データダッシュボードのスタートアップCountが約2.6億円を調達

アーリーステージの企業は、組織全体で扱うデータ量に悩まされることが多い。データが増えてくると、特にそうだ。データソフトウェア、データの混乱、データパイプラインの扱いに多額の費用がかかる。これらはすべてデータウェアハウス、クリーニングツール、視覚化プラットフォームに関わる。

Countは、オールインワンのデータプラットフォームを作ってこの問題を解決しようとしているスタートアップで、アーリーステージのチームに安価なデータパイプライン構築のためのツールを提供している。

Countはこれまでのステルスモードを終了し、240万ドル(約2億5800万円)の資金調達を発表した。この資金調達はLocalGlobeが主導し、Global Founders Capitalが参加した。同社のエンジェル投資家には、Micrrosoft(マイクロソフト)の企業戦略責任者だったCharlie Songhurst(チャーリー・ソンハースト)氏がいる。

Countは2016年に、経営コンサルタントだったOliver Hughes(オリバー・ヒューズ)氏とインペリアルカレッジの物理学者のOliver Pike(オリバー・パイク)氏が創業した。2人は、標準的なデータソフトウェアの複雑さと、業界で容認されている技術や設計上の制限のため、企業はデータドリブンの決定を下すことができないと分析していた。

発表の中でヒューズ氏は、同社が解決しようとしている問題について次のように述べている。「大きく成長しているチームは、データを管理するために複数の別々のソリューションに対して多額の投資が必要だった。そのようなソリューションを購入して実装するには1年から1年半かかる。そのため多くのスタートアップは、ツールが自分たちに合わなくなっても長期の契約に縛られる。Countはシンプルな従量課金制モデルなので、プラットフォームを無料で使い始め、チームの成長とデータの増加に伴ってその分だけ支払えばよい」。

LocalGlobeのパートナー、Remus Brett(レマス・ブレット)氏は次のように述べている。「データが極めて重要であることは多くの人が認識しているが、データを扱い、ストーリーを語るのはいまだに難しい。現在では、重要な決定をするためにデータを迅速に処理し分析することの価値は、かつてないほど大きい。Countを利用すれば、ごく初期の企業であってもデータ分析に基づいた意思決定を始められる」。

Countを利用しているTiney.coのCTO、Edd Read(エド・リード)氏は「Countによって我々はデータをすべてまとめてチーム全体の報告書を作れるようになった。同社の製品であるNotebooksを使えば、状況に応じた考察を共有し、SQLを学ばなくてもデータのクエリを利用できる」と述べている。

Countには、データウェアハウスではSnowflake、データクリーニングツールではDBT、分析プラットフォームではLookerなど、多くの競合がある。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleがデータ分析スタートアップのLookerを約2860億円で買収完了

Google(グーグル)がデータアナリティクスのスタートアップであるLooker(ルッカー)を26億ドル(約2860億円)で買収するとの発表は、二重の意味でインパクトがあった。金額が大きかったことと、Thomas Kurian(トーマス・キュリアン)氏がリーダーになって最初の大規模な取引だったことだ。2月13日、Lookerは取引が正式に完了したことを発表し、Google Cloud Platformの一部となった。

キュリアン氏はLookerが正式にGoogleファミリーの一員になったことを歓迎すると発表したが、ブログ投稿で同社がGoogle以外の複数のクラウドベンダーを引き続きサポートしていくと表明した。

「Google CloudとLookerは、オープンソリューションを提供し、顧客の場所を問わずサポートするという哲学を共有している。Google Cloud、ほかのパブリッククラウド、オンプレミスかを問わない。多くの組織がマルチクラウド戦略を採用する中で、Lookerの顧客やパートナーは、Amazon Redshift、Azure SQL、Snowflake、Oracle、Microsoft SQL Server、Teradataなどを含むすべてのクラウドデータ管理システムに関して継続的なサポートを期待できる」とキュリアン氏はブログ投稿に書いている。

今回のような買収取引に典型的なことだが、LookerのCEOであるFrank Bien(フランク・ビエン)氏は、自社よりはるかに大きいGoogleの経営資源を利用すればより速く成長できるとみている。「Google Cloudと一緒になれば、幅広い顧客へのリーチや経営資源の強化が可能になるだけでなく、アナリティクスとクラウドインフラストラクチャーの両面で最高の頭脳を結集して、顧客とパートナーのためにエキサイティングな道を築くことができる。 Lookerが7年前に目指したミッションに対して、本日重要な一歩を踏み出す」と、ビエン氏はブログ投稿に書いた

買収が公表された6月、Lookerはデータを処理、理解、分析、視覚化するプロセスを描いたスライドの中で、同社の「Smart Analytics Platform」の立ち位置を示した。Lookerは、他のクラウドのサポートも継続するが、スライドでは視覚化の領域に収まっている。

スライド: Google

Lookerは2011年創業で、Crunchbaseによるとこれまで2億8000万ドル(約310億円)以上を調達した。既存投資家には、Redpoint、Meritech Capital Partners、First Round Capital、Kleiner Perkins、CapitalG、PremjiInvestなどが名を連ねる。買収前の最後の資金調達は2018年12月のシリーズEで、16億ドル(約1760億円)のバリュエーションで1億300万ドル(約110億円)を調達した。

画像クレジット:Google

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(翻訳:Mizoguchi

カスタマージャーニーのデータを直接扱えるAdobeのツールが登場

Adobeは、データを収集して顧客を理解するための分析と顧客体験のプラットフォームに力を入れている。米国時間9月10日、同社はカスタマージャーニーのデータを直接扱い、よりよい顧客体験を実現する新しい分析ツールを発表した。

カスタマージャーニーには、企業のデータレイクからCRM、POSまで、多くのシステムが関係している。7月に発表されていたように、このツールは複数のシステムやさまざまなチャネルにわたるデータをすべてまとめて、データ分析のワークスペースに取り込む。

Adobe Analyticsのプロダクトマーケティングでグループマネージャーを務めるNate Smith(ネイト・スミス)氏は、データサイエンティストやSQLのスキルを有するアナリストも、そしてインサイトを得ることが目的のマーケティング専門家も、組織全体が標準的な方法でデータにアクセスできるようにしたと語る。

同氏は「オムニチャネル分析や新しいデータチャネルの導入をしようとする組織のためのプラットフォームをリリースする。このプラットフォームに入ってきたデータを、学術的なモデルで標準化する」と説明する。その後、この機能を階層化し、継続してデータを視覚的に照会して、これまで見えなかったようなインサイトを得られるという。

スクリーンショット:Adobe

Adobeはプロセスのすべてのステップをできるだけ柔軟にするように開発し、オープンであることを原則にしてきたとスミス氏は言う。これは、あらゆるソースから取り入れたデータを、Adobeのツール、あるいはTableauやLookerといった外部ツールで視覚化するという意味だ。さらに、必要に応じてデータを取り入れたり取り出したり、ユーザー独自のモデルを使ったりすることもできるという。

同氏は「皆さんにAdobeスタックに参加してもらいたいと思っているが、同時に、すでに多額の投資をしたほかの技術との統合や相互運用の必要が発生することも理解している」と語る。

最終的な目的は、マーケティング担当者が顧客のデータの全体像にアクセスし、顧客についてわかったことをもとに最も望ましい体験を提供することだ。スミス氏は「我々がこのツールで本当に目指しているのは、重要な瞬間に役立つインサイトとエンゲージメントポイントを得て、優れた体験を提供できるようにすることだ」と語った。

この製品は、一般には10月から利用できるようになる。

画像:sesame / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)