ハードウェア音痴が物のインターネットのアプリケーション開発を容易に試行できるWunderBarセンサモジュールキット

【抄訳】

ヨーロッパのスタートアップrelayrは、昨年の1月に創業され、今でもアクセラレータStartupBootcampの屋根の下にいるが、このほど、将来の市場が大きいと言われる物のインターネット(Internet of Things, IoT)のためのアプリケーション開発をデベロッパが容易に実験できるためのハードウェアキットで、クラウドファンディングによる資金募集を開始した。

たとえばそれは、オフィスのビール用冷蔵庫を誰かが開けたことを知らせてくれるアプリケーションでもよいし、センサのグローバルなネットワークから得られる気温データを共有するアプリケーションでもよい。ネットワークI/Oのうち、I、またはO、またはその両方が人ではなく「物」であるネットワークアプリケーションを物のインターネットと総称している。ちなみにここで例として挙げた二つのアプリケーションは、どちらもIだけが「物」だ。

Relayrは、どこにでも置けて、ワイヤレスでネット上に信号を送出するセンサ素子として、上図のような板チョコ状のブロックを考えた。これらの信号を受信して何かをするソフトウェアは、AndroidやiOS、あるいはNode.jsで動く。

このハードウェアキットはWunderBarと名づけられ、合計7つの‘板チョコ’から成る。資金提供額の大きい人には、このほかに、これらのセンサモジュールのためのケースも提供される。センサモジュールは、温度、近接性、光、色、湿度、動きの6種類、残る1つのモジュールはARMのプロセッサとWiFiチップを搭載したメインモジュールだ。

WunderBarの狙いは、IoTのアプリケーション開発を試行するデベロッパに、センサの取り付けや配線、ハンダ付けなどで苦労をさせないことだ。またこれらのモジュールの利用を前提としたアプリケーション開発のための、ライブラリやチュートリアルも提供される。

適当なセンサモジュールをどこかに置けば、すぐにそのためのソフトウェアを書き始めることができる、そんな簡便さがねらいだ。

relayrの協同ファウンダJackson Bondは次のように語る。“ハードウェアのレベルではいろんな“メーカー”指向のプロジェクトが出回っているが、われわれの調査によると、ハードウェアにすぐに対応して仕事ができるアプリケーションデベロッパはあまりいない。うちのハードウェアキットを使えば、ハードウェアのことを何も知らなくても仕事ができる。多くのソフトウェアデベロッパにとって、便利な環境を提供できると信じている”。

センサモジュールからのデータの転送やアップロードにはBluetooth Low EnergyとWiFiを利用し、すでに用意されているSDKとAPIを使ってデベロッパはふつうにプログラムを書ける。個々のセンサモジュールには、LEDライト、ボタン、そして専用の電池がある。なお、BLEはセンサモジュールとメインモジュール間の通信に使われ、WiFi機能はメインモジュール上にある。

類似製品として、医療用機器の開発試行を行うためのバイオセンサキットBITalinoがあるが、WunderBarは分野を特定しない実験用キットだ。なお6つのセンサモジュールのうち2つは、中に入れるセンサのタイプがクラウドファンディングにおける投票で決められる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Revolveは手頃な価格で簡単にスマートホームを実現する―モノのインターネット、さらに一歩前進

ホームオートメーションという考えは別に新しいものではない。何十年も前から家庭の器具や設備をインターネットに接続しようとする努力が続けられてきたが、たいていは手間や価格に見合わない効果しか得られなかった。しかしそこに「モノのインターネット」(Internetof Things)が登場した。

スマートスピーカーのSonos、スマート照明のHue、スマートロックのKwiksetなとはどれもロケット科学者でなくても誰でも簡単に設定して利用できるプロダクトだ。箱を開いて説明書のとおりにスマートフォン・アプリをインストールするだけでよい。すばらしい。しかしスマートデバイスの数が増えてくると、それぞれ個別のアプリで操作するのは煩わしくなってくる。

そこにコロラド州ボウルダーに本拠を置くTechStar出身のスタートアップRevolvが登場した。299ドルのデバイスで、家中のスマートデバイスをコントロールするハブとなってくれる。統合スマートホームシステムの完成だ。スマートデバイスが普及するにつれて多数のスマートデバイスを一括してコントロールできるシステムが必須になってくる。Revolvはその最初の重要な試みだ。いわばモノのインターネット実現における「ミッシング・リンク」といえる。

私の家にはNestのサーモスタットWeMo照明スイッチ 、Kwiksetのロックなどのスマートデバイスが設置されている。これまではそれぞれのアプリで個別に管理しなければならなかった。同じ家に設置されていてもスマートデバイス同士はお互いを知らない状態だ。NestはKwiksetと会話できず、したがって玄関のKwiksetが解錠されたらエアコンの温度を上げるようNestに指示することもできない。

Sonosのオーディオシステム、PhilipsのHue照明、Insteon、GEスマートシステムなどが設置された家では話はもっと複雑になる。Revolvは多数のスマートデバイスの管理ダッシュボードを一つにまとめるだけでなく、あらかみめさまざまな自動化マクロが用意されている。

Revolvのスマートアクション機能は意味的に同一の機能をまとめてコントロールできる。たとえばオーナーの位置情報について、家から100ヤード以上離れた場合の動作を複数のデバイスに指定できる。つまりNestに玄関の施錠させ、エアコンを停止し、Sonosには留守番の犬のためのBGMを流させる。逆にオーナーが100ヤード以内に入ったら玄関を解錠し、エアコンを作動させ、Sonosで好みの音楽を流す、などだ。

これにBelkinのWeMo照明スイッチ、PhilipsのHue照明システムなどが加われば応用範囲はさらに広がる。アロマ・キャンドルを温め、足湯を用意し、照明を落としてリラックスして映画を見る雰囲気を作ることもできる。


設定は驚くほど簡単だ。Revolvを電源に接続し、スマートフォンにアプリをインストールする。あとはアプリのガイドに従えばよい。一部のスマートデバイスは自動的にRevolvを認識して接続が完了するが、マニュアル操作が必要なデバイスもある。Kiwkset錠の場合は裏面の小さなボタンをいくつか押す必要があった。

Revolvもまだ完全ではない。たとえばまだ複数のスマートフォンを認識しない。私が家から100ヤード離れると、妻が家にいても自動的にエアコンを切ってしまう。しかしこうした点はすぐに改良されるだろう。

家にスマートフォンでコントロールされるスマートデバイスを複数設置しているならRevolvは文句なしに買いだ。話の種になるだけでも価格だけの価値はある。インストールしたとたんに「あ、これが必要だったのだ!」と読者の頭の上に(漫画の)電球が灯るだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Gecko―モノのインターネットへの小さな一歩、スマートフォンにとって大きな跳躍

「モノのインターネット(Internet of Things)」が水平線上に姿を現してきた。われわれが使用するあらゆるデバイスがすべてインターネットに接続し、デバイス同士でコミュニケーションができるという未来的コンセプトが実現段階に入っている。

とはいえ、モノのインターネットが本当にやってくるまでにはまだ少々待たなくてはならないのも事実だ。そこでとりあえずGeckoはいかがだろう? このIndiegogoプロジェクトは小さなガジェットをスマートフォンに接続することでモノのインターネットの実現に一歩近づこうとする面白い試みだ。

Geckoは加速度センサーを内蔵し、BLE〔低エネルギーBluetooth〕でスマートフォンと通信するデバイスだ。Geckoにはジェスチャー機能が内蔵されており、リモートでスマートフォンを操作することができる。また逆にスマートフォンからデバイスをコントロールすることもできる。

Geckoの接続機能は対象物に内蔵されているわけではなく、デバイスに対象物に装着することによってもたらされる。たとえば装着した対象物が動かされるとGeckoの内蔵加速度センサーがそれをキャッチし、BLE経由でスマートフォンに情報が送られる。するとスマートフォンのGeckoアプリが情報を解釈して特定の動作が実行されるなどだ。

GeckoにはTI CC2541システム・オン・チップ、取り外し可能なボタン型電池(使用条件によるが最大数年もつという)の他にアラートを発するためのブザーとLEDライトが内蔵されている。.

Geckoをカメラ(現在Canon製品の一部をサポート)に取り付けてスマートフォンをワイヤレス・リモコンとして撮影したり、逆にポケットに入れたGeckoをバッグの中のスマートフォンの音楽再生のリモコンにする、などがシンプルな応用ケースとして挙げられている。 カメラのリモコンとして利用する場合、付属のアプリで連続撮影はインターバル撮影などの設定ができる。

Geckoが認識可能なジェスチャーは、右あるいは左に傾ける、1度振る、2度振る、の4種類だ。

一方、Geckoはモニタリング・デバイスとしても利用可能だ。ドアに取り付けておけば、開閉のたびにスマートフォンに通知が行く。 薬のケースに取り付けておけば、留守の間にママが薬を飲み忘れていないかチェックできる。ペットや小さい子供に装着すれば30メーター程度の半径から出ていくと同時にスマートフォンがアラートを表示する。

このプロジェクトは最近Indiegogoに登録されたばかりで、締め切りまであと40日あり、目標額は5万ドルだ。デバイスの完成度は高く、時間は十分ある。ウォズことスティーブ・ウォズニアックに好意的に評価されたことも追い風だ。

われわれが紹介してきたモノのインターネット系のガジェットにはSamsungのTecTilesNestの学習するサーモスタット、スマート錠前のLockitronなどがある。

Geckoプロジェクトに興味がある読者はIndiegogoのサイトを訪問するとよい。出資額は20ドルからいろいろ。

〔日本版〕サポートされるスマートフォン、タブレットは、Bluetooth 4.0サポートのiOSデバイス(iPhone 4S、iPhone 5、iPad3代目、iPad mini)、Android 4.3とBluetooth 4.0をサポートするAndroidデバイス各種。Samsung Galaxy S4とNexus 7タブレットで動作確認ずみ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)</P


ARMが物のインターネットのSensinodeを買収, そろそろスマホ/タブレット依存から脱却へ

ARMのプロセッサを使ったWindowsマシンやAppleデバイスが、このところマスコミを賑わしている。最近の話題は、Surface 2とNokiaの初のWindowsタブレットと近く出るiPhoneの新機種だ。しかしイギリスのケンブリッジに本社を置く強力な半導体企業ARMは最近ますますその野望…インターネットに接続されるすべてのデバイスを駆動すること…を肥大させているようだ。今日(米国時間8/27)同社は、フィンランドで物のインターネットのためのソフトウェアを作っているSensinode Oyを買収した、と発表した

これは既存のパートナーシップの総仕上げのような買収だ。ARMによると、これで同社は今後も、SensinodeのNanoStackおよびNanoService製品を、ARM Cortex®系列のプロセッサやmbedのコラボレーションプロジェクトと並行して、売っていくことができる。

買収の金額条件等は、公表されていない。

ARMといえばAppleがARMベースのチップを設計していることが示すように、現状は何よりもまずスマートフォンとタブレットを連想するが、しかし同社はかなり前から市場を別世界へ拡大しようと努力している。その意図と姿勢の現れは、今回のIoT企業の買収が初めてではない。

長年CEOを務めたWarren Eastが昨年身を引き、生え抜きの元エンジニアであるSimon Segarsに指揮を譲ったとき、ARMはその長期戦略を明かにした。当時の声明等では漠然と、いわゆる“モバイルデバイス”依存から脱却し、車や家電、FAなど、仕事関連であれレジャー関連であれ、なにしろネットに接続されるものなら何でも動かしていく、と言われていた。上の図はSensinodeのサイトにあるイラストだが、まさにそういう意味での“何でも”を表している。

ARMはIoTの将来性との関連で大量の例を挙げている: “IoT技術の対応市場は、ワイヤレスセンサ、ネット接続型電脳家電、家庭用保健医療アプリケーション、着脱式(ウェアラブル)電子製品などである。この技術はさらに、セルラー接続を使用するM2Mアプリケーションや、デバイス管理のための軽量M2Mの規格であるOMAにも対応する”

退任に際してEastは、次のように言っていた: “弊社の経営については非常に長期的な視野を持っている。そして、今こそがリーダーシップを一新する最良のタイミングであり、成長の次のフェーズに踏み出し、長期計画の視野をさらに遠い未来にまで広げるべき時期だと信ずる”。

というわけで、本日の買収のニュースは、彼が具体的に何を考えていたのかということの、一つの例である。ARMがIMS Researchに委託して行った研究調査では、2020年にはインターネットに接続された「物」の総数が300億個に達する。これに対し、昨年出荷されたARMベースのデバイスは87億台だ。今すでにこれだけ好調かつ好評なのだから、それをベースとして、300億の大きな部分が自分たちのものだ、とARMは考えているのだ。

ARMのシステムデザイン部でEVPとゼネラルマネージャを務めるJohn Cornishは、今日の声明文の中でこう言っている: “ARMはあくまでもスタンダードに基づく物のインターネットの実現に傾注していく。そこでは、何十億ものありとあらゆるタイプおよび能力のデバイスが、Internet ProtocolsとWebサービスを介して相互運用されていく”。つまり彼の言うスタンダードとは、IPとWebがベースだ。

そしてこれは当然、Intelなどとの企業競争に伍していくためにも、力を緩めることが許されない分野だ。IoTは、今や各社が狙っている。

ARMはSensinodeについて、次のように説明している: “インターネットに接続される低価格で低電力消費のデバイスのためのソフトウェアにおける、パイオニア的企業群に属し、IoTのオープンスタンダードに対する重要な寄与貢献者である”。それらのスタンダード努力には、ローコストローパワーデバイスのための6LoWPANおよびCoAP規格の作成も含まれる。同社が今寄与貢献しているのは、IETF、ZigBee IP、ETSI、OMAなどにおける各種の標準化努力である。

今回の買収はSensinodeにとっては、プラットホームの拡大と対象デベロッパの増大という大きな機会を意味する。同社の技術を使ってチップやデバイスを作るデベロッパの数が、一挙に増えるのだ。Cornishは、次のように書いている: “Sensinodeの専門知識と専門技術がARMのmbedプロジェクトを介してARMのパートナーたちからアクセス可能になることにより、今後は何千もの新しい革新的なIoTアプリケーションの迅速な展開ができるようになる”。

これはどうやら、ARMにとって二度目の買収のようだ。最初も今回と同じく戦略的買収で、それは2011年のProlific、ナノテクノロジソフトウェアのデベロッパだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))