TableauがAIで分析を高速化するツールを公開

Tableau(タブロー)はSalesforceに157億ドル(約1兆7000億円)で買収されると今年6月に発表されたが、そのずっと前から今秋のアップデート版を開発していた。米国時間9月18日、同社はAIで分析を高速化する「Explain Data」という機能など新しいツールをいくつか発表した。

Tableauの最高製品責任者であるFrancois Ajenstat(フランソワ・アジェンスタッド)氏は「Explain Dataは、データ上で何が起きているかを自動で明らかにし説明する。これによりユーザーは、何が起きたかを理解する段階から、なぜそれが起きたと思われるかを理解する段階へと進むことができる。我々は、先進的な統計エンジンをTableauに組み込んだ。このエンジンが起動すると、ユーザーの代わりにデータをすべて自動で分析する。そして、あるデータポイントの動きに最も関連があると考えられる要因を説明する」と説明する。

この機能のメリットは分析の自動化によってユーザーが時間を節約できること。「先入観を排除して適切に分析し、自動化を活用してデータをより深く見ることにつながる」とアジェンスタッド氏は補足する。

画像:Tableau

同氏は、ユーザーがこれまですべて手作業で分析していたことを考えると、これは大きな進歩だと語る。「人間はあらゆる組み合わせを試してすぐれたインサイトを得ていたかもしれないが、それは手作業だった。これからはこのエンジンを使ってほとんどのことを自動化し、インサイトを見つけることができる」とコメントしている。

この機能には大きな利点が2つあると同氏は言う。AIドリブンであるため、有意義なインサイトをこれまでよりずっと短時間で得られるということと、データを厳密に評価できるということだ。

Tableauは新しいカタログ機能も発表した。これはデータのソースを示す「パンくず」、つまりデータのある位置を提供するもので、ユーザーはデータの出所がどこなのか、関連性があるのか信頼できるのかを知ることができる。

さらに同社は新しいサーバ管理ツールも発表した。大企業全体にTableauを広く展開している場合に、集中管理しやすくするツールだ。

これらの機能はすべて、すでにTableauの顧客に提供されている。

画像:metamorworks / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

カスタマージャーニーのデータを直接扱えるAdobeのツールが登場

Adobeは、データを収集して顧客を理解するための分析と顧客体験のプラットフォームに力を入れている。米国時間9月10日、同社はカスタマージャーニーのデータを直接扱い、よりよい顧客体験を実現する新しい分析ツールを発表した。

カスタマージャーニーには、企業のデータレイクからCRM、POSまで、多くのシステムが関係している。7月に発表されていたように、このツールは複数のシステムやさまざまなチャネルにわたるデータをすべてまとめて、データ分析のワークスペースに取り込む。

Adobe Analyticsのプロダクトマーケティングでグループマネージャーを務めるNate Smith(ネイト・スミス)氏は、データサイエンティストやSQLのスキルを有するアナリストも、そしてインサイトを得ることが目的のマーケティング専門家も、組織全体が標準的な方法でデータにアクセスできるようにしたと語る。

同氏は「オムニチャネル分析や新しいデータチャネルの導入をしようとする組織のためのプラットフォームをリリースする。このプラットフォームに入ってきたデータを、学術的なモデルで標準化する」と説明する。その後、この機能を階層化し、継続してデータを視覚的に照会して、これまで見えなかったようなインサイトを得られるという。

スクリーンショット:Adobe

Adobeはプロセスのすべてのステップをできるだけ柔軟にするように開発し、オープンであることを原則にしてきたとスミス氏は言う。これは、あらゆるソースから取り入れたデータを、Adobeのツール、あるいはTableauやLookerといった外部ツールで視覚化するという意味だ。さらに、必要に応じてデータを取り入れたり取り出したり、ユーザー独自のモデルを使ったりすることもできるという。

同氏は「皆さんにAdobeスタックに参加してもらいたいと思っているが、同時に、すでに多額の投資をしたほかの技術との統合や相互運用の必要が発生することも理解している」と語る。

最終的な目的は、マーケティング担当者が顧客のデータの全体像にアクセスし、顧客についてわかったことをもとに最も望ましい体験を提供することだ。スミス氏は「我々がこのツールで本当に目指しているのは、重要な瞬間に役立つインサイトとエンゲージメントポイントを得て、優れた体験を提供できるようにすることだ」と語った。

この製品は、一般には10月から利用できるようになる。

画像:sesame / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Salesforceがビジュアルデータ分析のTableauを157億ドルで買収

先週Googleがデータ分析のスタートアップ Looker26億ドルで買収したのもつかの間、米国時間6月9日にSalesforceはビッグニュースを発表した。データのビジュアル化をはじめ、企業の持つ膨大なデータに意味を持たせるビジネスに参入すべく、SalesforceTableau157億ドルで買収する。支払いはすべて株式交換で行われる。

Tableauは上場しており、同社のClass AおよびClass Bの一般株は、Salesforceの一般株 1.103株と交換されると同社は言っている。つまり157億ドルという数字は、Salesforceの2019年6月7日時点の平均株価に基づく会社価値で表した買収金額になる。

これはTableauの最新時価総額から見て大きな飛躍だ。Google Financeによると米国時間6月7日の取引終了時点で同社の時価総額は107.9億ドルだった。(このニュースに伴い同社の株は取引が停止された)。

両社の取締役会はすでに契約を承認している、とSalesforceは言った。両社の経営チームは東海岸時間の午前8時から電話会見を行う。

CRMソフトウェアからデータ分析の深い部分へと多様化を目論むSalesforceにとっても、実に大きな契約だ。

かつて同社はLinkedInを買収しようと力を入れたが失敗に終わった(代わりにMicrosoftが買った)。LinkedInとTablearuに類似点はあまりないものの、今回の契約もSalesforceの既存顧客との結びつきを強化するのが狙いだ。

「世界の#1CRMと#1分析プラットフォームが一緒になった。Tableauは人々がデータを見たり理解したりするのを助け、Salesforceは顧客をつなぎとめ、理解するのを助ける。あらゆる顧客が世界を理解するために必要とする2つの最重要なプラットフォームを組み合わせることで、両方の世界の最高の部分を提供することができる」とSalesforce共同ファウンダー・チェアマン兼CEOのMark Benioff氏が声明で語った。「Adamと彼のチームをSalesforceに迎えるのを非常に楽しみにしている」

Tableauは約8万6000社の顧客を持ち、Charles Schwab、Verizon(TechCrunchの親会社)、Schneider Electric、Southwest、Netflixなどの企業が名を連ねる。買収後もTableauは現在のブランドを継続し独立に運営されるとSalesforceは言った。ワシントン州シアトルの本社やCEO Adam Selipsky氏率いる経営陣もそのまま残る。

ただしそれは両社が今後一緒に仕事をしないという意味ではない。むしろSalesforceは、現在同社がEinsten(2016年に同社が提供開始したプラットフォームで、SalesforceのAIプロジェクトはすべてこの上に作られている)で行っていることを拡大する計画をすでにTableauと検討中だ。オムニチャンネルの営業・マーケティング向けサービスの「Customer 360」についても同様だ。Tableauのサービスの大きな特徴が、大局的な洞察力の提供であることから、この協業は相補的で理にかなっている。

「Salesforceと力を合わせることで、あらゆる人々がデータを目で見て理解するのを手助けする我々の能力が強化される」とSelipsky氏は語った。「世界#1のCRM会社に加わることで、Tableauの直感的で強力な分析機能が、より多くの企業と人々に有意義な洞察を与えられるようになる。」

「Salesforceの驚くべき成功は、顧客のニーズを予測し、顧客のビジネスが成長するために必要なソリューションを提供することから生まれた」とSalesforceの共同CEOであるKeith Block氏は言った。「データはあらゆるデジタル活動の基盤であり、Tableau が加わることで、あらゆるデータを統合しすべてを見渡す強力をツールを提供して顧客に成功をもたらすことができるだろう」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSのBIツールQuickSightがセッション課金制を導入して気軽な利用を促進

Amazon AWS上のビジネスインテリジェンスツールQuickSightは2015年にローンチしたが、しかし競争の激しいBI市場にこのサービスが与えたインパクトを量るのは難しい。でも同社にこのプロジェクトをギブアップする気配はなく、今日はQuickSightのダッシュボードのセッションあたりの課金という、新しい料金プランを導入した。それは明らかに、TableauやMicrosoftのPower BIが大きなマインドシェアを握っている市場に、食い込む努力の一環だ。

この新しい料金プランでも、ダッシュボードの作成と発行に関しては一人あたり月額18ドルのままだ。しかしダッシュボードの内容を読んで利用する者は、1セッションあたり30セントを払い、最大月額が一人あたり5ドルになる。1セッションの定義は、ログインしてから最初の30分のことだ。

それまでのQuickSightの料金プランは、一人あたり月額9ドルのスタンダードプランと、Active Directoryと保存時の暗号化がサポートされる24ドルのエンタープライズプランの二種類だった。

月額9ドルのプランは今後も残り、ダッシュボードを作る人と利用する人が同一人物であることの多い小企業にはこれで十分だろう。今回の新しい料金プランは、既存のエンタープライズプランと併存せず、それを置換する。

QuickSightはすでに、Tableauなどに比べるとかなり低料金だったが、しかしその機能の揃いぐあいについては、評価が低かった。今度のセッションあたりの料金制は、安売りをさらに強調するだけだ。

AWSでQuickSightを担当するVP Dorothy Nichollsは、今日のコメントでこう述べている:

“Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)が提供するスケーラビリティの優れたオブジェクトストレージや、従来のソリューションの1/10の費用で利用できるデータウェアハウジングサービスAmazon Redshift、そしてAmazon Athenaが提供するサーバーレスのアナリティクスにより、AWSは、かつてなかったほどのペースで、顧客がデータを保存し利用する場所になりつつある。そしてそれにより、知識労働者たちのほぼ全員が、それらのデータと、そこから得られるインサイトへの、容易なアクセスを求めるようになっている。それは、ほとんどの企業における近年の大きな変化だ。企業が全社にわたってそのような要求を満たすことは、かつては費用的に不可能だったが、Amazon QuickSightのこのたびのセッション課金制により、情報とアナリティクスへのアクセスが、新しい時代を迎えようとしている”。

QuickSightの現在のユーザーの中には、NFL, Siemens, Volvo, AutoTraderなどがいる。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

BIサービスのTableauがドイツのHyPerを買収してビッグデータ分析を高速化

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BIサービスのTableauが、ドイツの先進的データベース企業HyPerを買収したことを発表した。Tableauのねらいは、彼らの技術を自社のプロダクト集合に組み入れることだ。

Tableauはビジネスインテリジェンスとデータ分析の企業として、企業顧客が自分たちのデータからインサイトを得ることを助けている。大学の研究から生まれたHyPerのデータベース技術は、Tableauのすべてのプロダクトのパフォーマンスを向上させる。Tableauのエンジニアリング担当シニアディレクターPatrice Pellandは、そう説明する。

“HyPerはダイアモンドの原石だ。ミュンヘン工科大学(Technical University of Munich, TUM)の研究チームがそれを開発した”、とTableauは述べている。

Tableauは実は、この若い企業に前から注目していた。最初に発見したのは、データベース技術に関する学界の場だった。その技術が姿をなしてくるにつれてTableauは、それが同社のBIサービスによくフィットしていることが分かってきた。

HyPerがTableauに持参する能力の中には、データ分析の高速化がある。それは、データセットのサイズとは無関係であり、トランザクションのシステムと分析システムを一体化してプロセスをスピードアップする。またその多様な分析能力は、定型データと非定型データの両方をサポートし、ビッグデータの分析に威力を発揮する。

まだ生まれたてほやほやのHyPerは資金もなく、Tableauが買収しようとしたとき、顧客もいなかった。買収の条件をTableauは公表していないが、Tableauのスポークスパーソンによると、“それは現金以外の取引なので公表はできない”、という。つまり、おそらくそれは1億ドルに満たない価額と思われるが、まだ新生児のような企業だから、それも当然かもしれない。

HyPerのトップは、TUMの二人の教授で、これまで院生たちとともに研究を続け、HyPerデータベースシステムの開発に至った。Tableauも数年前に、大学(スタンフォード)の研究プロジェクトから生まれた。つまり両者は‘大学発’というルーツを共有する。二人の教授は当面コンサルタントとして仕事を続け、プロジェクトに関わった4人のPhDは、ミュンヘンに設けられるTableauのR&D部門を担当する。

そのオフィスは今後拡張する予定だが、最初何名の社員でスタートするかは、公表されていない。

今現在、彼ら新しい社員たちは、シアトルにあるTableauの本社を訪れて、技術者たちとHyPerのデータベース技術とTableauのプロダクトとの統合について、話し合っている。

これはTableauの二度目の買収だ。“うちの企業をもっと良くする機会はいつも探しているが、企業文化という重要なものがあるので、買収にはつねに慎重だ”、とPellandは述べる。

なお、Tableauは2013年に上場し、昨年7月には一株127ドル44千とという高値をつけた。しかし今週水曜日(米国時間3/9)の時間外では、42ドル64セントと落ち込んでいる。今年のテクノロジー株は年初から良くないが、Tableauの下げは激しすぎる。

〔ここにグラフが表示されない場合は、原文を見てください。〕

[graphiq id=”3oaS89DzStf” title=”Tableau Software Inc. (DATA)” width=”700″ height=”414″ url=”https://w.graphiq.com/w/3oaS89DzStf” link=”http://listings.findthecompany.com/l/14692592/Tableau-Software-Inc-in-Seattle-WA” link_text=”Tableau Software Inc. (DATA) | FindTheCompany”]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MongoDBが既存のデータ視覚化ツールやBIアプリケーションと接続するためのコネクタを発表

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オープンソースのデータベースプラットホームMongoDBが今日(米国時間6/2)、ニューヨークで行われた同社のMongoDB Worldカンファレンスで、いくつかのアップデートを発表した。その中には、Tableauなどのデータ視覚化ツールの統合も含まれる。

MongoDBは従来のRDBと違って非定型データを扱える自由性があるため、今では多くの企業のアプリケーションで利用されている。それが、MongoDBを使う主な理由の一つだが、でもデータを視覚化することが必要になると、これまで使ってきたデータ視覚化ツールで非定型データを扱うのは難しい。MongoDBのストラテジー担当VP Kelly Stirmanは、そう説明する。

彼曰く、“それらのアプリケーションが現代的と言われるのは、従来の行(row)と列(column)のデータベースでは扱えない豊富なデータ構造を使うからだ”。

その便利で現代的なMongoDBがもたらした予期せざる結果に対応するため同社は、BI(ビジネスインテリジェンス)やデータ視覚化ツールと接続するためのコネクタを発表し、後者の一つの例として同社のパートナーTableauを紹介するとともに、そのほかのツールでもコネクタが同様に使えることを明言した。

“Tableauは弊社のパートナーだが、しかしコネクタは、IBMのCognosやSAPのBusinessObjects、Microsoft Excelなど、そのほかのツールとの互換性もある。そのコネクタはSQLベースのODBCツールとの互換性もあるから、ほとんど何にでも対応できる”。

Stirmanはさらに加えて、“何百万ものユーザがこれらのアプリケーションを毎日のように使っているが、これまでそれらは、MongoDBとは断絶した世界だった”、と語る。そこで新たなコネクタが、両世界を橋渡しすることになる。

これまで、既存のデータ視覚化ツールでMongoDBとそのデータを扱うためには、大量のプログラミング努力を要し、そのために費やす時間と費用は膨大だった。しかし、“コネクタを使えば、既存の視覚化ツールが、あいだにレイヤを必要とせず、MongoDBのデータにアクセスできるようになる”、と彼は説明する。

同様の発表を先週、Salesforce.comも行ったが、それは今回のMongoDBのケースとは逆で、外部データをSalesforceの視覚化ツールWaveで、Salesforceのデータと共に視覚化するためのコネクタだ。

MongoDBの場合と同じく、それまでは、プログラミングで苦労すれば外部データをWaveで見ることは可能だった。そしてSalesforceも今回のMongoDBと同じく、外部との円滑な接続性を実現することはベンダ自身の責任だ、と悟ったのだ。両社が作ったコネクタにより、データソースと視覚化ツールとのあいだのデータ移動やデータアクセスが、簡易化された。

MongoDB 3.2には、コネクタのほかに、REST対応の暗号化や、データベースアドミンのためのGUIなども導入される。その一般公開は、今年の第四四半期の予定だ。

MongoDBはこれまで、投資家たちの関心を大いに集め、総額で3億ドルあまりを調達している。最近のラウンドは、なんと、今年の1月のシリーズGで、8000万ドルを獲得している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa