アップルがグーグルのAI責任者を引き抜いた記事が5位に(2018年4月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。2018年4月のアクセスを振り返ってみると、4月ということもあり1位はGoogleのエイプリルフールネタ。

4月1日にGoogleマップを開くと、赤白セーターを身にまとい画面の端からこちらに向かって手をふるウォーリーが表示される。そして、さまざまな場所にいるウォーリーを探すというゲームを楽しめる。ここ数年は落ち着いた感があるが、各企業の広報からは3月下旬になるとさまざまなエイプリルフールネタが届く。その数は年末に送られてくる、CEOや社長の年始の挨拶よりもはるかに多いうえ、年々レベルが上がっている。残念ながらTechCrunchで取り上げる機会はあまりないのだが。

そのほか、アップルとグーグル、マイクロソフトの記事がランクインしているが、注目なのは5位のアップルがグーグルのAI開発の責任者を引き抜いたという記事。アップルでAIといえば音声アシスタントのSiriが思い浮かぶが、同社のプライバシー保護方針の影響もあり、グーグルのGoogleアシスタント、アマゾンのEchoに比べて遅れている印象だ。

アップルに移ったのは、グーグルで人工知能と検索の責任者を務めていたジョン・ギアナンドレア(John Giannandrea)氏(写真)。彼は12月に入って、アップルCEOのティム・クック(Tim Cook)氏、CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)のジョニー・アイヴ(Jony Ive)氏、インターネットソフトウェア&サービス担当の上級副社長であるエディー・キュー(Eddy Cue)氏、リテール担当の上級副社長であるアンジェラ・アーレンツ(Angela Ahrendts)氏などと同様に、同社のエグゼクティブチームに加わったことが発表された。アップルがAIに賭ける本気度の表れだろう。

1位 Googleのエイプリルフールは「ウォーリーをさがせ!」
2位 今年の新iPhoneは6.5インチX登場へ
3位 GoogleがGmailに「自動消滅メール」を導入予定
4位 Googleのスプレッドシートにマクロが来た
5位 AppleがGoogleのAIトップを引き抜く

Appleが機械学習のチームとSiri/AIのチームを統一、AIの適用を全社一本化

Appleは、Core MLとSiriのチームをひとつのチームにまとめた新しいAI/MLチームを作り、それをJohn Giannandreaの統率下に置くことにした。

Appleの今朝(米国時間7/10)の確認によると、同社の人工知能と機械学習を合わせたチームは、引き続きSiriを担当するとともに、Googleに8年在籍して機械学習とリサーチと検索のチームを率い、今年Appleに来たGiannandreaがそのトップになる。Googleの前に彼は、 Metaweb TechnologiesとTellmeを創業した。

SiriとCore MLのチームの内部的構造は変わらないが、トップがGiannandreaになる。Apple全体の構造の中ではチームは全社横断型の組織として、開発ツールや地図、Core OSなど、さまざまなプロジェクトに奉仕する形になるだろう。基本的に今ML(およびAI)は、どの分野でも必要とされている。

その昔Giannandreaは、Appleのチームメンバーが1989年に作った伝説の企業General Magicのシニアエンジニアだった。創業者には、Andy Hertzfeld, Marc Porat, Bill Atkinsonらがいたが、会社は結局失敗し、そのあとに革新的な技術の数々を遺した。たとえば小型のタッチスクリーンや、ソフトウェアモデムなどだ。General Magicは天才たちのインキュベーターとしても機能し、Susan Kare, Tony Fadell, Andy Rubin, Megan Smith, そしてAppleの今の技術担当VP Kevin Lynchらはみなここから巣立った。

Giannandreaは、TechCrunch Disrupt 2017でスピーチした。結果的に、そのタイミングは完璧だった。下のビデオを、ご覧頂きたい:

AppleのSiriとMLのチームは、多くの共通の目標を共有しているが、出自は違う。しかし今やAppleのありとあらゆるプロジェクトでAIがメインの機能だから、一人の責任者の下に全体をまとめるのが理にかなっている。Siriのこれまでの、行きあたりばったりのようなやり方も、Appleが地図のときのような本格的な肩入れをしていけば、修正されるだろう。また、ユーザーデータのプライバシーの維持保全という問題も、これまでのようにアプリ別分野別に個別に取り組むより、全社的総合的なAI/MLチームの担当管理下に置く方が有利、という計算も働いただろう。Create MLのような最近のリリースは、AppleのMLチームが内部的にやっていることの対外的表現だが、それも現状ではあまりにも断片的だ。そして新たな総合的組織を作ることは、統一に向けてのメッセージだ。

地図のときと同じく、今度のAI/MLチームも、クラウド上の一般的なコンピューティングにフォーカスする側面と、ローカルなデバイス上のデータ中心型のコンピューティング、という二面性を持つことになるだろう。人びとの手の中には今、10億あまりのAppleデバイスがあって、それらがさまざまなデータ処理を行っている。そう考えると、Appleがこれから築くものは、未曾有の、そして世界最大の、AIをメインとするエッジコンピューティングネットワークだ。Giannandreaが関心を持つにふさわしいチャレンジ、と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、GoogleのAIトップを引き抜く

Apple GoogleのAI担当幹部を引き抜いた。これはかなり大きな影響及ぼすに違いない動きだ。

Appleは、Googleの人工知能と検索の責任者、John Giannandreaを同社に迎えたとNew York Timesが報じた。GiannandreaはAppleの「機械学習およびAI戦略」の責任者になると同社がNY Timesに伝えた。同氏はAppleに16人しかいないCEO Tim Cook直属となる。

つい昨日(米国時間4/2)、The Information(有料ページ)は、GiannandreaがGoogleの職務を外れ、Google19年目の古参であるJeff Deanが引き継ぐことを報じたばかりだ。Giannandreaは2010年にGoogleがMetaWebを買収したあと同社に加わった。MetaWebではCTOを務めていた。当時このスタートアップはタグ付けされた膨大なデータを利用してコンテキストを意識した検索結果を追求していた。

この動きが特に重要なのは、現在Appleは人工知能を利用した知的ソフトウェアの分野でライバルに大きく遅れをとっているからだ。同社が消費者向けAI技術を注ぎ込んでいるデジタルアシスタントのSiriは、AmazonのAlexaやGoogleのアシスタントに能力面で大きく水をあけられている。

TechCrunchは、最近のDisrupt SFカンファレンスでGiannandreaと話す機会があり、人間はコンピュータを賢くするのに役立つが、十分に注意しないと人間の偏見も植えつけてしまうおそれがあると時間を割いて話した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook