ジェフ・ベゾス、野心的な月植民計画を説明――宇宙協会のカンファレンスでアラン・ボイルと対談

Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾスには月で実行したいビッグ・プランがある。すでに無数の実用衛星が軌道を回っているが、この宇宙テクノロジーをチューンアップすすれば月植民のプラットフォームになるという。この事業はNASAやESA(欧州宇宙機関)との協力の下に実行するのがベストだが、必要とあればベゾスはBlue Origin単独でもやり遂げるつもりだ。

ロサンゼルスで開催された米国宇宙協会の国際宇宙開発カンファレンスでベゾスは著名な科学ジャーナリストのアラン・ボイルと対談した。 ここでベゾスは月を製造業の拠点とするアイディアを説明した。これは地球の資源を守ることにも大いに役立つという。

「近い将来、といっても数十年、もしかすると100年後かもしれないが、現在われわれが地表でやっている仕事の多くが宇宙でもっと簡単にできるようになると思っている。もっとエネルギーが得られるようになるだろう。われわれは地球を離れるべきだ。われわれは宇宙をもっと使える場所にすべきだ」とベゾスは述べた。

ベゾスは、「ある種の鉱物や資源など地球でなければ手に入らないものがある」としながら、月への製造業の移転は必然的だと述べた。

月のある部分では太陽光が24時間常に利用でき、太陽光発電に理想的だ。また地下水の存在も探知されている。また粉状の月の表土は資源として魅力的だ(埃を吸い込まないようご注意)。「文字通りおあつらえ向きだ」とベゾスは述べた。

ベゾスは自分が設立したBlue OriginとNASAが月の利用で提携することを求めている。この月着陸船は月に植民して製造業の拠点する可能性を探るためのものだ。ペイロードは5トンで、これだけあれば月面利用に関して本格的な調査が行えるはずだ。

もちろん現在のところ、これらは可能性に過ぎない。 Blue Originが開発したロケットはカーマン・ラインを超えて低い高度に上昇することに成功したに過ぎない。

このNew Shepardの後継となるNew Glennロケットは軌道周回能力を備え、2020年代に入って実際に発射される計画だ。しかしベゾスは月利用計画に確信を持っており、ロケットが完成するまでプロジェクトを進めるのを待つつもりはない。

月植民計画は国際協力事業となるべきだとベゾスは信じている。国同士が競争するのではなく、各国は製造、居住の設備を共有し、「ルナー・ビレッジ」として力を合わせて目標の追求にあたるべきだという。

この高邁な目標を追求するBlue Originは現在のところベゾスが私財を投じるプロジェクトとなっている。ベゾスはこの事業を「誰かが引き継ぐか、私が破産するまで続ける」と述べた。ボイルとベゾスは後者の可能性はまずなさそうだという点で意見が一致した。

New Shepardの乗員カプセルのパラシュートによる回収成功を報じるTechCrunch記事

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、5万人規模の第2本社建設計画を発表――自治体の立候補受付け開始

Amazonはすでにeコマース、ロジスティクス、クラウドサービスの各分野で世界的な巨人だ。そのAmazonが企業としての存在をさらに一段と拡大する動きを見せている。今日(米国時間9/7)、同社は北米地区に第2の本社を建設するために適切な都市を選ぶための調査を開始したことを発表した

Amazonによればこの第2本社はワシントン州シアトルの既存の本社(上の画像)と「あらゆる点で同等の施設となる」といいう。

新本社はそのサイズもシアトル本社と同等かそれ以上となるもようだ。Amazon本社はシアトルのビジネス地区の中心的施設の一つだ。4万人の社員が75ヘクタールの土地に建てられた33棟のビルで働いており、レストランだけでも24箇所ある。Amazonによれば、HQ2と呼ばれる第2本社では5万人が働くことになり、投資額は50億ドルに上るという。

Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾスは声明で「Amazn HQ2はあらゆる面でシアトル本社と同等のものとなる。HQ2は当初でも数十億ドルの投資先となる。この投資はその後も継続され、数万人の給与の高い職が創出される。われわれは第2の家〔に適切な場所〕を見つけようと張り切っているところだ」と述べた。

TechCrunchではHQ2建設のスケジュールについてAmazonに問い合わせ中だ。

Amazonの新本社建設の発表は興味深いタイミングで行われた。Appleはクパチーノの新キャンパスの建設をほぼ完了したところだ。来週にはメイン・ビルディングに隣接する新しいスティーブ・ジョブズ・シアターで最初のイベントを開催する。ここでは最新版のiPhoneが発表されるものとみられている。リング状の巨大建築はAppleのパワーを象徴するものとして長いあいだ話題になってきた。Appleが新キャンパスでiPhoneイベントを開催する直前にHQ2建設計画が発表されたことは、こうしたビッグプロジェクトを実施できるのはiPhone/Macの巨人だけではないと知らせるAmazon一流のやり方かもしれない。

面白いことに、Amazonは社員がどちらの本社ないしどの都市で働くことを希望するか各種調査を行う計画も明らかにしている。ここでAmazonは適切な候補地となるべき条件をいくつか挙げている。候補都市は人口が100万人以上であること、ビジネスフレンドリーな安定した都市環境であること、テクノロジーに関して才能ある人材を引き寄せる魅力がある都市ないし都市近郊であること、などだ。また都市、地域の選定にあたっては「ものごとを大きなスケールで考える創造的なコミュニティーを持つこと」も条件としている。

またAmazonは新本社は現在のシアトル本社同様、都市型の施設となり、都市中心部に建設されること、すでにデベロッパーによって開発が進められていてもよいことなどを明らかにしている。

AmazonではHQ2建設の第一歩として都市ないし州による提案の受付(RFP=Request for Proposal)を開始しており、Amazonは自治体に対し同社へのコンタクトを呼びかけている。一度HQ2の建設予定地に選定されれば都市側のメリットは巨大だ。Amazonの推計によれば、同社は2010年から2016までの期間にシアトル市の経済に寄与した額は380億ドルになるという。Amazonの投資1ドルについてシアトル市は1.40ドルの経済効果を生み出してきた。

社員38万人というのは、Amazonをテクノロジー分野における世界最大の雇用者の一つとしている。テクノロジーは現在アメリカの主要産業とみられいるものの、以前の主要産業と比較すると直接雇用者の数が目立って少ない。Amazonは例外的に巨大な雇用者だが、ロジスティクスの分野における雇用が大きいのもひとつの理由だ。事実、Amazonはアメリカでもその他の世界でもフルフィルメント・センターを開設するつど、地域の雇用と収入の増大に貢献することになると発表してきた。

Amazonはまたアメリカ国外でも急ピッチで拡大を続けている。

今年夏、AmazonはEU離脱で揺れるイギリスの首都、ロンドンの金融地区に新しい本社を開設している。

下の画像はAmazonのシアトル本社に関する詳細だ。

画像:Amazon

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AmazonのQ1は決算好調で株価上昇――売上は$35.7B、1株あたり利益も予測を上回る

Amazonは取引終了後に第1四半期の決算を発表した。1株あたり利益はウォール・ストリートの予測1.12ドルをはるかに上回る1.48ドルだった。純利益は7億2400万ドルとなった。

売上高は357.1億ドルでこれもアナリストの予測353.0億ドルを上回った。前年同期比でも23%のアップとなっている。時間外取引の当初、株価は5%も跳ね上がった。

ただし当期の営業利益は6%ダウンして10億ドルにとどまった。投資家は北米での営業利益率の向上を望んでいたが、この点では期待外れに終わった。

四半期決算にともなう声明でCEOのジェフ・ベゾスはインドにおける事業に関して、成長が期待できる巨大市場だという楽観的な見通しを述べた。「われわれのインド・チームは急速に活動を前進させており、販売者にも消費者にも良い結果を出している。インドではAmazon Primeが9ヶ月前にスタートして以来、品目を75%増加させた。今年に入ってからだけでフルフィルメント能力を26%も向上させている。Amazonビデオではインド・オリジナルの番組を18シリーズ公開した。先週はインドの消費者向けに最適化されたFire TV Stickを発表した。これには英語とヒンディー語による音声検索機能が内臓されている」とベゾスは述べた。

eBay、Tencent、Microsoft等は最近、インドにおけるAmazonのライバル、Flipkartに合計14億ドルを投資をしている。

Amazonのクラウドサービスのプラットフォーム、AWSも順調に拡大を続け、第1四半期の売上は37億ドルを記録した。前年同期の26億ドルから43%のアップとなる。ただし成長率はやや低下している。一昨年から昨年にかけての同期の成長率は64%だった。

Amazonの株価は昨年51%アップしている。時価総額は4390億ドルとなった。

画像: Mark Wilson/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ベゾスのBlue Origin、ロケットからの乗員脱出テストに成功―ブースターも5回目の垂直着陸

2016-10-06-blue-origin-et-booster-landing-2

今日(米国時間10/5)のBlue Originの飛行テストは成功したと同時に非常にユニークなものになった。今回ジェフ・ベゾスの宇宙企業では乗員安全確保システム(打ち上げ時にロケットに異常があった場合、乗員を安全に退避させる)を実験し、乗員カプセルは正常に回収された。この際、New Shepardロケット自体も(予定外だったが)安全な垂直着陸に成功した。

Blue Originではこのテストで打ち上げロケット本体を無事に回収できる可能性は低いとみており、事前にそのことを強調していた。ベゾスはメール中で「今回の乗員カプセル回収テストではブースターはすでに飛行中であり、条件は極めて厳しいのでブースターはおそらく破壊されるだろう」と述べていた。〔ビデオでは1:06:16にブースターのエンジンに点火〕

このテストでブースターは破壊されるだろう。ブースターはフライト中の乗員カプセルの脱出に耐えるようには設計されていない。

ともかく今回の実験の目的はクルーカプセルを飛行中のブースターから脱出させ、安全に着陸させることだった。ブースター自体の回収は目的に入っていなかった。しかしビデオで見られるとおり、ブースターも垂直着陸に成功し、New Shepardシステムの堅牢性を示す結果となった。このブースターにとっては今回が5回目の垂直着陸成功だった。またこれが最後の飛行となるようだ。ベゾスはこう述べている。

もしブースターも無事に生き残るようであれば、われわれは功績を讃えて引退パーティーをを開催し、ブースターは博物館に展示したい。

今回の実験はもちろん無人で行われた。打ち上げ途中で飛行継続できない異常が発生するという極限的な場合を想定した実験であり、そのような場合のシステムの挙動の情報を収集し、分析することが第一の目的だった。Blue Originが脱出システムを作動させるとロケットモーターによってカプセルはブースターから分離した。分離が行われるのは飛行中の空力的な圧力が最大になる地点が選ばれた。

この地点はシステムが音速を超える瞬間であり、Max Qと呼ばれ、カプセルに最大の力がかかる困難な地点と考えられている。今回のMax Qは高度1万6000フィート(4.9km)だった。

35分の遅れの後、東部時間午前11時35分にNew Shepardはウェストテキサス打ち上げ基地から発射された。打ち上げ後45秒で固体ロケットが2秒間噴射され、クルーカプセルをブースターから切り離した。〔ビデオでは1:07:03で脱出ロケット点火〕

Blue Origin escape system activated / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originの乗員脱出システムが作動 / Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

分離成功後、乗員カプセルは通常の手順どおり、姿勢安定用のドローグ・パラシュート、続いて減速用のメイン・パラシュートを開いた。カプセルはリング状のフィンによって姿勢を制御しながら下降し、最後にエンジンを逆噴射して時速3マイル程度で静かにタッチダウンした。

Blue Origin crew capsule touching down in West Texas / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originのクルーカプセルがウェストテキサス打ち上げ施設付近にタッチダウン/ Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

クルーカプセルのタッチダウンから3ほどでブースターも安定した姿勢で垂直着陸に成功した。このブースターがこれで連続5回、垂直着陸に成功しているというのはNew Shepardの安全性を考える上で印象的だ。

blue-origin-et-rocket-landing

Blue Originが打ち上げ時の乗員脱出のテストをするのはこれが初めてではない。2012年10月には同じクルーカプセルを使って静止状態からの脱出実験を実施している。ただしこのときは実物のブースターは用いられていない〔下のビデオ〕。

今回の脱出テストで用いられたクルーカプセルは2012年のテストで用いられたカプセルそのものだ。発射台に静止している状態からの脱出と異なり、加速して飛行中のブースターからのカプセル切り離しは考えられる中でもっとも過酷な条件でのテストだった。

こうしたテストは有人飛行のために必須の準備だ。ベゾスは早ければ2018年にも宇宙高度に乗客を送れると述べている

まだ有人での飛行ミッションは行われていないものの、ベゾスとBlue Originはさらなる未来を計画中だ。先月、Blue Originは衛星打ち上げ能力を備えた新しい大型ロケット、New Glennの開発計画を公式発表した

New Shepardと同様、New Glennのブースターも垂直着陸による再利用を目指している。今回のテストの成功をみるかぎり、Blue Originのブースター再利用による衛星打ち上げ計画は着々と前進しているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonの労働環境を非難するニューヨークタイムズの記事にジェフ・ベゾスが「全くの誤り」と猛反論

2015-08-18-bezos

先週末、New York TimesはAmazonの労働環境に関する長い記事を掲載した。まだ読んでいないなら目を通すようお勧めする。

執筆者のJodi KantorとDavid Streitfeldは100人以上の現在と元の従業員にインタビューしてAmazonの人事、労務、健康の管理に関するホラーストーリーを集め、その労働環境を「熾烈」と評した。

Amazonの存在の巨大さを考えれば当然だが、この記事は激しい議論を巻き起こしている。New York Timesの記事が正確なら、 Amazonの労働環境は考えられるかぎり最悪のレベルだ。しかしTwitterの前CEO、Dick CostoloやベンチャーキャピタリストのMarc Andreessen、Keith Raboisなどテクノロジー業界のビッグネームは「ディスラプティブ」なテクノロジー企業に起きがちな些細なエピソードだ としてAmazonを弁護した。

しかし、Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾス自身はそのような弁解はせず、猛然と反論した。

Amazonの本社があるシアトルを本拠にしたテクノロジー・ブログ、GeekWireの記事によれば 「この記事は私が愛し、毎日働いているAmazonを正しく描写していない」とベゾスは社内向けメモで書いている。

「New York Timesの記事に描かれているような会社には正気の人間は誰もとどまろうとしないだろう。そんな会社なら私はとっくに辞めている」とベゾスは書き、続いて記事にあるような社員に対する不当な取り扱いの例があるならベゾス自身に報告して欲しいと付け加えた。

「Amazonは記事にあるような会社ではないと信じる。優秀なチームメートと共に笑いながら楽しく未来を作っていく会社であると信じている」とベゾスはメモを結んでいる。

GeekWireも指摘しているとおり、Bezosが個別のニュース記事に反応するのは珍しい。それだけにこの部内メモは注目される。

New York Timesの記事は、ジャーナリズムによくある「結論を決めてそれに合う証拠だけを集めた」のか? 解雇されたことを恨んで復讐を図ろうとする元社員に影響されているのか? それともベゾスが記事によるイメージダウンを避けようと必死になっているだけなのか?

すでにAmazonの元社員の一人Nick Ciubotariuが非常に詳細な反論をLinkedInに投稿した。Ciubotariuは「この記事は現在と過去のエピソードをごたまぜにしてAmazonを非難している」と書いている。他の元社員も意見を公開するかどうか興味がもたれる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+