学生に無償でプログラミングを教えるLABOTの「CODEGYM Academy」に渋谷区も後援を表明

学生に無償でプログラミングを教えるLABOTの「CODEGYM Academy」に渋谷区も後援を表明

プログラミング学習サービスCODEGYM(コードジム)を運営するLABOT(ラボット)とNPO法人CLACKは9月28日、2021年5月より福岡市などの後援で実施してきた学生向け無償プログラミング教育支援プロジェクト「CODEGYM Academy」(コードジムアカデミー)に、新たに渋谷区が後援を表明したことを発表した。また、現在第2次募集を行っている。

LABOTは、日本で初めてISA(学資ローンに代わる所得分配契約。在学中は授業料の支払いが免除され、就職後に所得に応じた支払いを行う制度)を採り入れたコンピューターサイエンスとプログラミングのオンラインスクール。2021年5月からはNPO法人CLACKと共同で、コロナ禍で勉学や就職に苦悩する高校生、大学生を対象に「CODEGYM Academy 2021年コロナ学生緊急支援」を実施。同社によると、無償のプログラミング教育を提供し、現在503名の学生が受講しているという。

教材には、ハーバード大学が提供するコンピュータ・サイエンス科目「CS50’s Introduction to Computer Science」を使用している(LABOTは、翻訳コントリビューターとしてハーバード大学CS50の日本語版翻訳プロジェクトをCC BY-NC-SA 4.0ライセンスのもと日本語化・無償公開)。またこのプロジェクトには、GMOインターネットグループやスマレジをはじめ、アクセンチュア、HR Brain、Googleなど17社ほど企業の協賛がある。

第2次募集の概要は以下のとおり。

  • 募集人数:最大1000名(最少催行人数150名)
  • 受講料:スポンサー企業による支援により無償。PC、インターネット接続環境、副教材などの実費は受講者が負担。入校にあたり1万円の保証金の支払いが必要だが、退校・卒業時に全額返金する。また修了確定者は199ドル(約2万2200円)を支払うことで「CS50」履修証明書が取得できる
  • 応募期間:2021年9月1日〜9月30日午後11時59分59秒
  • 適正検査:2021年10月2日実施。高校数Ⅰ/ 数A相当の知識水準の論理思考問題を含むウェブテスト
  • 内定通知:2021年10月9日予定

開催期間は2021年11月6日から2022年3月末。毎週土曜日の9時から19時にオンライン授業が行われる。

応募対象は、家庭環境、学歴、性別、人種、国籍に関わらず、プログラミング学習と新たなキャリア習得に強い意欲のある日本全国の学生。ただし外国人は日本国内での就労資格を持つ人。コロナ禍で学業、進路、キャリアに影響を受けている、また家庭環境などの経済的事情を抱えている2023年卒、2024年卒予定の大学生、短大生、高専生、専門学校生、高校生など。2020年3月以降2021年9月末までに新型コロナによる経済的理由で退学した、または進学を諦めた人も含まれる。また10月2日のテスト、10月16日の入学オリエンテーションも参加必須となっている。

締め切りまであと1日。詳しくはこちらをどうぞ(ページ下部にまとめられている)。

ハーバード大コンピューターサイエンス講座を日本語化・無償公開した、エンジニア養成学校CODEGYMを手がけるLABOTが3.1億円調達

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オンライン・プログラミング学習サービスCODEGYM(コードジム)を運営するLABOT(ラボット)は5月19日、3億1000万円の第三者割当増額を発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、Mistletoe Japan、​PERSOL INNOVATION FUND、NOW、F ventures、新生企業投資が運営・関与するファンド、その他の個人投資家。このラウンドには、2021年4月のプレシリーズAラウンドに伴う、第1回J-KISS型新株予約権、第2回J-KISS型新株予約権の転換が含まれる。

CODEGYMは、2020年1月に設立されたコンピューターサイエンスとプログラミングの学校。日本で初めてISA(Income Share Agreement)を採用した。ISAとは、学資ローンに代わるシステムとして登場した所得分配契約のこと。在学中、学生は入学金や授業料の支払いが免除され、就職後に年収に応じた額を支払うという制度で、日本では、CODEGYM以前にこれを導入した教育機関はなかった。「これまでの家庭環境や学歴・年収などによらず、誰もが平等に挑戦できる教育機会の提供、社会の実現を目指し事業を展開しています」とLABOTは述べている。

2021年5月からは、新型コロナ禍で家計や進路に問題が生じた10代の若者に対して、NPO法人CLACKと共同で「CODEGYM Academy 2021年コロナ学生緊急支援」を実施し、503人の高校生、大学生を入学させた。毎週土曜日のプログラミング教育の講義が半年間続くが、40社以上のIT企業を中心とするスポンサー企業からの協賛金とクラウドファンディングによる100人を超える支援者からの寄付によって、学費はかからない。

創設者の鶴田浩之氏は、大学在学中に起業し、大学生向けスケジュール管理サービス「すごい時間割」を開発したという経歴の持ち主。

同氏は、日本は国民皆保険や生活保護など諸外国と比べても社会保障が充実しているものの、介護・育児などで一度でも職歴にブランクが出たり大学を中途退学したりしてしまうと、独力では正社員としてキャリアアップすることが難しいと話す。そこで「リカレント教育と転職支援をセットにし、初期費用がかからず誰もが平等に挑戦できるISA は、今の日本社会にとって必要不可欠な産業になると考えています」とリリースで述べている。

画像クレジット:LABOT

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卒業まで無料で通えるプログラミング学校が恵比寿に開校へ、転職後に給与の一部を支払うISAsモデルを採用

カテゴリー:EdTech
タグ:教育 / EdTech / エドテック(用語)
所得分配契約 / ISA(用語)新型コロナウイルス(用語)プログラミング(用語)LABOT日本(国・地域)

卒業まで無料で通えるプログラミング学校が恵比寿に開校へ、転職後に給与の一部を支払うISAsモデルを採用

「週50時間、6ヶ月に及ぶ本格的な学習プログラム」「問題解決アプローチを重視し、チーム開発を中心に設計されたカリキュラム」「望む転職に成功しなかった場合、受講費用は発生しない」——。そんな特徴を持ったプログラミングスクールが2020年1月、恵比寿ガーデンプレイス内にてスタートする。

同スクールを手がけるのは2019年7月創業のスタートアップLABOT。同社では1月の開校に向けて11月29日より1期生の事前募集を開始した。カリキュラムの内容もさることながら、既存のプログラミングスクールと大きく異なるのは契約モデルとその背景にある思想だ。

冒頭でも少し触れた通り、LABOTが開校するスクールでは開始から卒業まで受講料金が発生しない。要は基本的に無料で通い続けることができる(厳密には副教材の一般書籍などは任意だが購入する場合は自己負担)。その代わり予め定めた条件を満たすような転職に成功した場合、就職後に一定期間に渡って給与の一部から“後払い”のような形で支払う仕組みだ。

今回LABOTでは昨今米国で広がり始めているISAs (Income Share Agreements)モデルを採用し、アレンジして組み込んでいる。ISAsとは米国で生まれたスクールと学生の新しい契約モデルで、受講開始から卒業までの期間は受講費用が発生しない代わりに、一定の条件をみたした場合に卒業後の収入から一 定割合をスクールに支払うという内容の所得分配契約のことだ。

米国では学生が多額の学費ローンを抱えることが1つの社会問題となっていて、ISAsはそれに変わる新しいモデルとして注目を集める。LABOTによると職業訓練から大学まで様々なスクールが採用し始めているほか、関連するファンドや事業者も増えつつある状況。2019年7月には連邦法を定める合衆国上院にISAs法案が提出され、議論が開始されているという。

LABOTが提供する日本版ISAsのイメージ

LABOTの日本版ISAsは卒業生がIT人材として年収を上げて就業できることが前提。現在の年収水準が概ね420万円以下の非IT職種・プログラミング未経験者を対象に、6ヶ月のカリキュラムを提供する。入学金や学費は一切なく、卒業後に希望する職種への就労が実現すれば、目安として24〜36ヶ月に渡って月給の13〜17%を支払うイメージだ。

学習中に挫折してしまった場合や望んだ転職に成功しない場合、LABOTのISAsの規定に定める年収ライン(年320万円)を下回る期間については、支払いの義務は発生しない。また病気や怪我、介護、育児等の何らかの事情で給与を得られない時は、その期間のISAsにおける支払いは停止する。

LABOTの日本版ISAsに関するポリシー。支払い額には予め上限が設定されているため、高い年収での転職が決まった場合も一定ラインに達すればそれ以上の支払いは不要だ

ISAsの特性上、学生の長期的なキャリアの成功がスクールの成功になるため、双方の利害が一致するのがポイント。これまでIT業種へのキャリアがありつつも金銭的なハードルや不安からプログラミングスクールに通うことができなかった人や、強い意思がある人に対して実践的かつ長期的なカリキュラムを提供することで「未知の課題を解決できる」人材を輩出することを目指すという。

当然ながら一定数の成功者がでなければ事業を継続できないため、事前にエントリーシートや面談を通じて受講者を選抜した上で1200時間相当(目安は週50時間、6ヶ月間の訓練)みっちり学習する機会を設ける。

デザインカリキュラムも約120時間分ほど用意しているほか、プロジェクトマネジメントやデジタルマーケティングなどを学ベる時間も確保。知識に加えて問題解決のための思考を養うべく、カリキュラム後半の60%はチーム開発に当て、実際にプロダクトをリリースすることが目標だ。

「プログラミングとはPCの前だけでやるものではなく、色々な場面でプログラミング的な思考が必要とされるので、単にコーディングだけ学んでいれば良い訳ではない。自分たちのカリキュラムは50%以上がチーム開発のプロジェクトの時間になっていて、ホワイトボードの前でディスカッションするなど、黙って座っている時間が1番短いスクールになる」(LABOT代表取締役の鶴田浩之氏)

定期的に1on1の面談を行い学習のサポートをするほか、カリキュラムの後半では事業会社を模した評価を行い、学生同士のピアレビューも実施。いわゆる先生的な役割の人は存在しないが、現役のエンジニアがメンターとして参画し、実務に近い環境でコードレビューやアドバイスを受けることができるという。

家庭環境や学歴、年収に関わらず新しい挑戦ができる仕組み作りへ

LABOTの代表を務める鶴田氏は過去に「すごい時間割」や「ブクマ!」などを生み出してきたLabitの創業者だ。2017年には開発チームとともにメルカリに参画し、子会社ソウゾウの執行役員として教育領域のCtoCサービス「teacha」の立ち上げにも携わった。

「もちろんプログラミングスクールをやりたかったという思いもあるが、根本的には日本で教育領域におけるISAsモデルの可能性の検証をすることが目的。教育は『自己投資』と表現されることもあるように投資であり、投資であるならROIで考えることもできるのではないかという仮説を持っている」

「たとえば職業に直結する人の学習や学び直しであれば、その人が将来的に活躍することが見込めれば自己投資だけではなく他者から投資を受けるという仕組みもありえるのではないか。実際にアメリカでは学生ローンや奨学金に変わる新しいモデルとしてISAsモデルが注目を集めていることもあり、日本でも今後広がる余地があるのではないかと考えた」(鶴田氏)

ISAsに関するカオスマップ。すでに海外ではこの仕組みを取り入れた機関や、それをサポートする会社がいくつも登場している

鶴田氏自身がもともと人に何かを教えることが好きなことに加え、長年身を置いているITスタートアップ業界において「ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が増えるなどエコシステムが発展する一方で、現場で実際にものを作るエンジニアはまだまだ少ない」ということもあり、プログラミング学習領域で事業を立ち上げることには以前から関心があったという。

良い仕組みが作れないかを考えていた際に最初に思いついたのが「無料で提供して、受講者が成功した場合に後から受講料をもらう仕組み」。海外の事例なども調べるとまさに数年前からISAsが広がり始めていたことを知り、このモデルを取り入れてLABOT流のプログラミングスクールを設計した。

ISAsであれば学歴や年齢、現在の収入などに関わらず誰でもチャレンジの機会を得られる可能性があるのが特徴。また途中で挫折してしまった場合には受講費用が発生しないため、ある意味“通常のスクールよりも辞めやすい”構造で、本当にやりたい人だけが最後まで残る。

「もちろん事前の審査に加えて学生をケアする仕組みは取り入れるが、ある程度長期間に渡って取り組む中で『あ、自分は向いてないな』と納得して挫折するのであれば、それでもいいと考えている。既存の仕組みでは向いてるかわからないままモヤモヤしながら結果的に挫折してしまったり、就職したものの職種とのミスマッチなどで短期間に離職してしまう人も一定数存在する」(鶴田氏)

ISAsモデルの場合、仮に学生が就職に成功しても短期間で離職してしまうような形では意味がない。卒業生が望んだ職種で、なおかつIT人材として待遇をあげて働けるようなサポートが必要だ。

「そのためには学生とフェアな立場で紳士的に向き合うことが不可欠。単にISAsにすれば良いという話ではなく、カリキュラムの思想とも密接に関わる。LABOTでは学校のミッションを『未知の課題に対して取り組み、自走できる人を輩出すること』と設定し、変化が激しい時代の中で1人の技術者として自分で考えて自走できる人材を育てていきたい」(鶴田氏)

第一弾は恵比寿ガーデンプレイス内に開校。平日7時〜24時までスクールを開放し、いつでも利用可能。カリキュラム前半には厳しい出欠管理がある。16歳以上でIT業種への転職・就労の意思がある人が対象だ

つい先日には寄付モデルを取り入れた学費無料のエンジニア養成機関「42」の東京校をDMM.comが一般社団法人として立ち上げ、2020年4月から開校予定であることを発表したばかり。LABOTの場合は42とは異なるアプローチにはなるが、業界の発展に向けて新しい形態のプログラミングスクールの確立を目指していく。

鶴田氏の話では1期生は10人前後を予定しているそう。まずは小さく始めるが、きちんと成立する形が作れれば仕組み化しながら拡大していく計画。ゆくゆくはプログラミングスクールに限らず、他の分野においてもISAsモデルを展開していくことも視野に入れているようだ。

「家庭環境や学歴、年収に関係なくどんな人であっても新しい可能性にチャレンジできる機会を作っていきたい。これまでの日本社会では『どの大学に進学したか』『新卒でどの会社に就職したか』がその後の選択によって多少なりともその後の選択が制限され、23歳以降で思いきった意思決定をするのが難しかった側面もある」

「ただ周りを見ていても強い意思を持って、変われた人はたくさんいる。そういった人たちを後押しする仕組みを広げたい。自分としては単に『ISAsの学校をやります』ではなく、ゆくゆくは国の制度の1つとしても普及するようなモデルを作っていきたいと思っている」(鶴田氏)