって、そうした非常に高価なリソースを扱います。その上に、ワークフローを自動化するための、いろいろなサービスのレイヤーを重ねるのです」と、Sparks氏は説明する。これまでにチームが達成した最先端の成果によれば、現在ほとんどの会社が使っているツールに比べて、5倍から50倍も高速化を実現できるという。

今のところ、このスタートアップは、顧客が現在利用可能な一般的な種類のソリューションから、よりカスタマイズされたアプローチに移行するのを支援しようとしている。そこでは、Determined AIのツールを使って、AIの生産プロセスをスピードアップすることができる。今日のラウンドから得た資金は、成長を促進させ、エンジニアを増強し、ソリューションを開発し続けることを可能にするはずだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GoogleがAIスタートアップ育成専門のVCを立ち上げたらしい

Axiosの記事によると、Googleは人工知能にフォーカスした新しいベンチャーキャピタル事業を立ち上げたようだ。

Googleがコメントを拒否したその記事は、新しいVCの立ち上げは長年Googleのエンジニアリング担当VPだったAnna Pattersonが指揮し、Alphabet Inc.のVC部門GVで仕事をしているベンチャー投資家ではなく、エンジニアたちの輪番制で起業にあたった、という。

GoogleのCEO Sundar Pichaiが先日のI/Oカンファレンスで“モバイルファースト”から“AIファーストへ”、と宣言したぐらいだから、同社がAI専門の投資部門を立ち上げても不思議ではない。

今年のI/Oでは、発表されるもののほとんどすべてが、AI絡みだった。Tensor Processing Unit(TPU)のアップデートがあり、研究用にも企業用にもAIのモデルの教育訓練と実行が速くなったと謳われた。Google HomeやPixelスマートフォンから提供されるパーソナルアシスタントGoogle Assistantは、新しいAI技術のおかげで会話の能力が一層充実すると約束された。

データサイエンスと機械学習のコンペを主催するKaggleを買収したことも、今回のAI投資部門の新設と無縁ではないだろう。

Axiosによると、PattersonとGoogleは、必要ならGVからの共同投資も行う、という。投資案件のサイズは、当初100万ドルから1000万ドルまで程度、ということだが、全体で年間どれぐらいの投資規模になるのか、その話はまだない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

金属部品用の3Dプリンター「Desktop Metal」がBMWなどから4500万ドルを調達

A background from many historic typographical letters in black and white with white background.

金属部品を製造できるデスクトップ型3DプリンターのDesktop Metalは現地時間2月6日、シリーズCで4500万ドルを調達したと発表した。Desktop Metalは、従来の金属加工機械を稼働させるスペースを持たなかったり、資金的なリソースを持たない小規模ビジネスやデザイナーに金属製品を製造する手段を提供している。本調達ラウンドでリード投資家を務めたのはGV(以前のGoogle Ventures)で、他にもBMW iVenturesLowe’sの投資部門なども参加している。今回調達した資金を合わせ、Desktop Metalはこれまでに合計で9700万ドルを調達済みだ。

金属部品を製造する3Dプリンターを利用することで、医療機器やロボット、F1カーや宇宙船などの各種車両のテスト部品を製造することができる。しかし、3D SystemsEOSArcamなどが販売する産業用の3Dプリンターはとても高価なものであり、その値段は何十万ドルにもなる。

創業者兼CEOのRic Fulop氏は、かつてバッテリーを製造するA123 Systemsを創業した人物。彼は資金調達を伝えるプレスリリースのなかで、今回調達した資金によって同社初の3Dプリンターを研究開発フェーズからプロダクション・フェーズへと押し上げることができると語っている。彼自身、Desktop Metalを創業する以前からこの業界にある複数のスタートアップにアドバイザーとして参加したり、出資を行ったりしていた人物でもある。North Bridgeのパートナーだった彼は、当時MarkForged、OnShape、ProtoLabs、SolidWorksなどへの出資を担当していた。

Fulop氏はまだ、Desktop Metalに使われているテクノロジーの詳細を明かしていない。しかし、彼はTechCrunchに金属の加工にはレーザーを使用していないことを教えてくれた。Desktop Metalは同社製品である3Dプリンター、およびそれに使用される合金を販売することで収益をあげる。同社の3Dプリンターを使用すれば、金属製のプロトタイプや部品を製造して、すぐにそれを試してみることが可能だ。エンジニアが道路の上で作った「キャブレター」をその場でクルマに取り付けることなんかもできる。

Fulop氏は、Desktop Metalは様々な業界に急速に普及する可能性をもったプロダクトだと話す。「コンピューターや自動車、医療機器から産業用機械にいたるまで、私たちは何らかの金属部品を使用したモノに囲まれています」と彼は話す。「たとえ今は、3Dプリンターによって製造される部品の割合は全体のほんの一部分でしかないとしても、現在世界中で製造されている金属部品の総額は12兆ドルにもなります」。今回の調達ラウンドに参加したBMWやLowe’sや、前回のラウンドに参加したSaudi AramcoやGEといった戦略的出資者たちは、この点に目をつけたのだ。

マサチューセッツ州バーリントンを拠点とするDesktop Metalの競合企業として、イスラエルのXJetなどが挙げられる。また、デスクトップ型3Dプリンターに利用できる金属を混ぜ込んだプラスチック・フィラメントを開発するVirtual Founderも競合企業の1つだ。

BMW iVenturesのマネージングパートナーであるUwe Higgen氏によれば、Desktop MetalはミュンヘンにあるBMWの施設で、クルマ業界における同製品の利用可能性を探っている最中だという。また彼は、今回調達した資金を利用してDesktop Metalは第1号プロダクトを発売する予定だと話す。加えて、ローコストな金属部品の製造手段は、クルマのデザインや開発の現場に即効性のあるインパクトを与える可能性を秘めていると彼はいう。長期的には、「この種のテクノロジーによって、クルマ業界や他の業界の部品製造の現場に存在した様々な問題が解決されることになるでしょう」とHiggen氏は話している。

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(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter